最近、自分の中で理由があって、ファッション雑誌をかなり見てるんですよ。
いろんなのを。
数日前まで、文庫本をずっと読んでたんですが、読み終わって一区切りついたから、ここ数年間は、あまり見ていなかったファッション雑誌を見てみてる。
以前は、好きですごく頻繁に見てたんですけどね。昔のGRINDとか、Them magagineとかBRUTUSとか。
最近は、めっきりで、雑誌を見る機会といえば、ホント時折取材をしてもらうことがあって、そのきっかけで見るくらいだった。
あと、そうそう。
実はこの間は、いくつか全国のお店を掲載するからって、WWDに取材をして頂きまして、僭越ながら、掲載してもらったんですよ。
店頭にお越し頂くお客様方には全然言ってなかったから、あまり知らないと思いますが、載せてもらった笑
久しぶりに雑誌に目を通して見ると、当店で取り扱いをしているブランドもよく出ているのを見ましたね。
あと、驚いたのが、IRIES H.M.。
もはや、丸坊主orスキンヘッドの僕にとっては、自分の髪の毛のようなレベルの存在になってるハットですが、Penに少しだけ載ってたから驚いた。
まさしく"職人"って感じの人だから、全然そういう感じ出してなくて、言ってくれれば良いのに。
そうして、ここ数日、いろんなファッション雑誌を見てると、"手仕事"というようなキーワードを目にしますね。
でも、思うのが、どれも昔ながらのことや、みんながこれまでやってきたことを"ファッション的に"なぞってる感じだな。って。
もちろん、それを文化継承という考え方で行っているのであれば、とても良いと思うけど、僕が目にしたファッションブランドのいくつかが、"単発"で終わりそうなイメージのブランドに思ってしまった。
やはり、そういう"手仕事"を謳って、職人たちとの洋服をつくっていくのであれば、継続をしていくことが必要だと思うし、"単発仕事"であれば、そういう重要な存在が、ただ単純に消費されることになると思うんですよ。
だから、そのような"手仕事"での洋服をつくるのであれば、その職人たちに、継続して仕事を出し続け、関わり続けることが必要な条件じゃないかと思ってる。僕は。
あとは、まあ、そういう昔ながらの"手仕事"も、すごく良いとは思うんですが、そういうものだけではなく、僕はもっと、"他の誰もができない"ような"手仕事"にとても魅力を感じるんですよ。
決して簡単にできるようなものじゃないけど、その凄みは計り知れない。
そういうことをやってるのが、今日紹介するもの。
"SILVANA MANETTI (シルヴァナ マネッティ)"。
このブランドは、過去にもこのブログで紹介をしたことがあるし、他の取り扱い店舗さんでご存知の方もいると思います。
シルヴァナさんがイタリアでやってるブランドなのですが、正式名称は、
"SILVANA MANETTI Textile Designer Lab"。
いわゆる、"ブランド"としてスタートしたのは、数年前で、2021年からなのですが、シルヴァナさん自身のキャリアはとてもある。
2001年に、生地の"研究"と"開発"のために創業をしたそうだ。
その間、20年間、超職人的、超技巧的な生地開発を行い続け、み〜んなが知ってる世界のハイプライスゾーンのブランドたちに生地を提供し続けてきた人。
イタリアのアトリエという名の、"研究室"で生地の開発を行ない、その同じ場所で実際に自分たちでものづくりを行なう。
文字では簡単に"生地開発"とか書いちゃってますけどね、それって、もはや世の中には、一目で見たことがないと思うほどの類の生地ってほぼ存在しないじゃないですか。
先人たちがいろんなことをやり尽くしてるし、その再現さえも難しくなっている世の中。
だから、自分たちの頭で常に考え、一般的、常識的な考え方から、いろんなことを脱却しないと、そのようなものづくりの実現は、難しいんじゃないかと思うんですよ。
そういうものって、つくってみたは良いものの、世の中に登場することなく、日の目を浴びないものだって、わんさかあるはずだから。
それはそれは、時間コストも、費用面でのコストも、労力も、精神力もハンパじゃないことと思う。
だから、まず、頭の中に、簡単に合理的に、その対価、成果を求めるような考え方では、この領域のものづくりを続けることは、非常に困難なんじゃないだろうか。
