現在、IRENISAイベント開催中ですが、今日は、とっておきのものを紹介させて頂きますね。
当店では、新しく取り扱いをするブランドです。
SARTO (サルト)。
むちゃくちゃ良いものつくってるブランドです。
このブランドとの出会いはね、突然訪れたんですよ。
ある日、僕が尊敬する、とあるデザイナーから電話がかかってきたんですよ。
もちろん、そのブランドも当店で取り扱いをしています。
「福田さん、すごいブランドがあったんですけど、知ってますか??」
って。
僕に電話をかけてきたブランドのデザイナーは、ただのミーハーとかではなく、洋服に対して、僕が心からすごいと思える考え方を持っているデザイナーである。
そのようなデザイナーからわざわざそのような電話がかかってくるんだから、ただものではないブランドなのだろうと思ったのだが、聞けば、僕に電話をかけてきたデザイナーも、周囲の人からの紹介で、今回紹介するSARTOの洋服を見たのだそうだ。
そこで、あまりにも共感し、感銘を受け、意気投合したそうだ。
そんなことは滅多にあることではないのだが、現にその時には、そのようなことが起こったらしい。
で、僕も、そのデザイナーのつくる洋服がすごく好きだし、その人がそこまで言うなら、「気になりますね〜」みたいなことを言ったの。
そしたら、「CASANOVAを紹介しますね!」ってことを言ってた。
その時の僕は、新たに取り扱いをするブランドを特に求めてはいなかったから、「まあ、向こうさん(SARTO)の都合や意向もあると思いますし。」みたいな感じで言ったと思う。
その後、少しだけ月日は流れ、それでも僕の中で"SARTO"という存在は、全く消えていなくて、後日、連絡をもらったの。
そしたら、そのSARTO側の連絡をくれた方も、僕が知ってる人だった。
これは、縁があるな〜。って思ってた。
でも、いざ店舗で取り扱いをするか否かは別問題。
しかも、日本のブランドというのは分かっていた。
日本のブランドは、どうしても"その範疇"から抜け切れていないように感じるブランドが僕はどうしても多く感じてしまうから、積極的に新規では見に行ったりはしていないし、新たな取り扱いはしていないの。ほぼ。
ここ最近で僕の中で、それを超えてきたのは、calmlenceだけ。
そう言うと、多少意味が分かってもらえるんじゃないかと思う。
それでね、一応、取り扱いをしているブランドさんからの最初の紹介というのもあるし、面識のある方が、SARTOのブランド窓口になっていたこともあり、ひとまず展示会に行ってみようと思って、アポをとったの。
実はそこまで期待はしていなかったから、たくさんの時間はとってなかったんですけどね、、、
当日、いつも通り、他のブランドのアポで服を見過ぎてしまい、時間に遅れ、しかも道に迷ったのと、会場の入り口が分からず、見始めるまでに、当初より時間がかかってしまった。
でも、まあ、良いか。多分取り扱いしないし。みたいな、非常に失礼極まりない、ナメた考えで会場入りしたの。
そしたら、僕は、それまでの自分を大変悔やんだ。
決して広くはない会場だったけど、そこに並ぶSARTOの洋服を見た瞬間に、
こっ、こっ、こっ、こっ、これは、、、
すっ、すごい。
まだ日本にこんな方がいたのか。。。
と思い、話を聞いて、服を着てると、決めたの。
帰りの新幹線をギリギリで変更し、とにかくリミットのギリギリまで見よう。と。
その時の僕は、自分で言うのもあれだけど、まあまあ疲れていたので、今日くらいは、いつもより1時間くらい早めに岡山に帰ろう。って思ってたんですけどね、これだけ良いものに出会ってしまったんだから、仕方がない。
だから、ギリギリのギリまでSARTOの洋服を見て、感じ、僕は、心を掴まれた。
この洋服、すごい。
僕が尊敬するデザイナーがわざわざ電話をしてきたのが、分かる。
だから、当店で取り扱いをし、こうして皆様にこのブランドを紹介させて頂こうと思いました。
そして、その第一回目は、スプリングコート。
ただし、全然フツーじゃない。
むちゃくちゃ、"SARTO感"漂ってる。
