Isabella Stefanelliのシャツ"Audrey"

 

 

 

 

 

 

 

今日は、久しぶりに紹介します。

 

 

 

 

Isabella Stefanelli (イザベラ ステファネッリ)。

 

 

 

 

 

まず、Isabella Stefanelliというブランドでつくるものは、真の"一期一会"と思ってもらえると良いと思います。

 

 

 

 

それは、"生産数が限られている"ということ。

 

 

 

 

 

同じものに"ほぼ出会うことができない"ということ。

 

 

 

 

 

では、あるのですが、上記の2つは、時折目にする"ビジネス戦略的に流通数を限っている"ということではない。

 

 

 

 

 

出来る限り、精一杯の生産数をブランドで取り組み、洋服づくりを行なった結果、全然流通させることができないということが真相です。

 

 

 

 

 

 

また、同じものにほぼ出会うことができないというのは、我々のような取り扱い店舗が、ブランドにオーダーをするシステムが"通例"ではないから。

 

 

 

 

 

Isabella Stefanelliは、展示会を開きます。

 

 

 

 

その際に、全国の取り扱い店舗のバイヤーが順番に集められ、"その場"でオーダーを行います。

 

 

 

 

 

通常の洋服ブランドであれば、展示会オーダー時には、"サンプル"というものが並んでいる。

 

 

 

 

しかし、Isabella Stefanelliの場合は、展示会に"サンプル"が存在しません。

 

 

 

 

 

その場にあるのは、シーチングという、いわゆる"布"でIsabella Stafanelliの洋服と同じフォルムをした衣服のようなものだけ。

 

 

 

 

 

 

それに加えて、選択肢として与えられる非常に多くのバリエーションの"生地"ラインナップ。

 

 

 

 

 

どのような洋服が出来上がるのか、どのような洋服を店頭に並べることができるのかは、その場に集められた我々バイヤーの手腕が試されるというワケだ。

 

 

 

 

 

しかも、それは頭の中で、想像し、脳ミソをフル活用して、その場でオーダーをしなければならないの。

 

 

 

 

 

その理由は、明確。

 

 

 

 

 

非常に自由度が高く、あまりにも多種多様な選択肢が多過ぎて、後日持ち帰ってオーダーをするとなると、どれがどれだが、みんながワケが分からなくなってしまうからだ。

 

 

 

 

 

 

だから、僕もオーダーし、出来上がった洋服を見ることができるのは、Isabella Stafanelliから納品をしてもらったときが初めてなの。

 

 

 

 

 

 

その時に答え合わせができるって感じ。

 

 

 

 

 

ただ、まあ、その答え合わせは、絶対に外れない。

 

 

 

 

 

絶対に。

 

 

 

 

 

 

その理由は、イザベラさん本人の、圧倒的な実力とセンス。

 

 

 

 

 

 

いや、そう考えると、、ある意味で、外れているのかもしれないですね。

 

 

 

 

 

 

想像を遥かに凌駕した洋服を、必ずつくってくれるから。

 

 

 

 

 

 

毎回、僕はその度に、Isabella Stefanelliの実力を思い知らされる。

 

 

 

 

 

 

そして、心の中で、途轍もない尊敬の念と、大大大脱帽。

 

 

 

 

 

そのようなブランドは、広い世界でも、類似はない。

 

 

 

 

 

 

また、Isabella Stefanelliと言えば、ご存知の方は、価格が公表されていないブランドであるということも認識されていると思います。

 

 

 

 

 

 

ブランドの洋服の価格は、当店CASANOVA&COの中では、ぶっち切りとまでは言わないけど、堂々の一位に君臨してる。笑

 

 

 

 

 

 

しかし、その理由は、明確。

 

 

 

 

 

 

一着の洋服で、"ありとあらゆる方法が試され"、その結果、完成されているからだ。

 

 

 

 

 

 

例えば、今日紹介するのは、シャツの形をした洋服。

 

 

 

 

 

 

Isabella Stefanelliの洋服は、ロンドンの郊外にあるアトリエで全て生産される。

 

 

 

 

 

