"AFOUR"のスニーカー

先日より開催をしております、DAN TOMIMATSUの"ORDER EXHIBITION"。 明日の10日(日)が最終日になりました。 ご来店を頂ける予定の方は、見てみてください。 今日は、AFOURのスニーカーを紹介させてもらいます。 今回、このAFOURのスニーカーのことをこのブログで書く上で、自分の中で少し躊躇っていた。 それは、AFOURのスニーカーは、"ロシア"でつくられているから。 現時点で、"ロシア"という言葉にポジティブな意見を持つ人はいないと思う。 誰が考えても、絶対におかしいだろ。って思ってしまう戦争の最中。 めちゃくちゃたくさんの方が惨殺され、亡くなっているのは、テレビを見なくても誰もが知ってることだし、毎日ニュースになってる。 そんなこと、この現代にありえないだろ。って思う。 そして、それを引き起こしたのは"ロシア"。 政治のことは、民間人の個人では絶対にどうしようもできないし、その強大な力は計り知れないんだろうと思う。 現在の戦争中のこの状況で、"ロシア"でつくられているAFOURを紹介することは、"ロシア"という言葉を聞いただけで、嫌悪感を抱く方も多数いるだろうと思う。 でも、AFOURのスニーカーをこのブログで書かずに、フツーに店頭展開するのは、僕には違うと思ったんですよ。 だから、今日、日本のAFOURを取り仕切る泉さんに電話して、念の為いろんな確認をとった。 そして、やっぱり思った。 紹介をすることを躊躇うよりも、ブランドを自分なりに守ることが取り扱っている上で、すべきこと。 そうして、考えてることをこのブログをご覧頂いている方にお伝えしたいと思いました。 今日、大阪に住む泉さんにいろいろと教えてもらったんですけどね、ロシアは現状、すごいことになってますね。 当然だと思うけど、外からは、世界各国からの経済制裁を含めた制裁の数々もそうだし、内でも、ロシア国内で政府に反発をすることができない。 泉さんもAFOURのシューズをつくるウラジーミルさんと連絡をとる手段が、日本でいうところのLINEみたいなものでやり取りをしてるみたいなんですよ。 でも、泉さんはウラジーミルさんに対して、連絡する事項は、シューズをつくるためのブランドとしての"業務連絡"だけをするようにしているみたい。 ウラジーミルさんが、政府に対してだったり、戦争に対して、どのように考えているのかという個人の見解を絶対に引き出さないようにしてるそうです。 その理由は、今も今後も、その連絡の内容がロシア政府関係のどこかで監視されている可能性があるから。 そして、今はロシア国民のプーチン大統領の支持率は、約80%にも登る。 これは、ロシア政府により、"政府に反発"したり、"ロシア政府にとってのフェイクニュース"を流すなど、政府に対して、マイナスな発言・発信は、懲役15年の禁固刑という法律が新しく制定されたから。 だから、多くの人が今は、ロシアの国に歯向かうことができない。 それはそうだと思う。 みんなそれぞれ、仕事や家族、自分自身など守るべきものがあるから。 そうだから"反発"に相当するような行為がとても難しい。 ニュースでも報じられていますが、ロシア国内の勇気ある人たちが世の中に向けて自分の意見を発信したりしていますが、そんな勇敢な人たちは一握りでしょう。 でも、そういう果敢な行動をとれる人も、政府にどんどん囲い込まれてしまう。 そんな国、北朝鮮とロシアくらいでしょ。もはや。 僕が思うのは、この戦争でたくさんの方が亡くなっているから、一刻も早くそんな状況がなくなるのはもちろん。 でもそれは願うばかりしかできない。 自分がすべきことは、AFOURというブランドを取り扱って、この素晴らしい技術によってつくられているブランドを守り、伝えて行くことだと思っています。 だから、このブログではどうしても書けないことは存在するけど、自分の言葉でできる限り皆様にお伝えしたいと考えています。 AFOURは、この戦争により、今は生産の先が見えにくい状態になってしまっています。 それは材料となる原料の手配はもちろん困難になってしまっていることもある。 あとは、以前ブログで書いたことがあるのですが、日本で展開しているAFOURは、既成靴としてのブランドです。 