Nobuyuki Matsui “深層”


今日は、Nobuyuki Matsuiの抜群の洋服を紹介させてください。


今回のコレクション、23年春夏は、”Tiefen”というテーマのNobuyuki Matsui。


これは、ドイツ語で「深さ」・「深層」というのを意味する言葉だそう。


そして、それを表現した洋服をつくってるの。


まずは、シーズンを象徴するジャケットとコート。


この2つが出来上がってるから、それを紹介させて。

Nobuyuki Matsui

CUTOUT PK ZIP UP BLOUSON

face material _ POLYESTER 80%,POLYURETHANE 20%

sleeve lining material _ CUPRO 100%

color _ NAVY

size _ 2,3



まず、これ。

ちょーバツグンのジャケット。


素材、縫製、パターン、その融合がハンパなく高いレベルで出来上がってるブルゾンです。


このクオリティ、出来栄えは、マジで度肝を抜くレベル。

色合いは、ネイビーです。

“深層”。

例えば、海の深いところにはほとんど光が入らないじゃないですか。

そういう深い場所の色合いを表したカラーリング。

表地は、”ウルトラスウェード”です。

そのため、混率で表すと、ポリエステル80%、ポリウレタン20%となります。


僕自身は、日頃から天然繊維を好んでるから、店の取り扱いラインナップもそのほとんどが天然繊維が中心。


というか、化学繊維で魅力に感じられるものがほとんどなかったから、自然にそうなってたのもあるんですよ。


でも、少し前から、日本の人工皮革のクオリティが格段に向上してるのを聞いていたし、体感してたの。


ただ、それでも自分の中で納得できるようなものがなかった。


やっぱり、どうせなら本物のレザーでしょ。って感じで思ってたの。


そんな中で、松井さん。


僕のそんな考えを吹っ飛ばしてくれた。


今回の生地。


このウルトラスウェードのクオリティは、素晴らしい。


表面の質感、キメ細かさ、光の反射、滑らかさ、それが見た瞬間に、一発で、僕がこれまで出会ってきたものと全然レベルが違うのを感じた。


溢れる高級感。


どこからどう見ても、かなりのラグジュアリームードが満載な生地。


半年前の展示会で、これには、とても驚いたことを今でも鮮明に覚えてる。


でね、Nobuyuki Matsuiの松井さんが言うには、やっぱり相当高い生地みたいですね。


日本のその辺に流通してるようなリアルレザーよりも高額。



それにね、僕も先日パリで世界中のブランドを見た時に、実感したのが、洋服の構築を重要視するブランドであればあるほどに、化学繊維を多く使ってる傾向ってこと。


それは、化学繊維の品質の大幅な向上もあるみたいだけど、やはり高い丈夫さがあるから、洋服の形状がダレてしまわず、しっかりとした構築美を実現し、維持できるという考え方なんだそうです。

それは、サスティナブルどうこう。とかじゃなくて。


そして、加えて、取り扱いの容易さもありますね。


水に濡れてもオーケーだし、軽量で、イージーケアということもこの素材のポジティブな側面だし、自分がこれまで懸念してきた”ポリウレタンが3年で劣化する”という部分が改善されてるらしいの。


どうしてもポリウレタンという素材は、特性上、3年で劣化が進むという認識があって、それだと、洋服の寿命、先が見えてしまうなって思ってたんですよね。


ただ、それもここまでの品質になると全くそんなことはないそう。


大きく、大きく、改良がされた素材。



そういうウルトラスウェードなんですが、、、



今回、Nobuyuki Matsuiの松井さんは、目指す洋服のゴールがあって、それを実現するためにこの素材を採用したの。



それでね、見事にNobuyuki Matsuiの洋服とベストマッチしてるんですよ。 

前から見ても、後ろから見ても、超ハイレベル。


僕は、この洋服にとてもオーラを感じる。


昨日も、COMOLIのブラックのタイロッケンコートのブログで、この”オーラ”という言葉を使ったんだけど、僕の最近のバイイングするモットーが、この”オーラ”ということ。


