これまで川上を遡って少しずつ紹介をさせてもらってきた今回の洋服。
大変な希少繊維である"グアナコ"をベースに使うことを考え、山栄毛織さんの"両口開口低速レピア織機"で生地を織ってもらい、大物パタンナーの山崎さんに僕が思うことと、tilt the authenticsの中津さんのエッセンスを汲んでもらった独自設計。
そして、それを一ヶ月間の時間をかけて、マーヤさんでとても丁寧に縫い上げてもらった洋服です。
今回の洋服は、僕の中で完成形のイメージは漠然とあったのですが、何度も何度もtilt The authenticsの中津さんと話し合い、考えをぶつけ合うことで、どんどんとはっきりとしてきた。
僕の中での構想のキーワードは、"ダーツ"。
メンズの洋服のジャンルでは、パンツのヒップから腰にかけてなど、ほとんど限られた箇所にしか使われることのない仕様。
"ダーツ"はレディース向きの洋服の仕様なのだ。
僕はダーツがもたらす人体に添った立体感を生み出すことはもちろん、洋服の構造の中で、途中で消えゆく線、そしてダーツの裏側の生地の重なり幅の変化していく様、それを見事に綺麗に処理をしている洋服というものに、とても心が惹かれるの。
それは、タックほどボコっと、はっきりと表面に現れるものではなく、生地の水面下で繰り広げられるかのような、静かな動きと緻密な設計が、考えただけでもすごく美しく感じるから。
今回、tilt The authenticsの中津さんと話し合いを繰り返す内に、中津さんが絵型を描いてくれ、それに対して、僕も絵型を描き、双方に目指す洋服の構造を構想した。
そして、その鮮明に出来上がった完成形には、"壮絶な設計"が組み込まれていた。
ダーツは、ただ入れれば良いというものではない。
お尻の少し上の真ん中の腰位置以外、全ての箇所がカーブしている人体の形に、きちんと寄り添い、そのフォルムを生み出しながら、洋服としてのアウトラインも無理なく、無駄なく、美しいものでなければならない。
だから、パタンナーの山崎さんが、昼夜を問わず、もの凄く向き合って下さって、洋服の根本の設計から、ダーツの長さ、的確な位置、ダーツの展開に伴う分量の分散など、複雑な設計をつくりあげてくれた。
これは、決して、見た目だけの完成度のみではなく、超専門的なプロフェッショナルの領域に置いても、途轍もなく高いレベルで"パターンメイキング"を行ってくれたのだ。
これにも超感動。
非常に心揺さぶられるものがある。
生地、パターン、縫製、全ての工程において、tilt The authenticsの中津さんがこれまで積み上げてきたものを駆使して、誕生した洋服です。
ジャケットとトラウザーの2つ。
どちらも、壮絶な超丁寧仕様をご覧ください。
それが、これ。
tilt The authentics × CASANOVA&CO
tilt The Coverall Jacket
material _ GUANACO 38%,GREEN COTTON 36%,WOOL 26%
color _ NATURAL COLOR
face _ GUANACO
size _ 1,2,3
tilt The authentics × CASANOVA&CO
tilt The Coverall Jacket
material _ GUANACO 38%,GREEN COTTON 36%,WOOL 26%
color _ NATURAL COLOR
face _ GREEN COTTON(FOX 50G)
size _ 1,2,3
まず、これ。
"tilt The Coverall Jacket"というもの。
衿の形状や、ウエストのパッチポケットなど、カバーオールスタイルに近いニュアンスはあるのですが、"カバーオールの枠組み"から飛び抜けたものをつくりたいと思っていた。
もともと、"tilt The authentics"というブランド名にあるように、"tilt"という言葉は、「傾ける」という意味である。
「オーセンティックなものをストレートではなく、少し傾けたものを」ということでスタートしたのだ。
そして、ブランドでもこれまでカバーオールは、ある種の"顔"のような存在として、つくってきたもの。
今回のものに、ブランドのネームにある要素を加え、tilt The authenticsの中でも、"カバーオールの集大成"として一緒につくったものである。
だから、これには、いろんなエッセンスが詰まってる。
以前に少しお知らせしたように、今回は、"色違いではない"同じ一つの生地の、"表と裏"をそれぞれ使い分けています。
ただ、同じ生地で、しかも全部の素材が"無染色"でありながら、生地の組織とも組み合わされることで、見え方が全然違うものができたと思います。
前の衿が低く、月腰パーツにより後衿が高くなったステンカラー型。
こちらは、"グアナコ・ウール"が表に出た、"ラチネ組織"面。
バック。
生地や縫製のクオリティを最大限に活かすため、シンプルな見た目に見えるけど、途轍もないことが詰まっているジャケットです。
密度が高く、厚みのある生地だけど、衿先は丸くならないように尖らせ、エッジの利いた衿のコバステッチ。
後ろ衿も見事なコバステッチ。
肩はラグランスリーブです。
ラグランの切り替え線には、表にステッチはなし。
ただ、もの凄くクッキリとした切り替えの線が入る。
これが、マーヤさんの中間アイロンのタマモノによる、"割り縫い"の美しさだ。
そして、このジャケット。
ラグランスリーブのラグラン線だけではなく、セットインスリーブにも見えるような肩の切り替え線が入ってるの分かりますかね?
