先日、お知らせをしましたnonnotteイベント。
お伝えしておりましたように3月2日(土)より、nonnotteの2024年春夏コレクションをスタートしますね。
先のブログでもお伝えをしたように、今回は、多くはないけど女性に良いだろうなって思っているものや、業界では誰もやらない、やれないというレベルの驚くほどの糸設計の超優秀Tシャツ、長袖のカットソーなども複数種類が一斉に揃うのですが、今日は、一部のラインナップを少し紹介しますね。
今回の洋服づくりもすごいものですよ。nonnotte。
nonnotte
Draping Shirt Type A
material _ COTTON 100%
color _ WHITE
size _ 3,4,5
我らが"カネタ織物"さんで織り上げた生地を使用したシャツ。
これまでAUBETT時代から、生地のカラーリングだけではなく、仕上げを変えて展開してきたシリーズですが、この生地は、nonnotte 杉原さんの設計とピカイチの相性を誇る。
ZZ強撚(紡績もZ撚り・撚り合わせもZ撚り)の太番手高密度のシャトル織機での強烈な平織り生地。
ブランドでも変わらずつくり続けてきたシリーズではあるのですが、
ですが、、、
今回のものは、ヤバい。
ブランドのコレクションで、初めて"Draping (ドレーピング)"という名前が洋服に付けられる。
杉原さんがこれまでずっと続けてきたもので、正真正銘、世界に誇ることができるレベルの洋服の"造形技法"がそのまま名前になっているシリーズ。
このシャツは、僕は初めて見たときに、とても心打たれた。
シャツとして着ることができるけど、シャツの範疇ではない造形。
このようなものは誰もがつくることができるものではない。
これこそ、まさに杉原さんの技術をダイレクトに体感するような洋服だと思いますよ。
両手を広げると、ほら。
この"超造形"。
今日のブログでは、理由があってこのシャツの仕様については、お知らせしませんが、ホンットにすんごいの。
両手を広げると先ほどの写真のように、生地分量が露わになりますが、手を下ろすと前から見るとシャープな印象のシャツ。
これ、すごい。
マジでヤバいフォルムしてるのよ。
エゲツない。
nonnotte
Draping Shirt Type A
material _ COTTON 100%
color _ CLOUD PINK
size _ 3,4,5
そして、こちらは色違いCLOUD PINK。
この色合いは、杉原さんが夕日の一番好きな時の色合いを表したカラー。
糸設計と織りによる、超強烈なタッチのコットン100%でありながら、生地の仕上げを透明度が高まるものにしてるから、この色とベストマッチングしてると思う。
とてつもなく綺麗に現れる"抱きのゆとり"というドレープ。
この造形美。
着てる写真ではあまり分からないと思うのですが、とにかくこのシャツは、見たことのない設計をしてる。
前身頃と後身頃の切り替えは、"バックヨーク"を形成している箇所となり、脇の切り替えも極端に前側にズレ込んだパターン。
このシャツは、カネタ織物さんのZZ強撚の高密度ブロード生地ありきで考えられた設計。
そのカネタ織物さんの生地は、このブログをご覧頂けている方には、既に周知のことだと思うのですが、シャトルじゃないですか?