ただ、ロシア本国の方では、世界中にいるAFOURのお客さんのために、オーダー形式でのスニーカーをつくっています。 しかし、この戦争を引き起こしたことでの経済制裁。 原料の調達は難しくなり、更には、世界中からの個人の方のオーダーも全てストップ。 ロシア国内にお金を払うことができないから。 経済制裁により、国外からの送金や支払いができなくなってしまった。 ウラジーミルさんの収入源は、AFOURのシューズをつくり、お客さんに届けることによる収入です。 それが、一切止まってしまった。 正直、中途半端な、それなりのブランドなら、僕は仕方ない。と思ってしまうんだろうと思う。 でも、AFOURは違う。 2月に別注のシューズを製作した時にもお伝えしましたが、このシューズには、ウラジーミルさんをはじめとした小さな靴工房の数人のメンバーが宿ってるの。 日本にいる泉さん自身も宿ってる。 僕は、泉さんがブランドをはじめた経緯も知ってるつもり。 AFOURってつくる人の人生が乗ってるシューズなんですよ。 生涯をかけた靴づくり。 だからこそ、これまでブランドで持ちうる技術を全て出し切り、納期が遅れても、それでも丁寧に時間をかけてシューズメイキングに向き合ってきた。 離れた日本に住むお客さんのために、スニーカーでは考えられないレベルの手のかけ方で一生懸命シューズをつくってきてくれてたの。 AFOURには、世界でも稀な、一級品の技術と、人の想いとが宿ってる。 そういうシューズなんですよ。 だから、このブランドは、皆様に紹介したい。って思って、取り扱いを続けてきたし、そういうものって手にして頂けた方の"心を動かす"ことができるものだと信じてる。 ただ、そこに立ちはだかる、この大き過ぎる壁。 ブログを書いたところで、どうにもなんないのは分かってるんですけどね、でも、AFOURは、絶対にこの先の未来にも残るべきブランドなんですよ。 この先の未来にも、シューズをつくり続け、一人でも多くの方に、AFOURの靴を通して、"人の心を動かす"べき存在なんですよ。 もし、この技術が途絶えてしまったら、僕はとてつもなく悲しい。 今回のタイミングでAFOURのシューズの紹介するのを躊躇ってはいたけど、悪いのは、"ロシアの政府"であって、AFOURは、ひたむきにクオリティの高いシューズをつくってる。 このブランドのシューズを、日本で限られた取り扱い店舗として、責任を持って紹介させて頂きます。 AFOUR Code VT material _ COW LEATHER(フルベジタブルタンニン) color _ NATURAL size _ 40,41,42,43,44 今回は、これ。 当店では初めて取り扱いをするタイプのものです。 モデルは、今までと変わらず、Codeというもの。 アッパーは、牛革で、ライニングも同様。 一切の染色が施されていない無染色状態。 レザーというものは、原皮の段階では、"皮"と表記するのですが、"鞣し(なめし)"という工程を経ると"革"となります。 レザーは、食肉用として食べられた牛の副産物を使っているのが、世界で流通しているものです。 今回も同様。 そのレザーをそのまま使うと腐敗してしまうから、そうならないように"革"として使い続けることができるようにするために"鞣し"という工程が存在します。 鞣しには、大きく二種類。 ・ベジタブルタンニン鞣し ・クロム鞣し この二つ。 今回のシューズのレザーは、"フルベジタブルタンニン鞣し"です。 "フル"という言葉が付くので、100%でベジタブルタンニン鞣しという工程が施されている。 "ベジタブルタンニン鞣し"というのは、天然原料で行われるもの。 だから、比較的水に強く、厚く、硬く、使用により変化しやすい革ができるのが特徴です。大きく言って。 対して、"クロム鞣し"というのは、シボ感が強く、柔らかく、薄めで、変化が起こりにくい革になるのが特徴。 現代では、その二つの鞣しをミックスさせた"複合鞣し"が中心なイメージですが、今回のCode VTはフルベジタン。 革を鞣すのにも、月単位の時間がかかってしまうのですが、その分、使用することでの変化は格別。 もう、ピンク色にも見えるような革の色合い。 