いろいろやってたから、nonnotte以来、全然このブログを書いていなかったのですが、その間にかなり店頭は変わったと思います。
ザ・新シーズンみたいな。
4月6日(土)からはDAN TOMIMATSUの期間限定イベントを予定しているのですが、それまでにも充分に洋服を楽しんでもらえると思いますよ。
そして、今日は、また一つ、"世界の凄み"を紹介させて頂きますね。
John Alexander Skelton (ジョン アレキサンダー スケルトン)。
このブランドは、知ってる人は知ってると思うんだけど、インターネットでも限られた情報しか出ていないし、もちろんプライスも非公表。
オンラインストアでの掲載もNGだし、価格も非公表だし、その上、John Alexander Skeltonの洋服には、どこにも"John Alexander Skelton"という名前が書いてないの。
つまり、ブランドタグにも、付属する下げ札にもブランドの名前は書いてない。
まあ、デザイナー本人が当初から言うのは、"自分の服、そのものを見てくれ。"ということだから、そこにブランドの名前や価格での市場内での勝負は必要なくて、"洋服から何を感じてもらえるのか"ということをとても大事に考えてる証でしょうね。
まっ、価格での勝負なんて一切できないブランドですけどね。笑
ただ、その洋服には"圧倒的凄み"が存在する。確実に。
ブランドの意向としては、めちゃくちゃな詳細を記載することは、基本的にはNGだから、一応ね、一応、ブログに書いて良いですか?って聞いたら、OK出たから、僕なりに紹介しようと思う。
ただ、この洋服は、洋服づくりにおける超専門的な要素が複雑に組み合わされてると感じるから、このブログで全部を紹介するのは、難しいですね。
あとは、実際にお客様方に着てもらった時には、感じてもらえることがあるだろうから、そのような部分も、ある意味で、"ロマン"として残しておきますね。笑
紹介しますね。
John Alexander Skelton
BUFFALO SHIRT
material _ SILK 100%
color _ BRONZE
size _ XS,S,M,L
※完売しました
John Alexander Skelton
SEDGE JACKET
material _ COTTON 100%
color _ BLUE EMBROIDERED
size _ XS,S,M
※Sは完売しました
John Alexander Skelton
CXV MOONSAILOR TROUSER
material _ SILK 100%
color _ BRONZE
size _ XS,S
※Sは完売しました
John Alexander Skelton
CLINK SHIRT
material _ COTTON 100%
color _ JAPANESE FLORAL PRINT
size _ S,M
※Sは完売しました
John Alexander Skelton
CLINK SHIRT
material _ COTTON 50%,LINEN 50%
color _ CREAM EMBROIDERED
size _ S,M
※Sは完売しました
John Alexander Skelton
SAVOCCA SHIRT
material _ COTTON 100%
color _ BLACK PRINT
size _ S,M
今回のブランドのコレクションを当店で取り扱いをするのは、上記の6種類ですね。
あっ、あと、サスペンダーがあるけど、それは写真撮ってないです。。
一気に全部の感じを紹介するのは困難なので、今日は、最初の3つ。
・BUFFALO SHIRT
・SEDGE JACKET
・CXV MOONSAILOR TROUSER
について、少し紹介しますね。
そもそも、僕は、このブランドを知ったのは、自分自身がちょうどCASANOVA&COに入った時か、その前か、大体それくらいの前後だったんですよ。
だから、8年くらい前ですかね。
John Alexander Skeltonは、コレクションは15回目となる。
だから、春夏向け、秋冬向けと年2回のコレクションと考えるとちょうどその頃。
その当時は、まだまだファッション雑誌も今ほどライフスタイル化してなかったと思うから、洋服についてまだ深掘りされていたと思うし、まだまだ良い時だったんじゃないかと思う。
どの雑誌か忘れたけど、当時、デビューコレクションだったと思うんですが、John Alexander Skeltonのコレクションが特集されていたものがあったんですよ。
それを見た時、僕はとても衝撃を受けたのを今でも覚えている。
雑誌で衝撃を受けたのは、僕は人生で2回あって、その一つが、"John Alexander Skelton"。