あまりにも美しいラグラン線だけではなく、本来"セットインスリーブ"として入る、肩の切り替え位置に、"線が存在する"。
後ろからも。
これ後ろから。
分かりますかね?
途中で消える、"セットインスリーブのような"線。
これは、"ダーツ"なのだ。
この仕様は、tilt The authenticsの中津さんとパタンナーの山崎さんがずっと温めてきたヤバヤバ仕様。
山崎さんが何年も研究し、ずっとベストバランスを研究してきた"肩ダーツ"。
僕は、これまでにこのような"肩ダーツ"の洋服は出会ったことがなかった。
しかもね、、、
この"肩ダーツ"。
"袖高"仕様で、ダーツの中に、"イセ込み"という、ウルトラ縫製難易度が高い仕様が込められているのだ。
ほら見て。
分かりますかね?
"肩ダーツ"の位置を境界に、身頃側と袖側を比較すると、"袖側の方が位置が高く"なってる。
これは、簡単に言うと、カジュアルな洋服であればあるほど、身頃側が高くなる。
反対に、ドレス寄りの洋服であればあるほど、袖側が高くなる。
スーツをイメージしてもらえると分かると思いますが、スーツのジャケットは、袖が高いじゃないですか。
その袖が高い仕様が、ドレス寄り。
例えば、一般的なカバーオールは、全て"身頃高"であるはずだ。
今回は、カバーオールの見え方に近いこともあり、パタンナーの山崎さんが"袖側が高い"仕様で設計してもらった。
そして、更に、先述の肩ダーツの"イセ込み"。
"イセ込み"というのは、生地を縮めて丸み・立体感を出す仕様のこと。
通常は、セットインスリーブのアームホールに、袖側の生地がイセ込まれ、腕の動作、肩の稼働をできるようにする。
そして、通常は、ダーツというのは一直線だ。
だから、これは、本来直線でつくりあげるダーツを
"カーブさせ、その上、イセ込みを入れ、更なる立体形状に"
という、見たことのない超絶的なパターンと縫製テクニックが施されているの。
短い距離で、しかも丸みのある肩で、極限的なディテールを詰め込んだ非常に特徴的な"肩ダーツ"。
この縫製仕様は、マーヤさんの誇るNo.1縫製者、神山さんの技術だからこそ、一着一着全てに、もの凄く綺麗に形にできたものでもあり、山崎さんと神山さんの"神ワザ"だ。
もう、この時点で、こんなカバーオールは世の中に存在しないはずだと思ってる。
そして、ラグランスリーブと言っておきながら、肩の中心線には、切り替えが入る。
この箇所には、割り縫いの両コバにステッチが入る。
更には、肩の前後のラグラン線は、均一ではなく、ラグラン線のスタート位置が異なるの。
肩のパターンメイキングには、山崎さんがエゲツないほどにまで、細かい設計をすみずみに施してくれました。
神山さんの狂いのない、美しい割り縫い抑えのステッチワーク。
衿周りの縫製もカンペキ。
後ろ衿側に入る月腰のステッチワークも途轍もない。
そして、ポケット。
フロントに付く、ウエストポケットにもダーツをそれぞれ2箇所ずつ配置。
これは、ダーツ利用による少しのマチを出したかったから。
更に、ポケットはパッチポケットのスクエアに見えるけど、マチを出すために、真っ直ぐに付けてないんですよ。
このポケットは、リアルにすごく使う部分だと思うから、通常のパッチポケットよりも、実用としてのポケットの機能も目指してる。
ポケット口には、ステッチは入らず、両脇のカンドメのみ。
左右と底には、ひと続きでのステッチ入り。
このダーツ箇所にも、ダーツ抑えのステッチは入らないから、ステッチの有り無しによる陰影。
一着の洋服の中で、"複数種類の線"による洋服ディテールの奥行きを出すことを目指してる。
ポケットの内側には、コットン100%の生地による内布付き。
こういう思いやりがあるとないとでは、全然違うから。
まあ、そのポケット当て布がピッシピシに綺麗に縫われてることはもちろんだけど、ポケットそのものをふんだんに使いまくった時でも、ポケットが弱くなってしまうことはないと思います。
ものすごく安心してポケットを使ってください。
ボタン。
このボタンは、オリジナルではありませんが、それなりに珍しいものだと思います。
皮付きの水牛ボタンです。
水牛のツノからそのまま丸い形でくり抜いただけのようなボタンで、そのナチュラルな質感がずっと好きだった種類のボタンです。