僕だって、このようなことを書いてるけど、自分が同じようなことはできません。絶対に。
このようなものづくりは、途轍もなく、尊く、評価され、残っていくべき価値があるものだと思う。
だから、それを自分なりにこの場でお伝えしているというわけです。
実際に、僕が初めてSILVANA MANETTIのものを目にした時は、今でもその当時の"その瞬間"のことを鮮明に覚えてる。
本当に、心震えた。
それくらい、衝撃的なカッコよさを感じたんですよ。
それに加えて、世界で、絶対に、誰も真似できないものづくりを行なっている凄み。
この技術、オリジナリティ、ハンパないから。
SILVANA MANETTIは、自らつくり上げた生地そのものを活かすために、スカーフ・ストールを中心にブランドを展開しているのですが、当初は、やはり秋冬がメインだったんですよ。
独自のニードル技法を駆使した、超絶圧着的なフェルティングストール。
そのヤバヤバ具合は、また2024AWに紹介させて頂きますが、カシミヤやキャメル、ウールなどを使った秋冬がメインだったんですよ。これまでは。
しかしながら、この数年で、超クオリティの春夏向け"スカーフ"をつくり出した。
の中でも、今回のが、ヤバヤバのヤバヤバ。
だと、僕は思ってる。
これまで、自分の洋服人生では出会ったこともないし、見たこともない。
誰もが身に付けられるワケではないかもしれないけど、ウルトラカッコいいと思えるもの。
今日は、それを紹介しますね。
SILVANA MANETTI
ANTIGUA
material _ SILK 100%
color _ BLUE
size _ 70×70
SILVANA MANETTI
ANTIGUA
material _ SILK 100%
color _ BLACK
size _ 70×70
まず、これ。
ANTIGUAというモデル。
2色の展開です。
BLUE。
と
BLACKというカラー。
これ、ハンパない。
見た瞬間に心が思いっ切り掴まれ、納品されるまで忘れることができなかったモデル。
マテリアルは、表記の通り、シルク100%。
組織的には、サテンだから、シルクサテンという感じ。
もともと、ベースとなるのは、白いシルクサテン。
そこに、超絶技法が盛り込まれてるの。
この写真は、BLUE。
深く、目の覚めるような鮮やかさを誇る中央のブルー。
これは、昨年の春夏からSILVANA MANETTIが採用する技法。
"サイアノタイプ (青写真)"だ。
19世紀に発明されたという、非常に古い写真技術で、日光の紫外線により、"青く"浮かび上がらせるもの。
それを"写真"ではなく、"スカーフ"に。
白いシルクにその技術を施し、サイアノタイプでの"染色"を行なっているというもの。
青い染料を用いることなく、専用の溶剤と日光とを用いて、このようなブルーをつくってるの。
これ、僕は、他ではホンッッッと聞いたことない技法。
染料を使ってブルーに染めてるんじゃないから、ここまで深い色合いでもシルクの超絶タッチがネガティブに変わってしまうことは、皆無。
非常に、非常に、キメ細かいシルクの生地から、自然な光沢と圧巻の首あたりが実現されるの。
いかにもシルクのタッチが凄まじそうでしょ。
そして、四方を縁取るブラウン。
これも、すんごいの。
染料の中に、"14%の銀の成分"が含まれたもの。
SILVANA MANETTIが開発した、"銀のナノイオンテクノロジー"を採用したものだそうだ。
この染料は、茶色い色をしているわけではないそうです。
銀を含んだ染料にシルクスカーフを浸け、空気に触れさせて"酸化"させる。
その酸化をさせることによって、茶色く変化をするそうです。
SILVANA MANETTIが行なうこの染色方法は、銀の持つ効能に着目し、
"抗菌"・"UVカット"を含んだ、"アンチバクテリア"という機能を実現しているそうだ。
まあ、僕にとっては、そのアンチバクテリア性能は、おまけみたいなものですが、自分が初めて目にした時、、、
"サイアノタイプで生み出す深いブルー"
と
"銀を酸化させて施すブラウン"
この過去に人類の誰もが未到達である領域のものづくりと、そのあまりにも美し過ぎる見た目に、ハートがブチ抜かれ、心の奥底からそのコントラストに惹き込まれてしまったの。
