今日は、先日お話したIsabella Stafenelliを紹介します。
世界中見ても、とても極まった洋服だと思います。
ある一つの洋服の領域、その頂点に達する洋服。
複雑極まりない洋服である上、ブログで紹介できる箇所にも限度があるけど、洋服の詳細があまり世に出ていないものでもあるから、少しでも知ってもらえれば良いかなと思ってる。
また、今日のブログのタイトルにもある通り、今回当店に届けられたのは、”22年の秋冬分”としての洋服のラインナップです。
桁外れの洋服への注ぎ込みだから、どうしても現状ではこのようなデリバリータームになってしまうけど、まあ、次はいつになるか未定だから。
今回の分としっかり向き合ってもらえれば幸いです。
そして、その凄まじい、洋服のレベルをご体感頂ければと思います。
Isabella Stefanelli
Jack Flight
material _ WOOL 100%
color _ feu
size _ M
※完売致しました
まずこれ。
手編みのニットです。
ジャック・ケルアックがモチーフになったフライトジャケットの手編みニットVer.
手編みのニットということもあり、丸みとボリュームがある衿。
イメージとしては、古〜いカウチンセーターみたいな感じですかね。印象的に。
ただ、まあ、やっぱりやってることが凄いし、”ニットの形状の概念”が吹き飛ぶでしょう。
これ。
編み地のアップ。
3本の糸で構成された1本の糸。
つまりは、3本取りの糸で編まれた本体です。
ただ、色合いは4色かな。
ホワイト、レッド、ブルー、パープル。
多分。
カラーネームは、”feu”。
「炎」を意味するそうです。
このJack Flightを形づくる編み地は、単調なものではありません。
身頃、前立て、アーム、衿、裾、、、
その箇所でも様々に変化する多種多様な編み組織で構成されています。
この編み地の設計は、もちろんイザベラさん。
それを編み上げるのは、アラン諸島のおばあちゃんだそうです。笑
3本取りのニットではありますが、もの凄い編み地の目の詰まり方をしてますね。
重量も申し分なくあるし、反対面が全く透けてないの。
編み進める際に、かなり力を必要とする編み地だと思います。
ただ、このニット、編み地をイザベラさんの設計に編むのは、おばあちゃん。
通常の手編みのニットは、編む職人が設計書通りに、”ニットそのものの形”を形成していくのが通常。
ただ、これは違う。
イザベラさんの設計した編み地の”パネル”をおばあちゃんがつくる。
その後、洋服の形にしていくのは、イザベラさん本人なのだ。
つまり、どういうことか。
ニットというのは、織り生地と異なり、一つ一つの”編み目”でその形が構築される。
だから、どうしても”直線”の洋服になってしまう。
編み地の目をカーブさせることなんてできないから。
しかしながら、この手編みのニットは、Isabella Stefanelliだ。
おばあちゃんが編み上げた多種多様な編み柄の”パネル”。
それを使って、イザベラさんが”編んで繋げていく”。
“縫って”繋げていくのではないですよ。
“編んで”繋げていくの。
“編んで”繋げていくからこそ、Isabella Stefanelliの超絶的な立体フォルムが生み出されてるの。
更には、このニット、全くの”無縫製”なのだ。(ボタン付けは除く。笑)
通常のニットというのは、パーツ毎に編み進めていって、リンキングという縫製で繋げる。
でも、これはパネル状の編み地を縫って繋げてはいない。
Isabella Stafenelliの洋服のフォルム、全てが一体となった立体形状が生み出されるように、編んでその洋服としていく。
だから、ニットではあり得ない、人間の体が恐ろしい程にまで立体に見えるニット。
それがJack Flightというものなの。
写真では、とてもわかりにくいんですけどね。
編み地を目で追うと、セットインスリーブとラグランスリーブが組み合わされた肩の設計してる。
更には、アームホール最下部のカマ底。
ここが、自然に身頃の内側に入り込むようになってる。
僕は、ニットというものでハンギングの状態からこの”フォルム”が出ているものは人生で初めて出会った。
理論的に考えて、こんなのあり得ないと思ってた。
でも、目の前に実際にそうなってるものが存在するの。
これがIsabella Stefanelliのニットのレベルか。と頭に一発打ち込まれたかのように、思い知らされた。
フロントは、フルオープンの仕様です。
身頃の前立ては一直線ではありません。
編み組織の変化に次ぐ、変化に伴い、僅かに重なりが深くなるような箇所もあり、有機的にカーブを描いてる。
前立て、裾、共に一辺倒ではない編み組織。
袖には、イギリス伝統のアラン模様かな?これ。
左右が同じです。
先述の通り、一切のシームがない。
まあ、厳密に言えば、シームはあるんだろうけど、ニットの本体と同じ糸で、縫ってるのかな?