ちなみに、もう一つがデビューしたての頃に特集されていたtoogood。
それでね、何でJohn Alexander Skeltonを取り扱いしようかと思ったのかというと、僕の中では、もの凄く一貫して、徹底されてるものがあるのを感じていたから。
でもね、このジャンルのブランドって、まあまあ取り扱いをするのにハードルが高いのが事実。
僕自身も、自らブランドにコンタクトをとってから、一年間、返事もらえなかったから。笑
ただ、こうして世界の"価値ある洋服"を皆様に紹介することは、自分のすべきことだと思ってるから、どうしてもこのブランドの洋服は紹介したかったの。
だから、少し紹介しますね。
まずこれ。
BUFFALO SHIRTというもの。
混率は、上記の通りシルク100%。
イギリスでつくったオリジナル生地。
シルクの段階でいうと、絹紡糸(けんぼうし)だと思ってる。自分で着た実感で。
多分あってると思う。
この生地はね、15回目のJohn Alexander Skeltonのコレクションでは、メインファブリックという位置付けになるものだと思います。
大小、様々なリーフ柄が多分ジャガード織機で表現されたシルク100%のもの。
まず、John Alexander Skeltonは、単なるデザインをしてるっていうブランドではなく、デザイナー本人の意志あるもの、内在する考えがあり、そこに対して、深く深く調査して、研究し、その"過程"や、"現段階でのゴール"を表現してるものだと思ってる。
でね、本15回目のコレクションでは、それはどういうことか。
John Alexander Skelton本人は、以前、今から約1万年前にあたる"新石器時代"という時代の社会が、自然とどのように調和していたのか。ということに関心を持ってたみたい。
しかし、その関心は、年齢や時期とともに移り変わり、派生して、現在では、新石器時代の社会と自然との調和を、現代社会に置き換えた際には、それが現代にどのような利益をもたらすことができるのか。ということに研究の思考が変わったそうです。
そして、人工的な発展を続ける現代社会において、自然を感じ、関わることができるのは、"庭園"や"自然公園"であり、それを学問として学ぶことで得られたことを、15回目のコレクションで表現しているそうです。
まあ、つまりは、洋服づくりの才能を持った、"研究者"が洋服をつくってるってことですよ。
John Alexander Skeltonの洋服は。
そのことを全面に表現してる生地ですね。これ。
まあ、生地を見た感じでは、絹紡糸のシルクということもあり、ムラは皆無で、誰がどこをどう見ても、その質の高さを感じてもらえる生地ですよ。
写真ではマットに見えるけど、着てると確かに自然な範疇で輝きを放ってる。
洋服としては、BUFFALO SHIRTとCXV MOONSAILOR TROUSERという2種類の洋服で取り扱いをしています。
僕も、John Alexander Skeltonをこうして取り扱いできたことが嬉しくて、意気揚々とBUFFALO SHIRTを着てるんですけどね。
着てるとすごい気付きがあるんですよ。
まあ、このBUFFALO SHIRTは、シャツという名前であっても、洋服の構造は、全然シャツじゃない。
マジで。
そんなに分厚いような生地ではないし、僕は、シルク100%ということもあり、真夏以外は、テキトーにシャツ感覚として着ていたいな。って思って、これのXSを着てる。
小さめのテーラードカラーというか、オープンカラーというか、首元も開いて、少し涼しげにも見えるし、暑くなったらインナーにOLDE HOMESTEADERのスリーブレスでも着て、過ごしたいと思ってるんですよ。
ただね、この衿。
見た瞬間から、なんかこれまでに感じたことのない見た目の違和感を感じてたんですよ。
それを解明するためにずっと着てた。
そしたら、当初、違和感を感じた理由が掴めたの。
この衿のつくり、すごいから。
一見、こう見ると小さめテーラードカラーみたいな感じでそんなに大きく変わったことがないじゃないですか。一見ね。
ただ、僕は、納品された瞬間から、気になった箇所があった。
それは、上衿のラペルに入る、"謎のシワ"。
上の写真で見ると、左身頃側の上衿に、僅かに引っ張ったようなシワが入ってるのが分かると思います。
そして、上衿のラペルのカッティング。
着ていない、ハンガーの状態では、ラペルのカッティングは真っ直ぐ、ストレートに見える。
でもね、このラペルのライン。
着ると、自然に柔らかく、カーブするの。
その上、衿がふんわりと柔らかく膨らむ。
これ、すごい。
どういうことか。
衿を立てた状態。
こう見ると、明らかに、スタンドカラーの状態で、衿の開き寸法が小さいのが分かって頂けるでしょうか??