アダルトジェントルメンの方々には、とても良いんじゃないかと思っています。
紹介しますね。
SARTO
LIGHT COTTON DOUBLE FACE COAT TYPE001
material _ COTTON 100%
color _ L.BEIGE / BEIGE
size _ S,M,L
これ。
上の写真をご覧頂けたら何となく、分かると思うけど、リバーシブルのコート。
というよりも、"リバー縫製"の"リバーシブルコート"である。
しかも、プライス的に主流の中国ではなく、日本のリバー工場でのリバー縫製。
しかも、ワンウォッシュ。笑
もうね、分かって頂ける方は、それだけでこのコートの大体の感じは掴んで頂けるんじゃないかと思います。
そもそも、"リバー縫製"というのは、主にレディースの冬のコートで用いられる縫製方法ですね。
リバー縫製の特性上、最近は、その軽やかさからメンズの冬のアウターでも用いられることが多いけど。
リバー縫製というのは、インターネットで検索したら、いくらでもその手法は知ることができるのですが、とにかく時間がかかる縫製方法です。
"二重織り"や"ダブルフェイス"と言われる、薄い一枚の生地 + 薄い一枚の生地が"接結糸(せっけつし)"という糸で、つなぎ合わされて、一枚になった両表の生地。
通常の生地は、一枚でできており、"片面が表、片面が裏"となっていますよね。
しかし、二枚のような生地が、中に存在する糸(接結糸)でつなぎ合わされて、目に見えるどちらの面も"表"になってる生地。
これを上記のように、二重織りやダブルフェイスという。
そのような生地の、端の方だけ、接結糸を切り、二枚の生地を僅かに分離させる。
そうして、分離させた生地の端を、内側に折り込み、その端を手縫いしていく方法です。
これを"リバー縫製"っていうの。
リバー縫製で完成された洋服の特徴は、
・生地の重なりが少ない
・ダブルフェイスの生地そのもののみで生地端の処理が行われるため、裏地が必要ない
・芯地がほぼ使用されない
ということがあり、"むちゃくちゃ軽い"ということが、第一の特徴である。
あとは、生地端の重みが少ないから、生地の動きが非常に軽やか。
この生地が軽やかに揺れる姿が、僕はむちゃくちゃ好き。
でもね、その"リバー縫製"で、存在するのは、ほとんど"生地が分厚い"ウール系の生地なの。
それは、二枚の生地の真ん中で生地を裂いて、その端を全て手縫いで縫って処理をしていくのだから、厚みがあればあるほど縫いやすいから。
それに、どうしても真冬のアウターには、高い保温性が求められるじゃないですか。
だから、必然的に生地が重くなってしまいやすい。その重さを軽減するためにも用いられる方法でもあるわけですよ。
ただ、今回のSARTOのコートは、"COTTON 100%"だ。
毛織物と比較して、圧倒的に薄い、このコットンの二重織り生地を見事にリバー縫製でつくり上げてるの。
しかも、それを"リバーシブル仕様"で。
"リバーシブルのリバーコート"。
SARTOは、ブランドとして、とても特徴があるのですが、それは洋服のフォルム。
このフォルムの描き方は、SARTOの洋服はとても一貫してると思う。
全ての洋服が"SARTOフォルム"なのだ。
だから、その洋服のアウトライン、造形を綺麗に描くために用いている方法が、"リバー縫製"ということ。
SARTOのコレクションには、特に秋冬には、リバー縫製の洋服ラインナップがズラズラ並んでるの。
まあ、ブランドとして、今回のシーズンが確か2回目だったから、まだ1回しか秋冬を展開していないんじゃなかったかと思いますが。
単純に"リバー縫製を多用しているブランド"。
というわけではなく、SARTOが描く洋服のアウトラインを狙い通りに描くようにするための手段の一つとして、リバー縫製をたくさん使ってる。っていうイメージですかね。
その"SARTOの洋服のフォルム"。
超絶イケてるから。
既に、最初に掲載した写真でもそのニュアンスは感じて頂けると思います。
もう一度。
これ。
明らかに、フツーじゃない腕のラインの描き方、そして、ボリューム。
超絶。
分かりますかね??
