現在、DAN TOMIMATSUのイベント開催中です。
連日お越し頂けているお客様方はありがとうございます。
日頃から店頭で取り扱いをしているDAN TOMIMATSUですが、もちろんいつもはブランドの中でも一部のラインナップだけですからね。
この機会には、ほとんどのものを見て頂け、その中から選んでもらえるのはとても良いと思います。
特にリングは、厳密なサイズがありますしね。選ばれしゴールデンフィットの方じゃないと店頭で取り扱っているものは手にして頂けることが難しいと思うので、ご検討頂けている方は見てみてもらえると嬉しいです。
今日は、amachi.を紹介しますね。
この到着をとても楽しみにしていたんですよ。
amachi.の中の”ハンドプロセスシリーズ”。
デザイナーの吉本天地さんが自分で手を加えるコレクションのものですね。
その中でも、これまでのamachi.のハンドプロセスとは少し異なった、ニュースタイルのもの。
“Regarding Wave”
という今回のCollection 012。
波。
“波について”
という今回のシーズン。
波が打ち寄せていたり、波が削っていたり、風で水面がゆらめいていたり。
それらの”波”をamachi.の洋服で表現しようとしてるシーズン。
だから、”自然のゆらぎ”がとても感じられるコレクションラインナップだと思う。
その中でも、さっきも言ったけど、ブランドで新しいハンドプロセスが登場してる。
今回のコレクションで皆様に紹介できるのを最も楽しみにしていたもの。
コレクション内でもリミテッドということで全生産数は、MAX15着。
そして、その中でも全てが見た目が異なるもの。
だから、どうしても皆様に見てみてもらいたくて、オーダー時には、15着という限られた枠組みの中で、希望オーダーはその多くを占めてた。
最終的にどれくらいの数をつくって納品してくれるのかは、ブランドサイドの判断によるもので、実際には、何着納品してもらえたかはここでは言えないんですが、熱烈な希望をお伝えしたので、複数着を用意してもらえた。
まあ、それでも多くはないんですけどね。
これまでamachi.を当店でご覧頂けていた方も、今回のを通してご覧頂ける方も、この洋服を着て、見てもらえれば、amachi.のことがとてもよくご理解頂けると思います。
amachi.
Collection 012
Traces of Water Flow – Jacket [× Elise Gettliffe]
material _ COTTON 100%
color _ OFF WHITE
size _ 4(S),5(M)
これ。
“Traces of Water Flow” = 「水の流れの跡」
amachi.の構築・フォルム・ハンドプロセス。
その3つがとても高いレベルで合致した洋服。
amachi.のブランドの洋服クオリティ、表現がとてもよく出てると僕は思ってる。
amachi.のタグに加え、ハンドプロセスのナンバリング。
そして、付属する陶器のボタンを製作したElise Gettliffeのタグが付けられる。
これまでamachi.のハンドプロセスというのは、デザイナーの刺繍などのハンドワークを行い、その有機性を加えたものだった。
そのテクニックは、表現するものによって方法が変えられ、ミシンを駆使したものや手刺繍のものなど様々。
ただ、今回は、自然環境がその造形をつくり出した石、”泥岩”というフラットなものを使って、そのフォルムを有機的に洋服に描く。
泥岩の上から、染料を流し込み、石の周囲に溜まったり、流れていく染料がそのまま柄として残る手法。
泥岩は、海底に堆積した泥が固結して、岩石となったものだそうで、有機物を含むそう。
そのため、その染色過程で、泥岩が保持する有機物と、染料との反応で色が変化したり、再現性のないプロセスも今回のハンドプロセスでamachi.が大事にしてること。
そして、その上からところどころの輪郭をなぞるようにステッチが加えられてる。
泥が時間をかけて堆積し、生まれた形。
その形状と、染料との反応による色変化を一つずつデザイナーが洋服に映し出したのが今回の洋服。
当店では、複数着あるので、一部を紹介しますね。
全部印象が違うから。
色合いやハンドプロセスが施された場所。
それぞれに固有のものを持ってると思います。
そして、洋服の設計そのものもとても有機的なゆらぎのある設計をしてる。
切り替えを利用し、左右で異なる肩の形状。
とても曲線的な身頃と袖の切り替えだけど、左側はセットインスリーブとドルマンスリーブが掛け合わされたようなオリジナルパターン。