この首の開き寸法は、人間の首よりも明らかに細くなる。
つまり、、、
この指先で示してる2箇所の寸法が、意図的に全然違う寸法で、カッティングが行われてる。
指で差してる、"身頃に衿を付けてる寸法値"の大きさと、、、
こちらの"衿の外周部分"の寸法値。
このBUFFALO SHIRTは、衿を返して(寝かせて)着る設定です。
そのため、衿を折り返すことで、、、
このように、上衿のラペルが、着た時に、着用者の体の寸法に合わせて、自然にカーブするように狙いを定めてるの。
これ、、、
超絶的なテーラー技法。
最初から、ラペルのカーブをパターン上で起こすと、設定通りの衿先のカーブしか起こらない。
何なら、着用者の体格によっては、ブランドの思い描く曲線は出ないかもしれない。
だから、衿パーツの上下で寸法値の差を意図的に設計し、それを着た時に、着用者の体に合わせて、自然なカーブが描かれるようにしてる。
ハンガー状態ではなく、着用時に美しい姿となる設計。
だから、John Alexander Skeltonの洋服は、ブランドとしての設計がありながらも、あくまで着用する人がいて、"着るという行為"が加わることで、最終的にブランドが理想とする洋服のフォルムが生まれるというわけ。
これ、ヤバくない??
このことが先のデザイナー本人の言葉であるように、"着て感じて欲しい"ということが、洋服そのものに込められてる。
なんかね、"着て感じて"って、時折いろんなブランドで目にすることはあるけど、僕にとっては、そう言うほとんどが、ハンガーの状態でも、着ても、感じることに差がないものがほとんどなんですよね。
まあ、そりゃそうなりますよね、ハンガーでこうだから。みたいに思うものばかりなんですよ。
それだけインスタントにつくられてる服が多い中で、確実に感じる"John Alexander Skeltonの洋服の凄み"。
まあ、全部の服がそのようにつくられてますよ。
ヤバヤバのヤバ。
だから、上記のことをご理解頂いた上で、この写真を見て頂くと、衿の折り返し地点に、"余白"を伴った膨らみがあるのを見て頂けると思います。
これは、横から見てもそう。
この指先の2箇所の地点。
衿の外周は、身頃にペタッと張り付くように収まってる。
折り返し位置は、確かに膨らんでる。
通常、このように衿がある洋服は、どんなものでもこのような衿の構造にはなっていないと思う。
僕自身は、初めて見た設計。
ただ、さっきも言ったけど、このような設計、構造が、着用時には明らかな違いを生み出すの。
John Alexander Skeltonの洋服は、高額な洋服だと思う。
だけど、その理由は、洋服の至る所に存在する。
どんな種類の洋服でも、"通例"というものは存在する。シャツでもパンツでも、ジャケットでも。
でも、その"通例"では、同じものしか出来上がらないと思う。
世の中の服の多くは、"通例"でできている。
だから、洋服という文化は、一向に深まらないのだと僕は思う。
アパレル市場に、"通例"では存在しない、このような洋服づくりをゼロから行うことには、とても大きな大きな価値が存在すると思ってる。
そして、このBUFFALO SHIRT。
フラップ付きのパッチポケットで、BOXシルエットとかに、パッと見では見えるけど、全然違う。
フラップの位置は明らかに普通の位置ではないし、着用するとウエストシェイプが自然に利いてくるのですが、それを補助するフラップで、着た時の立体感がハンパない。
あと、全てのリーフ柄が左右対称で配置されてるなんて、特に言う必要ないかなと思ったけど、実物を見てご確認ください。
