tilt The authenticsとのグアナコ生地の別注以来、久しぶりにブログを書きますね。
今日は、PETROSOLAUMのside gore。
これまで、何度かこのブログで書いてきたし、既に持ってくれているお客様方もいると思いますが、今回もこのブーツがやっぱりすごく良い出来してるから、こちらを取り扱いしてる。
シューズの中でも、クラシックでオーセンティックな枠組みに入る"サイドゴアブーツ"という存在だけど、このブーツは、PETROSOLAUMの特有のことをすごく感じるの。
僕の中で、日本の既成靴ってドメスティックブランドの洋服との相性が良いものは多いけど、そうじゃないものとは、どうしても服に負けてしまってるように感じるレザーシューズブランドがほとんどのように感じるんですよね。
かと言って、海外の名のあるシューズブランドのものも、クラシック過ぎたり、ドレス一辺倒に思うものもある。
あとは、まあ、既成靴の場合は、履く前に大体なんか未来が想像できて、その想像の範疇で留まってしまうものばかりに感じたり。
靴ってとても難しいものだと思うんですよ。いろんな意味で。
そのように思うこともあり、以前にこのブログで書いたことがあるんですが、当店では数年間、レザーシューズを取り扱いをしていない、謎の空白の期間があったんですよ。
しかしながら、僕はPETROSOLAUMのシューズに出会ってから、そういう問題が解決した。
履いていて、使っていて、着用感や変化、感動的なことの数々。
不特定多数の方に向けてつくられた"既成靴"なのにも関わらず。
そして、ブランドの中でも、そのレベルがもの凄く抜きん出てると思えるのが、このside goreというブーツなんですよ。
PETROSOLAUM
side gore
upper material _ CORDVAN BUTT
color _ D.BROWN/BLACK
process _ MCKAY
sole _ HEEL RUBBER
size _ 39,39.5,40,40.5,41,41.5,42
これ。
実は、少し前から店頭に並べていたこともあり、既にサイズが欠けてしまっているものもあるのですが、今回もそれなりに広いサイズバリエーションで取り扱いをしています。
サイズの有り、無しについては当店のオンラインサイトに商品を掲載してるので、そちらから確認してもらえると思います。
サイズ展開は、39というサイズが実寸24cmの方に適したサイズ。
39.5が実寸24.5cmの方。
40が実寸25cmの方。
40.5が実寸25.5cmの方にというように、大体のイメージを持ってもらえれば良いです。
サイズ選びで迷った際には、アッパーの皺をふんだんに刻むことを考える方には、僕は出来るだけ小さいサイズで選んでもらえればベスト。
締まる箇所がしっかりと締まり、膨らむべきところはきちんと膨らんだ、メリハリあるフォルムのサイドゴアブーツ。
アッパーのレザーは、"コードヴァンバット"でPETROSOLAUMを一番表現してると感じる革なのですが、僕は、このレザーにもの凄く心を奪われてるから、ブランドに頼んで、ベルトや財布をつくってもらったくらい。
シューズの"顔"にあたるトゥやフロントには、コードヴァンバットレザーの最もキメの細かい"コードヴァン"が配置され、徐々に後方、つまりはヒールに向かうに従って、スウェードのバット層にグラデーション状に変化をしていくというもの。
そもそも、コードヴァンって一般的には水に濡れることを厳禁とされていたり、繊細な革質で所有者側にも相応の取り扱いが求められるような情報が流通してるけど、そのほとんどがオールデンに使ってるアメリカのホーウィンのシェルコードヴァンのことだと思う。
だから、PETROSOLAUMの"コードヴァンバットレザー"は、そんなに繊細になる必要は一切ないと僕は思ってる。
ホーウィンのシェルコードヴァンは、たっぷりと油分を含ませた仕上げをしてると思うから、すんごいツヤツヤ。
もちろん、非常にキメ細かい革ではあるとは思うけど、オイル分を含ませ過ぎて、その日の天気はおろか、公衆トイレも行けるのか行けないのかということまでも考えなければならないレベルだと思う。
それは、油分を多量に含んでる分、ほんの少しの水分が加わっただけで、反応してしまうから。
水と油は交わることがありませんからね。
でも、それはホーウィンのシェルコードヴァンの話。
PETROSOLAUMのコードヴァンバットは、ブランドが日本の新喜皮革と開発したもので、100%天然成分の原材料で、ピット槽という大きな浴槽に一ヶ月単位のかなりの長い間、漬け込んでつくり上げた、完全オリジナルの革。
それを僕は雨にも負けずに履いて、本当に、本当に、時々ケアをしてるくらいなんですが、全然モーマンタイ。
しこたま履くだけ。
とにかく使い続けることで、PETROSOLAUMのレベルの高さが溢れるほどに感じられるシューズなの。
これには、皆様に度肝を抜いて頂ける自信があります。僕は。
新品時のこのside goreは、大きな特徴がある。
それが横から見たとき。
通常、サイドゴアブーツというのは、トゥから履き口に向かって、"熱処理"での成形を施し、アッパーに三日月型というか、なんというか、足の甲に合わせて湾曲させたカーブをつくる。
しかしながら、このブーツは、サイドビューからご覧頂いて分かる通り、足の甲の箇所が真っ直ぐ、ストレートにつくり上げてるの。
これ、とても異質な形状してる。
世の中に存在する他のサイドゴアブーツとは、全然フォルムが違うから。