その大部分は、手縫いだ。

 

 

 

 

 

 

構造の8割から9割が手縫いを占める。いやもっとかも。

 

 

 

 

 

 

例えば、今日のシャツ型のものをIsabella Stefanelliで1着生産したとしよう。

 

 

 

 

 

対して、パッと見、同じような形のシャツを、シャツ工場で100着生産したとする。

 

 

 

 

 

どちらもが、同時に、一斉によーいどん。で生産スタートしたとして、どっちが早く出来上がるか。

 

 

 

 

 

イザベラ1着 vs シャツ工場100着

 

 

 

 

 

これは、シャツ工場の100着の方が、断然早く生産が完了するのだ。

 

 

 

 

 

つまり、Isabella Stefanelliは、何十万円という価格の洋服だ。

 

 

 

 

いわゆる"量産"という一般的な考え方の100着では、価格を分散できる。

 

 

 

 

 

そして、そのようなものは、仕様もそれなりのもので、今の世の中でつくるとなると、平均的クオリティで、どれもが均一だ。

 

 

 

 

 

一つの洋服をつくる上で、そのコストを例に挙げたように"100着に分散する"ことができ、手に取りやすい価格となるの。量産というものは。

 

 

 

 

 

これは、Isabella Stafanelliの洋服に限らず、世の中に存在する製品全てに共通事項ですね。

 

 

 

 

 

また生産のスピードの違いは、単純に"手縫い"と"ミシン縫製"というスピードの違いだけではない。

 

 

 

 

 

 

Isabella Stafanelliの洋服には、上記のようになる"理由"があるの。

 

 

 

 

 

 

 

それが、先ほど言った"ありとあらゆる方法を試す"ということ。

 

 

 

 

 

 

どういうことか。。。

 

 

 

 

 

先述の通り、Isabella Stefanelliには、展示会のバイヤーのオーダー後に、生産に取り掛かる。

 

 

 

 

 

そのほぼ全部、"違うオーダー"がイザベラさんに入るのだ。

 

 

 

 

 

ブランドでの洋服の形は膨大と言うほどではなくても、それでも、生地は、選択肢が多い。

 

 

 

 

 

例えば、仮に、Aという形が存在したとする。

 

 

 

 

 

そのAの形に対して、何十種類もの生地の選択肢がある。

 

 

 

 

 

その生地の選択肢とは、単なる色違いということではない。

 

 

 

 

生地の混率も違えば、組織も違う。それに伴って、糸の太さや生地の厚みが違う。

 

 

 

 

 

しかも、その生地を、"表"で使うのか、"裏"で使うのか、ということもバイヤーが選ぶことができる。 

 

 

 

 

加えて、Isabella Stafanelliは、"織機で織り上げた生地"と"手織りの生地"の2つが存在する。

 

厳密には、ニットもある。

 

 

 

 

 

 

Aの形に対して、バイヤーのオーダーそれぞれのものを形にするために、、、

 

 

 

 

 

 

"選ばれた生地"に、Isabella Stefanelliが考える最も相応しい仕様で洋服をつくりあげていくのだ。

 

 

 

 

 

 

イタリア人のテーラーのお父さんの下で、幼少期の4歳から縫製を始めたというイザベラさん。

 

 

 

 

 

現在では、40代後半になるのだが、幼い頃は、お父さんからの"英才教育"でテーラーの世界の洋服づくりを叩き込まれたそうだ。

 

 

 

 

 

 

そして、今現在もずっとその生涯の間で、洋服づくりを続けている。

 

 

 

 

 

 

それは、今で、"44年"程になるという。洋服づくりにかけた時間。

 

 

 

 

 

 

 

 

それだけの洋服づくりの経験値がある女性が、、、

 

 

 

 

 

洋服をつくるとき、、、

 

 

 

 

 

その衝撃的なクオリティを生み出すため、、、

 

 

 

 

 

生産に入る前に、、、

 

 

 

 

 

"いろんなこと"を試すの。

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、、、実際にオーダーが入った生地を用いて、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは、"ミニチュア"をつくるということ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミニチュアの洋服で、衿やポケットなどのディテールは、どのような手法、仕様がベストマッチなのかを試す。