この感じ。
前から見ると、スッと、グッと、前に腕がやってくる。
そして、横から見ると、ラグランスリーブの肩のポイントを頂点として、肘までグググッと膨らみ、肘の箇所から急激にカーブするアーム。
フロントと、サイドとのアームの見え方の大きな違い。
前から見るとスマートに、横から見るとエゲツない程の力強さを感じられるの。
それがSARTOのパターンテクニック。
その考え方は、SARTOの洋服の全てに感じられ、ブランドとしてとても大事にしていることだと感じてる。
もちろんね、単純に腕だけではなくて、身頃から"一体となって"そのアウトラインを描いてる。
それがね、着てみてもらえると、むちゃくちゃイケてるの。
まあ、このブログの最後に僕が着てる写真を掲載するので、それで何となく感じてください。
で、このコート、むちゃくちゃよく出来てる。
先述の通り、コートを形成する縫製は、リバー縫製。
衿や前端には、AMFステッチというハンドステッチを模したステッチが入ります。
これは、生地端をある程度抑えるためにも、入ってると綺麗な状態が続くの。
そして、さっきも言ったけど、ワンウォッシュしてる。
フツーはね、リバー縫製のコートっていうのは、綺麗な印象のものが多いから、それを全面に出すために、仕上げも綺麗にするのがほとんどですが、SARTOではそれを完成後に製品洗い。
そうすると、リバー縫製のシーム箇所により膨らみと陰影ができ、加えてAMFステッチの箇所にも明らかな動きが生まれてる。
こういう洋服のつくり方は、僕は今まで見たことなかったですよ。
それもそのはず。
SARTOは、ブランドとしてデビューしてまだ間もないけど、やってる人は、全然若手とかじゃないの。
どプロがつくってるの。
SARTOは、デザイナー、パタンナー、生産の方など、確か4人だったかな?そのような方々で、外部に出さず、自分たちで洋服をつくり上げてる。
あと、SARTOの方々は、今は自分たちは、とあるブランドに属してるから、名前を出せない。と。
そう。
影武者として、活動してきた方々が本気でつくる洋服なのだ。
だから、その辺の若いデザイナーがポッと出てきて、誰かにお願いしてつくってもらってるような、今の世の中でありふれた洋服の流れじゃないの。
洋服に長年携わり、洋服を知り、実力のある人がつくる洋服。
僕は、それを見た瞬間にバチバチに感じることができた。
だから、ブランドとしての認知は全然だけど、我ながら、かなり良いものを見つけられたと思ってる。
まあ、正確には紹介してもらったんだけど。笑
ですので、ご覧頂ける方は、大きく期待してご覧ください。SARTOの洋服。
リバー縫製特有の柔らかい衿。
特に素材が見事なクオリティのコットン100ですからね。
ヒラッと翻るようなムード。
ラグラン線の切り替えが際立つの。
リバー縫製 + ワンウォッシュのタマモノ。
バックのベントの処理もピカイチ。
リバーシブル仕様ですからね。ベントの仕様は、両方で成立するように工夫されてる。
よく出来てますよ。
裾も特有の軽快さを持ちますね。
着たら分かる。
そして、このコート。
ボタンの配置が見慣れないことになってる。
これは、リバーシブルという仕様もあり、表面、裏面のどちらでもきちんと"左前"に前合わせが仕上がるように設計されてる。
時折、リバーシブルの洋服では、表では左前でも、裏では右前になってしまうものもありますからね。
大人の男性が右前の洋服を着るというのは、いくらジェンダーレスな世の中とは言え、狙っていないなら、NGだと僕は思ってる。
だから、SARTOでも、きちんと左前として着ることができるように設計をされています。
ボタンが前端のそれぞれに配置されてるからって、全然邪魔になることはないですよ。
よく考えられてますから。
こちらの面のポケットは、箱ポケット。
ポケット口の両端には、ナットボタンが配置されるのですが、これもよく出来てるのよ。
両端にボタンが配置されていても、ポケット口に手が見事にスムーズに入るし、その上、中に入れたものが落ちにくい構造になってる。
あとは、見た目の印象も全然違うの。
加えて、これ。
グリカン。
AMFステッチに続き、SARTOという名前にもある通り、テーラーエッセンス。
