今日は、初めて取り扱いをするジャンルのものを紹介します。
ここ最近、ずっと僕自身もかけてた眼鏡。
僕は、自分の中で何年も揺るがずに決めていたことがあったんです。
それは、"眼鏡は取り扱いしない"ということ。
今まで、いろんなブランドさんからの紹介はあったのですが、全て取り扱いはしてこなかったんですよ。
それは、僕の中でも明確な理由があった。
当店、CASANOVA&COの近くに"岡山眼鏡店"という専門店があるからだ。
僕は、今から5、6年くらい前に、岡山眼鏡店さんでメガネを買ったの。
その時に、僕自身に眼鏡をお勧めしてくれ、話をしてくれたのが、オーナーの猪原さん。
猪原さんに話を聞いたのもあったし、眼鏡の調整そのものも猪原さんに行ってもらったの。
今でもそのことは、とても記憶しているのですが、その時に僕は、"なんて素晴らしい接客を受けたんだ"。と感じたの。
そのことをそのまま猪原さんに伝えたら、「当たり前のことを粛々とやっているだけですよ。」と言われた。
その言葉を聞いてからは、僕は、「これがプロの仕事だ」って感じて、そこから、"自分たちがアイウェアを取り扱う必要は全くないな"って思ってた。
そのような自分にとって素晴らしいと感じた接客を受けてから、いろんなアイウェアブランドさんのサンプルを見させてもらったり、紹介を受けても、常に僕の頭の中には、"猪原さん"。笑
だから、これまでは一切、取り扱いをしようと思いませんでした。
でも、そんな僕の固い決意を覆してきたブランドがあった。
それが紹介する"GERNOT LINDNER(ゲルノット・リンドナー)"。
ブランドサイドから話があった最初は、きちんと"猪原さんがいますから、僕は取り扱いをしません"って伝えた。
岡山眼鏡店さんで、自分自身が眼鏡を買った当時のことや、当店にご来店を頂くお客様でも、多くの方が岡山眼鏡店さんに行ったことがあると思うし、猪原さんがいるから当店にはハードルが高いですよ。って話をブランドサイドに伝えたの。
でも、ブランド側も、なぜこのような話を当店にしてくれているのか。ということをきちんと説明してくれた。
当店では、洋服を中心に取り扱いをしている、洋服ジャンルの世界で生きている。
対して、GERNOT LINDNERのブランドサイドは、洋服の世界は自分たちの範囲外だから、分からない。
ただ、"一つのモノ"を見る、伝える上では共通していることがあるはずではないか。ということを、僕は伝えられた。
そういうことを言ってくるのは、それほどまでに"そのモノ"に自信があるからに他ならない。
ちなみに、上記のやり取りは、実物を見る前段階の話です。
僕は、自分の牙城は固いと思ってるから、話があった段階でいつもお断りしてたの。
だから、ひとまず、後日、実物を見ることにした。
そしたらね、GERNOT LINDNERの眼鏡を見ると、、、
一瞬で、心を強く握って離されなかったの。笑
実物のパワーは、ウルトラハンパない。
すごいですよ。GERNOT LINDNER。
ちなみに、当店では、GERNOT LINDNERを取り扱い、紹介をしていくに際して、事前に岡山眼鏡店の猪原さんに伝えています。
そして、眼鏡はその方に合った調整が必要です。
当店で取り扱いをするGERNOT LINDNERの眼鏡は、基本的に岡山眼鏡店さんで調整をお願いすることになります。
岡山眼鏡店さんと契約致しましたので、店頭でご購入頂きましたお客様は、岡山眼鏡店さんで調整をしてもらってください。
当店としても、自らで紹介し、お客様にお渡ししたものは、信頼できるその道の方に最終調整をして頂き、ベストなものをお使い頂きたいと、心底思っているので、岡山眼鏡店さんに持って行ってください。
まあ、近いから。距離的に。
だから、紹介させて頂きます。
GERNOT LINDNER。
そもそも、GERNOT LINDNERは、ドイツで生産をされる。
ゲルノットリンドナーさんという、眼鏡界の巨匠が生み出す眼鏡です。
眼鏡にお詳しい方だと知ってる人はいると思いますが、世界的な眼鏡ブランド、"Lunor (ルノア)"の創業者です。
Lunorは、世界中の人が愛用し、愛用者の顔ぶれは、世界の著名人の数々だそうだ。
その創業者のゲルノットさんは、今は年齢は、80歳を超えてるそうです。
ゲルノットさんは、年齢もあり、そのような世界中の誰もが知るLunorというブランドを後継者に譲り渡した。
それによって、当時は、巨匠が引退したかと思われたそうですが、ゲルノットさんが人生のキャリアの最後に、"Lunorでは実現できなかったものを生み出したい"と考え、自分の名前、"GERNOT LINDNER"というブランドをスタートさせたそうだ。
これ、5年くらい前の話。
"Lunorで実現できなかったこと"
それは、ただ一つ。
眼鏡に最も向いていない素材、、、
"シルバー"で眼鏡を生み出すこと。
そう。
GERNOT LINDERの眼鏡は、全て"シルバー925"です。
それも、
"Sterling Silver 925 (スターリングシルバー925)"。
そもそも、"シルバー925"と、"スターリングシルバー925"の違いって何か知ってますか??