ボタンの中でも通常のものよりは、かなりプライスが高いものだし、日本のブランドでは、あまり使われることがないものだと思いますが、僕がこのボタンが好きなので、今回は全てのボタンをこの"皮付き水牛ボタン"にしました。
表面の線の入り方、質感が一つ一つ違う良いボタンですよ。
ただね、このボタンの取り付けがハンパないの。
横から見ると分かると思いますが、もの凄くボタンが浮き上がってる。
しかも一つ一つがすんごいしっかり付けられてるのを実物は感じてもらえると思います。
このボタン付けもマーヤさんで時間をかけて一つずつ行ってくれました。
そして、最先端のボタンホールミシンを駆使して、開けられたボタンホール。
ステッチの密度、かがり目の幅。
スカスカなボタンホールの洋服も多いけど、このレベルは、圧巻。
ボタンを付け外しする度に、世界の最先端を感じてくれ。
皮付き水牛ボタン・最先端ボタンホールwithポケットダーツとコバステッチ。
Beautifulなこの景観。
袖口カフスにも、手付けの2つの皮付き水牛ボタン。
カンドメ。
このカンドメは、フロントの前見返し抑えと、ポケット口に入る。
通常のカンドメとは、全く違う糸の密度がとても高いカンドメです。
これは、袖。
前振りの袖なのですが、肘の内側にもダーツを搭載しています。
そして、前見返しの生地端の処理。
むちゃくちゃ細かいオーバーロック。
パタンナー山崎さんとtilt The authentics中津さんの指示により、通常よりもロックの糸の密度を上げて縫製してもらいました。
ガスガスなオーバーロックもカジュアルなカバーオールには多いけど、これは目指してるところがそこじゃないから。
だから、裏の裏の見えない箇所だけど、そういうところもマーヤさんが細かく手を入れてくれています。
ということで、裏へ。
ここから、マーヤさんの計り知れないレベルをより一層、ご覧ください。
経歴の長い、パタンナー山崎さんも、このクオリティに驚いた、マーヤさんの"割り縫い"パイピング。
そのオンパレードだ。
ウルトラ"割りパイピング"。
グアナコ・ウール×FOX 50Gの色のコントラストに加わる、寸分の狂いのないパイピング仕立て。
もう、このレベルは、フツーじゃない。
マーヤさんの縫製の基準が一瞬で感じられる。
全て均等な幅の"割りパイピング"。
そして、裏までも歪まず真っ直ぐ、細かく縫い続けられている。
裏からの洋服のオーラが超絶レベルだ。
メイドインジャパンとか、日本製が良いんだ。と言う時代、そこで判断する時代は、もう終わってますからね。
"どこの場所でつくられてるのか"とかじゃないの。
大事なのは、"誰がつくってるのか"ということ。
だから、僕は、tilt The authenticの中津さんとともに、今回のこの洋服をつくることを決めた。
これが、"made by marya"のクオリティだ。
おかしいだろ。って思うくらいヤバヤバな超構築的な肩周り。
パタンナー山崎さんの凝りに凝った肩設計を、見事中の見事に現実のものとしたマーヤさんの縫製。
"肩ダーツ"は、"イセ込み"が入っているため、ダーツ箇所の生地を摘んでいるだけではなく、切れ込みを入れて、生地をギュッと入れ込んでる。
その箇所は、裁ち端が出ないように、細かいオーバーロックで処理。
普通に考えて、普通の洋服は、こんな箇所にオーバーロック処理なんて入らないから、ダーツが終わりに向かうに従って、ダーツ生地の幅がどんどん狭くなっていくのですが、ロックが入るギッリギリの限界地点まで攻めてもらってるの。
二枚袖の切り替えも、前身頃と後身頃の"割りパイピング"も、縫製が光ってる。
カーブがキツい、アームホールの底までピカイチの仕上げです。
そして、、、
tilt The authentics × CASANOVA&CO
20 Darts 3D Trouser
material _ GUANACO 38%,GREEN COTTON 36%,WOOL 26%
color _ NATURAL COLOR
face _ GUANACO
size _ 1,2,3
tilt The authentics × CASANOVA&CO
20 Darts 3D Trouser
material _ GUANACO 38%,GREEN COTTON 36%,WOOL 26%
