シーズンも終盤中の終盤。
今シーズンも色々とこの//subjunctionで洋服を紹介させてもらってきました。
そして、先日、書いたこともあり、これまで何年も書いてきた//subjunctionというブログも、もう間もなく終了。
あと、どれくらいのものがここで紹介できるんだろうなって思ってるけど、まあ、多くてもあと数回になってくるかな。
そして、今日、紹介するのはnonnotte。
これまでAUBETTというブランドのデザイナー時代より、杉原さんとはいろんなことを話して、いろんなことをやってきました。
自分たちが皆様に伝えたいことを実行するため、セレクトショップの既存領域を超えて、カネタ織物さんで生地開発を伴った別注商品を複数回つくったり、半年に一回以上のペースではるばるCASANOVA&COの店頭に立ってもらったこともありました。
洋服を伝え、販売をしていく上で、僕自身、杉原さんの実力に触れ、その仕事への向き合い方を目の当たりにできたことは、洋服業界に従事する人間として、とても多くの学びとエネルギーを与えてもらったと思ってる。
本当に感謝している。
そして、今回。
nonnotteデザイナー杉原さんと、僕とが皆様にご覧頂く商品として、用意致しました。
"nonnotteからの送別品"
nonnotte × CASANOVA&CO
Cachecoeur Cardigan
material _ YAK 64%,WOOL 32%,POLYURETHANE 4%
color _ YAK Natural × TopGray
size _ FREE
これ。
超ヘビーな編み地を用いて、深くフロントが交錯した洋服である。
名前では"Cardigan"とついてるけど、僕は、ヘビーデューティーなVネックセーター、もしくは、ジャケットだと思ってる。
カーディガンで言えば、先日"CASANOVA BLACK"というカラーリングで販売をしたMOTHER HAND artisanのが僕にとってはベストバランス。
だから、今回皆様にご紹介するnonnotteのCachecoeur Cardiganは、僕にとっては、上記のように超ヘビーなVネックセーターであり、アウター的要素も合わせ持つ洋服なの。
こんな洋服を探しても、同じようなものには滅多に出会えない出来栄えをしてると思ってる。
まず、素材について。
混率は上記の通り、ヤクウール64%・ウール32%・ポリウレタン4%というものである。
というか、nonnotteのコレクションを頻繁にご覧頂ける方には、ピンと来てもらえると思うのですが、この素材は、ブランドオリジナルのもので、コレクションにもプルオーバータイプのセーターで使ってる素材なの。
上の写真をご覧頂けると何となくわかって頂けるかもしれないけど、、、
ブラウンに見えるのが、無染色のヤク。
チャコールっぽく見えるのが、原料の段階で染められた"トップ染め"のヤクとウール。
無染色の自然な色合いと、トップ染めならではの複雑なカラーリングで構成されてる。
このような特有のニュアンスのある色合いを自然の力を使って生み出すのは、nonnotteの杉原さんならではのことだと思う。
そして、更に、nonnotteのオリジナリティーを追究したのがこの編み地である。
"物理的な限界値"での高密度。
ということ。
先日販売をしたMOTHER HAND artisanのCASANOVA BLACKのセーターも、シルクとモヘアの6本取りで非常に重厚感のあるものでした。
nonnotteで生み出したものは、、、
まず、編み機で実現可能な限界高密度で編む。
そして、その編み地に、3本取りして強靭にしたポリウレタンのゴム糸を差し込んでいく。
それを編み機から外した際に、強烈なゴム糸のパワーで、もうこれ以上、"物理的に"密度を高めることが不可能な値に持っていく。
極限までニットの"隙間を埋めた"というnonnotteオリジナルレシピの編み地なのである。
この厚み、重厚感、そして、フェルトのような目の詰まりによるウルトラ安心感。
これすごいのよ。マジで。
それを利用した特別Ver.
もう一度、見て。
分かりますかね??
この目の詰まり。
光に当てても、向こう側から全っっっ然、光が漏れてこないから。
信じられない。ニットですよ。そんなの見たことありますか??
