今日は、Araki Yuu。
これから暑くなるけど、しっかりと長袖。笑
多分真夏は冷房下じゃないと着れないですね。これは。
でも、好きな方は好きだと思いますし、”洋服”としてご判断下さい。シーズンものというよりは。
どんどん見た目が変わってくる、同じブラウンのリネンを使った2種類のシャツです。
Araki Yuu
Raw Cut Pointed Collar Narrow Shirt
material _ LINEN 100%
color _ BROWN
size _ 0,1,2
※完売しました
ブラウンの綾織りリネンを使用したシャツ。
ここまでリネンの繊維特有の見た目が最初からふんだんに出てるものは、ここ数シーズンではなかったですね。
このシャツのモデルは、ブランドでは最も細いフィッティングになるシャツです。
ジャストショルダーのウエストシェイプあり。
ただ、人間の上半身の丸みにかなり立体的に感じますので、窮屈感は不思議とないんですよ。
日頃ゆとりのあるサイジングの洋服を着られるような方でも不快感なく着てもらえると思いますよ。
そして、形も生地もそうだけど、このシャツで目を惹くのは”圧倒的な切りっぱなし”仕様。
これが、”raw cut”。
Araki Yuuが行う「断ち切り」・「切りっぱなし」の仕様は、とても意味のあるものです。
今ではそこそこのデザイナーさんでもソレなりの見た目にできてしまう切りっぱなしですが、それは洋服としてはとても危険なものだし、誰がやっても良いものでは絶対にないと思ってる。
きちんと裏打ちされたものがない限りは、”ただのボロい服”になってしまいますからね。
だから、僕もこの手の切りっぱなしのものは、そうそう扱いません。
で、Araki Yuuがこの切りっぱなしでやってることについては、とても大きな恩恵があるんですよ。
それが、”縫い代ズラし”。
本来であれば、きちんと生地端の処理と同時にパーツ同士の接ぎ合わせを行うと、縫い代の厚みが出てきてしまいます。
そのため、縫製の技の一つとして、多数の生地が重なり、大きなゴロつきや、厚みが出てしまいすぎる部分には、見えない箇所をカットしてしまう方法があるんですよ。
もちろん、Araki Yuuでもそういったことはきちんとやってるんですが、それだけじゃなくて、着たときの”アウトライン”の見え方が変わってくる。
特に今回の生地は、綾織りのリネン。
通常のシャツの細番手のコットン平織りなどとは全然違います。
それを”縫い代ズラし”をすることで、肩周りの「身頃」、「バックヨーク」、「袖」の3つが重なる箇所も類まれなフラット状態に。
まあ、太番手のリネン糸が噴き出してるから、見た目では全然平面状態には見えないですけどね。
この”raw cut”縫製が表から見えるところはほとんど全部。
上衿を”挟み付け”してる「台衿の上端」、「身頃の前合わせ」、「裾脇のガゼット」この三ヶ所以外は全てこの仕様です。
表はね。
カフス、剣ボロ。
身頃脇、裾。
結構、裾のラウンドがきつめ。
バックヨークにはいつも通りのアンティークレース。
そして、これが裏。
表に反して裏側は、一切の断ち切りがない仕様です。
生地の目より細かいんじゃないかな。
この運針。
まあ、その運針の細かさとかがヤバいでしょ。めっちゃ手を入れて拘ってつくってるんですよ。ってことが言いたいんじゃなくて、こうなってることで実際着てて不快になることがないんですよ。Araki Yuuのシャツ。
結局、世の中最初のスペック勝負ばかりになってる洋服が溢れてるけど、そうじゃない。
このシャツは、
着ていて、
肌に当たる裏側の縫製箇所が超絶滑らかなワケ。
特にルーズなサイズ感でもないし、肌に当たる面が必然的に大きくなるから、”心地よく着られる”ということは絶対条件なの。
それでいて、表のほうも過剰な縫い代による膨らみとかがないから、洋服のアウトラインがきれいに見えるワケですよ。
まあ、糸がめちゃめちゃ噴き出してるから、そこにあんまり目がいかないんですけどね。
これ全部裏側。
これも裏。
脇下です。
写真じゃほとんど分からないけど、袖は後付けの”筒付け仕様”。
通常、シャツは身頃脇から袖の内側は、一続きで縫われて、同時形成されることが多いですが、これは別々に構築されてる。
それにより、腕の稼働がスムーズになりますね。
さっきから言っているように比較的ジャストサイジングなシャツで、人によってはタイトに思われるくらいのシャツですが、この袖の仕様のおかげで突っ張ってしまうとかネガティブな方向で気になることはありません。
それでね、
このスタイルのシャツが僕は好きなんで、当店で初めてAraki Yuuを取り扱ったときにもこれと同じモデルのストライプのシャツを取り扱いして、自分でそれを未だによく着てるんですよ。