左肩の切り替え線には、それを利用したポケットを配置。
対して、右側は、ラグランスリーブとドルマンスリーブが組み合わされたもの。
その切り替え線も衿と一続きになったような設計。
通常のラグラン線よりもかなり低い位置からスタートする肩の切り替え。
洋服のセオリーではない複雑で曲線的な設計だから、着用時には、パッと鏡を見ただけでは、脳がすぐには理解できない。
こっち側はバックも変わってる。
見たことない箇所に、見たことのないカーブでの切り替え。
ただ、このような切り替えも着用時には、amachi.の洋服のフォルムを見事に生み出してる。
バックもよく見ると左右非対称。
amachi.特有のアームホール周りのボリュームが演出される設計です。
ショルダーラインは、肩にフィットするけど、腕周りは分量があり、それが裾で集約される。
コクーンシルエットみたいな。
だから、腕はかなり動かせて稼働できるし、ボディも過剰な分量によるもたつきも皆無。
そして、アームはシャープ。
かなりのバランスしてると思いますよ。
着てみてもらえたら感じて頂けると思う。
本体は、コットン100の一重仕様の生地なのですが、生地タッチは、シャツ地ほどではないけど、きめ細かく少し濡れたような、柔らかい平織り。
例えるなら、カネタさんのZZ強撚の生地をもっと柔らかく、自然的で素朴にしたようなニュアンスですね。
名前は、ジャケットとなってるけど、時期によってはシャツとしてもいけるし、洋服の設計がアウターのものを採用してるからジャケットですが、最も分かりやすく言うなら、シャツジャケット・ライトライトアウターみたいな感じです。
その生地を使って、洋服の形を完成形にした後に、デザイナーが石の形をトレースしてる。
人間が意図的につくることができない自然の石の輪郭を洋服に重ねてる。
場所によっては、複数種類の石が別色でトレースされた箇所もあるのですが、そこで色の重なりが一層複雑に変化してる。
一つのトレースされた場所でもよくよく見てみないと理解できない洋服です。
トレースされた輪郭を浮かび上がらせるように、もう一度ハンドプロセスの刺繍。
ハンドプロセス×ハンドプロセス。
自然がつくり出した造形を、デザイナーが人工的に手を加える。
でも、それがどのように洋服に映し出されるのかは自然に委ねることになる。
自然と人工のどちらもの要素を持ち、自然と人工の中間地点に存在するハンドプロセス表現が施されてる。
フロントは3つボタンなのですが、全てがElise Gettliffeによる作品性のあるボタン。
Elise Gettliffeは、ファッションの名門大学、アントワープ王立芸術アカデミーを首席で卒業したらしいのですが、卒業した瞬間に服をつくるのをやめたそうです。
そうして、陶器作品をつくるアーティストになったバキバキにキレてる人。
amachi.の洋服ととても相性がとれてる。
袖口も同様。
フロントよりも大きさは小さめです。
ネック裏のみ裏使いのシェルボタンが配置。
月腰仕様の衿。
先述の通り、裏地は付属せず、一重仕様。
製品でのハンドプロセスだから、むちゃくちゃ滲み出てる。
これだけ染みてるから、洗濯を続けてもそれなりにしっかりと石の輪郭が残ってくれると思います。
amachi.の染色は、純度100%の天然染色がほとんどですが、これは、トレースのアウトラインの表現性を考えて、堅牢度が高いものを使ってるんじゃないかな。
生地の雰囲気は、先ほどの通り軽快です。
縫製は、全て本縫いで、本体は、袋縫いが多用されていますね。
だから、切り替えは多いけど、表にステッチがほとんど出てないので、切り替え線の柔らかさが存分に感じてもらえると思います。
そして、これ。
着用。
身長167cm、体重53kgでサイズ4(S)。
今回のこの洋服は、ブランドでも、サイズ展開が4(S)と5(M)だけなんですよ。
ただ、ほとんどの方が2サイズで当てはまると思いますね。
カーブが多用された設計。
アームホールの分量も、裾ではテーパードがかかり、ボリュームが集約される。
最初の方にも言ったけど、”構築・フォルム・ハンドプロセス”。
この3つがとてもハイレベルで組み合わされてる。
あとは、吉本さん自身も着用による生地変化や洋服の変わっていく様子もとてもポジティブに捉えて考えてる。
だから、着て、使ってもらえたらamachi.の洋服をとても感じてもらえると思ってる。
当店のamachi.の超注目シリーズですからね。
ご検討頂ける方は見てみてください。