COMOLI ストライプシリーズ

今日は、COMOLIの紹介をさせてもらいますね。 今回のCOMOLIは、16日(土)にスタート。 このタイミングでは、より気温が高くなってくる時期を見据えたラインナップがいくつか納品があったのですが、当店では2つのみ。 しかも、どちらも同じ生地のシリーズ。 これだけに絞ってた。 そして、これをとても楽しみにしていた。 僕の中では、今回のこの2つがCOMOLIの今シーズンでNo.1。 流れてる時間、洋服の持つ空気、これが別格。 スタイリングのしやすさとかは、置いておいて、"服"そのもので見たとき、2022SSの中で、群を抜いて一番の洋服だと思ってる。 まあ、人類全員が着れる類のものではないかもしれませんが。 事細かに見ていくと、洋服の持つパワーが圧倒的だから。 生地、カラーリング、形、ボタン、縫製仕様。 この超絶ベストバランスで構成されてる服だと思う。 それらの要素が見事に組み合わされて完成した洋服ですよ。 これ。 COMOLI ストライプ ブルゾン material _ COTTON 70%,LINEN 30% color _ STRIPE size _ 1,2,3 COMOLI ストライプ ワークジャケット material _ COTTON 70%,LINEN 30% color _ STRIPE size _ 1,2,3 この2つ。 この4月のタイミングに、見た目はアウターの形してる。 これから暑くなってくる時期に、アウターベース。 それでいて、"ブルゾン"と"ワークジャケット"という、あまりにも「余白」のあるネーミング。 激ヤバ。 まあ、これに関しては、COMOLIの小森さんがブランドのラインナップの中でも、"コレクション"としてつくってるものだと思ってる。 あとは、ブランドの中でも小森さんが考えていることは、 春夏シーズンに"アウターの形"のものを"シャツとして"、 そして、まだ先だけど、 次の秋冬シーズンには、"シャツの形"のものを"アウターとして" 着て欲しいって考えてる。 だから、一般的な洋服の用途の考え方を排除したものをつくってるんですよ。 ということで、今回のものはベースは、"アウター"だけど、用途や機能としては"シャツ"と思って頂けたらオーケーです。 Gジャンのようなベースの、ブルゾン。 カバーオールのようなベースの、ワークジャケット。 この2つは、生地と縫製仕様は、ほぼ同じです。 大きく考えると着丈が違う。 あとは、細かなディテールですね。 まず、生地。 これに関しては、展示会以前から、とある人にこの生地がどこの機屋さんで製織されたものかを聞いていた。 その機屋さんは、当店にお越し頂いたことのある方や、これまでこのブログを見て頂いたことのある方は、察してもらえると思うけど、僕が日本で一番の"綿織物"をつくると思ってる、静岡県掛川市にある機屋さん。 そこで織られた生地です。 見た目は、50年くらいの時を経て、ヒッコリーが褪色したようなイメージ。 でも、それが持つオーラは、ヤバヤバ。 ヘリンボーンの変わり織りの生地組織に、生地となる前段階で、糸が染色された、"先染め"生地。 本当に時代を経たようなヒッコリーであれば、インディゴの部分が白い箇所に移染してしまって、曖昧で、フラットな見え方の生地になる。 しかしながら、これは先染め糸により、生地組織が非常に明確。 しっかりと目が立ち、グリーンがかったインディゴと、ベージュの糸のコントラストがとても効いて、かなりのオールドムード。 見た目は、色のトーンやヒッコリーのイメージということもあり、人間の脳はどうしても重くて、硬さのあるような生地感に捉えてしまうけど、実物は、超絶的に軽やかで柔らかい。 この機屋さんは、シャトル織機がベースではあるから、手織りの構造と一緒で、セルヴィッチの生地ができるんですが、このオーラは、超高級ゾーンのイタリア生地に全く劣らない。 まあ、分かりにくいジャンルだけど。笑 着ると、ここまでの強強ムードとは、裏腹に、かなり軽く、風が通り抜けていくことが容易に想像できると思う。 自然光に当てるとこれくらい光が抜ける。 誰もが夏にパッと羽織る"シャツ"としてイメージしてもらえると思いますよ。 