こうなるとね、僕はもうダメ。
欲しくて欲しくて、もうずっと考えてた笑
2024年の春からこれずっと首につけてよう。って思って。もう、決めてた。
だって、替えが他に利かないから。
そういうオリジナリティあるものって素晴らしい。
もともと、僕自身は、スカーフをよく首に巻いてることがあるから、もう最近はずっとこれ。
新年度になったし、4月の頭からこれを毎日身に付けて過ごしてる。
そしたら、もの凄いお気に入り。
ほら。
すごくないですか。
このシルクの深いところにあるブルー。
超絶、むちゃくちゃイケてる。
と思ってる。
そして、このエッジの箇所。
通常、スカーフの端は、縫製がミシンで入るか手縫いで施されるかすると思いますが、これは、丁寧に、経糸と緯糸がそれぞれ抜き取られてる。
単なる切りっぱなしとかじゃありません。
アトリエを構えてるイタリアは、世界中から、それはそれは、選りすぐりの原料が入ってくる。
それに加えて、SILVANA MANETTIは、もともとは、世界のVIPというか、セレブリティーに向けて洋服をつくるブランドたちをクライアントに持ってる。
だから、ベースとなる生地そのものも、そういうレベルのもの。
縫製をするとどうしても僅かに硬く仕上がるから、SILVANA MANETTIクオリティのシルク生地、そのものの驚くようなクオリティを最大に活かすことができる仕様になってると身に付けて実感してる。
もうね、すんごいから。首へのタッチが。
もちろんね、最初にお伝えした通り、一つ一つが"手仕事"でできてるスカーフだから、見た目が個体によっても、箇所によっても少しずつ異なる。
サイアノタイプと、銀の酸化が重なり合って、色濃く出た箇所。
ベースの白いシルクが露出する箇所。
それぞれが調和し、とても魅力的なものができてると思います。
そして、最初の写真にあるように、今回は、ブランドオリジナルのレザークリップ付き。
BLUEには、フルベジタブルタンニンのナチュラルカラーのレザータイプ。
それが二枚重なり、中にマグネットが備えられてるから、マグネットで留めつける感じです。
そして、こちらがBLACK。
手法は、サイアノタイプと銀を酸化させた染色技法というのは、同様です。
ただ、BLACKの方は、サイアノタイプを施す際に、溶剤の配合と、日光への露光時間を、通常の青写真と変えてるそうです。
真っ黒ではなく、ところによって少しだけグリーンがかったようにも見えるブラックですが、とても良いムードが出てる。
このあまりにも美しいコントラスト。
圧倒的な技術を保持しながら、見せつけられるこの色彩感覚は、日本人のDNAにはなかなか組み込まれてないと思うから、これがやはりこういうブランドにしか持ちえない驚異の魅力だと思ってる。
ちなみに、溶剤に浸けて色を出してるから、裏まできちんと染まってます。
あと、BLACKの方は、青写真の技法に加え、少し染料を入れてるような感じだったので、気持ちBLUEよりもサイアノタイプの箇所が硬くハリが出てますね。
でも、充分にこのレベルのシルクの良さは感じてもらえると思います。
これ。
BLUE。
流れ落ちるシルクの質感と、独創性の高い色合いの組み合わせ。
大きさ的には、70cm×70cmの正方形ですが、三角形に折りたたんで、クルクルと巻いて、レザークリップ付けて首に備えるだけ。
こういうものはね、いかにもキメてますよ。みたいな感じじゃなくて、ただ付けてるだけ。っていう感じの気持ちで身に付けるのがベスト。
僕自身も、首に付けてるのが心地良いし、この領域のものづくりを身に付けていたいと思うから使ってる。
あとは、こういう季節のシャツや、シャツジャケット、ジャケットとかの首の汚れ防止のためとか。
そういう気持ちで首に配置してるだけで充分。
カッコつけようと思って、スカーフ巻くのは、NGだと思ってる。
簡単なマインドで首に巻いてるけど、身に付けるものは何だって良いわけではないじゃないですか。
ただ、スカーフを付けてるとね、それなりにちゃんとして見える効果はあるから、アダルトジェントルメンの方々には、とても良い道具だと思いますよ。
SILVANA MANETTI with 2年間めちゃくちゃ着てるCOTTLE "LEAF VEIN"。
