今日は、Collection 003の最終納品があったcalmlenceを紹介します。
セットアップ着用が可能なジャケットとトラウザーの2つです。
この2つは、展示会で見たときから今まで、その生地のムードが忘れられなかったシロモノ。
改めて熊谷さんの凄みを感じたの。
そして、それが着た時に最大限に発揮されるんですよ。
そういうジャケットとトラウザーです。
calmlence
PEAKED LAPEL SACK COAT
material _ WOOL 56%,LINEN 39%,HEMP 5%
color _ DBRD
size _ 1,2,3
calmlence
PEAKED LAPEL SACK COAT
material _ WOOL 56%,LINEN 39%,HEMP 5%
color _ BLK
size _ 1,2,3
こちらがジャケット。
と
calmlence
TRIPLE PLEATED WIDE TAPERED TROUSER
material _ WOOL 56%,LINEN 39%,HEMP 5%
color _ DBRD
size _ 1,2,3
calmlence
TRIPLE PLEATED WIDE TAPERED TROUSER
material _ WOOL 56%,LINEN 39%,HEMP 5%
color _ BLK
size _ 1,2,3
こちらがトラウザー。
もうね、明らかにヤバそうなの、わかって頂けます??
ジャケットとトラウザーの佇まい。
僕はね、こちらを紹介できることをとても楽しみにしていましたから。
ジャケットは、ブランドのコレクションとしては初めて登場した"新型"。
トラウザーは、calmlenceを象徴する代表作の形です。
そして、冒頭の通り、その生地。
これすごい。
混率は、calmlence以外では、お目にかかることがなさそうなもの。
・ウール(梳毛) 56%
・リネン 39%
・ヘンプ 5%
というもの。
これ。
DBRDの生地の拡大。
BLKの生地の拡大。
どちらの色合いとも、経糸には、ブラックの梳毛のウールを配置。
そして、緯糸には、
DBRDは、ダークボルドーのリネン糸。
BLKは、ダークネイビーのリネン糸
をそれぞれ打ち込んだ生地。
上のDBRDの生地拡大の写真が分かりやすいと思う。
黒く見える糸が経糸のウール(梳毛)。
緯糸がダークボルドーのリネン。
生地組織は、"斜子織り(ななこおり)"というもの。
斜子織りという組織は、平織りに近いけど、平織りとは"経と緯"の交錯する糸の本数が違うのだ。
ダークボルドーのリネン糸をよーく見ると何となく分かって頂けるかもしれないですが、糸が二本並んで"引き揃え"の状態になってるの。
これは経糸も同様だ。
更によく見ると、生地に凹凸があり、それが菱形のように斜めに浮かび上がっている。
斜めに菱形に近いように浮かび上がった組織。
熊谷さんが言われるには、今回のcalmlenceのオリジナル生地で採用している斜子織りは、うまく利用すれば、洗うと"糸が動く"そうだ。
このように、菱形とか、斜めに生地が見えるようにするには、2つの方法があると熊谷さんが言ってた。
1:組織で斜めになるように設計する方法
2:柄で菱形のように設計する方法
この2つ。
今回は、1つ目の"組織で斜めになる設計をした"生地だそうです。
そのため、洗って"糸を動かす"という狙いを持っていたため、生地の仕上げの際には、専用洗い加工機に投入して、生地に歪みを与え、動きを出してる。
そうすることで、設計による菱形のような斜めの組織が際立つ。
この"斜子織り"の特性を利用した熊谷さんのオリジナル生地。
更に、、、
混率に、僅か5%だけ占めるヘンプ。
これもヤバい。
経糸と緯糸、ともに、"ウールとヘンプ"をミックスした、混紡糸を不規則に配列させてる。
しかも、そのウールヘンプの混紡糸は、糸を染める際に、繊維特性の違いを利用して、"ウールのみを黒く染める"という手法をとったもの。
つまり、上の生地の拡大の写真で、"白っぽく見える糸"は無染色状態のヘンプ。
ウールは黒く染まり、経糸の梳毛ウールに馴染み、染まっていないヘンプのみがチラチラと顔を覗かせる。
この手法は、熊谷さんのテクニックを象徴するような"絣(カスリ)"の表現である。
DBRDとBLK。
それぞれ表情が違うけど、ヴィンテージムードがもの凄く漂う。
calmlenceで使う、皮付き水牛ボタンとの相性も抜群。
DBRDは、経糸と緯糸の色がはっきりと違う分、組織が際立ち、目が立っているように思う。
その中に、ところどころ現れるcalmlenceの"絣エッセンス"。
calmlenceの生地は、二層にも三層にも熊谷さんマジックが加わって形になってるものだから、もの凄い深みを感じる。見れば見るほど。
BLKは、"ウールのブラック"と"ダークネイビーのリネン"の構成ですからね。
フツーに"黒い色"をつくってるのとは、ワケが違う。
その上、DBRD同様に、絣糸が入ってる。
そして、そして、組織による生地の斜めの凹凸。
それはもう、現物は、重厚さと奥行きの超絶マッチングですよ。
衿先が尖った、新型のピークドラペルというスタイルのジャケット。
真鍮フックが手付けで備えられるので、スタンドのジャケットでもOK。
フロントは3つボタンで、ポケットは角がないラウンド形状の外付けポケットです。
身頃よりも袖が高い袖高仕様で、胸には箱ポケットが備わる。
生地の雰囲気がとても強いけど、熊谷さんの洋服づくりにより、甘く柔らかな表情も感じられるジャケットだと思いますよ。
袖口には2つボタンです。
袖を折ると、袖裏のコットンレーヨンのツイル生地が映える。
バック。
ヨーロッパの古いジャケットのように、前身頃と後身頃の切り替え位置が、後身頃方向にスライドされたもの。
こうすることで着用時に前から見た時に、生地の切り替えが見えないため、肩のアウトラインがすっきりと綺麗に見える一つの方法とも言われますね。
そして、クラシックなサイドベンツ。
ピークドラペルのジャケットって、サイドベンツなのがルールなんでしたっけ??