ザッと、ディテールを紹介しますね。 ブルゾンもワークジャケットも衿先が尖らず、僅かにカーブしてる。 台衿パーツも月腰も存在しない、一枚衿仕様です。 オープンカラーシャツと同じような構造かな。分かりやすく例えると。 あとは、首の前下がりが気持ち低い位置にあると思います。 だから、着た時に暑苦しくは見えないですね。 それに加えて、着てしまえば、いかにもなキメキメにはならない、抜け抜けムードが出てくれる。 衿には、コバステッチが入ります。 それによりペタンとした衿が形成。 あとは、衿そのものが、かなりペラッとしてる。 全神経を指先に集中して触ったり、光に当てて、衿の内部をじっと見てみたけど、衿の内側には、もしかしたら通常は入る芯地は入ってないかもしれません。 仮に入ってたとしても、かなり薄いレベルの接着芯だと思う。 それくらい薄い衿の仕様になってる。 だから、そのためか、より柔らかい印象になってますね。 ブルゾンの方は、ウエストポケットというか、Gジャン特有の位置に設けられるポケットが一つ。 ポケットフラップはありません。 あとは、カフスの開きが外向きではなく、内向き。 そして、裾には左右、前後、それぞれ一つずつ、合計4つのタックがある。 このため、裾口の収まりが良いのですが、背中や腰回りに、僅かながら丸みが生まれますね。 裾帯パーツでとめられたタック。 このタックは、ブルゾンのみで、ワークジャケットの方にはありません。 裏地は付かない一重です。 前見返しには、左右どちらもシャトル織機の生地端(セルヴィッチ)が配置。 製品洗いがかけられて、仕上げはかなり弱いプレスくらいだと思うから、ビロビロになった見返しのセルヴィッチ。 そして、ボタンホール。 これも激ヤバ。 現代のアウターでは、もはや見ることが皆無な程、むちゃくちゃかがり目の幅の狭いボタンホール。 ボタンを留め付けるためのボタンホールは、どんな洋服でも存在しますが、それには専用のボタンホールミシンという特殊ミシンが必要です。 そもそもミシンというのは、イギリスの産業革命以降に開発されたものなんですが、ボタンホールミシンというものが流通する以前は、手縫いのボタンホールが当時は一般的。 更に、初期のボタンホールミシンも、現代ほどの丈夫なボタンホールが形成されるものではなく、すぐに崩壊しちゃうようなものがほとんど。 それは、今回のCOMOLIのこの2つのシリーズのようなイメージ。 つまり、このCOMOLIのブルゾンとワークジャケットは、それくらい昔の洋服のボタンホールのニュアンスを再現してるってことです。 現代のボタンホールミシンでは、これくらい細幅ステッチで、目の粗いホールって開けられるのかな? 裏もこのホールのステッチ幅と粗さ。 シャツ用のボタンホールがベースだと思うけど、ミシンの運針数を調整してることは間違いないし、もしかしたら改造してたりするのかな。 そして、それに組み合わせられるボタン。 これは、樹脂製のボタンなんですが、長年の時を経て、新品では白かったボタンが日焼けしたような想定でつくられてるものです。 今回のこの生地とピカイチの相性。 更には、先ほどのボタンホールと組み合わせられると、最強。 黄色く日焼けしてしまったボタンから、僅かに覗く、幅が狭くステッチ間隔の広いボタンホール。 で、ベースは、ヒッコリーみたいな生地。 これ神技。 もはや、着てしまうと、ほとんど分からないようなレベルだけど、洋服ってこういう小さいところが、とっっっても大事なの。 一着の洋服ってね、いろんな小さな要素で形成されて、その集合体で完成するワケですよ。 だから、ディテールや縫製、意識しないと気にも留めないような箇所って、その洋服を大きく左右してくるものなんですよ。 これは、インスタグラムでは分からない世界。 そういうことを大事に思って頂ける方は、こういうところを見てみると洋服の本当の面白さって一層感じてもらえると思いますよ。 袖。 袖口には、身頃同様のボタンとホールが健在します。 ブルゾンの方は、二枚袖仕様です。 ポッケ。 ホームベース型のもの。 注目は、ポケット口。 こちらは、ブルゾンの方。 ポケット口には、左右それぞれ逆三角形のステッチが入ります。 