インスタグラムの方でも掲載してますが、NEATの2020SSのセカンドデリバリーがありました。
Cotton Pique:コットンピケ マテリアルはその名の通り、コットン100%です。 入荷のモデルはインスタグラムを見てくれたらそれで良いです。
当店でもつい先日、"井上と西野"と題してNEATの西野さんにも店頭に立ってもらいましたし、現状で言うと、幸い、注目して見てくれている人がいてくれるのを感じます。
でもね、注目を浴びるのにはきちんとした理由がある。 そのNEATならではのトラウザー美学が反映されているし、それは単純にパンツで頻繁に語られがちな、シルエットということだけではないですよ。 もちろんそのシルエットの良さは大きな魅力だと思います。 ブランドスタートから変わりのないパンツのパターン。 パンツ専業ブランドであるのにも関わらず、一切パターンの変更がない。 まあ、多少の個体差はありますがね。
シルエットに関しては、ここでは紹介しなくても良いかなと思うので、別のことを書きますね。 初めて登場しましたね、コットンピケ。
NEAT Cotton Pique
ヴィンテージウェアとかワークウェアとかの古いものが好きな人ならピンとくるんじゃないかな、この生地。 縦方向の畝が特徴的ですね。
コーデュロイよりは畝の高さは小さいですけどね。 ピケの生地のことは分かっても、漠然とした認識の人が多いと思う。 僕の学生時代に5億回前後は読み耽た、"Textile Dictionary"によると、 Pique(仏):ピケ 盛り上がった太めの畝や、凹凸の柄を浮き出せた、厚手のしっかりした織物。「浮き出し織り」ともいう。 二重織りの一種で、経糸と緯糸を組み合わせる接結点によって畝を作り出す。
本来はよこ畝の梳毛組織だったため、たて畝は「たてピケ」と区別して呼ぶこともあるが、現在は綿タイプやたて畝が多く、たて畝の「ベッドフォード・コード」も含めてピケと呼ばれ、厳密な区別はない。また波形、菱形など柄の畝をあしらったものはアート・ピケ、ファンシー・ピケの名称で、、、 と書いてる。
つまりは、ピケとは二重織り。
二重織り(にじゅうおり)とは、どういうことかと言うと、 薄い一枚の布と 薄い一枚の布を 接結糸(せっけつし)というものでくっつけたもののこと。 厳密にいうと後づけではないから、同時にそれらを織り上げるんだけど。
よく聞く、「ボンディング」は接結糸ではなく、ボンドで貼り合わされてるって感じだからビミョーにちゃう。 つまりは、二枚の生地(織物)で一枚の生地になってるワケですよ。 名前の通り。 でね、さっきの超優秀辞書の"浮き出し織り"って文言あったでしょ。 それの理論を分かると何となく、ピケについて知れるのよ。
これが生地表。
分かるかな〜、どうかな〜、 一本一本の線(畝)があるじゃないですか。 その畝がさ、斜めの糸で構成されてるの。 それでね、
ちなみにこれが裏側なんですよ。 思いっ切り、表と裏の生地の見え方違うでしょ。 簡単に考えると表と裏で、生地の組織が違う。
これね、超重要。
ピケの見た目の部分にも関わってくるし、着用時の生地のハリとか肌当たりにもめっちゃ関わってくるから。
つまりは、 表は、綾織り 裏は、平織り の二重織り。 で、どうなってるんかと言うと、、、 登場。
MS。エムエス。 マイクロスコープの略称ですね。
今、名付けた。
この写真は、MSで表地を拡大したもの。 これで分かることはいくつかあるんですよ。 ・密度 ・糸の種類 ・生地組織 とかとか。 このNEATのコットンピケで言うと、 表地は、双糸の綾織りってことが単純にわかる。 写真の右半分に綱みたいに見える糸が綾織り部分で、畝として浮き上がっているところ。 対して、左半分にはレンズの奥の方に糸が見えると思う。 何となく、糸が欠落しているような感じ。 これが浮き出し織りの特徴です。
写真の明るさの違いは無視して。
これは、同じ生地の裏側。肌に当たる面ですね。 横方向に糸が走ってるのが見えるでしょ。これが緯糸です。ちなみに単糸ね。 右半分には縦方向に走る経糸も少し見えるんですが、この写真から分かることは、裏側は平織りってこと。
あと、左半分の横方向に走る、緯糸の奥の方に糸があるのが分かりますかね。 この部分がさっきの表の拡大写真で見てもらった、綾織りの浮き出し織り。 つまりは、拡大してみるとより生地の構造が見てとれるんですよね。 そしたら、このピケの生地がどのような特徴があるのかが理論的に分かる。
単純に考えて、表に畝があると肌に当たる裏側にも凹凸がありそうに感じるじゃないですか。 凹凸があるとどうなるのかというと、生地のざらつきとかに繋がるかな。 それが良いか悪いかはさておき、 この生地で言うと、浮き出し織り反対側(裏面)は糸が浮いたりしてるけど、それ以外の経糸と緯糸が交わる部分はすごく密度が高く、ガチッと織り上げられてるんですよ。
しかも経糸は双糸で織り密度が高いから、必然的に畝がしっかり立ち、そして生地にハリが出る。 でも、裏側は平織り単糸のフラットな生地感。 だから、見た目のはっきりした組織の浮き上がりに対して、内側は肌当たりが滑らかなんですよ。 あと、表の綾織り双糸の撚り(より)も結構強く見えるから、光沢も感じられると思う。 これは実物見てもらえれば分かると思うんだけど、綿100のパンツではあんまりないかな。 まあ、後加工の程度にもよるのが実際のところだけど。
元ネタが元ネタだから、超絶高級生地っていう感じではないけど、デイリーユースするには申し分ないし、綿パンだけど、これ穿いてると、充分上品に見えるので年末年始の親族への挨拶はこれ穿いていきましょう。
あっ、でも、裾上げが多分間に合いませんね。
ご容赦ください。
NEATのトラウザーのアウトラインもはっきりと出してくれるし、硬めの生地感だから昔はヴィンテージのパンツ穿いてたような方には懐かしさもあるんじゃないかな。
いろいろバリエーションはあるから見てみて。 それでは。