どんな洋服でも”オーラ”を持つものにはなることができないし、そうそう簡単にそういう洋服って完成しない。


正直に言って、現状で当店では、取り扱いをする全ての洋服が”オーラ”を持つ洋服ではない。


まあ、それは全部のラインナップがそうなると、高額なものだけしかなくなっちゃうから。笑


だから、一部のラインナップでそういうものを取り揃えてる。


もちろん、このNobuyuki Matsuiの洋服もバキバキの”オーラ”を持つ洋服だと思ってる。


こういうジャンルのこういう洋服は、日本中探しても、今はホンッッットに、見つからないと思う。


僕は、このNobuyuki Matsuiのブルゾンは、世界の有名なビッグメゾンがつくる、30万円、40万円、50万円のブルゾンに、全く負けてないと感じてる。


それは、自分が展示会で初めて見たサンプルから、製品となったものまで、まさにそう感じてる。


だから、アダルトな漢の方に向けたブルゾンですね。


僕の今シーズンの春夏の中で用意した指折りのアウターです。 

縫製仕様で言うと、ウルトラスウェードの表地ということもあり、布帛類とは、少し違った仕様です。

まあ、あんまりステッチが表に出てないけど。


コレクションに合わせた部分で、”深層”、つまり光が入らない。見えない場所でも洋服のディテールが手で触って見えるように、両方の袖口には、裏地が飛び出してる。


この裏地は、世界で一番高密度で分厚い、Nobuyuki Matsuiのオリジナルキュプラですね。


ポケットは、本体には、タックを入れてマチが設けられ、フラップは曲線を描いて、断ち切り仕様。

これも表地のウルトラスウェードの強靭な特性を活かすためのディテールです。

裏もとても丁寧な処理ですね。

身頃に裏地は付きません。


袖の滑りを考えて、袖裏だけ、先述の通り、オリジナルキュプラ生地。

しっかりと尖りのある衿先。

衿にはステッチが入りませんね。 

そして、ファスナーはイタリア製のLAMPO。

松井さんが言うには、世界で一番品質が高いのが、LAMPOとエクセラだそう。


まあ、でもエクセラファスナーは、日本のブランドが多く使ってるし、その雰囲気がNobuyuki Matsuiのニュアンスには合わないから、LAMPOを使ってる。


あとは、珍しいんですけど、Nobuyuki Matsuiの洋服は、フロントダブルジップも多いから、LAMPOの方がダブルジップ仕様がバリエーションが存在するみたいです。


Nobuyuki Matsuiの洋服のムードとLAMPOの組み合わせは、とても相性が良いと思いますよ。


そして、これ。

着用。

身長167cm、体重52kgの僕でサイズは、小さい方の2を着てる。


全然オーバーサイズじゃないから、適正なフィットと動作をスムーズに行うための必要な余白がきちんととられてる。


まあ、松井さんのつくり出す洋服はね、サイズさえ合えば、見事なフォルムが出てくれるんですよ。


これは、松井さんがイギリスでやってた頃の礎のタマモノですね。


人間のスタイルをとても綺麗に見せてくれる洋服ですよ。 

サイドビュー。

きちんと、肩に乗り、胸と背中に優しく添って、流れ落ちるアウトライン。 

誰がどう見ても、美しく感じる後ろ姿。

サイズさえ合えば。


衿の返り、立ちも文句ない。

自然光での着用時に感じる超絶的なエレガンス。

このブルゾンは、大人の方が休日に着るのに、とても相応しいと思いますよ。


オーバー30の枠組みの洋服ですね。


20代には、まだ早いかも。



もちろん、松井さんの設計だから、とても細かく、かなり手が入ってるから、クオリティも絶大の信頼を置いてもらってオーケーですよ。


実物を舐めるように見てもらったら良いかも。







そして、もう一つ。


Nobuyuki Matsui

TIEFEN JACKET

face material _ POLYESTER 80%,POLYURETHANE 20%

lining material _ CUPRO 100%

sleeve lining material _ CUPRO 100%

color _ NAVY

size _ 2



これ。

こちらも、先ほど同様の表地のジャケットです。


ジャケットと言っても、少し着丈は長めだから、気持ちコート寄りですね。


こっちの方は、日頃から”毛芯”や”ハ刺し”の手仕事の”本物のジャケット”をつくり続けてる松井さんだから、そのエッセンスが注がれてる。


ちなみに、これまで継続して当店でも取り扱いをしていたNobuyuki Matsuiのテーラードジャケットですが、今回のシーズンでは、僕がウルトラスウェードのシリーズに感動し過ぎて、それを見てもらいたかったから、テーラードジャケットはオーダーしてません。笑