ネックの衿付けは。
もしかしたら編んで繋げてるのかもしれないけど。
もはや、全部が同じ糸だから、何十分も何時間もずっと見てても、分かんない。
目で追っても、編み地の組織も常に変化し続けてるし、ワケ分かんなくなっちゃうんですよ。
これは、解明できないですね。
それほどにまで、複雑極まりない構造で形づくられてるのが、これ。
水牛が炙られ、焦がされたボタン。
見て分かって頂けると思いますが、ボタン付けの糸も、本体のニットを編んでる糸と同じウールのものです。
ちなみに、ボタンホールは、穴が開けられていません。
編み地を広げて、穴にしてる。笑
これは、Isabella Stefanelliならでは。
左右のフロントに付く、ウエストポケット。
頑丈な編み地でポケット口が強固につくられてる。
そして、内部には、ヤバいものが見える。
これ。
ポケットの袋布が、イザベラさんの手織りの生地。
超絶悶絶。
そして、そのポケット袋布の取り付け方も、激ヤバ。
分かりますかね?
ニットの編み地本体と”同じ糸”で縫われてる。
身頃と袋布とを縫い合わせる箇所は、”feuカラー”の糸。
しかし、ポケット袋布そのものは、ニットの”ブルーの糸”のみを選んで、縫い合わされてる。
それは、手織りの生地がブルーを基調としてるからだと思う。
ポケット袋布の裏は、通常の袋布です。
だから、ここを見ると縫い糸(厳密にはニットの糸)の色が分かりやすい。
袋布同士を縫い合わせる糸は、手織りの生地に合わせて、ブルーですね。
もちろん、手縫いです。
Jack Flightは、編み地そのもののボリュームがある分、全体の分量としても結構ありますね。
ただ、先述の通り、ニットでは考えられないような立体形状だから、当店が取り扱いをするサイズMで、僕くらいの160cm代後半の方から、170cm後半の方まで、凄まじいフォルムで着てもらえると思います。
どこをどう見ても編み柄を理解するには、とても時間がかかるような、複雑な手編みのニット。
実物を直接見て頂けると、この先に何年も連れ添っていけるのを容易く想像できてしまう、もの凄い安心感を含んだ重量、質感を兼ね備えてるのも、このニットならではだと思う。
ラベンダーの花付き。
Isabella Stefanelli
William
material _ COTTON,LINEN
color _ tea iron
size _ 3
※完売致しました
次は、これ。
Williamという形。
実はこれは、コレクションに存在したものではありません。
この洋服は、Isabella Stefanelliがコレクション外で生産したものを日本に送って来てたんですよ。
それを見た時に、こんな形サンプルで存在したかな?って疑問に思ったの。
そしたら、コレクション外でつくったものだ。と日本のブランド関係者の人が言ってた。
だから、コレクションテーマともあまり関係性はないんですけどね、あまりにそのつくりに驚愕したから、どうしても扱いたいなって思って、今回の秋冬分ということにして、仕入れました。
そのため、今日紹介する秋冬のものよりも少し早くこのコートが店頭には並んでた。
いつも店頭にお越し頂ける方は見たことがあるかもしれませんね。これ。
また、それにより、素材はコットンとリネンということは分かってるんですが、それぞれの詳細なパーセンテージは不明です。
でも、ほぼコットンベースだと思います。
6:4か、7:3かくらいだと思う。
生地は、イタリアのコーデュロイ。
それを”鉄媒染”のティーダイ。
通常の紅茶染めだと、ブラウンやベージュがかった柔らかいニュアンスの色になりますが、これは鉄を媒染材料に使ってる分、特有の”黒み”が出てる。
これ。
コーデュロイの畝がかなりはっきりとしたベース生地。
そこに先述の通り、鉄媒染のティーダイ。
写真の通り、生地の地の目は、縦使いですが、ネックや前立てにいつも通りのもの凄いことが施されてる。
衿や前立て、ポケット口は、一見すると”生地端付近”の箇所の生地を身頃に用いて、素直に生地端を前立てに使っているように見えるんですけどね、違うの。