color _ NATURAL COLOR
face _ GREEN COTTON(FOX 50G)
size _ 1,2,3
これ。
名前にもある通り、"20本"ものダーツで構築されたトラウザー。
上半身よりも動きが多く、お尻から足首に向かって、太くなったり、細くなったりを繰り返す下半身。
それを左右それぞれ10本ずつのダーツを駆使し、シャープさと立体感とを兼ね備えた設計のトラウザーです。
これは、ダーツの入れ方、入れる箇所、本数、長さ、それぞれを何度も絵で描き、ふんだんに入るダーツの理想を現実にしたもの。
これがパタンナーの山崎さんの長年のテクニックが惜しげもなく注ぎ込まれてる。
これだけのダーツの本数だと、箇所があまりにも多く、経験の浅いパタンナーや技術がないパタンナーだと整合性が取れなくなってしまうそうだ。
しかし、山崎さんの経験値とパターンテクニックで、複雑極まりないダーツ量を"全て意味がある展開と分散"で形にしてもらったのだ。
トラウザーの方は、グリーンコットン(FOX 50G)の写真です。
こちらの面は、"タッサー"と言う組織になる。
先ほどのジャケットで掲載してたグアナコ面は、紡毛ということもあり、表から見た縫製箇所がナチュラルな印象でしたが、グリーンコットン面は、引き締まった双糸の糸が、65%分ほど表に出るので、シームが一層バキバキに出てくれますね。
フロントオープンは、先ほどのジャケット同様に、皮付き水牛ボタンがトップに付属し、エクセラファスナー開閉です。
ボタンホールももちろん、最先端ボタンホールで開けたもの。
最初の写真を見て、感じて頂けた方もいるかもしれませんが、ウエストフロントには左右それぞれ、ダーツが2本ずつ入ります。
ですが、どちらも角度が違います。
真っ直ぐ下に落ちるダーツと、斜めに伸びるダーツ。
ヤバいっしょ。めっちゃ気に入ってる。
ポケットは、前身頃と後身頃の切り替えを利用したポケットに設定してます。
ポケット口には、左右にカンドメが入るのみですが、ステッチが入らないのに、ポケットがすごく際立ってる。
これは、縫う前後のアイロンワークのタマモノだと感じてます。
バック。
後ろは、幅広めの片玉縁仕様です。
ご覧のように、左側のみ皮付き水牛ボタンを取り付けています。
その下には、横方向に走るダーツ。
お尻の丸みを開放するこのダーツを入れたかったので、トラウザーの方は、パッチポケットという選択肢は、僕の中で存在しませんでした。
これがベストだろうと絵を描きながら思ってたのですが、出来上がってきたら、やっぱりベストだったと感じてる。
まあ、フロントにもダーツが多い分、これもtilt The authenticsの中津さんとパタンナーの山崎さんが苦心してやってくれたものなんですけどね。
そして、裾。
これは、フロント側です。
裾から膝にかけて走る2本のダーツと、膝の左右から伸びるダーツ。
今回のトラウザーは、シャープなアウトラインだけど、それなりにワタリ幅のボリュームを出したかったので、裾で収まりが良いようにということと、膝の立体形状を演出したかった。
だから、膝で分量を出したかったのと、裾幅の収まりを自分の中でのベストバランスに持っていきたかった。
僕は、パンツの膝から下って特に大事だと思ってるから。
まあ、全部大事なんだけど。
華美な見た目ではないし、意味があることが当然だけど、ディテールが欲しかったんですよね。
だから、この仕様。
そして、これ。
この後身頃の裾。
これは、ダーツ的要素と、切り替えのメリットとの両方を兼ね備えた仕様です。
僕は、このトラウザーの完成した姿を考えているときから、後身頃のこの箇所に、裾の外側から、徐々に内側に向かって伸びるダーツが必要だと考えた。
それを絵に描いて、中津さんや山崎さんに見てもらってる時に、それであれば、ダーツだけではなく、ダーツと切り替えを組み合わせた仕様にすることで、より一層意味があるディテールとして構築することができるということを考えてもらった。
裾の外側から、ふくらはぎに向かって、そして、太ももの内側を通った構造にすることで、新品時だけではなく、着古した先にも、目指したアウトラインが出続けるという構造だ。
「こんな切り替えのパンツ、見たことない。」