これには、明確な定義がある。
・シルバー925 = 92.5%が純銀であること。残りの7.5%は合金。
・スターリングシルバー925 = 92.5%が純銀、残りの7.5%は全て"銅"であること。
これが違いなの。
まあ、同じシルバー925でも、7.5%に鉄、亜鉛、ニッケルなどを入れているものがほとんど。
当店では、シルバー925でも、DAN TOMIMATSUは、"ロジウムとパラジウム"の白金族の貴金属を入れているから、そこにも追求はしてきたつもりです。
しかし、GERNOT LINDNERは、"スターリングシルバー"だ。
先述の通り、銀と銅のみ。
圧倒的な素材の上質さ、肌への馴染みのハンパなさ、スーパー快適なかけ心地、そして、研ぎ澄まされたオーラを感じてもらえると思います。
僕は、その点にすごく感動して、自分たちで取り扱い、皆様に紹介をさせて頂くことを決めました。
GERNOT LINDNERは、ゲルノットさんが、長年のパートナーであり、技術者のヘルムート・ミッテルバウアーさんと開発に取り組んだそう。
ドイツにGERNOT LINDNERを生産するためだけの"専用工場"をつくりあげたそうだ。
一般的に、眼鏡に使われる他の素材と、何もかも勝手が違うシルバー。
それを実現するために、専用の設備をつくり、整えたそうです。
これ、すごいこと。
まず、当店で最初に取り扱いをするのは、2モデル・4種類。
GERNOT LINDNER
KYOTO I
material _ Sterling Silver 925
temple _ Adjustable Temple
bridge _ middle bridge
GERNOT LINDNER
KYOTO II
material _ Sterling Silver 925
temple _ Adjustable Temple
bridge _ middle bridge
以上が、クラウンパント型の"KYOTO"というモデル。
GERNOT LINDNER
GL151
material _ Sterling Silver 925
temple _ Golf Temple 140mm,150mm
bridge _ middle bridge
こちらがGL151というモデルです。
GL151については、テンプル(耳にかける部分)が140mmの長さのものと、150mmの長さのものを用意しています。
これは、KYOTO Iのモデル。
KYOTO IとKYOTO IIのモデルは、レンズの大きさが違います。
KYOTO Iが小さめ、KYOTO IIが大きめです。
GERNOT LINDNERのゲルノットさんは、アンティーク眼鏡のコレクターでもあるそうです。
だから、もの凄いレベルのアンティークも所有しているそう。
Lunorでもそうだったと思うけど、古い眼鏡を追究し、研究し、その上で、素材を"スターリングシルバー"で製作をしています。
アンティーク眼鏡の一つの大きな特徴として、テンプルの長さが調整できるということがある。
GERNOT LINDNERは、いくつか特徴があるのですが、その内の一つが、テンプルを調整できる"アジャスタブルテンプル"が採用されているということ。
だから、当店では、レンズの形状がクラウンパント型のKYOTOに、アジャスタブルテンプルを採用してもらっています。
そして、こちらは、GL 151のモデル。
GERNOT LINDNERのもう一つの特徴としては、"ノーズパッド"が存在しないということもある。
このこともアンティーク眼鏡の特徴なのですが、一山式のサドルブリッジで、ノーズパッドがなく、昔の眼鏡の趣を忠実に再現してる。
この一山式サドルブリッジは、当店で今回取り扱いをする、KYOTO、GL 151のどちらも共通です。
ノーズパッドがないことで、鼻からずれ落ちてしまうことを懸念される方もいるのですが、このブリッジは、ブランドで3パターン存在します。
・ヨーロピアンブリッジ
・ミドルブリッジ
・アジアンブリッジ
この3つ。
上から順に、鼻に当たるブリッジが高く、下にいくとブリッジが低くなるんですが、当店では今回は全て"ミドルブリッジ"での展開です。
ミドルブリッジであれば、アンティーク眼鏡の趣を感じられながら、日本人の骨格にも比較的フィットするんじゃないかと思います。