肩は、身頃高の設計になっています。シャツって名前が付いてるから。
袖付けは、二枚袖の後付け仕様です。
今主流の、通常のシャツにあるような、身頃と内袖の縫製が一続きになったような縫製仕様ではありません。
これは、John Alexander Skeltonのシャツの全てで共通ですね。
そして、これ。
前身頃と後身頃の切り替え線。
この位置に切り替え線があるのは、着てもらうと感じて頂けると思うのですが、身頃脇に、"彫刻的な立体感"が動作に合わせて生み出てくるの。
身頃脇の真ん中にあるのではなく、ここにしかない位置に切り替え線を配置させて、意味のあるカーブにしてるのが着ると感じられる。
ボタンホール。
このボタンホールもブランドの狙いがとても感じられるの。
ボタンホールというものは、"外側をかがる糸"とホールの芯となる"芯糸"というものの2つで構成されるのですが、、、
よく見てください。
John Alexander Skeltonでは、ホールのステッチの糸と、芯糸の色が異なるの。
これって、"通例"の洋服生産では、あり得ないこと。
"通例"では、必ず、どちらも同色でボタンホールはつくられる。
しかしながら、このシャツでは、ホール糸が表地のグラウンドに合わせた色合い。
そして、芯糸がリーフ柄の輪郭を描く糸と同じ色合い。
こうすることで、洋服として、細部までもが"一体"となっているものが出来上がる。
僕自身は、このボタンホールで2色の糸を使うブランドは、COTTLE以来、2回目。
こういう細部の集積で出来上がった洋服の完成度は、そこら辺にあるものとは、全く違うものになってきますからね。
BUFFALO SHIRTのサイズで言えば、僕は身長167cm、体重52kgで、比較的タイトフィッティングで着たかったから、XS。
このBUFFALO SHIRTは、日本のブランドのXS、S、M、Lみたいなストレートな考えで良いと思いますよ。
そして、次。
SEDGE JACKET。
こちらもJohn Alexander Skeltonを代表する形になるのかな。
生地は、コットン100の、繻子織りモールスキンみたいな生地。だと思う。
でも、全然重いとか、そういうのじゃないですね。
洋服のジャンルで言うと、スタンドカラーの"カバーオール"というものに分類されるけど、これは、着た時には、全くその範疇に収まっていないの。
特有の圧倒感を感じてもらえると思いますよ。
細部をとにかく考え込まれた洋服であることをバチバチに感じられる。
まず、コットン100%という混率では、95%のケースで、どうしてもカジュアルな洋服にしかなり得ないということを、僕は思う。
だから、僕自身、"コットン100%"という領域で、"どこまでのレベルのものがつくることができるのか"という考えもあり、自分が最も好きな綿織物の機屋さんである"カネタ織物"さんで、世界一の綿繊維、Suvin Gold Supremeでの洋服をnonnotteの杉原さんとつくったことがある。
でも、このJohn Alexander Skeltonのジャケットは、Suvin Gold Supremeほどのクオリティのコットンではないし、生地だけ見ると、超カジュアル。
だけど、それが"John Alexander Skeltonの洋服"になった時、「嘘だろ」ってくらいに、高級感を纏っているものへと完成されてる。
これは、最初僕は信じられなかった。
"天才的なレベル"だと思う。
日頃から当店をご覧頂けている方には、何となく分かってご理解頂けると思うのですが、CASANOVA&COでは、ブルー系の洋服はほとんど並ぶことがない。