後身頃は、シャトル織機の生地幅ギリギリの設計で、大きな一枚で形成されてる。
でも、縦は裾、横は肘の上から、一枚で、バックヨークまで続いた驚愕の前身頃は、シャトルの生地幅では足りないため、ヨークの中心で切り替えられてるの。
しかも、一枚の大きな身頃は、ダーツや、カーブを一枚の生地の中に駆使し、消し込み、見事なフォルムをつくりあげてる。
すんごい構造ですよ。
まあ、明日詳しくお伝えすることになるのですが。
nonnotte
ELASTIC BAGGY TROUSERS
material _ COTTON 100%
color _ CLOUD PINK
size _ 3,4,5
次は、これ。
先ほどのシャツと同じ生地を使ったもの。
人間は、同じ生地でも、トップスとパンツでは感じ方が違うのですが、カネタさんの生地がパンツになると夏場にはサイキョー。
むちゃくちゃ気持ちよくて、涼しくて快適。
シャツにしてる生地ですからね。
シャツでは、誰もがその強靭さを一瞬で感じてもらえると思うけど、パンツになると暑い季節には、とても心強い。
洋服の中で、パンツというのは一番負荷がかかるものだから、フツーであれば、シャツに使うような生地は、先を見据えた時には、絶対にNG。
だけど、カネタさんの生地は、そのような洋服のセオリーには全く当てはまらないの。
しかも、nonnotteのパンツのフォルムをとてもよく演出してくれるから。
見て。
スッと、下に文字通り真っ直ぐ落ちるアウトライン。
ヒップラインも、足のラインも出ることがなく、nonnotteで狙ったフォルムが描かれる。
着用感、耐久性を考えると夏場にはもってこいのパンツなのを穿いてもらえたら瞬時に察してもらえると思いますよ。
小さいサイズの3は、先ほどのシャツ同様に女性でもOK。
裾上げもできるから、安心してお任せください。
nonnotte
SLIT NECK PULLOVER
material _ COTTON 100%
color _ GREIGE
size _ 3,4,5
次はこれ。
"Hard Twist Ostrich Jersey"という名前が付けられた生地。
こんな生地もこれまで僕は見たことがない。
生地に付けられた名前の通り、"オーストリッチ"のような生地表面の質感。
Jersey = カットソー、編み地
なのですが、これは、素材開発にもデザイナーの領域とは思えない程にまで超越した杉原さんという人ならではのもの。
"平織り"という"織り生地・布帛"を、、、
桐生のジャガード編み機にプログラミングしてつくったというもの。
もう、ワケが分からない。
そして、実際に生地表面に現れる凹凸は、糸の性質を利用したものだそうだ。
まず、紡績の段階で"強撚"した糸を、その後に、更に強く撚糸。
これを"追撚(ついねん)"という。
ただ、僕も以前に杉原さんに教えられたことがあるのだが、編み地は、追撚を行ない、撚糸を強くし過ぎると物性が悪くなるそうだ。
洗濯後に大きく斜行しまったり、もの凄い縮んでしまうことがあるという。
だから、長年の杉原さんの経験を活かして、そのようにネガティブに働いてしまうことがない撚糸数を狙った複数種類の糸を使ってる。
撚糸の回数の違い、更には、編み地のテンションもプログラミングで変えていくことで、これまで未体験な生地をつくってるの。
その上ね、その上、杉原さんの狙ったことは、夏場のハードな使用にも余裕で耐えるもの。
だから、洗濯後には何も変わらないし、物性としてとても安定し、毛羽立ちも縮みも起こらないものが開発できたそうだ。
とても涼しく、これからの季節にも最適。
コットン100%なのに、まるでシルクのそういうのを着てるかのような冷たいタッチ。でも、かなり強い。
そういう生地なの。ちなみにこの生地のTシャツもありますよ。
それで、まあ、そういう生地を使って、"SLIT NECK PULLOVER"をつくってるんですけどね、、、
実は、これ。
展示会で完成品のサンプルがなかったの。笑
でも、その時は、想像したら良いものできそうだなって思ってオーダー。
そしたらね、納品されたものは、レベルが違った。
おいおいおい。って感じで、思わず、杉原さんに電話しちゃいましたよ。
「それは反則ですよ。笑」って。
ここまでカッコよく仕上げてくるとは、全く想像できなかった。
こうなるのが分かってたら、もっとオーダーしてた。
だから、残念なことに各1です。笑
"反則スキッパーシャツ"。
サイズは3を着てるのですが、nonnotteの中ではコンパクトなバランス。
でも、それでもドレープがきちんと出てるの。
衿はテキトーにしてたらオーケーです。
水牛ホーンの小さいものがネックに一つ。
共地のループ留めです。
これ、マジで反則。
nonnotte
ZIP UP BLOUSON
material _ COTTON 100%
color _ SMOKE GREY
size _ 3,4,5