すごい着てるけど、COTTLEの凄みやカネタ織物さんの生地の素晴らしさをいつも実感してる。
今年は、FERMENTATIONの染め直しをしてもらうつもり。
対して、こちらがBLACK。
どっちの色合いがどうとかはないから、皆様の装いとお好みで選んで頂ければ良いと思います。
ただ、自分の実感としては、BLUEはこれまで想像できなかった絶景の世界に連れて行ってくれてるのを感じてる。
ちなみに、洗濯表示としては、水洗いNGだけど、まあ僕は、首に直接付けるものなので、手洗いはしてみるつもり。
予想では、シルク100%なので、細かいシワが入ることが考えられるのと、生地端から糸が少し出てくることがありますが、洗い晒しのシワは、スチームを当ててしまえば一瞬で消えるし、多少糸がほぐれて出てくるようなことがあっても、その都度チョキチョキ切れば全然大丈夫なんじゃないかと思います。
あと、ブランドタグについてるこの品質表示は、取り外してから使ってくださいね。
SILVANA MANETTI
NANO
material _ COTTON 60%,SILK 40%
color _ one
size _ 18 × 90
次は、これ。
先ほどのANTIGUAよりも小ぶりで、細長い形状をしたタイプのNANO。
こういうスカーフ特有の形状してます。
ハンドペイントが施されたコットンシルクの生地が縫製で二重仕様になったスカーフ。
赤がメインとなった面と
ブルーを基調とした面。
生地端は中縫いされ、シームは表に露出しない。
アトリエで刷毛でペインティングする技法は、ブランドがスタートした際から続けているもの。
生地のタッチとしては、先ほどのサイアノタイプシルクと比較して、よりエアリーな感じです。あと、ほんの僅かにドライタッチかな。
ところどころ、ステッチワークが入り、接ぎ合わされてる。
先ほどのANTIGUAよりも少し小ぶりなNANO。
こちらにもブラックのレザークリップが付属します。
あと、先述の通り、付け方次第で、赤と青のハンドペインティングの現れる面積が変わります。
こっちは、赤多め。
そして、そして、こちらのNANOの方は、見た目とは裏腹に、脅威のコストパフォーマンスを誇ってると思います。
¥25,000-(+ tax)。
だから、SILVANA MANETTIのクオリティを存分に体感してもらうのに、すごく良いんじゃないかと思う。
そして、最後に、、、、
SILVANA MANETTI
CLIP KNOT
material _ LEATHER
color _ BEIGE,BLACK
size _ ONE
先ほどのANTIGUAやNANOのスカーフに付属していたレザークリップも単体で登場。
スカーフを付ける方には、意外と便利かもしれないと思って、オーダー。
それぞれのスカーフに付属するものと全く一緒なのですが、
こちらのカラーは、フルベジタブルタンニンのナチュラルカラー。
こちらのブラックは、フルクロムではないと思いますが、レザーのシボの入り方を見る限り、クロム鞣しが強めの複合鞣しの感じかな。
あと、こちらのブラックの方が柔らかい質感です。
分かりますかね??
マグネットが両端に入ります。
だから、鉄のハンガーにくっつくんですよ。笑
こっちが裏面。
表も裏も、どちらもレザーは表革を使っていますが、レザークリップの裏に当たる面の方が、ステッチが細いです。
見てもらえたらわかると思いますが、表裏を間違えずに付けてもらえた方がスマートです。
そして、このレザークリップは、¥4,000-(+tax)。
用途がない方には、なかなか使ってもらうことが難しいと思いますが、日頃スカーフやストールを身に付けられる方には、プラスの要素として良いんじゃないかと思います。
僕は、日頃からスカーフをつけるから、これを見た時に、「何て気の利いたアイテムなんだ!」と思いましたから。
少なくともこの道で20年以上のことを続け、同じことを繰り返すのではなく、研究を繰り返し、新たなものを開発して、それでいて、目にしても、実際に使っていても、すごく感動するものをつくっているブランドです。
僕もバイヤーとして、見る度にいつも圧倒されてる。
このようなブランドがつくるものは、身に付けてもらう意味や、価値がとても存在すると思います。
SILVANA MANETTIのシリーズ、見てみてください。