こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
本当は昨日これを上げる予定だったんだけど、色々あって今日になっちゃいました。
すんません。
本日もこのイベントに関してです。
LUGGAGE LABEL limited store -温故知新-
2025.12.06(SAT) ~ 2025.12.14(SUN)
本日は3シリーズのうちのOLDNEW。
ご紹介するのは最後になってしまいましたが、新LUGGAGE LABELのトップバッターとして世の中に発表されたのが、このOLDNEW。
僕がOLDNEWの存在を知ったのは最初のブログに書いた通り1年と2ヶ月くらい前からでしかないけど、それから今に至るまで𠮷田カバンのオンラインストアでは完売状態になっているアイテム/カラーも多い。
それがコアなお客様からOLDNEWが評価されている証あることは間違い無いのだけれど、それ以上の要因として、生産が超大変だという点がある。
OLDNEWは2色展開で、タイトルにある通り柿渋めと暮染めの2種類。
どちらの染色も滋賀県にある染色工房”おおまえ”さんにて行われているのですが、この染色が本当に大変。
実物をご覧いただくと分かるのですが、OLDNEWはナイロン生地で中綿をサンドイッチした素材を使用しています。
この中綿の存在が厄介で、手作業で染色を行う際に染色液を多く吸い込むので、カバンひとつがかなりの重さになる。
全体重をかけて色を押し込むようにして染色し、余計な染色液を絞る。

この工程が超大変。
ただでさえ色が染まりにくい素材に対して染色を行なっているのに、重さや硬さなどの”絞りづらさ”も相まってしまう。
さらに、ここからの乾燥させる工程もとても重要。
柿渋染めや暮染めは乾燥させる工程で紫外線を浴びることで発色が進むのですが、これはつまり自然との戦いであるということを意味する。
天候や季節によって紫外線量はもちろん、気温や風などの条件も刻一刻と変化する。
そこで、おおまえさんではビニールハウスの中で乾燥を行うようにしているそう。

シュールでクールな光景でしょ。笑
このビニールハウスによってある程度条件は安定するものの、乾燥具合によって角度や向きを変えながら乾燥を進める。
そして乾き切ったら、ここまでの工程をもう一度繰り返して2度染め。
かなり根気のいる作業で、季節や天候によって生産が安定しない理由がよくわかると思います。
さらには天然の染料を手作業で染める上に、自然との戦いであるからこそ、染め上がった製品には必ず染めムラが起こる。
この染めムラも染色の風合いではあるのですが、𠮷田カバンではなるべく均一な染まり上がりを意識しているようで、染色まで終えたものが𠮷田カバンとしての製品の基準を満たさないこともあるのだとか。
大変なことをやっているから凄いとか良いものだとかと直結させるつもりはありませんが、会社としての規模や生産しなければならない規模を考えると、𠮷田カバンがここまでのことにチャレンジしているということは本当に意味のあることだと思う。
そして何より僕たちのような場所で皆様にご紹介させていただけるということがとても嬉しい。
とても考えさせられるものがあると思います。
さて、1型ずつご紹介させてください。

LUGGAGE LABEL
"OLDNEW" NEWSPAPER BAG(L)
color _ kakishibu

LUGGAGE LABEL
"OLDNEW" NEWSPAPER BAG(L)
color _ kure
まずは、NEWSPAPER BAG (L)。
OLDNEWで最も大きいカバンです。
あ、あとこの写真の柿渋染めの方はサンプルなので、ロゴの刺繍など本製品と異なる部分があります。
暮染めの方が正しいと思ってください。
基本的な構造はサイズ問わず同じなので、NEWSPAPER BAGの柿渋染めの写真でディテールをご紹介します。

フラップを開くとこのような感じでスナップとストラップが現れます。
ストラップを使ってカバンの口を閉めておくことができるのと、フラップも荷物の量に応じて2段階で調整可能です。

カバンでここまできちんと縫製されているものに出会うことはほとんどないと思います。
さらにはOLDNEWは製品染めなのにも関わらず、このような見え方をしているのはもはや異常。

スナップの裏側には、開閉時の負荷に耐えられるように補強のステッチ。
ユーザーの行動を見越した製品のデザイン。
𠮷田カバンには”見えてる”。

あと色ムラについて。
柿渋染めと暮染めだとどうしても色の明るい柿渋染めの方が色ムラが強く出ます。
その分かなり迫力のある見た目なので、お好きな方にとっては堪らないポイントかと。

反面、暮染めは濃いチャコールグレーのような色合いなので、色のムラもこのように落ち着いています。
ただ、暮染めはここから色合いの変化も起こるので、柿渋とは似ているようで性質が異なる。

持つとこんな感じ。
2泊の旅行くらいまでなら余裕じゃないかなってくらいの大きさ。
男が持つカバンはデカければデカい方がかっこいいですからね。
このカバンに携帯と財布とタバコだけ入れてるくらいでいいんです。