 

 

 

 

 

具体的には、衿の取り付けや、処理の仕方、縫い代を伏せるのか、出すのか、はたまた一体にするのか。。。

 

 

 

 

 

更には、その際の"縫い糸"まで、イザベラさんが考え尽くされるものを"全て試す"。

 

 

 

 

 

 

縫い糸の"素材"、"太さ"はもちろん、縫う箇所に"縫製用の糸を使わない"ということさえあるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

具体的には、"生地から糸を抽出する"。

 

 

 

 

 

 

 

 

これも、超絶ハンパない。

 

 

 

 

 

 

生地を構成する"経糸"もしくは、"緯糸"を抜き取り、それを"縫い糸"とすることだってある。

 

 

 

 

 

現に、当店でも取り扱いをしているIsabella Stafanelliの洋服は、生地の糸を縫い糸に使用しているものも存在しますからね。

 

 

 

 

 

 

そうして、、、

 

 

 

 

 

ディテールの仕様 × 縫い糸の種類

 

 

 

 

 

ということを、実際に用いる生地を使って、ミニチュアサイズの洋服をつくり、その中で、イザベラさん本人が確信した組み合わせのものを、商品に採用する。

 

 

 

 

 

だから、そうして出来上がったIsabella Stafanelliの洋服の仕様、クオリティは、ウルトラスーパーマジで、、、他の洋服で見たことがない。

 

 

 

 

 

これには、いつも心の底の底から、感動させられる。

 

 

 

 

 

 

 

しかも、今話した内容は、洋服の"仕様のことだけ"ですからね。

 

 

 

 

 

 

今日は省くけど、洋服の形の種類も多岐に渡るのですが、どれもが、凄まじい立体造形なんですよ。

 

 

 

 

 

 

このようなレベルのものを、そもそもつくりあげてることも、僕は、超人だと思ってる。

 

 

 

 

 

 

ざっと、Isabella Stefanelliの洋服が、取り扱い店舗のオーダーが入って、本生産に入るまでの過程を書いたけど、洋服そのものについてではなく、その前段階の、それもごく一部の過程のことで、これだけのこと。

 

 

 

 

 

 

"Isabella Stafanelliの洋服"を生み出す、一部の要素でしかないことだけど、全ての生産プロセスにおいて、、

 

 

 

 

その集積の結果が、、、

 

 

 

 

"Isabella Stafanelli"となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、このブログでは、あまりにも複雑極まりないから、通常でも比較的長めの傾向にあるブログだから、あんまり紹介することができてこなかったブランドなの。

 

 

 

 

 

でも、今日は、一着を紹介しますね。

 

 

 

 

 

 

店頭には、他にももう少しいろいろありますからね、気になる方は実際に見てもらえるか、お問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Isabella Stefanelli

 

Audey

material _ WOOL,COTTON,SILK

thread _ HEMP(手縫い箇所),COTTON(ミシン縫製箇所)

button _ COROZO BURNED

size _ 2(Sサイズ相当) 

 

 

これ。

 

 

"Audrey (オードリー)"という名前が付いたシャツ型のもの。

 

 

 

 

Isabella Stafanelliでは、全てに実在した人物の名前が付きます。

 

 

 

 

でも、ドメスティックブランドにあるような、洋服が出来上がってからの後付けの名前ではありません。

 

 

 

 

そもそも、その実在した人物が"生きていた当時に、このような洋服を着ていたのではないか"ということを考え、想像をしたデザイン。

 

 

 

 

 

それにより、その想像をした人物の名前が、そのまま洋服に付けられています。

 

 

 

 

 

今回紹介するものは、"Audrey Hepburn (オードリー ヘプバーン)"。

 

 

 

 

 

イザベラさんが、その人物が生きていた頃、その生き方、考え方、人物像に共感をした人をイメージした洋服デザインを行なうのですが、今回は、日本人でもとても馴染みがある"オードリー ヘプバーン(ヘップバーン)"。

 

 

 

 