ってみんなが言ってくれることを信じてる。
これは、僕が今まで温めておいた仕様だ。笑
まあ、その考えを大きく大きくポジティブに飛躍させてもらったんですけどね。
見て。この曲線的に美しく切り替わる様を。
超モダンなディテールではないか。
穿いてると、ついつい内股を人に見せたくなっちゃうから。
そして、合計20本のダーツで組み上げたこのトラウザー。
サイドビューがこれ。
屈曲。
前から見るとシャープに横から見ると膝の屈曲。
このフォルムを描きたかった。
サイドからの膝下の見え方も文句ないと思ってる。
類まれなほどに、ダーツと切り替えの美しい線。
これが、素晴らしい陰影をつくり出してるの。
ただ、そういう見えるところだけじゃない。
ベルトループ裏の目の細かいロック仕様、健在。
そして、裏も圧巻だ。
総勢20本にも及ぶダーツが見事に丁寧に処理されてるの。
先ほどのジャケットの肩周りの仕様も凄まじい見た目をしてるけど、パンツの凄みを感じられるものが出来上がってると思います。
膝と裾のダーツのとても綺麗な収まり。
もはやこっちが表でも良いんじゃないかと思うほどの、ダーツの裏の美しさ。
ダーツって分かりにくいけど、ダーツ先端の処理は、かなり丁寧に行わないといけないポイントですからね。
よく言われるのが、"エクボ"という凹み。
ダーツの先端の重なりが、限りなくゼロに近いところで縫い終わらなければならないの。
技術が高くないと決して綺麗なダーツは生まれない。
それが一着で、20箇所もありますからね。
とても丁寧に縫い進めてくれています。
後身頃の切り替え仕様。
ここのパイピング。
でも、ただフツーに処理してるんじゃないの。
これは、トラウザーでのマーヤさんの技術を大きく感じられる箇所。
"片倒しパイピング"から、そのまま続けて"割り縫いパイピング"。
裏側の一つのシーム箇所で、縫製仕様が変わる。
それをここまで見事に、美しく仕上げている技。
まさに、これは"神ワザ"だ。
ジャケットでの"肩ダーツのイセ込み"と、トラウザーでの"片倒しパイピングから割りパイピングへの変化"。
これを全着、このレベルで縫い上げることはすごく忍耐力も必要だし、難しいこと。
パタンナーの山崎さんも、ここまで複雑な仕様は、とても難しい注文だ。って言ってたけど、それを完璧にやり遂げてくれています。
外側からでは見えない箇所だけど、そのような高いハードルを乗り越えて生まれてるから。今回の。
期待していてください。
もう、どこをどう見ても、ジャケット・トラウザー共に、これ以上ないと言えるほどの細かく、手を行き届かせたものが完成しています。
生地も、パターンも、縫製も、それぞれの分野で、日本屈指の、まさに"職人技"が積み重なって形になりました。
ご検討頂ける方は、実物をひっくり返して、裏側のすみずみまでご覧頂ければ嬉しいです。
そして、詳しくは、また後日お知らせしますが、少し販売についてお話をさせて頂きます。
先日お知らせした通り、7月15日(土)よりCASANOVA&COで販売をスタートします。
その際は、tilt The authenticsの中津さんは、三連休の終日全て在店してくれる予定です。
また、三連休の全日程ではありませんが、山栄毛織の山田さん、マーヤ縫製の菅谷 正さんも在店してくれる予定です。
更に、今回は、今までこのようなものは、CASANOVA&COの店頭でのみしか実物をご覧頂ける機会をつくれていませんでした。
僕自身、遠方にお住まいの方で、いつもやり取りをさせて頂き、こちらのお伝えすることを信じて、実物を見ることなくお買い物頂ける方もいる。
だから、今回は、自分が出ることにしました。
7月22日(土)〜24日(月)の三日間で、東京に持っていきます。
場所は、北参道です。
その際も、tilt The authenticsの中津さんと皆様にお伝えさせて頂き、実際に今回のものをご覧頂ける機会をつくりたいと思っています。
また、東京での販売を予定していることもあり、今回は今のところ、オンラインストアに掲載をするかは未定です。
もし、強くご希望を頂けるような、とてもありがたい方がいらっしゃいましたら、ご連絡を頂ければ幸いです。
そして、僕は明日も東京に出張です。笑
今回の洋服については、また後日、詳細をお知らせしますね。
続く。。。