お知らせしておりましたMOTHER HAND artisan。
明日、11月6日(日)より販売をしますね。
先のブログでも少し触れたけど、 "家庭用手横編み機"。
これが途轍もなく、途方もなく、果てしなく、特徴的。
今のおじいちゃん、おばあちゃん世代がまだ幼かった頃。
そういう時代に、日本の家庭には時折存在したもの。
それが"家庭用手横編み機"。
今では、それが現存する数も非常に少なく、あっても実際にそれを操れる人がほとんどいないそうです。
もちろん、その家庭用手横編み機を使って、ブランドをしてる人も世界中見渡しても、まずいない。
"工業用"の手横編み機ならありますよ。 でも、工業用じゃないから。
家庭用だから。
これ重要。
なんか、永井さんが言うには、工業用じゃ絶対にできないことをやってるそうですよ。
いろいろと。
痺れるね。
そういうの。
それでいて、家庭用の手横編み機を駆使して、超絶完全、オリジナルニット理論での生産をしてるの。
まあ、そういう希少性とかで言いたいんじゃなくて、それが手にして頂いた方に、もの凄く恩恵があるんですよ。
これね、もう、約束するよ。
だって、僕はもう家に数え切れない程のMOTHER HAND artisanのニットがあるから。
これはね、僕の洋服人生には必要なの。
だから、皆様にもお伝えさせて。
ということで、紹介しますね。
今回は、二つの素材。
一つは、超パラダイスなウルトラ素材。
もう一つは、ブランドの全ての礎となる、黄金比率素材。
その二つです。
MOTHER HAND artisan
MONS (クルーネック)
material _ SILK 62%,MOHAIR 38%
color _ WHITE
size _ 2,4,6
MOTHER HAND artisan
DINANT (モックネック)
material _ SILK 62%,MOHAIR 38%
color _ BLACK
size _ 2,4,6
MOTHER HAND artisan
DINANT (モックネック)
material _ SILK 62%,MOHAIR 38%
color _ APPLE
size _ 2,4,6
まず、これ。
これまでになかった、超新素材。
MOTHER HAND artisanの完全オリジナル。
フツーなら、セーターと言えば、ウールや今ではカシミヤというのが多いと思う。
もちろんそれは、すごく良いと思うんですよ、、
ただ、これは違う。
シルクとモヘアだ。
62%のシルク。
38%のモヘア。
モヘアの方は、トルコ・南アフリカ・アメリカがモヘアの世界三大産地だそうですが、南アフリカ産のスーパーファインキッドモヘアを使ってるみたい。
そして、シルクは、ブランドでこれまで春夏で展開をしてきた"絹紡糸(けんぼうし)"のシルクではなく、 更に、それのもう一段階上。
"生糸(きいと)"のシルクなのだ。
それも、養殖の家蚕ではなく、、、 "野蚕(やさん)の生糸"。
もう、この時点で、ヤバヤバだ。
今は、市場に流通するシルクは、ほぼ家蚕だと思うけど、"自然の中"で出来上がった野蚕は、すごく珍しい。
やはり人工的に守られてできたシルクよりも、自然の中で揉まれて、ワイルドに出来上がったシルクの方が、ポテンシャルが高い。
そして、それを"精錬"という加工を施し、"生糸"の状態へ。
僕は、人生で初めて"生糸のニット"というものに出会った。
それもこのレベルで。
まあ、そもそもシルクは、蚕の繭からつくり出されるもので、いろんな情報がありますが、今回のシルクの糸は、繭を"精錬した"ものです。
生地や繊維業界の方も、このブログを見てくれてることが多いみたいなので、きちんとしたことを書くと、精錬をし、"セリシン"を取り除いた、"フィブロイン"のものを使ってます。
これをここでは、"生糸"と呼んでます。 "絹糸"とも言うと思うけど。
その繊維は、天然繊維唯一の"長繊維" = "フィラメント"。
それを短く切って紡績をしたものが、"絹紡糸(けんぼうし)"。
更に、絹紡糸の副産物であるのが、"絹紡紬糸(けんぼうちゅうし)"。
今回のニットの原料のシルクは、繊維状態での"染色が施されている"ため、"セリシン"という物質が取り除かれています。
僕は、MOTHER HAND artisanの絹紡糸100のニットを着た時に、超感動したけど、その絹紡糸のもうワンランク上の状態である"生糸"。