ベルギーに生まれ、1953年に"ローマの休日"で当時は、まだまだ若手だった中で、大抜擢され、一躍世界に名が知られることとなったオードリー ヘップバーン。

 

 

 

 

1993年に亡くなったそうですが、その人柄から、生きていた当時は、このような洋服を着ていたのではないかとイザベラさんが想像をしたデザインのシャツとなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真の通り、スタンドカラーのシャツ。

 

 

しかし、この一着に、他の洋服では100%見ることができない超絶ディテールが惜しげもなく注がれているの。 

 

 

 

 

 

 

まず、Isabella Stefanelliの洋服づくりを少し知って頂けるために、こちらの写真をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裏。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きっと、このブログをご覧頂いている方の多くの方が、Isabella Stefanelliの洋服を知っていても、"裏"を見たことがないんじゃないかと思うんですよ。

 

 

 

店頭で見ても、実際に、販売店で商品を裏返すのも気が引けると思うから。

 

 

 

 

洋服に詳しい方であればあるほど、上の裏側の2枚の写真で、いろんなことを気付いて頂けるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

まず、Isabella Stefanelliの根本にあるのは、"ファッション"というマインドではありません。

 

 

 

 

 

冒頭にも書いたのですが、イザベラさんの洋服づくりの根本は、"テーラー"。

 

 

 

 

 

注文服のテーラーだったお父さんの教え、洋服づくりが濃厚に反映されています。

 

 

 

 

今回、このブログで紹介しているものが、"Audrey"というシャツ型のものなので、これに関しては、そうなのですが、Isabella Stefanelliの洋服には、全て"裏地が存在しません"。

 

 

 

 

 

 

その理由は、テーラーの世界では、そのレベルが大きく3段階に分けられるから。

 

 

 

 

 

この考え方は、季節というものを一旦置いておいてですが、テーラーでは、、、

 

 

 

 

 

・総裏地

 

・半裏地

 

・裏地なし

 

 

 

 

 

この3つで技術が大きく分かれます。

 

 

 

 

もちろん、下に行くほど、高技術が求められるもの。

 

 

 

 

理由は、簡単ですね。

 

 

 

 

裏地を付けると、裏の処理を隠すことができるからです。

 

 

 

 

そのため、ファッションとは異なり、本当のテーラーの世界では、"裏地が付かない"ということが、"最高技法"とされるそうです。 

 

 

 

 

 

 

 

このような理由があり、幼い頃からの英才教育で、圧倒的な技術を身に付けているイザベラさんは、裏地を用いることがありません。

 

 

 

 

 

また、裏地のことについて言及を致しましたので、合わせて、お伝えすると、洋服の通例である"芯地"も使うことがありません。

 

 

 

 

 

これもマジでガチで、スーパー驚愕なのですが、通常では、洋服の"保形"や"伸び止め"のために用いる芯地を使わずとも、生地の方向や仕様を考え尽くしてあることから、それらが不要なの。

 

 

 

 

ちょーヤバい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、この写真も同様に、裏の肩周りのアームホール部分の写真です。

 

 

 

縫製箇所が、エゲツないほど平坦なのが分かりますでしょうか??

 

 

 

複数枚の生地が重なる箇所も、とにかく平ら。

 

 

 

この裏のシームは、もちろん、洋服の形や生地によって、最適なものが選ばれるのですが、全てに共通していること、、、

 

 

 

 

 

Isabella Stafanelliの洋服は、裏のシームがとにかく薄く、非常に綺麗である。

 

 

 

 

 

全部の洋服の裏の処理を、驚くような次元で仕上げることも、大きな特徴なの。

 

 

 

 

 

ちなみにね、今日紹介しているAudreyのこの生地の場合には、アトリエに唯一、一台だけ保有する本縫いミシンでのミシンソーイングに、50番手くらいかな?の綿糸。

 

 

 

 

そして、その後に、縫い代をフラットにするために、ヘンプ糸で手縫い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほら。すごいでしょ。

 

 