ネックや身頃端の切り替え部を見ると、全てに手縫いのステッチが入っている。
左右の身頃端、ネック、ポケット口、全て。
ポケット口にも、コーデュロイのベースの生地が配置されてる。
前立て、ネック裏を見るとこうなってる。
そう。
端を切り替えてる。
身頃は、ドイツのマラ社の途轍もなく頑丈な糸で地縫い。
その後に、縫い代がフラットになるように、手縫いが施されてるの。
これ。
更に、ネック裏は、より首あたりがフラットになるように、表地のコーデュロイを配置してる。
この箇所は、加えて”台衿”としての機能を持つから、”芯地”や”裏地”を使わないIsabella Stefanelliならではのことなのですが、ネックが立つように、コーデュロイを両表で二重にしてる。
その取り付けも全て手縫い。
分かりますかね?
この首の衿付け。
そして、同様にポケット口の裏。
ポケット口は、ダレてしまうことを防ぐため、表は生地を縦使いしてるけど、口裏には横使いすることで、伸びを防いでる。
その取り付けも手縫いです。
ハンパないディテール。
ボタンホールも手縫い。
裏。
補強布とともに。
手を広げると、身頃幅と比較して、極端に小さいアームホール。
このWilliamに関しては、サイズは3という表記です。
ですので、サイズ感でいうと、XSかSの感じ。
身長は160cm代の方でしょうね。
僕でちょうど良い感じなので。
その分、とても小さいアームホールをしてる。
しかし、小さいアームホールに対して、袖は大きい。
途轍もない分量の袖生地がイセ込みされ、肩の袖側には、ギャザーが生まれてる。
それにより、腕は動くのですが、着用時にアメージングなフォルムが生み出されるの。
更に、アームホールから、ポケットの内部に走る、ハンドステッチ。。。
裏を見ると何のステッチかが明確。
アームホールから、ポケット内部に向かってダーツが入る。
裏を見れば分かるけど、着用時に表から見ると、ダーツの始点はアームホールの縫い代に、終点はポケットの内部に隠されるように設計されてる。
このダーツもヤバいの。
すんごいアウトラインが浮き彫りになる。
完璧なコーデュロイの畝合わせ。
コットンベースのペラっとしたハーフ丈くらいのコートですが、そこには、もの凄いことが凝縮されてる。
サイジングが小さい設計だけど、小柄で細い方には、素晴らしい世界が約束されたコートです。
Isabella Stefanelli
Amedeo
material _ WOOL 50%,LINEN 20%,SILK 20%,HEMP 10%
color _ Bark
size _ 4
イザベラさん設計の手織り生地のAmedeoジャケット。
最近僕もユニフォームとなってるAmedeo。
その手織り生地のもの。
手織り生地の洋服となるので、先ほどのコートとは異なり、生地が地の目が”横使い”されてるから、そういう面も考えるとIsabella Stefanelliの真骨頂と言えるでしょうね。
これ。
フロントには、ボタンは付属しませんね。
バックに通されたイザベラさんの手染めの革紐でフロントを結び留めるスタイルです。
生地に関しては、手織りですので、イザベラさんが設計した組織のものです。
先に書いていますが、4種類の素材で構成されてる生地。
この生地に関しては、後の写真を見てもらえると分かるのですが、生地を横使いということだけではなく、”裏使い”してもらっています。
その理由は、4種類もの素材、それ以上の種類となった糸が明確に視認できる表面よりも、裏の多重にも見えるような複雑な見え方に、心が持っていかれたから。
だから、複雑極まりない裏側を表に持ってきてもらうようにお願いして生産してもらいました。
Amedeoのジャケットは、上衿のラペルが存在するのですが、そのラペル端の処理が難しいと思う。
上衿と身頃で地の目が異なるから。
ただ、これは手縫い生地。
僕は、機械織りのAmedeoを着てるんですが、それは、同生地でパイピング状に生地端の処理を行ってる。
しかし、これは、、、
分かりますかね?