それは、シルク特有の繊維特性は、バチバチに感じられるし、加えて、とても丈夫だそうですよ。
永井さんの奥さんが言ってたけど、"絹紡糸"では、細い糸一本を引っ張ると、プチッと切れるそうですが、"生糸"では、繊維を引っ張ると、手が切れてしまうほどに強靭だそう。
まあ、ただ、シルクとしての表面の滑らかさは、絶叫レベル。
まあ、ヤバヤバ中のヤバ。って思ってくれたら良いですよ。このニット。
今回、このAPPLEという色が一番糸の構造が分かりやすいので、紹介しますね。
まず、赤い色がモヘアの糸です。 白っぽい糸が生糸のシルク。
そして、その糸がなんと、どちらも3本撚りの3PLY。
それが、交撚(こうねん)。
つまり、、、 3本のシルクの糸 と 3本のモヘアの糸 が一緒にねじられて糸になってる。
そう。 合計"6本の糸"で一つの糸が構成されてるの。
だから、糸そのものが太く、編み組織がとてもはっきりと見える。
この糸が、MOTHER HAND artisanのオリジナルの糸。
生糸のシルクが、驚きの"吸湿性"を誇り、 モヘアが圧倒的な"保温性"を誇る。 このニットは、"保湿して、保温する"。
その組み合わせによる体感の"暖かみ"は、ウールの比じゃない。 超驚き。 マジでちょーあったかい。
それは、やはりこの編み地のウェイトもそう。
これまで展開をしてきたMOTHER HAND artisanのセーターよりも、かなりのヘビーウェイト。
しかし、これもMOTHER HAND artisanならではのことだそうですよ。
それは、"モヘア"を使ってるから。
なんとなくイメージしてもらったら分かると思うけど、
モヘアが入ってるニットってどれも、編み地の目が"甘い"じゃないですか。
モヘアニットは、全部軽いものばかり。
それは、繊維そのものの特性なのですが、甘く編まないとモヘア糸が編み機に"引っ掛かって"しまうそうです。
だから、物性上、甘い密度のニットしか編むことができないそうです。
モヘアって。
ただ、それは、量産型の"工業用"の機械の場合。
MOTHER HAND artisanは、 "家庭用手横編み機"。
家庭用の手横編み機なら、モヘアで超密度のニットを編むことができるそう。
ただ、、、 "力技"で。
永井さんの奥さんが手横編み機を駆使して、ニットを編んでいくのですが、、、 編み地を二段、三段と編み進めて行ったら、 "手で引っ張る"。
そうして、編み機に引っ掛からないように、慎重に、慎重に、その"技術と力"を使って編み進めていくそうです。
だから、なんとこの新素材のセーターのシリーズ、 一日で一着だそう。
生産数。
一日一着編むのに、すごく体力使うそうです。
手が大変なことになるんだって。。
しかも、それに加えて、更に、すんごいのこのニット。
MOTHER HAND artisanのオリジナルニット理論で編まれてる。
これ。 広げるとこの形。
脇下の身幅と、裾幅が全然違う。
身幅は、ゆとりがあるんですけどね、裾幅は狭くなってる。
リブ切り替えとかじゃなくて、ギュンギュンに生地が溜まる感じじゃないから、すごく利に適ってるのを感じてもらえると思う。
これにより、パンツの収まりはとても良いと思いますよ。
そして、セーターでは、通常、あり得ない程の、斜めに落ちる"肩の角度"。
皆様のお手持ちのニットと比較してもらうと、平置きした場合には、首から肩先まで、ここまでの急角度になってるものは、そうないと思う。
ニットって、編み地の目、一つ一つが連なって出来上がってるもの。
カットソーであれば、編み上げた後に、生地をパターンを乗せて裁断し、縫い合わせるから、パターンに合わせた丸みができるんですよ。
でも、こういうセーターって、裁断されるわけじゃないの。
そもそも編み地の目は、全て"真っ直ぐに"形成される。
そして、その目の"数"を編み進める場所ごとに増やしたり、減らしたりしながらつくりあげていくんですよ。
それを、"増し目"・"減らし目"っていうんですけどね。
その目の増減で形づくっていくことになるから、なかなかセーターで、上半身の丸みに合ったものってつくることができない。
だから、上の写真のような首から肩先までが急角度なセーターって存在しないと思うんですよ。
これは、肩の"減らし目"を始めた地点から、首元までの高さを現したもの。
横軸の一番右端が、身頃の減らし目の端。