ただ、さっきも言ったけど、別生地のものになれば、この綿糸とヘンプ糸の組み合わせは変わるので、今回紹介しているAudreyがこうなっているということですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、もう一度、こちらをご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

加えて、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表からだけど、この横の写真。

 

 

 

 

"身頃"に注目してください。

 

 

 

 

身頃には、一切の切り替えが存在しません。

 

 

 

 

つまりは、一枚の生地で構成をされているの。

 

 

 

 

背中心にも、身頃脇にも、切り替えは存在しない。

 

 

 

 

ただ、それは、平面的な洋服をつくっているのなら理解できる。

 

 

 

 

 

Isabella Stefanelliは、超立体

 

 

 

 

それを、一枚の、一続きの生地で生み出すこと。

 

 

 

 

一枚の生地で身頃を構成するということは、物理的に"縫製箇所も少なくなるということ"。

 

 

 

 

 

どういうことかと言うと、、、

 

 

 

 

 

 

心してご覧くださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまで紹介したことで言えること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"少ない生地パーツの数で、少ない縫製箇所"。

 

 

 

 

 

 

限られた縫製箇所に、世界的にとても極まった"極限技法"が注ぎ込まれているということ。

 

 

 

 

 

 

身頃は、一枚の生地で構成し、その一枚の生地を究極に駆使して、見事なフォルムを生み出す。

 

 

 

 

 

加えて、だからこそ、数少ない縫製箇所は、様々なことをミニチュアで試作を行なうのだ。

 

 

 

 

 

 

 

このことがIsabella Stefanelliのヤバヤバ要素の一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この写真は、裏前立て仕様のAudreyなのですが、裏の前立て抑えは、白い綾織りリネン生地を手縫いで縫い付けてる。

 

 

 

ちなみに、上記の写真をご覧頂けたら、分かる方には分かると思いますが、両方の前立て裏が"生地ミミ"です。

 

 

 

 

Isabella Stafenelliは、Virginiaなどのコートでは、生地を横使いし、生地幅が"コートの着丈"となるのですが、こちらのAudreyでは、生地は縦使い。

 

 

 

 

 

そのため、このシャツの裏前立てを含め、シャツの身幅そのものが、ダブル幅の生地幅でできているということ。

 

 

 

 

 

このように、"生地を出来る限り、そのまま活かす"という要素も、Isabella Stefanelliならではだと思う。

 

 

 

 

 

すんごい素敵でしょ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、スタンドカラーの衿は、裏から同生地が見返しとして、ヘンプ糸で手縫いで縫い付けられています。

 

 

ただ、この箇所、写真では分からないですが、同生地が二重に折り返して見返し布とし、それも地の目を"バイアス"(斜め45度)にすることで、芯地を使わずとも、衿がきちんと立ち続けるように狙ってる。

 

 

 

更には、裏前立てで折り返した生地でも二重になってますからね。

 

 

 

 

衿で"一番綺麗な返りが必要とされる箇所"に、、、

 

 

 

 

裏前立て分の二重(縦地の目) + 衿見返し分の二重(バイアス) = "4枚の生地"が備わってる。 

 

 

 

 

しかもフルで、手縫い仕様。

 

 

 

 

とても綺麗な衿のラインを描くワケですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表に戻ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先ほど言った通り、裏前立てで、綾織りリネン生地が抑えとして縫われています。

 

 

そのハンドステッチが表に現れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボタンは焼いたコロゾボタン。

 

 

ヤシの木の実ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特徴的なシェイプをしたボタンですが、更に、焼きが入ることで、豊かなテクスチャーが現れてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が、ここで、刮目ください。

 

 

ボタン付けの糸。

 

 

 

これも通例じゃない。 

 

 

 

通常なら、ボタン付けは一色の糸で行いますが、生地に合わせた2色糸を使ったボタン付け。

 

 

 

 

ボタンだけではなく、ボタン付け糸までも、他のブランドの洋服では見たことがない仕様。

 

 

 

この見た目の良さ、センス。

 

 

 

これが普通のボタン付け通り、一色の糸なのか、今回のようなものなのかで、洋服の見た目は大きく変わってくるの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