生地を構成する同じ糸を、”縫い込んでる”。
Isabella Stefanelli以外では、このような仕様を見たことがないので、何という仕様かは分かりませんが、本体と同じ糸で、パイピングをつくってるって言ったら分かりやすいかもしれませんね。
これが、裏から見た前立て。
さっきも言ったけど、裏側は本来の表なので、生地組織がはっきりと見えると思います。
生地を”横使い”していることもあり、前立ては、裁断が入るのですが、生地端は、先ほどとは”異なる方法”で、本体と同じ糸でほつれないように処理されてる。
全ての場所に”適正”なディテールを徹底的に組み込むブランド。
ラペルと前立てで、同じ”生地端の処理”であっても、箇所によって異なる仕様。
一着の中でも、それぞれに最善の仕様を行なうことでつくりあげられるIsabella Stefanelli。
フロントの両サイドに付く、ウエストポケット。
このポケットは、生地に切れ込みを入れることでポケット口が形成される。
ただね、ポケットのつくりは、やはりものすごく頑丈になってる。
本体と同じ糸で処理がされ、硬くつくられたポケット口。
そして、写真ではほぼ分からないと思いますが、よく見ると、親指の先端付近に、同じ糸でのカンドメがガッチリ入ってる。
そして、裏。
驚愕のポケット構造。
分かりますかね?
ポケットが同じ手織りの生地で、しかも、フラットにくっついてるの。
これは、これまで店頭で展開していた、春夏向きの手織り生地のものでは、施されていなかったポケット構造です。
こんな度肝を抜くポケットは、初めて出会いましたね。
手織り生地のAmedeoの内側に、手織り生地のポケットが、手織り生地を構成する糸で、本体にフラットに縫い付けられてる。
これは誰が見ても、超驚愕仕様。
ちゃんとしっかり、がっちり付いてるから、安心して使えそうに思います。
サイドに接ぎはありません。
Amedeoは背中心に、フラット縫製で切り替えが入る構造です。
イザベラさんの手染めレザーの紐が通ってる。
裾は、生地が横使いなので、生地ミミが配置されます。
これは、袖も同様です。
バックのネックは、手織り生地ということもあり、途中で組織が切り替わっています。
斜め後ろから見ると、着用時の素晴らしい形が生み出されることが約束されているように、既に、袖が身頃の内側に入り込んでる様子が見てとれる。
袖を僅かに横に広げても、身頃の内側から袖が出てくる。
身頃も袖も一体化してますね。
これが着用時に、Isabella Stefanelliの世界に連れて行ってくれる一つの重要なエッセンスです。
内側もどこをどう見ても、超フラット構造。
全ての処理を裏地で隠すことなく、全部を露わにしている洋服づくり。
既成服でありながら、サイズチョイスさえ合っていれば、誰もがIsabella Stefanelliが目指したフォルムが生まれる。
その上、尋常じゃない身体馴染みだから。
Isabella Stefanelli
Virginia
material _ WOOL 80%,COTTON 20%
color _ Starrise
size _ M
※完売致しました
こちらも同じく、手織り生地のVirginia。
厚みのある生地の生地幅、その生地幅を目一杯使ったコート。
とても迫力があるVirginiaです。
Starriseと名付けられたイザベラさん設計の手織り生地。
ウールとコットンの多種多様な太さや、色。
その糸で構成されたボーダーやストライプ、菱紋等が組み込まれた複雑極まりない設計の生地。