あるとすれば、デニムくらいだ。
ネイビーという色でさえも、僕はあまり得意ではないから、多くは並ばない。
でも、このジャケットは、全く違ったの。
また、John Alexander Skelton自身でも、ブランドとして、ブルーという色合いは、ほとんど登場することがない。
その理由として、デザイナー本人も、"コレクションで使うことが難しいカラーだ"と言っている。
だが、意図して、自身が難しいと感じている色合いをコレクションでいくつかつくることにトライするそうだ。
つまり、それが今回で言うと、"ブルー"。
僕自身も、ブルーという色合いの洋服は、これまでの人生でほとんどカッコいいなと思うものに出会えたことがなかった。
しかしながら、これは別。
超感動してる。
その理由は、やはり考え抜かれた洋服の設計。
それがこのSEDGE JACKETにも込められてる。
John Alexander Skeltonの洋服は、ハンガーの状態と着用時の見え方は、全くの別物。
そもそもね、僕は、洋服には大別して、"3つ"あると思ってる。
1つ目は、ハンガーの状態でカッコよくないし、着た時にもカッコよくないもの。
これは、全然ダメな服。
2つ目は、ハンガーの状態でカッコいいけど、着た時にはその想像の範疇のもの。
これは、まあ普通と言える服。
そして、3つ目。
これは限りなく少ないと思う。
"ハンガーの状態でカッコよくないけど、着た時には、驚きの見た目のレベルを持っているもの。"
この3つ目の洋服が、僕は、一番レベルが高い洋服だと思ってる。
John Alexander Skeltonもまさにそれ。
つまり、着た時の姿を一番に想像されている洋服が、"その凄み"を持っているのだ。
では、このSEDGE JACKET。
どういうことか。
改めて、この写真を見てください。
首周りには、先ほどのBAFALLO SHART同様に、秘密が隠されてるの。
通常、スタンドカラーの洋服ってハンガーで見た時には、このようなネックの開きにはならないんですよ。
上の写真の程までに、内側に縫い付けられてるタグが全部見えるのって、他の洋服ではあり得ないことだと思う。
大体のスタンドカラーのものって、、、
ほとんどがハンギングでは、このような見え方になってると思うんですよ。
だから、多くの立ち衿のジャケットは、着ると一瞬で"チャイナ感"が出てしまうじゃないですか。
でも、SEDGE JACKETはそうじゃない。
スタンドの衿の設計。
ここに秘密が隠されてる。
指先の箇所。
衿を身頃に縫い付ける寸法に対して、、、、
衿のアウトライン。
この衿の上部が寸法上大きくつくられてるの。
つまり、先ほどのBUFFALO SHIRTとは、まるで逆。
でも、ただ、それだけじゃない。
着用時にスタンドした衿が、綺麗で自然に開くように設計されてる。
これは、着て、驚いて。
John Alexander Skeltonの洋服は、着た姿は、想像の遥か上をいってるから。
まあ、着用写真は撮ってないけど。
実物の"ロマン"として、ご期待ください。笑
先述の通り、SEDGE JACKETは、綿100ということもあり、その分、ステッチワークがより目に留まるのですが、首周りや肩周りには、ステッチの出し引きを複雑に組み合わせてる。
そして、このSEDGE JACKETは、前身頃に合計3つのポケットが配置します。
どれもフラップ付きのラウンド型のもの。
ブランドでは、"オフセットフラップ"って言ってるけど、パッチポケットからズレて取り付けられていますね。
わかりますかね?