大体この手のいわゆるヌメ革になると、すぐに焼けて大きく変化し、飴色になるのが一般的。 これもね、もちろん、色が変化しないワケではない。 でも、比較的この状態で履くと変化が起こりづらいの。 これ珍しい。 その方法としては、防水スプレーをかけて、ブラッシング程度のケアにすること。 そうすると変化のスピードはゆっくりになる。 対して、ガンガン変化させていきたい場合は、オイルを入れて履くこと。 そうすれば、みるみる内に色がブラウンになってくる。 人間の夏の日の日焼けと同じですね。 人間もサンオイルみたいな?の塗ったら日焼けが加速するじゃないですか。 それと一緒。 ですので、手にして頂いた方が、どのようにこのシューズと付き合っていきたいかで、ケア方法は変わるかも。 オススメは、まずはこのまましばらく履いて、仮に雨に打たれるようなことがあれば、その時点で切り替える。 雨に濡れたらシューズクリームなどでオイルを投入。 そして、とにかくラフに履く。 それがベストかな。 このアッパーのカラーリングに合った、ソールもEVAのものと、SVIGのガムソール。 この仕様は、2月に販売したミステリアスなカラーリングの当店モデルと組み合わせは同じです。 でも、こちらの方が圧倒的なモダンさを感じる。 シューレースは、コットン100のロウ引きのもの。 それともう一つ、これまた2月の前人未到のカラーリングのスニーカーを発売した時に、最初から付いてたポリエステル製のシューレースも付属します。 そして、AFOURのシューズ。 新品時のこの自立した佇まいが限りなく永久的に続く。 これヤバい。 こんなスニーカー見たことない。 とにかくタフな靴。 毎日どれだけ履いても、靴がずっと立ち続けて、ダレない。 量産的につくられる一般的なスニーカーだと、毎日でも履いたら三ヶ月もすればペチャペチャになるけど、AFOURは、驚愕。 足入れをした履き心地もスニーカーのような見た目をしてるのに、他のスニーカーでは絶対に体験できない高反発性を持つし、足がとにかく、前へ、前へ、進む。 更には、履き馴染みが完全にレザーシューズ。 インソールの沈み込みや、アッパーの足への寄り添い方。 これが気に入って、履き続けても、どれだけラフに使っても、靴が"自立し続ける"。 この驚きの耐久性は、全てを工房で、ウラジーミルさんをはじめとした職人がめっちゃ頑張って、時間かけて、きちんとつくってるから。 そして、そのレベルまで引き上げたのが大阪に住む、泉さん。 このAFOURチームのシューズメイキングの向き合い方、尋常じゃない。 だから、それが新品時だけではない、"その先"にも感じられる。 どうぞ、ご驚愕ください。 後ろ姿も見事な美しさしてる。 誰が見ても、踵やアキレス腱に優しくフィットしてくれそうな予感がムンムン。 先述の通り、ライニングも牛革。 僕もAFOURのシューズをウルトラヘビーユースしまくってるけど、全然擦り切れそうな気配が微塵もない。 ベジタブルタンニンで、しっかりと革が密になり、引き締まってるから、そのタマモノで革の強靭さがグンとUPしてる。 パーツの繋ぎ合わせの箇所は、一本でのステッチと二本でのステッチが、それぞれの耐久性が必要な箇所に使い分けられてる。 肝心のアッパーの革質も皆様、大変に、大変に、満足頂けるレベルでキメが細かく整ってる。 しかしながら、フルベジタブルタンニン鞣しということと、とてもナチュラルな革なので、多少の野生味は感じてもらえると思います。いい意味で。 このシューズのクオリティは、間違いなく世界に誇れるものだと思う。 気にして頂ける方は、ウラジーミルさんや、泉さんがつくりあげた、このAFOURのレベルをご体感ください。 きっとAFOURでしか、得られないことを感じてもらえると思いますよ。 "ロシア"という場所で実際につくられてるシューズではありますが、国よりも大事なのは、人。 その人がどれだけ反映されて、どれだけ宿ってるか。 機械的な温度感を感じないものの薄っぺらさには、絶対に持ち得ない要素がAFOURには存在します。 決して安くないプライスのシューズだとは思いますが、見てみてもらえたら嬉しく思います。
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