ハンドソーンシューズ "FEIT"
今日は、久しぶりにFEIT(ファイト)を紹介させて下さい。
NYのブランドで、デザイナーの思想を100%形にできる台湾の小さな靴工房で確かな腕のあるシューズ職人により手縫いで生産されるブランド。
FEITのシューズは全て"ベンチメイド"。
ベンチメイドというのは靴特有の言葉なのですが、一足に対し全ての工程を一人の職人が担当し、最初から最後まで一人で製作を行うことを指します。
それを全てのシューズで行い、しかも完成した靴はあたかもそのような"ベンチメイド"という工程を経て出来上がったとは思えないような見た目をしてる。
それがFEITならでは。
世界的に見てもそのベクトルでつくられるベンチメイドシューズはFEITにしか存在しえず、宇宙レベルでとても珍しいシューズブランドです。
FEIT
Lugged Runner
material _ suede (elk leather)
process _ handsewn
color _ grey
size _ 40(25cm),41(26cm),42(27cm),43(28cm)
これ。
見た目はいかつめの構築的なスニーカー。
でも、実は手縫い靴。
アッパーは、一枚構造のキメの細かいスウェードレザー。
このスウェードはヘラジカの革である、エルクレザーですね。
強靭さと軽さなどいろんな長けたことがある革なんですが、これもFEITならではで珍しい革。
そこに今年のFEITのキーワードであるアウトドアというエッセンスを加えるために、水に強いラバーテープをグルリと巻き、レザーのウェルトにコバの出し縫い、ラバーミッドソール。
そして、
Vibramソール。
なのですが、よく見て。
Vibramのあの黄色いブランドネームの下に、浮かび上がるFEITのロゴ。
そう。Vibramとの共同開発オリジナルソールが足元を支えてくれる。
このVibramソールと一緒にブランドロゴが入るのは、僕はFEITしか見たことがありません。
以前にバレンシアガがVibramとコラボレーションしていましたが、それもこのようにブランドロゴが並列で入ってたのかな??
通常は、Vibramソールを使うことができても、世界のVibram社と名前を並べることは許されないはずですが、FEITはその辺を超えてきてる。
世界的に考えても他のブランドではあり得ないソールです。
FEITの世界的な立ち位置を瞬時に理解させるパワーソールですね。笑
あとは、もうそろそろお目見えするけど、今シーズン当店で取り扱いをするMidorikawaもVibram社とコラボレーションしてます。
それも驚愕の見た目のシューズですが、日本のブランドでは、ソロイストに次いで2つ目のブランドらしいですね。
そちらは後日全国一斉発売ですので、またこの先ですが。
まあ、このVibramとの共同開発ソールのがっちり地面を掴む感覚や、耐久性、高反発性は抜群ですが、ヒールのミッドソールにはFEITの特徴でもあるコルク層が配置されてます。
かなり細かく刻まれたコルクですが、これにより踵部分からの足の馴染みをブランド独自理論で考えられてる。
これがサイドビュー。
全体として、無駄なステッチワークは入りません。
断ち切りでも成立する革で、それをきちんと革の端の処理を丁寧に行なっているのと、全てがミシンを使わない手縫い構造のシューズなので、そのハンドソーンが必要箇所にだけ、必要な分入ってる構造です。
バックスタイルもとても構築的に組み上げられてる。
ヒールストラップはしっかりと厚みのあるコードヴァンレザーを二つ折りで配置。
シューズの側面にぐるりと一周巻かれたラバーテープはヒールで手で縫い付けられてる。
エルクレザーにコードヴァン、ラバーにウェルトのレザーテープ、コルクソール、手縫いステッチ。
全てに意図がある組み上げですが、その素材コントラストがとても強く、一足の中でもしっかりと表情のあるシューズですね。
機械縫いにはここまでアッパー近くまで入れることは不可能なウェルトのステッチワーク。
アッパーの一枚革は、吊り込みでラストの立体感を出すのはもちろん、カッティングによりアッパー本体と、シュータンとに分け、補強が必要な箇所には手縫い。
最初に付属するシューレースはコットンの平紐にロウ引きをしたもので最初は硬く結びにくいですが、慣れてくれば結びやすく解けにくくなってくれる。
こう、一つ一つディテールを見ていくと手を入れてるのがすごく感じられるけど、一見するとそうとは見えないのがFEITのシューズ。
このようなベクトルでつくられたシューズになると最近ではドレス的な見た目のものが多いと思うけどFEITはそこじゃないの。
しっかりと手縫いで時間をかけてつくるけど、それが見た目がそうとは思えない。
いかにもなドレスシューズやレザーシューズではそれは当然なんだけど、もはやそれさえも飽和状態に思う。
大体、そんなに綺麗過ぎる見た目のシューズをいつ履いていくんですかって僕は正直思っちゃうし、スーツを着るならまだしも、洋服と組み合わせた時には足元だけが煌びやかで、どうしても負けちゃうように思うから、当店ではそのような綺麗なだけの見た目のシューズは基本的には取り扱いしていません。
そのシューズから更なる奥行きを一段階も、二段階も、もっともっと感じられるものを魅力に思う。
だから、FEITもハンドソーン、手縫いがヤバいですよ。っていうことではなくて、実際に丈夫なのは確かだし、そのような手のかかる工程って実際に履いていて、新品の時よりも半年後、一年後、三年後の方がきっと履いている感覚も歩行のしやすさも格段に上がってる。