大きさが異なるフラップ。
フラップの大きさは、ちょうどパッチポケットの中に収まるような寸法です。
これ、なんでこうしてるんだろ。
左右の両身頃に配置される腰ポケットも同様です。
ただ、僕が思うのが、コットンのカバーオール型の洋服で、ポケット付けやディテールがここまで浮かび上がるように、際立って見えることがすごく不思議でならないんですよ。
COTTLEのデニムでも同様に思ったんですが、目に見えるディテールが全部立体になってる。潰れてないの。
通常は、コットン100%の洋服は、その多くがディテールがフラットに潰れてしまい全然ダメダメなのに、John Alexander Skeltonの洋服は、細部が立ってる。
だから、気になって、納品後に「あまりにもディテールが際立って見えるが、一体誰が縫ってるんですか??」って聞いたら、「家族経営の小さい縫製工場をやってる人だ。」って返答来た。
うん。
全く分からない。笑
パッと見ただけでは分からないけど、ウエストシェイプをつくるためのダーツも完備。
肩が綺麗なアウトラインを描く"袖高"の肩周り。
そして、かなりの量の"いせ込み"。
こういう部分も、カジュアルなカバーオールに成り下がらないエッセンスの一つ。
そして、ブランドの名前がどこにも記載されないブランドですが、唯一のアイコンがボタンの数。
まあ、僕はボタンが多い服がもともと好きだから、大好物。
ちなみに、ボタンは全て水牛のホーンボタン。
これは、ブランドに聞いたら、確か全てオリジナルでつくってるって言ってた。気がする。
袖口にも4つのボタン。
もちろん、袖口は開く。
僕の理想では、2つくらいボタン開けて、テキトーに袖口を折って着るのがベストかな。
今回のコレクションを象徴する約600年前に記録されたものという植物の絵。
それをモチーフに入る刺繍。
このジャケットもね、身頃脇の前と後ろの切り替えが少し変わった入り方してるんですよ。
そもそも、ポケットの大きさも、配置も僕自身はあんまり見たことのないバランス。
でも、着た時には、そういうネガティブな違和感は一切消滅するし、それどころか着るとそのフォルムに驚き。
自然に街で着ることができるけど、全然フツーじゃない。
これがとても良い服である証明だと思ってる。
実際に着てみて頂けたら、このことを共感してもらえるんじゃないかな。
裏。
ご覧の通り、裏地なしの総パイピング仕様です。
イギリスのブランドということもあり、瞬時に、その質実剛健さを感じてもらえるんじゃないかな。
ちなみに、最初のBUFFALO SHIRTも裏地は付かない仕様で、縫製は折り伏せ縫いが多用されてます。写真撮ってないけど。
パイピングに加え、裏の縫製もかなりのものだと思いますよ。
裏側のウエストダーツの生地の重なりがある箇所も、その縫製が乱れることなく、見事にポケット付けのステッチを入れてるの。
もはや、ダーツの厚みが存在しないかのように縫ってる。
これ結構すごい。
SEDGE JACKETに関しては、XS、S、Mの3サイズでの展開です。
僕は身長167cm、体重52kgでサイズはXS。
XSは日本のブランドのS、Sは日本のM、Mは日本のLくらいに相当するように感じますね。
このジャケットについては、もしサイズに迷ったら小さいサイズを選んでる方が良いでしょうね。
そして、今日の最後。
MOONSAILOR TROUSER。
生地は、最初に紹介したものと同じ、シルク100%のリーフ柄。
ワンタックでボリュームを出しながら、ズドンと落ちるようなパンツに感じるけど、全然違う。
このパンツは、John Alexander Skeltonの世界が濃厚に注がれているのを感じてる。
ハイウエストでベルトループはなし。
ブランドのムードを瞬時に感じるサスペンダーボタン。
ボタンフロントのボタンも、全てホーンボタン。
生地は、シルク100%で軽量感があり、これから迎える春夏の季節に涼しく感じられると思いますが、それでもパンツとしての着用時の安心感を感じられる設計になってる。
