昨日まで3日間開催していたNEAT HOUSEにアポイントを頂いてご来店くださいました方々、ありがとうございました。
こう言うのは、あれだけど、最近はものすごい出張続きで、スーパーラッシュだったからなかなかこのブログを書くことができなかったんですけど、今日は、un/unbientを書きますね。
un/unbient (アン)。
もう取り扱いをして何シーズン目になるか分からないけど、当店での最初のシーズンは、結構前。
シーズン毎に取り扱いラインナップのテーマを自分の中で設けて、それでラインナップを決めてるんですが、今回はこのシャツは、見た瞬間に逃れることができなかった。
"梳毛(そもう)"カシミヤのシャツ。
それもライトブルーみたいな色合いの糸が入ったチェック柄。
そもそも、カシミヤってカシミヤ山羊の産毛なんですが、世の中で目にするのはほとんどがシーズン的に考えると秋冬の時期じゃないですか。
カシミヤ山羊の毛ってかなり優秀だから、秋冬シーズンにはニットにするとすごく温かく快適に過ごせちゃうワケですよ。
日本の冬場は、外はかなり寒いし、室内に入ると暖房がむちゃくちゃ利いて、寒暖差がすごいじゃないですか。
そういう状況でも余裕で対応してくれる繊維特性を持ってる。
あとは、誰もが想像に容易いけど、肌触り。
この温もりと肌触りのハイレベルな組み合わせがカシミヤセーターの特権。
だから、カシミヤのニットって重宝される。
でもね、それには全て共通点があって、それは"紡毛(ぼうもう)"の"編み(ニット)"ということ。
カシミヤに限らず、動物繊維の"毛(ウール)"や"獣毛(カシミヤ・ヤク・モヘア・キャメル・アルパカなど)"には、生地になる前段階の糸の状態で、2つが存在する。
・紡毛(ぼうもう)
・梳毛(そもう)
この2つ。
"紡毛"は、簡単に言うと縮れた状態の毛を紡いで糸にして、その縮れを利用して、撚糸も少なく、甘撚りにして、ふんわりと膨らんだウール糸のこと。
"梳毛"は、毛や獣毛をしっかりと櫛で梳いたようにして、真っ直ぐに整えた状態で、撚糸をかけ、毛羽立ちの少ない、肌当たりが滑らかなウール糸のこと。
だから、梳毛は基本的には、同じウールでもスーツ地とか、そっち系。
紡毛は、空気を多く含むニットに適してるってワケですよ。
そして、カシミヤ繊維は、そもそものカシミヤ山羊が寒暖差の激しい地方に生息し、そんな環境でも、生命を維持できるように遺伝子として備わった、人間では考えられないようなエゲツない"体温調節機能"を保有してるから、紡毛でニットとして使われ、それを着ると、人間を温もりと快適な着心地で守ってくれる。
しかしながら、今回は"紡毛"ではなく、"梳毛"。
これが重要。
僕もね、"梳毛のカシミヤ"って大好きなんですけどね、それでもプライスは必然的に上がってくるから、なかなかハードルが高いんですよ。
取り扱うのも。
でもね、最初に言った通り、これは逃れられなかった。
"梳毛カシミヤ"の肌触り、快適性、そして、ライトブルーみたいな色合いのチェックパターン。
でも、それだけじゃない。 その"梳毛カシミヤ"の耐久性を格段に引き上げるために、カシミヤの上からラフにシルクの"生糸"を巻き付けてる。
un/unbientの中村さんが愛知県の山栄毛織さんでつくったオリジナル生地。
これ、着て驚いて。
un/unbient
T.A.T STAND COLLAR SHIRT
material _ CASHMERE 78%,SILK 22%
color _ BEIGE CHECK
size _ 3
これ。
スタンドカラーの形状に、梳毛カシミヤと生糸シルクの生地、そして、ボタンは全てが茶蝶貝ボタン(3mm厚)。
色の微妙な差は気にしないで。無視して。室内で撮影してるから。
でも、この生地は無視できない。
アンの中村さんは、カシミヤシルクポプリンって言ってるから、平織りです。
梳毛のカシミヤ糸を軸として、その上に生糸でカバーリング。
平織りだけど、均一ではなく、ある程度、粗めに生糸を巻き付けてるから、上質な素材でも、気持ち平織りの生地組織の目が立体的に立ってる。
グレージュっていうか、ベージュっていうか、良い感じのニュアンスの色合いをグラウンドに入るライトブルーの糸。
この糸も同じ素材かな。
多分、双糸。肉眼で見た感じ。