それを性質上、気兼ねなく履けるスニーカーだったら尚更、良いもんじゃないですか。
その手縫いで時間をかけてつくったものの奥行きを心ゆくまで体感してもらいたいと思ってます。
そして、FEITのシューズにはこのような付属品が付きます。
写真の通りです。
そのシューズをつくりあげた職人のサインとコルク製のインソール、ケアガイド、シューズ保存袋、シューレース。
シューレースはこのように本体のカラーに合わせた厚みと強靭さがしっかりとあるレザーVer.が付属するからこれに変えるのもアリ。
そして、
FEIT
Utulity Hiker
material _ semi cordvan
process _ norwegian
color _ black
size _ 40(25cm),41(26cm),42(27cm),43(28cm)
こちら。
当店で初めて扱うブーツタイプのFEITのシューズ。
アッパー本体は、FEITの顔であるセミコードヴァンという名前の付けられたコードヴァン革。
その特性上、より強く、細かい革質が特徴で、経年による変化も溢れんばかりに堪能できる革。
しかも、フルベジタブルタンニンの鞣しで最初は硬くて、まさに"馴染ませる"という工程が必要な革ですが、それが所有者のものになれば完全に別世界が堪能できる革。
それを本体に、今回の製法は、"ノルウェージャンウェルト"。
L字型のレザーのウェルトテープを巻き付け、本体とウェルト、ウェルトとソールをそれぞれ縫い分け、えげつない程の質実剛健さを出すことができるシューズの製法です。
そのため、まさに誰がどう見ても頑丈そうなのが一目瞭然。
そして、このノルウィージャンの縫いももちろん手縫い。
もちろんソールの交換もOKだし、これで森にだって行けちゃう。
圧巻の耐久力を持つ製法です。これ。
セミコードヴァンの見るからにこれから変化していく気が満々の革のポテンシャルとナチュラルカラーのウェルトテープとミッドソール。
とにかく履いて、日焼けして、その変貌時の姿は、漢は全員好きだと思う。
ただ、このようにマウンテンブーツの類のシューズって例外なくボテッとしたフォルムだったじゃないですか。これまでは。
でも、FEITはそうじゃない。
細身だけど立体感あるシャープなフォルムが共存してる。
だから、スタイルを崩さないのよ。
このバランス感は見事ですよ。
やはりラストが良いですからね。巨匠がつくった木型なだけありますよ。
こういう海外のブランドならではのセンス。
こちらも先ほど同様にFEITの一枚革のホールカットスタイルで。
写真では非常に分かりにくいから、申し訳ないんですが、ソールのコバの処理も綺麗に整い、文句ない処理がされています。
こういうサイドの処理の部分もとても大事です。
L字型のウェルトの下にはレザーのミッドソールが挟み込まれていますが、足が屈曲する箇所にはラバーが配置されています。
ノルウィージャンウェルトではどうしても靴の屈曲が硬く感じるので、曲がる部分は過度に硬くならないよう、ラバーでのしなやかさを与えてくれてる。
これが歩行にすごく適してる。
思いやりの仕様です。
そして、こちらも先ほど同様にVibramソール with FEIT。
このシューズの堅牢さをものがたるアウトソール。
ヒールの高さは3.5cmと高めで、このようなソールならでは。
もはや安心感の塊。
断ち切りのシュータンと中にクッションが入れられた履き口。
足首をソフトに優しくホールドするスウェードレザーが配置されています。
ホールカットで一枚革のレザーアッパーはヒールでハンドで縫合。
ノルウィージャン製法で、最初からとても安心感があるシューズですが、この靴がその潜在能力を発揮するのは、やはり履いていったその先ですね。
新品の状態はどうしてもインソールの硬さを感じると思うけど、体重の重みと足からの熱、汗で自然に所有者の足に添って丸く包み込むように変化し、最初からは想像できないくらいに向上する履き心地。
これは尋常じゃないレベルの変化。
そのためのハンドソーンでのベンチメイドです。
シュータン裏にも、担当した職人の名前が手書きで入ります。
残念ながら読めないけど。
やはり、シューズはFEITもそうだし、PETROSOLAUMもAFOURもPost Productionもそう。
ソールが摩耗したら使い捨てで終わるようなものではなくて、その先も修理して使い続けられるものを愛用していただくのがベストだと思います。
まあ、ソールなかなか減らないけど。
最初のプライスのハードルはあるけど、そこさえ超えてしまえればきっと素晴らしい体験をしてもらえると思います。
しかしながら、FEITのシューズ、
先に紹介したLugged Runnerがオールハンドで\69,000-(+tax)。
このノルウィージャンのUtility Hikerが\76,000-(+tax)です。
これは価格破壊。
ハンドソーンの概念変わるし、しかもノルウィージャンのブーツって経験的には、大体13万円?みたいなことになるのが通例だから、これヤバい。
はっきり言ってこの価格で本物のノルウィージャンのブーツでここまでしっかりつくられてるものはFEIT以外では出会えません。
これすごいこと。
シューズがお好きな方は見てみてもらえると必ず驚くと思う。
ハードル上げてても靴のクオリティが悠々と凌駕してくるから期待して見てみてください。