ボタンホールも、もちろんIsabella Stefanelliでは、ボタンホールミシンではありません。

 

 

 

手で切れ込みを入れ、先ほどのボタン付け糸と同様に、生地同色の2色の糸でのボタン付け。

 

 

 

今回のAudreyは、生地に切れ込みを入れていますが、ものによっては、ボタンホールの"切れ込み"を入れず、手で生地の糸を押し広げて、ボタンが通る隙間を設けた洋服も時には存在しますからね。すごいもんですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バックには、主要な手縫製箇所で使用されているヘンプ糸を使って、ギャザーを設けてる。

 

 

バックヨークの切り替えを用いることなく、洋服のフォルムを描いているシャツですからね。

 

 

 

後ほど、着用写真を掲載するので、そちらをご覧頂ければご理解頂けると思いますが、このギャザーがAudreyの洋服フォルムを生み出すのに、必要不可欠なディテールとなってるの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらも裏から、リネン生地で縫われてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アームホール。

 

 

非常に見づらいと思いますが、この"アームホール箇所"は、Isabella Stefanelliの超魔術が隠されてる。

 

 

 

分かりますかね??

 

 

 

あまり見たことがない角度で、カクッとアームホールの形状が変わってる。

 

 

 

極端に生地の切り替えが少ないIsabella Stefanelliであるからこそ、"こうでなければならない理由"が存在するそうです。

 

 

 

 

 

今日紹介しているAudreyで言えば、通常は円形のはずのアームホールが、このような形状でなければ、イザベラさんが思い描く洋服のアウトラインは生まれない。

 

 

 

 

 

加えて、袖は"一枚袖"の筒袖なのですが、それも本来は、袖の内側にシームが配置されるはず。

 

 

 

 

だけど、腕の外側の見たことがない箇所に、一本のシームが入ってるの。

 

 

 

 

これにも、"絶対にここでなければならない理由"が存在するんですよ。

 

 

 

 

 

プライスがプライスだから、誰も不可能だと思うけれど、Isabella Stefanelliの洋服は、仮にシームを解いて"分解"したら、確実に誰もが、見たことも、想像もできなかったようなパターン線をしてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは裏側の写真ですが、裏から見ても、アームホールはこのような線を描いてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生地について。

 

 

 

今日紹介しているAudreyについては、イギリスの生地を使っています。

 

 

 

素材は、ウールとコットン、シルク。

 

 

 

生地を見ていると、双糸や単糸が組み合わされてるように思いますね。

 

 

 

あと、色がパッと見では5色ほどで構成されているようには見えるのですが、杢糸が2種類使われているから、色数をカウントするとすんごいことになる生地ですね。

 

 

 

生地のタッチとしては、重厚なものではないですが、確かな密度があり、パンッと張ってるけど、落ちる生地です。

 

 

 

 

そして、今回のコレクションでは、テーマに合わせて、Isabella Stefanelliのアーカイブ生地のチップを手縫いで付けることができるオプションがあった。

 

 

 

 

だから、一箇所だけ、生地や色、場所はお任せでイザベラさんにお願いをしました。

 

 

 

そのため、ブルーのアーカイブファブリックチップが縫い付けられています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よく見てると、とても生地の組織が整って、糸の目が美しい生地してる。

 

 

 

緯糸が丁寧に抜き取られた裾や袖口。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

身長167cm、体重52kgで着用。

 

 

 

充分にゆとりがあるから、僕くらいの体格の方から、身長170cm代前半の方までがベストサイズだと思います。

 

 

 

僕にはいつもIsabella Stefanelliの洋服は袖が少し長いのですが、同じような体格の方でも、もう少し袖は良い感じになると思います。

 

 

だから、僕自身は日頃着てるIsabella Stafenelliの洋服は、袖をテキトーに折ってることばかりですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

肩を起点として、下に落ちる"抱きのゆとり"がスッと綺麗に入る様子が見えると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイドビュー。

 

 

横から見ても、前後に入る"抱きのゆとり"。

 

 

 

肩の頂点から始まる、ドレープ。

 

 

 

これはとても美しい。

 