僕は、そういうの基本ルールを忘れましたが、ピークドラペルもそうだし、サイドベンツもそうだし、近年はほぼ見ることがなくなった。
というか、ピークドラペルもサイドベンツも、ジャケットの中では、フィッシュマウス型のジャケットよりも、センターベントのジャケットよりも、"独特の強さ"が顕著になってしまうように思うんですよ。
今ではいろんなデザイナーが気軽にトライできるような類の洋服ではなくなったんですかね。
こういう洋服って、マジで作り手のセンス、感覚とか、実力がものを言うと思うんですよ。僕は。
だから、熊谷さんレベルの方じゃないとカッコいいと思えるものって、なかなかつくることができないんじゃないかな。
そして、裏。
calmlenceは、裏もめちゃくちゃイケてる。
身頃裏地もオリジナル。
色っぽさがムンムンに漂うフラワージャガード生地。
半裏仕様ですから、裏地がない箇所は、パイピングで処理される。
そして、サイドベンツの額縁仕立て。
角がしっかりと立ったバキバキの額縁仕立て。
裏側も結構手の要素が入ってて、袖の裏地の取り付けも手まつりですね。
これで柔らかい肩の動きになる。
あとは、パイピングが施された裏の生地端を身頃に留め付けるのも手まつりですね。
これは、裏の生地の留め付けステッチが、表に干渉しないためですね。
あとは、こんなところも手で縫われてた。
白い糸、分かりますかね??
calmlenceは、服の細部を見続けてると、今は非効率って言われるような仕様が満載です。
ブランドではあんまりそういうことは言ってこなかったけど、そういう時間かけて、手をかけて、濃厚につくってある洋服って、着て使ってたら確実に違いを感じますからね。
そういうことを静かに物語ってる洋服だと思う。
トラウザーは、ウエスト帯はつかず、フロントに3つのタックが入ったもの。
フロント3タックということもあり、ワタリ幅は40cmを超えるというボリュームですが、裾は一気に細くなるというもの。
これはcalmlenceを物語る超絶ムードのフォルム。
生地の雰囲気との相性もハンパないから。
ハイバック仕様で、V字型。
真鍮製シンチバックも付属し、ポケットは左右で非対称。
フロントは3タックでボリュームがあるんですけどね、お尻周りはフロントと比べるとコンパクトに感じる。
あとは、股グリのラインも全然フツーじゃないの。
これ、どうなってるのか今度熊谷さんに聞いてみようかな。ホントすごいですから。
ボリュームとシャープさが同時に混在し、着用者の動作によっても見事な表情の変化を見せるパンツですよ。
裏。
こちらも半裏の仕様です。
生地はそれなりに重厚感があるので、このパンツは秋冬にはかなり良いと思います。
パンツの裏側でさえも良いムードを感じる。
マーベルト仕様のウエスト見返し生地をめくると、このように折り返され、二重になったウエスト芯が備わります。
これにより分量のあるパンツですが、着用時のウエストのフィッティングの心地良さや、それに伴う安心感がとても感じられると思います。
このようなディテールも、熊谷さんが実際に自分でcalmlenceの洋服を着続け、より良いものをつくろうと、どんどん改良されたディテール。
「実際に着ている時に、物理的にどう感じられるか。」ということもブランドの洋服レベルを物語る要素として、熊谷さんはすごく大事に考えられてるみたいです。
だからね、所有者はcalmlenceの洋服は、とても信頼して着ることができると思いますよ。
着用。
身長167cm、体重52kgでどちらもサイズ1を着てる。
参考に目安としては、もちろんご体格によりますが、170cm代前半の方までがサイズ1。
170cm中盤の方がサイズ2。
180cmくらいまでの方がサイズ3でしょうか。
まあ、既にcalmlenceのサイズバランスをご存知の方以外は、ご不明な点はご相談ください。
肩はジャストショルダーで、適正にフィットをするクラシックな要素も強いジャケット。
対して、ウエストの3タックからボリュームあるワタリ。
そして、そこから流れるように細くなるテーパードフォルム。
後ろ姿も大人のメリハリってバランスでしょ。
そもそもね、こういうボルドーっぽい色合いって、洋服では料理することがすごい難しい色。
だから、セットアップで探そうと思っても滅多に出会えたものではないと思いますからね。
みんなが着やすい色合いではないですが、こういう色がお好きな方にはとても良いんじゃないでしょうか。
DBRD。
BLK。
BLKは、やはりcalmlenceの雰囲気が溢れてる。
時代を超えてるBLK。
どちらの色合いも、それぞれに華やかなシーンで着て映えるし、日常使いで単品使いしても、雰囲気の強い洋服とも見事な調和をしてくれると思いますよ。
30年以上、洋服づくりを行ってきた熊谷さんです。
生地の開発から、完成した姿が全て一連の流れで強く繋がった洋服づくりを行なうcalmlence。
非常に唯一性が高いジャケットとパンツだと思ってる。
冒頭の通り、こちらで当店のcalmlenceのCollection 003は終了です。
なかなかのものが最後に登場してるから、お好きな方は是非ご検討ください。