僕はありません。
まあ、ブランドでは、この編み地を使って、比較的着やすさのあるプルオーバーのセーターをつくってるんですよ。
でもね、洋服難易度は上がるかもしれないけど、それを僕たちの素直な洋服の感じでつくろうと思って、改めて杉原さんに開発してもらうことにしたの。
それが、
"nonnotteからの送別品"
である。
少しディテールを紹介しますね。
名前の通り、フロントの前端が深く交わる設計。
左右の前端は、それぞれ反対側の腰でボタン留めで固定できるもの。
左前の設計だから、左前裾は、反対側の右裾に露出した2つの水牛ボタンで着脱する感じ。ポケットはありません。
身頃のメインは、"天竺編み"という編み地。
だから、表と裏で編み地の見え方が異なる。
特徴的な前端には、"スムース編み"という編み地。
そして、袖口や裾には、"リブ編み"。
このように、合計3種類の編み組織を適所に用いた設計なの。
この写真は、前端と裾とが並列した箇所の写真なんだけど、一見すると同じ編み地に見えるの。
でもね、前端と裾とは編み地が異なるから、似てるけど、よ〜く見るとね、それぞれの編みの目が違う。
こういう異なる編み組織が隣接して変化するという様は、美しいものですよ。
そして、このニットの大きな特徴がフロント。
通常、このようなセーターなどの洋服は、成型編みと言って、布帛(織り生地)とは違って、身頃やアームなどをそのパターン設計通りの形状で編み立てていくものなの。
前の裾から編み進めていくのですが、ニットは全て"直線の編み目"で構成される。
だから、裾から身頃の上の方に進むに従って、身頃の"天竺編みの目が減っていってる"。
これ。こういうので伝えたいこと分かって頂けますかね??
矢印がなんか知らんけど、めちゃくちゃ太くなったんですが、そんなの気にしないで。
前端に斜めに走るスムース編みに切り替わることによって、身頃の天竺編みの目が上方向に行くに従ってどんどん少なくなってるの。
これを"減らし目"というんだけど、セーターで見たことないくらいエゲツない減らし目が施されてる。
そして、これ、袖を広げるとこう。
アームホールが三角形状になってる。
これは、先述の通り、"ニットは目が直線に走る"ということを利用した、杉原さんのオリジナル設計なのだ。
これにより、着用時には、セーターとは思えないほどの"nonnotteフォルム"が描かれるというわけ。
ちなみにね、杉原さんが言うには、アームホールの下側の黄色い線の減らし目と、身頃の接合が技術的にかなりハードルが高いんだって。
反対側の赤い線の箇所も先述の通り、同時に減らし目を行わないといけないですからね。
でも、そのタマモノもあり、ニットの洋服とは思えないレベルのフォルムを実現してくれてるの。
袖は、天竺からリブにそのまま切り替わる。
裾につくボタンを留めると、こう。
左前側を外すとこんな感じ。
ボタンを両方外して着用するのも悪くないですよ。
この手のヘビーなセーターは、なかなか着たり脱いだりと、気温に合わせて調整できるようなものがあまり多くないと思うんですけどね、その点、非常に用途ポイント高いでしょ。
いろんなセーターが世の中に存在する中で、杉原デザイナー、とてもよく考えてくれてる。
内側に備わるボタンも、露出しているものと同様に水牛ボタンが2つ。
バックは、衿が少し高めの設計です。
ウラ。
裏を見ればこのニットの構造が一目瞭然。
このアームホールの形状がとても良い作用をもたらす。
手をおろした時に、アームホールの三角形の頂点が身頃を押して、身頃に見事なドレープが出てくれるの。
これは見ものだ。
着用。フリーサイズです。
167cmで、タバコやめて3ヶ月、健康体になり、52kgから54kgになりました。
nonnotteは通常では、サイズ3を着てることが中心。
今回のセーターは、フリーサイズコンセプトということもありますが、ブランドの通常サイズで例えるならば、4〜5の間かな。
どちらかと言うと、僅かに4寄りだけど、4.4とか、4.5みたいな感覚。
小柄な僕には大きいんですが、杉原さんに、洗濯機に入れて、乾燥機にぶち込むことを勧められたの。
だから、素直にその助言に従って、ガス乾燥機(カンタくん)に投入。
そうしたらね、ちょっと縮んでより良いサイズバランスになりましたね。
着用写真は、新品で着てるから僕には少し大きいけど、まあ好みの問題だし、大体の人が悪くない感じで着ることができると思いますね。
サイズ寸法は、オンラインストアに記載してるからそれ見て確認ください。
セーターとは思えない身頃の美しいドレープ。
ヘビーなニットがお腹で二枚重ねだから、かなり暖かいし、ホンッッットに心強い。
冬場には途轍もなく強大な味方になってくれると思う。
ボタンを開けるとこんな感じ。
ボタンオープンで着用する際には、気持ちだけ肩を抜いて着るのが良いですね。
反対に、ボタンを留めて着る際には、しっかりと前側で、肩に乗せて着るのがベスト。
前を開けると後身頃の余白分量も増し、ドレープも大きくなる。
こう見ると、女性が大きく着るのもすんごい可愛いと思う。
まあ、気にして頂ける方は是非見てみて。
編み地の強靭さは誰もが感じてもらえると思うし、もはやスウェット以上にラフな感覚で使えるんじゃないかな。
何より暖かいし、結構良いことづくめの洋服だと思いますよ。
nonnotteからの送別品。
ご検討頂けたら嬉しいです。