 

 

あと、見づらいかもしれませんが、袖を見てください。

 

 

 

袖は、ただ下に腕を下ろしているだけですが、袖の形状がポンッとはっきり出てるの。

 

 

 

 

そして、アームホール。

 

 

 

 

アームホールと袖そのものを見比べると、横から見ると"袖よりもアームホールの方が小さく見える"と思う。

 

 

 

 

アームホールが小さく見えることで、腕が"細くシャープ"に現れるの。

 

 

 

 

でも、腕は自然な動きができるように、アームホールから肘に向かって、柔らかく、少しずつ膨らんで見えるのが分かるでしょうか。

 

 

 

 

実物をハンガーの状態で見たら、そうなってはいないんですけどね。笑

 

 

 

 

着ると、そのような形になることが設計してある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に、少し腕を上げると、脇から、腰にかけて、斜めにドレープが出てますよね。

 

 

 

これは、洋服の身頃と袖が"パーツ"として、ただ付けられてるのではなく、上半身が一体となって構成されている証明。

 

 

 

 

だから、体の動きに合わせて、洋服全体が追従する。

 

 

 

一定となって、動きとともに見せる表情に変化があるんですよ。

 

 

 

でも、動きにくさは全然ない。

 

 

 

これがすごいんですよ。Isabella Stefanelli。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バックスタイルも見事なもの。

 

 

途轍もなく美しいドレープが、両方の肩から下に向かって現れてる。

 

 

 

そして、首元のギャザーがあることで、自然に肩はフィットし、背中でその生地分量が解放。

 

 

 

 

それに伴う、ハンパじゃない高次元フォルム。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のブログでは、Isabella Stefanelliの洋服づくりにおける"一部の要素"を僕なりに紹介したのですが、やはりこの洋服は、着てると本当に"驚きの連続"なんですよ。

 

 

 

特に、皆様の生活圏内で着ていると、自然に、ふっとした時に、気付けることがたくさんある。

 

 

 

 

僕がそうだった。

 

 

 

 

街を歩いてると、見たことのない位置に、ナチュラルに現れるめちゃくちゃ美しいドレープが自分の目に入る。

 

 

 

 

自然光を浴びると生地組織の美しさと、手縫いのシームとのコントラストの奥深さに目を奪われる。

 

 

 

 

サッと羽織ってるだけなのに、スッと体に寄り添い、一日の長い時間着ていても、体が疲れることや違和感を全く感じることがない。

 

 

 

 

最初、手にした時よりも、一ヶ月後。

 

 

 

 

一ヶ月後よりも三ヶ月後。

 

 

 

三ヶ月後よりも、半年後、一年後。

 

 

 

一年後よりも三年後。。。

 

 

 

 

どんどん気付くことが増えてくる。

 

 

 

 

だから、手にしたIsabella Stefanelliの洋服が、どんどん好きになってくる。

 

 

 

 

 

 

Isabella Stefanelliの洋服は、イザベラさん本人の"生涯をかけた洋服づくり"です。

 

 

 

 

人生のほとんど多くの時間を、"洋服をつくること"に捧げてきた、世界で一、二を争うようなレベルの実力ある人物が、自らの手で、常人では気が遠くなるほどの、途轍もなく長い工程を経て、やっと生み出す"一着の洋服"。

 

 

 

 

 

これには、とても価値があると思う。

 

 

 

 

多分、多くの方が、このクラスの洋服になると、人生で何回も何回も繰り返し手にすることのできる洋服ではないと思う。

 

 

高額だから。

 

 

 

 

でも、その理由をご自身の肌で、目で、心で、確実に感じてもらえると思います。

 

 

 

 

僕は、このブログで何度も書いたことがあるけど、本当に良い洋服を手にすることは、人生にとって大きな教養になると思ってる。

 

 

 

 

 

このことは、Isabella Stefanelliの洋服からは、とても、とても深く感じることができる。

 

 

 

 

 

ホンッッット、凄まじいから。いろんなことが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気にして頂ける方は、見てみてください。

 

 

 

 

 

 

 

BACK