これにより、履いて歩いたり、動作に応じて、アッパーのレザーが足に合わせて、自然にカーブしていき、それに伴って、アッパーに大きな深いシワが刻まれるというイメージです。
あとは、サイドゴア特有の履き口のゴム。
セオリーであれば、サイドゴアブーツには、横から内側も外側もゴムが露出してる。
しかしながら、これは、ゴムの上にアッパーのコードヴァンバットが縫い付けられ、ゴムが隠されてる。
これもポイント高い。
見え方が全然違うから。
そして、ゴムはドイツのイエガー社というところのむちゃくちゃ強靭なゴム。
もちろん、度重なる使用に伴って、万が一、サイドのゴムが伸びてしまった場合には、ゴムの交換はできるのですが、人類で一番このブーツを履いている自負がある僕のでも、ゴムは伸びていないから、超絶安心できる。
展示会での夥しい数の履き脱ぎや、地球何周分してるんだろうっていうほどの移動距離をこのブーツと重ねてきたから、それでビクともしないゴムの強さには、相当安心してもらえると思いますよ。
まあ、飛行機や新幹線で座ってるだけのこともあるけど。
ただ、かなりの距離の移動をこのside goreと重ねてきましたから。
あとは、PETROSOLAUMの荻野さんがなんて言ってたか忘れたけど、履き口のゴムの高さもいろんな側面から工夫をしてるみたいです。
特徴的な履き口。
新品時は、とにかく履き口が小さい設計をしてあるので、最初は着脱に苦労するとは思いますが、次第に着用者の方にベストな大きさまで馴染んでくる。
最初から、スムーズだと将来的には、ガバガバになっちゃいますからね。
長年の使用をとてもよく考えられている仕様です。
あとは、コードヴァンバットは、繊維質が他の革と違う方向をしていることや、革の強さもあり、随所が断ち切りの仕様。
この革は、ベースがダークブラウンで、その上からブラックの染色が施されていることもあり、革の断面がとても目を惹く。
通称、"茶芯"状態で、その上、通常のブラックのレザーよりも、赤みを含んだ色合いの黒ということもあり、かなり男前なムードを醸し出していると思いますよ。
こういうことも、使っていくと見た目の変貌がとても期待できる要因。
ブランドのオリジナル木型を仕様している"03 LAST"ということもあり、超立体的な形をしてるシューズです。
土踏まず部分へとググッとエグる美しいラインも健在。
釣り込みは、もちろんアッパーのフォルム形成がレザーへの負荷が少なく、無理のない自然な変化が期待できる"手釣り込み"。
やはり全部を機械釣り込みで行ってしまうシューズは、生産上はスピーディーにアッパーのフォルム形成ができるけど、完成形がどこか不自然だったり、目に付くネガティブなシワが入っていたりしますからね。
だから、やはり"手釣り込み"の方が、きちんとしたシューズには必要不可欠だと思いますよ。
もちろん、どのようなマインドでシューズをチョイスするのかにもよると思いますが。
ソールのコバの仕上げも見事に磨かれてる。
きちんと革が積み上げられ、それを磨き、仕上げをしてる。
ヒールやトゥなどの箇所は、コバの仕上げは"平コバ"。
丸みの強い土踏まずには、引き込まれるような"丸コバ"での仕上げが行われてる。
履かない時には、その造形でも充分に楽しめるブーツ。
まあ、コバの仕上げもとにかく丁寧だから、足や目だけではなく、手の指先で触れて、確かにそのクオリティが感じられる。
手で触った際の指先でも感動できるシューズということ。
そして、アウトソール。
この仕様は、当店ではいつも通りで、僕が好きな仕様なのですが、ヒールのみVibramのラバーを貼り付けてる。
これで充分に滑り止めになるように感じるのと、ハーフラバーまで貼ってしまうと、レザーの靴底での"シューズの呼吸"が感じられなくなるから。
マッケイ製法での、"ヒドゥンチャネル"という仕上げも搭載してるブーツだし、ダブルレザーソールということもあり、僕は、濡れた路面でも、いくつかの懸念材料を心配する必要はないと考えています。
それに、このあまりにも美しい靴底の仕上げを、所有して頂けた方には是非とも見てもらいたいですからね。
この"手が切れる"かのような美しいアウトソールの仕上げ。
角が立ち、シャープで、漂う空気に緊張感があるかのように感じられる程の仕上げが施されたアウトソール。
ヤバヤバのヤバ。
PETROSOLAUMの中でも、03 LASTのモデルには、レザーのインソールが付属します。
最初は、このインソールを使う必要がないほどにビッチビチのサイズで選んで頂けることがベストですが、次第にアッパーの伸びや、インソールの沈み込みが生まれ、余白ができてきた場合には、使ってもらっても良いと思いますよ。
そして、これ。
信じられない程のウルトラスーパーヘビーな使用で、2年以上履き続けてるサイドゴアブーツ。
重力に逆らって、形が維持し続けているのはもちろん、アッパーに深く刻まれる履き皺。
まあ、かなりの量歩いてるから、そろそろオールソール交換は必要なんですけどね。
ヒールのスウェード層もベースの茶芯が露出してきて、それに加わる"日焼け"に伴い、色がグッと深く濃く変化し、新品時よりも遥かに強いムードが出てくれてると思う。
すごく丁寧につくってるブーツでもあるので、とにかく履き続けることですね。
それが重要。
新品から履いてスタートした時は、特段何も気にせず、ケアも必要ないし、さっきも言ったけど、臆すことなく、とにかく使ってもらうこと。
そうすれば、このブーツのレベルの高さをとても感じてもらえると思いますよ。
気にしてもらえる方には、ご検討頂けたら嬉しいです。