今日は、Araki Yuuのコートを紹介しますね。
今回の秋冬の括りでのAraki Yuuは、生産の都合上、いつもよりもラインナップは限られたものになるシーズンです。
Araki Yuuの全ての洋服は、荒木さん自身が生産を行う性質上、期間中の生産数に限りが出てしまうから、取り扱いのあるお店でも、全店舗で取り扱いの上限数が設けられてる。
で、そのような中で、どのような洋服をつくってもらうか。
いつも以上に考えたんですよ。
工場生産のブランドではないから、どうしてもそのような制限が起こってしまうのは仕方がないことなので、より今回は、"このように使ってもらいたい"と自分の中で考えたものをつくってもらいました。
Araki Yuu
soutien collar half coat
face material _ ALPACA 100%
lining material _ COTTON 100%
sleevelining material _ CUPRO 100%
color _ BRUSHED BROWN HERRINGBONE
button _ BRASS
size _ 1,2
※完売致しました これ。
少し丈が短めのハーフコートのようなステンカラー。
上のハンガーで吊ってる写真では、生地の質感が完全に終わってるので、生地の色やニュアンスが正しいのは、この写真です。
獣毛ならではの深いところに存在するブラウン。
今回、この生地でこのハーフコートをつくってもらった理由は、主に3つ。
1つ目は、このアルパカ100のヘリンボーン生地で、過去にジャーキンジャケットをつくってもらったんですよ。
それを僕は今も、むちゃくちゃ着てる。
超軽くて、ちゃんとした暖かみもある。
そして、劇的にシブシブの生地の質感してるの。
それが途轍もなく気に入って、ブランドサイドに今回、この生地の残りメーター数を確認したら、全然なかったから、それならもう、なくなる前につくって、皆様に見てもらいたいと思ったの。
2つ目は、この生地はとても軽いのは、上記の通り。
それで、自分でもすごく気に入って着ている、ジャーキンジャケットをもう一度つくってもらうのも良かったんですけど、僕と同じタイミングでそのジャケットを買い物してくれたお客様方もいたから、そういう、先に買ってもらってる方の優位性もあるワケですよ。
だから、違う形にすべきと思ったの。
ただ、この生地は、暖かくて軽い。 こういう生地のアウターがきっとすごく重宝する方は、日頃、車に乗ってる人だな。
って思ったの。
あまりにも着丈が長いようなヘビーアウターだったら、車に乗るときには脱がなきゃいけないこともあるし、そういう車移動中心の方に、アウターを着たまま車に乗れて、そのまま外に出ることができるものがベストだと思った。
だから、そのまま座席にも座れるハーフコートの丈のものが適してると思った。
これが2つ目の理由。
最後の3つ目は、この生地はかなり見た目の雰囲気がある方だと思うから、できる限り、表面のディテールが多くないものにすることで、独特なオールドムードと、本来の生地が備えるポテンシャル、そしてAraki Yuuの洋服のスタイルが存分に出ると考えた。
そうすると、それなりに生地面積はたくさんあるけど、表のディテールが数多くないものがベスト。
このような3つのことを考えた時に、ブランドでつくってるこの"soutien collar half coat"が一番適してるから、これでオーダーして、製作をしてもらいました。
分かりますかね?? 結構大きめのヘリンボーン柄なんですよ。
そして、柔らかいアルパカの毛羽立ち。
毛羽立ちがあるのに、奥の方から繊維の輝きが感じられるんですよね。
不思議と。
まあ、とてもハイレベルなクオリティ生地ですよ。これ。
自分でもう二年くらい着てるからよく分かってるの。
比較的シンプルなスタイルのコートなのですが、その分、Araki Yuuの技術が光ってる。
ステッチもあまり表に露出することが多くない設計。
ただ、ところどころに現れるステッチワークは見事ですよ。
衿裏の生地端ギリギリのコバステッチ。
2枚の表地で構成された上衿の衿裏の控え方の分量もとてもちゃんとしてる。
大きめの月腰もそう。
ボタンはいつも通り、真鍮のボタンです。
このブラウンヘリンボーンで毛羽立ちと光沢のある生地との真鍮のコントラストも好きなんですよ。
もちろん、ボタンも手付けです。
そして、ボタンホールもいつも通り、ハンドホール。 手縫いです。
やはり、何回も何回も繰り返し、手作業でのボタンホールを開けてるから、そのレベルは超次元。
ウルトラハイレベルなボタンホールですよ。
ミシンでのボタンホールに比べ丈夫な上、それでいてめちゃくちゃ整ってる。 これ、すごいこと。
まあ、洋服そのもののつくりは、Araki Yuuですからね。
絶大な信頼を置いてもらってOKです。
このステンカラーハーフコートは、比較的ステッチは表に出ないのですが、その分、割り縫いのテクニックが必要になってくる。
それは、縫製前後のアイロンワークとか。
縫製というのは、実際に縫うことだけじゃなくて、裁断やアイロンをいかに丁寧に行うかということも、ものすごく重要になってくるから。
重要な肩周りも立体をしっかりと出しながら、きちんとした割りテクニックが詰まってる。
袖も、身頃脇も。 割りアイロンを丁寧にやってる分、きちんと生地が開き、接ぎの目がしっかりと出てるのが見てとれる。
そうそう。 袖口は、ボタンなどでの開きはありません。 袖裏には、表地に合わせてキュプラ100のヘリンボーンです。
これは、ウエストのポケット口の写真です。 ポケット口の補強が必要な部分は、シルクの糸で手縫いでのカンドメを入れてあります。 これもAraki Yuuの特徴の一つ。
内側。
裏は、総裏地にしてもらってます。
生地は、コットン100のもので、少しくすんでる生地なので、生地染めのものだと思う。
色移りとかは心配いりません。
外側以外に、内側にも容量の大きなポケットが左右に一つずつ付属します。
この裏地の付け方にも、時間をかけて丁寧につくってるのが見えますね。
見返しの表地と裏地が綺麗にくっきりと分かれてる。 テキトーにつけてたら絶対にこうはならないですよ。
そして、裏地の背中心にもAraki Yuuの思いやり仕様が隠れてる。
通常、裏地は、着用者の動作に合わせて生地を追従させ、着心地を良くしたり、服への負荷を軽減する。
だから、大体裏の中心に裏地の余白を設けるの。
でもそういうのは、
生地が単純にアイロンで折りたたまれてるのがほとんど。
ただ、Araki Yuuはこうしてる。
裏地の余白は残してるんだけど、裏のごわつきが出ないように、ポイントポイントを均等に手で止めつけてる。
こうすることで、動いてない時には、裏地は収まり良く、動作時には、裏地が上半身に追従してくれる。
これ、とても良くできてると思いますよ。
Araki Yuuの洋服は、荒木さんが一着ずつをAraki Yuuクオリティできちんとつくってるのがすごく感じられるの。
だから、そういう洋服って着続けることができると思うし、物性として丈夫にも仕上がる。
全ての洋服をこのレベルで統一することは、とても難しいことですからね。
それを貫いてる。
まあ、工場生産だったら、自分以外の人がつくることになるから、同ブランド内でも、服によってどうしてもクオリティのバラツキが出てしまうことはありますからね。
とても安心できる洋服だし、一着が考え抜かれてるから不快感なく着てもらえると思いますよ。
今回のこのコートも、取り扱い数量は、ヤバいくらい少なくなってしまってるけど、気に入って手にして頂けた方には、寒い時期に高頻度で、繰り返しのシーズン活用してもらえると思ってる。
見てみてください。