どうしても、どうしても、どうしても合わない方がいたら、岡山眼鏡店の猪原さんが「調整しますよ」って言ってくれてるので、安心して。
ヒンジの部分も、アンティークを再現した仕様です。
スターリングシルバーの素材と、無駄のないフォルム、佇まい。
眼鏡という"道具"として使うことができるもの。
ただ、僕はその道具は、何でもいいというようには思わない。
COTTLEのブログを書いた時にも紹介した、"民藝の言葉"がすごく好きなんですよ。
「人間は裸で生まれ、裸で亡くなる。
その人生を過ごす中で、様々な道具を使う。
ただ、その道具は"美しいもの"でなくてはならない。」
という言葉。
僕はすごくその民藝の言葉に共感するのですが、日頃から身に着けるものによって、人間の内面って変化すると思うんですよね。
だから、美しいものを身に着けると、そのモノによって感じられることがあり、内面が磨かれると思ってる。
今回のGERNOT LINDNERの眼鏡も、まさにそう。
昨日紹介したseventyfiveの洋服もそう。
こんなむちゃくちゃ長い文章で書いてるから、全部が全部このブログで紹介できないんですけど、当店で取り扱って、皆様に見てもらう服やモノは、全てにそう思ってるんですよ。
ただね、今回のGERNOT LINDNERの眼鏡は、より一層、その"道具性"に秀でてるものだと思うから、興味のある人は、マジで使ってみて。
ヤバいから。
研ぎ澄まされてる。
僕は、目が悪いから、車を運転する時は、岡山眼鏡店さんで買ったセルフレームの眼鏡をかけてたんですけどね。
それも気に入ってたんですが、これは、レベル違う。
これまでは、セルフレームだと長時間かけていたら少し疲れていたんですよ。
ただ、GERNOT LINDNERは、手で持った時には、そこまでは思わないんですが、かけてると驚くほどに軽い。
全っっっ然疲れないし、モノにオーラが感じられるから、常に使っていたくなる。
洋服ってすごく良いものだなって毎日思ってるけど、服とはまた違った魅力をGERNOT LINDNERにはすごく感じてる。
僕は、KYOTO Iを使ってるんですが、角があって、リムが上下でフォルムが違う分少し強さがあるように見えるけど、これもそれなりにクラシックみたいですね。
そのモデルにアジャスタブルテンプルを組み合わせてもらってる。
GL 151の方は、丸みを帯びて、より普遍性を感じられるボストン型。
こちらの方は、よりシンプルに眼鏡の良さをご体感頂けるように、ゴルフテンプルを組み合わせてもらっています。
どちらも過剰なフレームの線ではなく、華奢さもありながら、すごく考えられて設計されてるのを感じる。
そして、何より、素材の良さが際立ってると思います。
これ、僕が使ってるものですね。
大体1ヶ月くらい毎日使ってますが、内側には、特有の色の変化が出てきた。
このように黒くなってくるのは、シルバーならではの素材の自然な変化ですね。
GERNOT LINDNERでは、仕上げ方法や、色展開もあるのですが、今回当店で取り扱いをするものは、"SN"という仕上げです。
スターリングシルバー925に対して、ロジウムメッキで仕上げ、最も素材を活かした自然なものでオーダーをしました。
ブランドではカラー展開などもあるのですが、全てのモデルは、ロジウムメッキでコーティングした後に、その上から最終仕上げをするそうです。
だから、スターリングシルバーが最大限に活かされてるって思ってください。
これ。
KYOTO I。
最初の2、3日だけは、毎日使った後に拭いてたけど、今はそういうの終了。
気が向いたら、着てるシャツの裾で拭くくらいです。
GERNOT LINDNERを取り扱うことで、初めて眼鏡を当店に並べることにしたのですが、他のブランドを増やしていくことは全く考えていません。
僕は、"眼鏡"というものよりも、"GERNOT LINDNERの眼鏡"に惹かれたので、これだけです。
当店では、様々な眼鏡ブランドと同時に比較するということはできませんが、"モノ好き"な方は、見てもらえたら共感頂けることがきっとあると思いますよ。
ちなみに、GERNOT LINDNERの商品は、オンラインサイトでの販売が禁止されていますので、当店のオンラインストアには掲載を致しません。
遠方にお住まいの方で、気にして頂ける方は、ご連絡ください。
店頭にお越し頂ける方で、興味を持って頂ける方は、ご覧頂けたら嬉しいです。