次は、これ。
ジップアップブルゾン。
はい。
こちらも我らがカネタさんの生地です。
ホンット、杉原さんの洋服のフォルムとカネタさんの生地は、最強タッグなんですよ。
そして、このZIP UP BLOUSONは、エゲツない生地の風合いしてるの。
生地には、"Hard Twist Incomplete Double Cloth" という名前が付けられてるの。
incomplete = 不完全
"Incomplete double cloth = 不完全な二重織り"という生地。
どういうことか。
もともと、過去に杉原さんがカネタ織物さんで、高密度の綾織の生地をお願いしていたのだそう。
それは、誰もが周知のようにカネタさんの生地だから、シャトルで生地幅が狭いのに、経糸の本数が1万本くらいの設計で、それで密度をあげて二重織りの生地をつくろうとしていたそうです。
でもね、そしたら、勝手にカネタ織物の太田さんが、もっとすごいものを杉原さんのためにつくってやろう。って思って、もともとの設計の1万本から、更に、エゲツないこと(限界を越えようと)を考え、1万本に5000本の経糸を追加したそうなんですよ。
そうしたらね、ちょっと織っただけで、シャトル織機がストップ。
本当に本当の限界だったみたいです。
その限界中の限界、いや、ただの限界か。
その中で少しだけ織り上がった生地をカネタ織物の太田さんが、杉原さんに「いや〜失敗しちゃいました〜」って見せて、それを杉原さんが見てみると、、、
「えっ、ええっ。」
「なんですか、この生地は。」
となったそうだ。
だから、今回、その太田さんが限界を越えようとして、限界を迎え、"失敗して出来上がった生地"を、杉原さんがカネタ織物の太田さんに、それを目指して開発を依頼したもの。
だから、"不完全な二重織り"という名前が付いてるの。
生地の質感で言うと、まあ、これもまたすごいものですよ。
カネタ織物さんの特有の風合いなのはもちろんだけど、ハリと質感がむちゃくちゃ独特。
コットンギャバジンまでいかないドレープと、二重織りまでいかないハリ。
超高密度なのは、見ても触っても一瞬で分かるけど、素材がコットン100%とは思えないと僕は思う。
そういう生地を使ったブルゾンです。
ジップブルゾンということで、オーセンティックな見た目ながら、その中で生地の魅力が光りまくってる。
あとは、それに伴い杉原さんのドレープも健在。
袖口には、珍しいボタン。
真鍮リング付きのデッドストックボタンだそうですよ。
初めて見たボタンですが、生地のムードにもとても合ってると思う。
そして、、、
nonnotte
Draping Crotch Trousers Type A
material _ COTTON 100%
color _ SMOKE GREY
size _ 3,4,5
これ。
先ほどの"Incomplete Double Cloth"で、ドレーピングシリーズのパンツも登場。
こちらもヤバイ。
このトラウザー、着用方法が複数あるの。
フロントが直線で構築されたトラウザーです。
写真では、真っ直ぐの設計のフロントの生地を左右それぞれに外側にたたんでる。
パンツは、人間のお尻周り、腰の緩急にフィットさせるため、前身頃と後身頃のそれぞれに丸みを付けて形成します。
でも、これは、フロントは一直線に。
後身頃の尻ぐりのパターン線だけで、ヒップラインを見せず、フィットさせるように設計。
その上、
フロント中央に片倒しVer.
フロントに左右それぞれにインタックを形成Ver.
上記のように好きにフロントを操れるワケですよ。
まあ、前開きはないので、オシッコにはゆとりを持って行きましょう。
逆にベルト外せばすぐに出せますよ。ポコチン。
まあ、そんなくだらないワードはさておき。
フロントをどのように操るのかで、全然フォルムも変わってくるし、ディテールの見え方も変化。
生地が生地だから、シームのステッチワークも際立つし、ディテールもくっきりと浮かび上がる。
それぞれの角度から見ても、どれもイカしてると思いますよ。
nonnotte
Wide Trousers
material _ COTTON 53%,LINEN 47%
color _ GEOMETRIC BROWN
size _ 3,4,5
今日の最後はこれ。
ワイドトラウザーです。
事情により、今日は、生地のことについては紹介しません。
くっきりと形が出たワイドパンツですね。
コットンとリネンの混率してる生地ですが、もの凄くパンツのフォルムが鮮明に出てると思う。
フロントノータックですが、裾までドンと落ちる。
このようなノータックのパンツの場合、ウエストにはゴムが入ることが多いけど、これはそうではありません。
ベルトで絞るか、内側にコットンの平コードがあるので、それで調整する感じです。
非常に良いと思います。
このワイドトラウザーも。
また明日、追って紹介しますね。