先日、お知らせしたPETROSOLAUMにつくってもらった財布。
財布といえば、全員がきっと持ってるし、毎日使ってるものじゃないですか。
どこかに出かける時にも、必ずと言っていいほど、持って出るものだと思う。
それくらい常に一緒にいる大事なもの。
着る洋服でもそうですし、手に持って使う財布でも、そうなんですが、
僕は、そういうものに関しては、「こうであるべきだ。」って思ってることがあるんですよ。
それは、やっぱり"洋服屋"を運営してるっていうことが大きな理由なのですが、毎日必ず使う"財布"という存在のものでも、「こうじゃなきゃいけない。」って自分の中の基準が明確にある。
まずは、クオリティの高いレザーが使われていること。これ、絶対的にまず最初に出てくる条件。
それは、革そのものの素材特性を"ダイレクトに"感じられることもとても大事。
もちろん新品時だけではなく、使うことが前提であるため、使用に伴う変化ということも含めて。
使い続けても何も変わらないのは、味気ないし、少し寂しい気がするじゃないですか。
加えて、色も重要なの。
さっきの"使用に伴う変化"っていうことにもつながるんですが、革に色をつける場合には、鮮やかな色合いのレザーにするために、"顔料"という、「上に色を乗せてるだけ」っていうケースもあるの。
それって、でも、使っていく内に、表面がどうしても汚れてしまうだけに思う。
あとは、黒っていう色。これも、もう、"ブラックレザー"の変化って、分かるじゃないですか。
簡単に想像できちゃうっていうか。
だから、そういう"単調な"ブラックというのは、興味がないの。
そして、革には超重要なステップ。
"鞣し"の工程。
これまでにこのブログでも、何度も書いてきたのですが、レザーには、"皮"と"革"、漢字で表記した場合には、この二つの文字が存在する。
これは、肉として食べられた動物の皮膚を"原皮(げんぴ)"と言い、それは、そのまま放置していたら、腐敗してしまう。
だから、その原皮を腐敗せず、レザーとして使うことができるようにするために、"鞣し(なめし)"という工程を行います。
鞣しをする前は、「皮」という漢字。
鞣しをした後に、「革」という漢字に変わるんですよ。
これ、とても混同されてることが多いから、ミス表記なことが未だに頻発してるのを目にしますね。
あと、ちなみに、「革」という漢字。
熟語では、、
・改革
・革新
・革命
などと使われることがあるじゃないですか。
これらに共通するのが、ある一つの物事や事柄が起こった時に、それ以前とは、別の社会に変わるという意味合いがある。
つまりは、"鞣し"という工程を経ることによって、
"スキン" = "皮"
から
"レザー" = "革"
へ変化するということなんですよ。
更に、"鞣し"には、二種類が存在するんです。大きく言って。
一つ目が、"クロム鞣し"。
これは、石油由来の化学薬品を使って行うものです。
使い始めから柔らかい革質で、使用によるキズが付きにくいのですが、変化しづらい革になりますね。
二つ目が、"ベジタブルタンニン鞣し"。
これは、天然由来の鞣し方。
鞣しに時間はかかるし、最初は硬いけど、使っていくうちに柔らかくなったり、艶が出たりと変化が起こりますね。
僕は、昔っから圧倒的に"ベジタブルタンニン鞣し"が良いの。
やっぱり、生粋のおっさんだから。
なんでもかんでも変化すれば良い、なんて微塵も思ってないけど、財布にはベジタブルタンニンであってほしい。
あとはね、財布に求めることで、
過剰な見た目じゃないことは、とっても大事ですね。
装飾なんかも今は必要ない。
できる限り、限られた副資材などのパーツだけであってほしいの。もちろん、裏地もNG。
他にもある。
いつも、CHACOLIの01のカバンを使ってるんで、カバンは持ち歩いてることが多いのですが、それでも洋服のポケットに財布を入れることもたくさんある。
だから、パンツのポケットにすんなりと引っ掛かりなく入ることも大事。
ただね、コンパクトだけを追求した財布だと気をつけた方が良い。
新品の何も入れてない状態では、良い感じのコンパクトさでも、いざ使う時には、中身を入れるじゃないですか。
そうしたら、すぐにパンパンになって、急に丸っこくなってしまい、フォルムが崩れてしまうことなんかもあるの。
そういうことが起こらないのも、選ぶときに考えることが必要。
"コンパクトさ"と"使うこと"。
この二つ、両方が共に考えられた収納力っていうのは、外面にも良い影響を及ぼしますから。
あとは、タフであること。毎日使うから。
それは、革の厚みそのものの安心感も大事です。
縫製のステッチワークが細かいことも外せないですね。
それに、縫い糸自体の番手が太くなくて、運針が細かいこと。あと、直線は直線で、カーブはカーブで、歪みなく縫われてること。
きちんと手を入れて、しっかりとつくってあっても、クラフト感が全面に現れてしまうのはNG。
それでいて、コンパクトでありながら、小銭、お札、カード、これが全部ちゃんと入ること。
そして、お札は折りたたんで入れなきゃいけないのとかは、ダメ。不便だから。
そのまま真っ直ぐ入れることができて、財布を折るのと同時にお札がたたまれるのがベスト。
で、ありながら、財布そのものの造形。
造形としての、立体感、構築的であることも僕は外せないの。
それにそういうフォルムだけではなく、財布そのものからのオーラというか、良いムードが漂ってることや、僕がいつも思う、自分自身で定めた一定水準を超えてることも大事。
あとは、自分が信頼できる人がつくってるものであること。そこが、最後は大事になってきますね。
こういうことは日頃エブリデイで使う、"財布"には求めたいって思ってるんですよ。
まあ、
また紹介しますね。