そこから、地の目に合わせ、ネックの端とぶつかるところまで、横方向に黒い線を延長。
そうすると、肩周りとネックまでの高さがよく分かる。
アームホールの減らし目の部分から、ここまでのネックの高さを出してるセーターは、僕は初めて見た。
この肩周り、激ヤバ。
ただでさえ、普通に編んでいくことがむちゃくちゃ大変なニットなんですが、 肩周りを形成するために、 ・増し目 ・減らし目 ・下に引っ張る ・肩の高さを出す この4つを編むのに加えて、全て同時進行でやってかないといけないんだって。
壮絶な工程。 まあ、ただ、着た時には、着用者には立派な恩恵があるから。
この肩の見え方、アウトラインをつくりあげるセーターは、これ以外に僕は知らない。
だからね、平置きすると、ニットでは見たことがないような、謎のシワが生まれるの。
自然な状態で置いても肩も脇にも生まれる立体のシワ。
それに加えて、身頃のこのカーブ。
このセーターのフォルム、とても期待してもらって良いですよ。
度肝を抜いて。
そして、このセーターを横から見たもの。
袖を見て。
アームホール部分の肩と、袖口の広さが全然違うじゃないですか。
これは、袖の内側に重要な要素が隠されてる。
このセーターのいろんな箇所で、"増し目"・"減らし目"ということは行われてるんですが、
アームホールから、袖口に向かって一気に目が減って行ってる。
ただ、 フツーのセーターは、この袖の内側がこのようになってるけど、実際に肌に当たる部分には、リンキングという"縫い合わせ"が存在する。
だから、ほとんどのセーターの袖の内側には、縫い代ができ、ごろつきが生まれるんですよ。
しかし、、、 MOTHER HAND artisanのセーターは、
肌に当たる袖の内側には、"何も存在しない"。
これぞ、超技法による、超快適設計。
Tシャツの上から着ても、タンクトップの上から着ても、何も気になる要素がないの。
素材の肌あたりも抜群だけど、そこだけじゃないんですよね。
永井さん夫婦がつくってるセーターは。
ネガティブに気になってしまうようなことが存在しないし、とにかく快適に着続けられるセーター。
セーターのネック、袖口、裾には、リブの切り替えは存在しません。
これも永井さん夫婦がつくる特徴の一つでもありますね。
もちろん、生地端がほつれてこないように、処理はきちんとしてるのですが、編み地の特性を活かした"カーリング"を起こしてる。
この首裏、袖口、裾にも、縫製による縫い目が存在しない。
極限まで"縫い目"が存在しない仕様です。
これ、途轍もなく、すごいこと。
"家庭用手横編み機"で、工業生産ではないセーターだけでしかあり得ない。
まだ、あります。 "縫製"。
これは、明日、店頭にて旦那さんの永井大作さんに実演してもらう予定なのですが、今回のセーター。
縫製箇所は、、、 "全て手縫い"。
これ、裏。
アームホール。
これ。 見えますかね?
身頃脇。
このセーターの縫製箇所は、アームホールと、身頃の脇。
ただ、通常のニットであれば、縫う必要のある場所は、一直線なのですが、今回の新シリーズは、曲線ばかりで構成されてるニット。
一直線であれば、リンキングミシンという道具を使えるのですが、曲線だとそれが使うことができないそうです。
だから、全てが手縫いになってしまう。
手横編み機で編まれたニットを、手縫いで縫製するという"フルハンドニット"なんですよ。
この新シリーズ。
しかもね、アームホールの縫い付けとか超大変。
理由は、身頃側のアームホールと袖側のアームホールの大きさが違うから。
全ての洋服は、肩を動かせるようにするために袖側のアームホールの方が大きく設計されてるのですが、それがニットの手縫いの場合は、超大変。
身頃と袖のアームホールの編み目、一つ一つを数えながら、大きくつくられた袖の編み目をきちんと縫い合わせていく。
それがむちゃくちゃ時間かかるし、果てしない工程ですよ。
MOTHER HAND artisanの永井さんがフルハンドのニットは、"算数の世界"だって言ってたから。
この工程を明日実演してもらいますね。
MOTHER HAND artisanのニットの超重要プロセスだから。
その素材を使ったものが3種類。
生糸シルクと、モヘアのそれぞれが同色の、WHITEとBLACK。
同じ糸の色だけど、繊維の見え方が違いますね。
光の反射の強いシルクと、比較してマットに見えるモヘア。