分かるかな? これね。 ブルゾンの方は、ポケット付けのステッチは、一本の本縫いでグルリと縫製。 対して、 こちらは、ワークジャケット。 ブルゾン同様に、ホームベース型のウエストポケットが2つ付きます。 でも、縫製仕様が違うの。 同じ形のポケットを、ただ同じように付けてるんじゃないの。 こちらは、ワークジャケットのポケット口。 分かりますかね? ポケット口は、本縫い+カンドメの仕様。 そして、ポケット全体は、ダブルステッチでグルリ一周縫われてる。 ブルゾンは、本縫いのみで、ポケット口が逆三角形の補強。 ワークジャケットは、本縫いダブルステッチ+カンドメ補強。 これ。 ダブルステッチ。 まあ、はっきり言って、これでその日のコーディネートがどう変わるとか、マジで影響ないです。 しかしながら、洋服そのもののオリジンを追求してるってこと。 なかなかね、そういう縫製仕様とかって知られることってないと思うけど、COMOLIの小森さん、そういうの大事にされてる人だから。 こういう要素があって、COMOLIの洋服ってつくられてるんですよ。 ちなみに、より一層どうでも良いかもしれないけど、ポケット内側の生地端の処理も思いやりのある、オーバーロックでの処理。 これが断ち切り状態の服って多いと思うから。 中長期的に考えた時、ポケットの耐久性は向上します。 COMOLIの洋服はね、"50年後に古着として残る服"を目指してつくられてますから。 タフな服づくりっていうことを前提にしてるワケじゃないし、着ることで擦れたり、ほつれたり、当たり前に起こり得る洋服の変化を大事に捉え、それを前提にした上で、きちんと手を入れられてる洋服です。 バック。 ブルゾンの方です。 ブランドで存在するデニムジャケットだったら、シンチバックが存在するけどこれにはありません。 センターに接ぎが一本入ります。 こちらは、カバーオールタイプのワークジャケット。 バックは、一枚の大きな生地で形成され、接ぎはなし。 そして、こちらは袖は一枚袖仕様で、それに伴い、カフスの開きはありません。 しかしながら、袖口幅はそれなりにゆとりのある寸法設計だから、グルグルと袖を捲るのが容易です。 裏。 こちらは丈の短いブルゾンタイプ。 箇所によって、縫製仕様は使い分けられてるのですが、基本的には本縫いです。 ただ、あまり見たことのない仕様なのですが、折り伏せ縫いの箇所が、本縫い+環縫いのダブルステッチで縫われてる。 これ。 本縫い+環縫い。 身頃からアームにかけての距離が長い箇所がそうなってる。 前身頃と後身頃のシームや、アームホールは本縫いの折り伏せです。 薄手の生地ですからね、ワーク感満載ではなく、縫製仕様もシャツのような感覚で縫われてます。 この縫製に関しては、ブルゾンもワークジャケットも共通です。 ポケット内部のみがオーバーロックがかかっていますが、基本的にはシャツ仕様。 特段、縫製テクニックがすごいってワケではありませんが、この洋服のムードを損ねないレベルできちんとつくられてる。 風が通って、軽い着用感だけど、そうとは全然見えない、重厚なエッセンスの生地。 洋服そのものがかなり強い雰囲気があるので、これを消化し切れない人もいるかもしれませんが、着てしまえばこっちのもの。 僕は、これを着ればCOMOLIの2022SSシーズンももちろん、ブランドのやってることがとても感じてもらえると思ってる。 全体の要素の組み合わせでここまで強い力を持ってるのは、ドメスティックブランドの洋服では、とても珍しいと思いますね。 というか、ドメスティックブランドの洋服の感覚より、海外の職人的な洋服が持つようなムードが漂ってると感じてる。これに関しては。 当店がCOMOLIというブランドを扱ってるのは、これだけレベルの高い洋服が存在するから。 今回のストライプのシリーズが持つパワーをご体感ください。 これからの時期にTシャツの上に着て、汗かいたらフツーに洗ってしまえばそれでオーケーな洋服なので、この洋服を乗りこなせた方には、強い味方になってくれると思いますよ。 お好きな方はみてみてください。
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