それくらい僕は、このシリーズに自信がある。


まあ、つくってるのは僕じゃなくて、松井さんだけど。


バックには、テーラードジャケットの内側に入れる内蔵物の箇所を表した切り替えが入ります。


こういう切り替えは、松井さんならではだと思う。 


袖口。

こちらもブルゾン同様に、袖口からオリジナルキュプラ生地が出ます。

ボタン開閉可。

比翼仕様ですね。


先ほどのブルゾンは、袖開きはありませんが、こちらはジャケットなので、袖口が開く仕様です。 

フロントには、刻印入りの大きな水牛ボタンが2つ。


表地の色合いに合わせて、藍染めをした水牛ボタン。


でね、このボタンにもディテールが溢れてるの。


“深層”にいると何も見えない。


だから、ボタンの一部を削って、ボタンに高低差を付けてるの。

見えない場所でも、触ってディテールが分かるようにしてるそうです。


むちゃくちゃコンセプチュアルだと思うけど、かなり凝ってるの。松井さんの洋服。



ジャケットの見た目そのものは、ラペルが存在しないし、見た目もシンプルになってる。



でも、これにも意味があって、ボタンと同様に、”深層”では”ディテールが何も見えない”。


だから、一見するととにかくシンプルに見えるジャケットをつくりたかったそう。


ただ、そういうシンプルなものって、細かい構築や、クオリティが隠し切れないし、とてもハードルは高いの。


それって誰もができることじゃないと思う。


ただ、”テーラー”という出自を持つデザイナーだからこそ、そういうことを実現できてるんですよね。


こういうものは、Nobuyuki Matsuiの洋服の領域の高さを体感できると思いますよ。 

そして、こちらも着用。


やはり、着た時にNobuyuki Matsuiの洋服の美しさは、本領を発揮するから。


少し着丈は長めですね。


こちらのジャケットもサイズ2なのですが、僕ではサイズ2は少し大きいので、いつも写真を撮ってる竹本に着てもらってます。


身長は、確か174cmくらいで、体重は50kg代の前半か中盤だったと思います。

体格が細いので、少し余白がありますね。


このジャケットは、身長170cm代の中盤〜後半、体重が60kg〜65kgくらいの方にベストマッチするかな。予想では。


先ほどのブルゾンのサイズ3に相当するくらいに思います。



当てはまる方を募集します。笑 

竹本には少しだけ余白が大きいけど、それでもとてもレベルの高いバックスタイル。

かなり男前だと思いますよ。 


肩から袖にかけてのアウトライン、ネックのラインも抜群。

ポケットは、身頃から切り込みを入れた構造なのですが、内側には、キュプラライニングが備わってる。

表からは、ライニングの裏側が見えるので赤みが強いですが、ポケットフラップを機能させれば、僅かに見える程度です。


こういう構造のポケット。

ブルゾン同様に表地の特性を活かしてる。

そうそう。

このジャケットの裏も驚愕。

背抜き仕様なのですが、見事に丁寧な処理ですよ。


ちゃんとしてるから。 

すごい綺麗でしょ。


こういう処理も含めて、洋服のクオリティってとても大事ですからね。


それが洋服の見た目、着心地、耐久性にも大きく作用してくる。


そして、そういう細部の積み上げが”オーラ”を持つ洋服かどうかを左右するの。




ブルゾンもジャケットもかなりのクオリティだと思うから、ご検討頂ける方は見てみて。



きっと感じてもらえると思いますよ。

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