同色でも充分なコントラストが出てますね。
そして、APPLEと名付けられたカラーリングは、シルクとモヘアが先述の通り、それぞれ色が違う糸だから、交撚ということもあり、完成する姿がどうできるのか分からなかった。
だから、誰もが未体験な素材で、どうせなら未知のカラーリングというか、世の中になかなか同じフィールドに立つセーターが存在しないようなものをつくりたかったんですよ。
まあ、色そのものは、赤なんだけど、素材が素材だから、超ラグジュアリーな赤って感じ。
みんながみんな着ることが難しいかもしれないけど、ブランドとしてのニューマテリアルということもあるし、より一層、代替が利かないセーターを目指してつくってもらいました。
そして、これ。 僕もとても気に入って着てるAPPLE。
全体のバランスは、これまでのMOTHER HAND artisanのセーターよりもボリュームがありますね。
僕で最小サイズの2を着てる。
腕を上げるとこのアウトライン。
すごいテーパードしてる。
身幅はこの分量あるんですが、意外や意外、このニットの上に結構シャープなジャケット(2年前の山内別注のヤクウールテーラードジャケット)を着てみてたんですが、あんまりもたつきは感じませんでしたね。
だから、まあ、ボリュームあるアウターなら、その点は、全然気にしなくて良いと思いますね。
あと、寒がりな方なら、真冬のインナーにむちゃくちゃ強い味方になってくれると思う。
エゲツない保温力だから。
でね、、、 本来ならね、僕も着てるのを洗ってみるんですよ。
律儀に、発売するまでに。 ただね、今回は、家庭の事情で洗うことができなかった。
夜遅くに帰ってきて、洗濯してて、寝てる子どもを起こしたら、本気で怒られるから。
マジで。
いつも家では、常に、忍者。
忍び足。
だから、永井さんにこれ洗ったらどうなるか聞いてみた。
そしたら、なんとほとんど縮みが出ないんだって。
もともと、セーターが完成した後に、永井さんが製品洗いをかけて、アイロンで仕上げてるから、洗っても縮まないそうです。
ただ、洗うと確実に風合いが膨らむ。
ということなので、僕も洗うのが楽しみなの。日中に。
クルーネックタイプのホワイト。
モックネックタイプのブラック。
モヘアってチクチクするイメージがある方もいると思うけど、この素材は、そんなこととは無縁だと思いますよ。
僕は、肌触りもカシミア越えだと思ってる。
まあ、着てみてもらえると分かって頂けると思いますよ。
MOTHER HAND artisan
GENT
material _ SUPER FINE WOOL SUPER100s 75%,ANGORA 25%
color _ VERDE
fit _ PLUS FIT
size _ 3,4,5,6
そして、これ。
こちらは、MOTHER HAND artisanの全ての礎となる、黄金比率、ウールとアンゴラのモデル。
こちらはサイズ展開は、先ほどのシルクとモヘアのものとは違います。
今回は、最小サイズを3として、最大サイズを6に設定しました。
S、M、L、XLみたいなイメージです。
さっきのシルクモヘアに比べると、こちらの方が薄手に感じますね。
ただ、洗っていくと、驚きの変貌を遂げる。
これは、MOTHER HAND artisanの黄金比率のタマモノ。
首裏にも切り替えによるシームは存在しません。 だから、アタリがとてもフラット。
袖内側の減らし目。
袖裏にも、こちらもシームは存在しません。
裾もカーリング。
こちらの方が薄手なので、よりカットソーに近いような感覚で着てもらえると思います。
まあ、ちゃんとセーターしてるけど。
洗っていくと、より一層の目の詰まりは格段に出て、縮絨していくような感じなので、厚みと保温力が増しますね。
このGENTについては、これまでこのブログで何年にも渡って紹介してきたので、そちらを見てもらえたら良いです。
全てのMOTHER HAND artisanのセーターには、洗濯の方法が記載された下げ札が付属します。
これに従って洗ってもらえたら、誰でもきちんと洗濯できる。
まあ、僕レベルのMOTHER HAND artisanの所有数になってくると、もはや洗濯機にぶち込んでるけど。
新品の状態よりも、洗って使っていくと全てが超ポジティブに変化してくれるセーターですからね。
見てもらえると嬉しいです。
明日は、永井さんご夫婦とお待ちしてますね。