マイクロスコープ使えば一発で分かるんですが、今パソコンをマック使ってるから、このパソコンじゃマイクロスコープが使えないんですよ。
パソコン接続型のマイクロスコープだから。
ですので、多分、同じ混率の双糸の糸を一本入れて、柄出しをしてると思う。
あからさまではないですが、この光沢。
絹紡糸のシルクだったらもっと光ってしまうけど、精錬をしていない生糸状態のシルクなので、ある程度のところで光沢は留まってくれてるように思います。
これがビカビカの輝きだったら、このカラーリングとはあまり相性が良くないと思いますからね。
誰がどう見ても上質なのは、一瞬で察知してもらえると思う。
生地のタッチで言うと、肌の上を滑る。
ただ、上質なコットンとかで体験できる"滑らかさ"とは全然違うジャンル。
生糸の存在も確実に存在するのが分かるし、それ以上に梳毛されたカシミヤの肌を滑る"あの感覚"。
これはね、例えようがないんですよ。
だって、梳毛のカシミヤってそんなにたくさん存在しないし、他の繊維じゃこのタッチは出せないから。
でも、みんな大好き。
だと思う。
着て驚いてください。
豊かな生地の流れ落ちる様子と、茶蝶貝ボタン。
フロントに前立ては付きません。
裏前立て仕様です。
剣ボロ、カフスももちろん3mm厚の茶蝶貝。
コロナの世界になる前にね、アンの中村さんと岡山でお茶したことがあったの。
その時に、色々話をしてたんですが、中村さんは、生地に対して違和感のあるボタンを意図的に付けないようにしたい。って言ってた。
僕は、ボタンが迫力あるものはすごく好きなんですけどね、例えばAraki Yuuみたいにコットンやリネンに対して、真鍮のボタンが付くバランスとか。
でも、中村さんは自分はそういうボタンが強く出る服は目指さないって言ってたんですよ。
それはもちろん、ブランドが何を目指して、何のために洋服をつくるのかっていうことによるけど、比較的un/unbientのシャツには、白蝶貝とか黒蝶貝が付属することが多い。
しかしながら、今回は生地がベージュ。
それに生地が生地だから。
生地との調和をとろうとするあまり、世界的にも珍しい茶色い蝶貝ボタンになってる。
しかも3mm厚というのもあり、このコントラストは、かなりのもの。
生地とボタン、両者が互いに引き立て合ってると思うし、どちらもが負けてない。
この組み合わせは、気に入ってくれる人が多いと思いますよ。
そして、ハンギングの状態でも見事な腕のラインが出てる。
肩を頂点として、肘まで美しい三角形のアウトライン。
全体にこの梳毛カシミヤ生地が流れ落ちるってことですよ。
着用感としては、風が通る感じもあり、糸の使用分量もあるので、超軽量ってことでもないですが、夏も袖捲って、フロントオープンにして、簡単に着てもらえたら良いかなって想定してます。
サイズは、一番大きい3のみです。
これには自分の中で意図があって、190cmまでいかない方だったら誰でもイケると思ってる。
僕は、167cmなんだけど、自分でもこのサイズで、梳毛カシミヤを着るバランスがベストだなって思ってる。
僕ぐらいの体格の人なら大きいサイズにはなるけど、生地が落ちるからそれで成立する。
そして、これくらいのレベルの生地ですからね、このシャツに対して、自分が合わせていくっていう、どう着てやるかっていうのを一番考えやすいサイズバランスだと考えたので、サイズ3のみで取り扱いをしています。
もちろん、180cmオーバーの方がきちんとジャストサイジングで着るのもモーマンタイ。
サイドボックスプリーツ。
それと、バックヨークの内側にだけキュプラの裏地が張り付けてあります。
さっきから何回も言ってるけど、梳毛のカシミヤベースのシャツですからね。
これ、日本の四季に対していつでもすんごい快適なんじゃないかと思う。
夏場とかヤバいかも。ポジティブな意味で。
そして、内側には、"tat"という特別版の印字。
これは、いつもあるシリーズではないのですが、アンの中村さんが言うには、その時々の出会いを楽しんでください。
っていう意味合いだそうですよ。
いつも存在するものではないけど、コレクションの中でより特別なものに付けられるシリーズです。
そして、その下には品質表示。
そう。 このシャツ。 ウォッシャブル。
最強。 超優秀。
お好きな方は、見てみてください。