で、同じ形の今回のブラウンリネンのこれも着てる。
もう15回くらいは洗ったかな。
これ。
新品時のリネンの硬さが繰り返し洗うことでとれ、膨らみが出ましたね。
あとは、糸。
糸が溢れんばかりに噴き出してる。
写真を見てもらえると生地が柔らかそうになってるのは何となく分かってもらえるんじゃないかと思います。
ツイルということもあるけど、リネン特有の下に落ちようとするような、強いドレープが出るデロデロ感はあるんですが、でもフワッと柔らかく浮かぶガーゼような相反する要素が共存してる。
あとは、新品では少し硬いし、色もかなりのダークブラウンです。
それでいて、生地染めということもあり、リネンの肌へのアタリが強く感じますが、それが着ていくと圧倒的に解消されますね。
繊維が”丸くなる”のが文字通り、如実に分かる。
着用感は、新品とは全くの別物。
着て、洗えば洗うほどにめちゃめちゃ優しくなりますね。
見た目と着心地の圧巻の進化を遂げてくれる。
明らかに生地が膨らんだ。
あとは、全体が少し白けてる。
それもそのはず。
鋭い方は感じてもらえると思いますが、噴き出してる糸が白っぽく見えると思います。
この生地
“中白”
です。
つまりは、デニムと同じような状態ですね。
デニムの生地というのは、合成インディゴの分子が大きく、糸の中心まで分子が入りきらないことによって”中白”=”中心が白い状態”となり、染まってる糸表面が着用により、削れることによって内部が露出して、「色落ち」という現象が起きますね。
今回の生地は、染色をしてる工程はデニムとは異なり(デニムはロープ染色という先染め)、生地の段階で染色を行った”生地染め(後染め)”リネンですが、その染色時に糸の中心まで染め切ってしまわず、着用と洗濯によって自然に変化していくことを目指してつくられた生地。
だから、少し厚みが必要だから綾織りだし、繰り返し使うことで、色の変化だけじゃなくて、繊維の角がとれていき、リネンが持つ膨らみが生まれ、まさに体にデニムが馴染んでいく”あの感覚”を目指してる。
これ。
手前が新品、奥が僕のやつです。
新品はとてもペタッとしてるし、濃いブラウンだけど、色のトーンも膨らみも、全然違うのが分かってもらえると思います。
左が新品。
右が私物。
生地のテクスチャーも豊かになり、とても着やすくなりましたね。
シャツではあまりないけど、「己で育てろ」精神の洋服です。
Araki Yuu
No Collar Utility Shirt
material _ LINEN 100%
color _ BROWN
size _ 0,1,2
※完売しました
そして、同じ生地でこちらも。
ノーカラーのユーティリティータイプのシャツ。
こちらは、ノー断ち切り。
洋服の見た目はやはり好みは重要ですからね。
カットオフされているものが苦手な方にはこちらは良いかもしれません。
左右非対称の胸ポッケ。
先ほどのシャツとは対照的にこちらはAraki Yuuの中でも最も身幅があるタイプですね。
といってもルーズな感じはしないけど。
着丈は先ほどのほうが長いから、ボックスシルエットとでも言えるかな。
裾のラウンドも先ほどよりは緩やか。
そして、特徴的なブルゾンタイプのカフス。
シャツでは珍しいですね。
ブランドでは、このスタイルのシャツにもう少し重厚感を持たせた生地を組み合わせるとシャツジャケットとしてもやってる。
こちらは先ほどのシャツに対して、表も裏もきっちりと生地端が処理されているタイプですね。
その分、縫い代がほんの少し気持ち僅かに多少硬く感じますが、このUtility Shirtに関しては全体的にAraki Yuuの中では横方向にゆとりがあるタイプなので、全然気にならないと思う。
原型によって見事に仕様を適した変えてるから安心してください。
裾脇には同じくガゼット装備。
左右それぞれに用途の違う胸ポッケがつきます。
元ネタ的には頻繁にものを出し入れする山型ポケットと、入れたものが落ちないようにするための蓋のフラップ付きポケット。
どちらのポケットも負荷のかかりやすいポケット口には、手縫いのカンドメ補強が入りますね。
ラウンド型フラップのつくりも丁寧だし、よくできてる。
少しミリタリーな薫りがするけど、色の雰囲気もあって少し紳士的な見え方をする印象です。
夏場は室内では袖を捲くって、秋口にはシャツアウターみたいなニュアンスですね。
もちろん裏地はつきませんが。
こちらもブラウンリネンということで同じように使い続けることによってポジティブな変化をしてくれると思いますよ。
お好き方は見てみてください。