首元の裏には、2cm程の同生地が生地ミミ使いの縦の地の目で当てられ、表から3mm程度表に出るように、本体と同じ糸で手縫いで縫い込まれて、生地端の処理がされてる。
一枚の大きな生地を横使いすることで、構成される身頃。
身頃の前端は、本体と同じ糸でほつれないように手縫いで処理。
袖は、生地を横使い。
身頃の裾と同様に、袖口に生地ミミを配置させて、袖口をフラットに。
もちろん、生地の横使いだから、裾も生地ミミ使い。
無縫製でフラットな裾。
Virginiaのコートの着丈の長さは、”生地の幅”で構成されるから、一枚の手織りの生地そのものを身に纏うことになる。
ただ、そこには、単純な平面な生地を身に付けたのとは、大きく異なる世界が待ってる。
驚愕的で、極まった立体設計が施されてるのがVirginia。
袖をストレスなく広げると真っ直ぐそのまま横に伸びるように見える。
このVirginiaのコートを形づくる本体のシームは、僅か3ヶ所のみ。
“両肩の肩線”と、”アームホール”、そして、縦方向の生地を”筒状にした袖”だけ。
しかし、その僅か3ヶ所のみの縫製箇所で、複雑を極めたディテールが詰め込まれてる。
着用時には、アームホールが視覚的に、もの凄い小さく見え、袖が見事に腕に添う形状として出来上がる。
その片鱗をハンギングでも感じるサイドビュー。
Isabella Stefanelliの究極的な立体裁断を見せ、着る者に濃厚に感じさせるのが、Virginiaというコート。
もちろん、ポケットも先ほどのAmedeo同様に、同じ手織りの生地をフラットに縫い付け、Virginiaを構成する全てのシームもフラットだ。
どこをどう見ても驚くことしか存在しない洋服。
ただ、それを着用者に押し付けるのではなく、全部のディテールが着る者を不快感なく優しく、柔らかく包み込むため。
一切の思考を妨げず、身に纏う人の内面にポジティブに作用する。
それがIsabella Stefanelliで行っている洋服づくりだと思ってる。
Isabella Stefanelli
Charles
material _ WOOL 100%
color _ Gold
size _ S
※完売致しました
イギリスのヘリンボーンツイードを使用したコート。
このCharlesというコートは、Isabella Stefanelliの中でも、肩線の位置が内側に入ったもの。
先述の通り、”芯地”や”裏地”を一切使わないIsabella Stefanelliの洋服ですが、Charlesは、丸い上衿が着用時には、首に添うようにして、驚くほどに立つ。
もう、ここしかない。っていうような生地の地の目を探し出して、上衿を立たせてるんでしょうね。きっと。
通常の地の目だったら、芯地を使わないと絶対に無理だと思うから。
深い前合わせとなった前身頃は、首元までボタンを留めて、このようにも着用できる。
衿を立たせるとこんなにヘロヘロなのに、定めた位置で折り返すと見事にスッと首に添う。
非常にフラットな衿付け。
もちろんボタンホールも手縫いですね。
そして、フラップ付きですが、これまで見たことがないポケット。
フラップをめくると壮大な世界が待ち受けてる。
この仕様はヤバヤバ。
総手縫いで仕上げられたポケット口の形成。
補強、伸び止め、着用、使用時に様々なメリットが生まれる。
そして、内側のポケット本体は、これまで同様に直接身頃に縫い込まれた仕様。
僕がロンドンのアトリエに行った時に、ちょうどこのコートのポケットを縫ってる最中だった。
イザベラさんに、「これあなたのオーダー分よ」って言われたから、見せてもらってた。