LUGGAGE LABEL
"OLDNEW" NEWSPAPER BAG
color _ kakishibu

LUGGAGE LABEL
"OLDNEW" NEWSPAPER BAG
color _ kure
NEWSPAPER BAGの小さい方。
こちらに関しては暮染めの方がサンプルになります。
基本的な構造はラージと同じですが、ショルダーストラップのロープの長さが少し短め。
暮染めのサンプルは少し長めになってしまっていますが、柿渋の方が正規の長さです。

ロープの長さはこれくらいの感じです。

あくまでサンプルだけど、暮染めだとこれくらいのサイズ感です。
このNEWSPAPER BAGで13インチのノートPCが入るくらいのイメージ。
仕事道具や勉強道具を入れるならこれくらいのサイズがベストかもしれませんね。

LUGGAGE LABEL
"OLDNEW" SHOULDER BAG
color _ kakishibu

LUGGAGE LABEL
"OLDNEW" SHOULDER BAG
color _ kure
そしてこちらがSHOULDER BAG。
僕が私物として使用しているのが、この暮染めです。

ストラップに使用されているこのロープもかなりの密度で、結び目の部分からとんでもない量の糸が暴れ出している。
柿渋の染色液によってかなりカサッとしていますが、使用すればするほど本体の生地と共に馴染んでいきます。

カバンとしては小ぶりだけど、確実にスタイルに影響を及ぼすカバン。
これを持ってるだけでかなり説得力出る思いますよ。

初めてOLDNEWを見た時に、染色のニュアンスに対してこのロープの感じやステッチワークからとても日本らしさを感じたのと同時に、どこか異国の超マイナーアルチザンブランドがつくってるカバンにも見えて、さらにはそれを𠮷田カバンがつくっているのだというバランスにとても新鮮な感覚になった。
世界的に評価され海外の有力なセレクトショップなどでも展開されるような𠮷田カバンだけれど、その世界的な評価に惑わされるのではなく、もう一度古来から続く日本のものづくりに対して敬意を払い、自社の知恵と技術を吹き込んでここまでの完成度の製品に仕上げた。
さらにそれを今までほとんど対外的に露出することなく、自分たちの直営店で販売するというスタイルをとった。
もう全てがハンパなくかっこいい。
だから今回このようなお取り組みにCASANOVA&COとして参加させていただけることはとてもとても光栄だし、何より個人的に大好きなカバンをこのような契機を頂いて皆様にご紹介できることが最高に嬉しい。
、、、なんか締めの感じが出ちゃったけど、もう1型あります。笑

LUGGAGE LABEL
"OLDNEW" RUCKSACK
color _ kakishibu

LUGGAGE LABEL
"OLDNEW" RUCKSACK
color _ kure
現状の新LUGGAGE LABELでは唯一のバックパック型。

トップはフラップで蓋をする構造で、口はドローコードで巾着のように絞れます。

フラップは他のカバンと同様にダブルリングで固定する仕様。
このストラップにもジグザグにステッチを入れるあたり、ユーザーの行動とカバンの特性が見えてるなぁと本当に感心します。

このステッチから出るムードもやばいっしょ。
見るからに堅牢。
安心感の塊。
安心感を背負って歩くようなものですよ。

もちろんショルダーストラップもアジャスタブルです。
構造的に低い位置で背負うよりも少し体に寄り添わせて背負う方がフィットすると思います。
なのでこのアジャスターを使って、いい感じで背負ってください。


柿渋染めはかなりパリッとしていて、新品の状態だと固さゆえに浮いちゃう感じがありますが、使い込んでゆけばいい感じに馴染んでいくので、とにかく使うのが吉。
暮染めの方は柿渋染めに加えて木酢液で染めることでタンニンと鉄分の化学反応で黒くなるのですが、その際の匂いがかなり強烈なので水洗いの工程が加わります。
この水洗いの工程によって柿渋染めよりも柔らかく仕上がるので、暮染めは最初から馴染んだような使い心地だと思いますよ。

どちらもそれぞれかなりの雰囲気。
実際に手に持ってその空気感の違いを感じてみていただけたら嬉しいです。
これで今回のイベントでご紹介するカバンは全てとなります。
一部OLDNEWのアイテムのみ、生産が困難すぎて受注生産となってしまうものもありますが、LUGGAGE LABELが”温故知新”をテーマに掲げて生み出した3つのシリーズのフルラインナップが見れるのはかなり貴重な機会だと思います。
90年積み上げた歴史と技術、”一針入魂”の哲学、古来からの日本の知恵と伝統。
そこに今の𠮷田カバンの新しい感性が融合した、新たなLUGGAGE LABEL。
ぜひご覧いただけましたら幸いです。
明日から、𠮷田カバンチームと共に皆様のご来店をお待ちしております。