手縫いのカンドメですね。
カジュアルなコートだと、補強が必要な箇所には、カンドメミシンのカンドメが入ると思うけど、SARTOでは手の縫製。
袖口には、アジャストストラップ。
そして、これも、またまたよく出来てるのよ。
アジャストタブが片面に付いていると、反対面で着用した際には、邪魔になるじゃないですか。フツーは。
アジャストタブの根元にも、先ほどのポケット同様に手縫いのカンドメが入ります。
この二箇所。
でもね、位置がなんかおかしいの。
どう見ても、タブの根本を補強してるのではない、、、
見て。
これ。
ホールが登場。
そう。この切れ込みの補強なの。
これを使って、、、
このように、反対面での着用の際には、タブを反対面で使うことができるように設計してる。
ホンット、よく考えられてますよ。
そして、こちらの面へ。
先ほどの表面は、オーセンティックさが感じられるコートでしたが、こちらは、より洋服の強さが引き立つ面ですね。
先ほどのアジャストタブも再び登場。
色合いとしては、こちらの面がBEIGE。
先ほどの表面がLIGHT BEIGEという感じですね。
こっち側で着ても、きちんと左前になる設計。
そして、やはりシームは際立ちますね。
洋服の構造がくっきりと見え、フラット感は皆無。
こちらの面も前端にAMFステッチが走るのと、ポケットの随所の縫製もミシンですね。
ポケットそのものの取り付けは、手縫いです。
分かるかな??
こちらのポケットは、先ほどの面は、箱ポケット仕様だったので、こちらは、外付けポケット仕様です。
しかしながら、きちんと使えるように両玉縁仕様。
そして、ベルト。
ベルトは、表のLIGHT BEIGEのカラーで付属するのですが、コート本体には、両面にベルトループが付属します。
どちらも、左身頃側に、ベルトの脱落防止のためのループを完備してる。
こちらの面は、アンブレラヨークが出現。
アンブレラヨークが存在することで、ちゃんとコートのフォルム形成に意味を成してるの。
ちなみに、アンブレラヨークをめくると、糸ループが出現。
細かいところまで、きちんと手が行き届かせていることを感じさせるディテールだなと思ってる。
こっちの面も、見事なベント処理。
まあ、ディテールを紹介しましたが、要するに、めちゃくちゃちゃんとつくられてるコートって思ってください。
細かいところを見てみたら、安心して着ることができるかどうかが判断できますからね。
洋服は、細かいことが積み重なり、その集合体で一着ができますから。
だから、僕はそういうのがすごく大事だって思ってる。
あとは、ブランドの認知に関係なく、一着の中でどこまで手が行き届いているのかということで、洋服づくりへの本気度も知ることができると思ってますからね。
ですので、SARTOは、最大限の信頼を寄せてご着用ください。笑
ただね、本番はここから。
日頃は、ここでは着用している写真はあまり掲載しないんですけどね。
明らかな違いがあるSARTO。
以下をご覧ください。
身長167cm、体重52kgでサイズはSを着ています。
表面。
LIGHT BEIGE。
身頃に生まれる"抱きのゆとり"と、超絶的なアームのフォルム。
力強さと美しさの共存。
普段は、掲載しても数枚くらいしか着用写真は、掲載しないんですけどね、これは洋服のフォルムがすごく気に入ってるの。
だから、もっと見て。
アメージングな洋服の輪郭してると思う。マジで。
そして、こちら。
反対面。BEIGE。
シャープさと迫力。
明らかに普通の洋服では見られないと思ってる。
肩先を頂点としてからの、圧巻の袖のフォルム。
過剰じゃないけど、全然違う。
これが着用時の立ち姿に大きく大きくプラスの作用をもたらしてくれますから。
ちなみに、ワンウォッシュによって生地の奥行きが強いので、結構重厚に見えますが、実物は全然そんなことないです。
驚きの柔らかさと軽量さ、そして、優しい着用感に包まれる。
安くはないコートですけどね、大事に大事に気を遣いながら着るというよりも、ある種、ラフに雑に扱うような姿が似合うコートだと思いますよ。
まあ、実物見てもらえたら、その魅力を感じてもらえると思ってる。
気にして頂ける方は、見てみてください。