まあ、片方のポケットを完成させるのに、ハンパない手縫いの工程数だから、ものすごい時間がかかってましたね。
内側。
当店で取り扱いをするCharlesは、本体の接ぎは基本的に”割り縫い”です。
この割り縫い仕様は、Isabella Stefanelliでは、僕は初めて見たけど、最も着丈が長いということ、ヘリンボーンツイードということ、そして、完成してるコートが流れるような落ち方をしてることから、縫い代が最も柔らかく仕上がる方法の割り縫いを選択したんだと思う。
生地端が手縫いで処理された袖口をめくると、割り縫いが出現。
とても深いセンターベント。
しかし、これは一枚の生地を折り畳んでいるのではない。
複数枚の生地でベントを構成してる、見たことのないセンターベント仕様。
びっしりと入った手縫いのベントの補強。
前合わせは、生地を縦使いしてるから、生地端を使用してますね。
ボタンはめちゃくちゃイケてる仕様。
バックは、割り縫いのおかげで、着用時に途轍もなく、フラットに見える肩。
コートでこんなふうに見えるものは、僕は見たことがなかったですね。
素晴らしい肩線の見え方してくれる。
裾は、断ち切りです。
流れるように落ちる分量のある生地、色合いもあり、とてもエレガントに見えるコート。
こちらのGoldのカラーは、サイズはS。
大体身長が160cm代から、170cm前半の方までが適正サイズだと思います。
体格によるけど。
Isabella Stefanelli
Charles
material _ WOOL 100%
color _ Seppia
size _ L
※完売致しました
こちらは、先ほどのコートと同様のCharles。
単純に色違いの生地です。
色違いでサイズが違うだけなので、基本的に仕様は同じ。はず。
僕が気付いてない違う仕様があるかもしれないけど。
Charlesそのものがイギリスのトラディショナルな雰囲気に近い見た目をしてるのですが、こちらのSeppiaのカラーになると、色合いもあってクラシカルに見えますね。
ただ、実物は生地そのものの高級感が溢れてますよ。
こういう土っぽい色なのに、奥の方からウールの一本一本が光ってるように思う。
ヘリンボーンツイードということで、AmedeoやVirginiaとは違い、生地が縦使い。
しかし、この色だとよく分かるのですが、、、
後身頃の地の目。
背中心を軸として見ると、ヘリンボーンが背中心で柄が一つに一体化してる。
つまり、バックは、生地の地の目を”斜め”に使ってるのだ。
これにより、縦の地の目よりも重力に対して、反発に近いものが生まれ、極限のドレープが出るんだと思う。
他の洋服では、ほとんど見ることのないディテールのオンパレード。
これは洋服人生の中でも、精神的にも、学問、教養としても学ぶことができる洋服。
それがイザベラさんの生み出すものなんだろうと思う。
こういうものだから、手にするまでのハードルはもしかしたら高いかもしれない。
だけど、着て出かける度に、必ず感じられるものがある洋服だと思います。
とにかく洋服をつくることに人生のほとんどの時間を捧げてきたイザベラさん。
先日のブログでも書いたように、デザイナー本人がとても宿っている洋服。
全てが一着ずつという、物理的な生産数からも、誰もが着ることができる洋服ではないけど、このIsabella Stefanelliの洋服を着る価値、着る理由というのは、絶対に存在してると思っています。
今回の納品で、当店の一年分が揃いました。
季節とかもはや関係ないけど、ご自分にフィットするものがあれば手にしてみて。
本当に、素晴らしい洋服です。