ベルトループもなく、ウエストの帯もないのですが、パンツって穿いた時に、腰へのフィットがあるかどうかって結構大事。
それはサイズ感の問題とかじゃなくて、腰の内部のつくり。
ご覧のように、日本のブランドみたいにかっちりと硬いマーベルト仕様とかではないですが、腰裏地の白いコットンの部分あるじゃないですか。
そこを触った感じ、2枚なのか、1枚のものが二重なのかは定かではないですが、分厚い"芯材"が入ってる。
それが、日本に多く採用されてるものとは違い、二重になってる芯材が内蔵されてるから、穿いた時に腰に寄り添ってくれるの。
ただ、いわゆるよくある接着芯とかではないから、カッチカチに硬いのではなくて、柔らかく優しくフィットしてくれるんですよ。
この腰のフィッティングは超絶モノ。
"ちゃんと柔らかくフィットしてくれる"ってこういうことなんだな。って、ここまでのレベルのものは、初めて体感した。
バックはハイバック仕様です。
ハンガーの状態では、全然良く見えないですが、着用時の脇から腰の後ろにかけて、グッとカーブしてせり上がってくる様は、超絶エレガント。
ただ、ハイバック仕様って言っても、腰へのフィットを高めるために"V字型の切り替え"が存在するんですよね。
僕はハイバックのパンツで、この位置での切り替え仕様になってるものを見たことがない。
この三角形の切り替えで、腰へのフィットをより一層高めているんだと思います。
そして、最初から思いっ切りブチ抜いてある針シンチ。しかも3本針。
そして、先ほどのV字型の切り替えに加えて、ダーツも施されてる。
比較的、真横に近いところから始まるダーツ。
非常に珍しい位置と角度に配置されてると思う。
このようなウエストのディテールもあるため、サスペンダーボタンはありますが、サスペンダーを使わなくても、かなり心地よいフィッティングを感じてもらえると思いますよ。
右バックにはフラップポケットが配置。
通常のパンツよりも位置が高く、横に配置されるの。
その上、フラップポケットの形状も古い時代のムードを感じさせる。
あとは、このポケットにはほぼ手は入らない。
一見するとディテール的な特徴が大きくなさそうに見えるけど、全くそんなことない。
激しくブランドの特徴が現れたパンツですよ。
もともと設計上はバキバキの形ですが、製品洗いをかけることで、内股のフォルムもかなり動きを出してる。
裾。
裾は、外側が跳ねたようになってる。
製品洗いをかけ、プレスをかけないことで、アウトラインがゆらぎまくってるパンツ。
僕が学んできたパンツの概念が大きく覆される衝撃を受ける。
一般的なブランドならば、フツーはしっかりとプレスをかけて仕上げますからね。
ただ、でもね、それでも確かなアウトラインを描くのよ。
そして、圧倒的な力強さを感じる。
当店で取り扱う今回のJohn Alexander Skeltonのコレクションで、最も高額なのがこのパンツですからね。
その超絶精緻な設計であることが、穿くと途轍もなく感じられる。
手にして頂けたら、このパンツは、絶対的な存在感として君臨してくれるのが確実だと思うけど、まあ、プライスがプライスですからね。
スペシャルピースの一つ。
裏には、裏地は付きません。
オリジナルイングリッシュシルクの肌へのタッチを最大限に感じて。
切り替えは全てパイピング。
さっきもスペシャルピースって言ったけど、それを頷ける生産数の少なさ。
世界5着だそうです。
このタグの裏に混率の記載があるだけ。
どこにも"John Alexander Skelton"という記載はありません。
サイズXSは、小柄な体格の人でも充分に良いサイズだと思います。
僕でも裾上げ不要でフルレングスで穿けるから、小柄な人や細い人には、バチバチにハマると思います。
サイズSは、175cmくらいの方でしょうかね。
見た目は、そのインパクトがあるように感じますけどね。
着ると全然違うから。
その洋服としての完成度の高さ、圧巻のブランドの力を体感してみて。
John Alexander Skelton、ご覧頂けましたら幸いです。