こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
今日も昨日に続いてこちらのイベントに関して。

FUKUBORI new collection launch
&
服ヲ掘ル exhibition
2026.04.04 (SAT) - 2026.04.08 (WED)
今週末から開催のFUKUBORIの即売会と、服ヲ掘ルの展示。
今日はその中でもFUKUBORIの新作として登場する、”アメリカのワークウェア”をご紹介させてください。

FUKUBORI
Coverall
color _ 生成り
size _ 1,2,3
まずはこちら。
リファレンスは1950年代のPAYDAY。
J.C. Penneyのプライベートブランドだったかな、PAYDAYは。
いわゆる”ストア系ブランド”というやつです。
当時のアメリカの労働者階級の人々にとって、大手デパートのプライベートブランドであるPAYDAYは、比較的手に取りやすい価格帯であるだけでなく、大手デパートだからという安心感のあるものだったのだろうと想像できます。
ただ、その”安心感”は、洋服自体からも生まれていたのだとFUKUBORIのカバーオールを見て確信しました。


PAYDAYの象徴であるラグランスリーブとトリプルステッチはもちろんFUKUBORIでも踏襲されています。
トリプルステッチの精度は当時とは比べ物にならないくらい高いと思いますが。
個人的に不思議なのは、このラグランスリーブの構造。
ワークウェアということもあり、肩幅の設定を曖昧にすることでより多くの体格の人をカバーできるというメリットがあることはわかるのですが、それにしても肩の傾斜がキツい。


腕はまともに上がらない。
当時のリアルワーカーにとって、肉体労働をする上ではこれは致命的なのではないか。と僕は思っていました。
せっかくのラグランのメリットが、用途と合ってないじゃないか。と。
が、河原さんの見立ては違いました。
”ラグランスリーブで肩幅の許容を広げることで、大量生産されるワークウェアを不特定多数の人に販売する上での在庫ロスを無くす。”
つまりは、忙しい労働者が試着せずに買っていざ着てみたときに「なんとなくちゃんとしたサイズに見える」という曖昧さ。
ただし、そこで「なんとなくちゃんとしたサイズに見える」ためには、肩傾斜が緩くては着物のようになってしまい、明らかに肩周りのサイズに違和感が生まれる。
そこで、肩傾斜をキツく設定し、袖を前に振ることで、「なんとなくちゃんとしたサイズに見える」ためのアシストをしているのではないか。
とのこと。
リーバイスのデニムジャケットも2ndタイプが流通し始めたことを考えると、確かに1950年代のアメリカをリアルタイムで生きていたら肩傾斜が緩くてダボついて見えるのはカッコよく見えないのかも。
「あの憧れのリーバイスがアームを前に振ってるんだからこっちの方がイケてるっしょ」ってなるのは想像に容易い。
もしそれより前の時代であれば、きっと緩い肩傾斜もすんなり受け入れられていたのではないかな。
時代が変化するということは、求められる美しさも変化するということ。
1950年代という時代において、機能と見栄えと販売戦略の全てを攻略する術は、このラグランにあったのかもしれません。
そして、そのようなものづくりだからこそ、PAYDAYのカバーオールは”名作”と呼ばれ続けるのかもしれません。


着用すると、当時本当に労働者が着ていたのか?と思うほど形が素晴らしい。
河原さんの信条として、リファレンスとする洋服のデザインが変わることはやらない、というマイルールがあるので、このカバーオールもほぼ原型そのもの。
当時の形がいかに秀逸だったかよく分かります。

腕を下ろした時に生まれる、胸周りの立体感。
現代における”シルエットを美しく見せるためのドレープ”に似た見え方ですが、僕はここの考え方も当時のワークウェアにおいては違うんじゃないかなと思ってます。
ひとつは、肩傾斜をキツくしたことに対する肩の運動量のカバーとして。
もうひとつは、胸周りの筋肉量が多い人、もしくは重労働の中で筋力が発達することを見越した”余白”なのかなと。
まぁ正解はわからないですが、なんか現代的なドレープの”それ”とは違う気がするんだよなぁ。。。

袖のボタンが2つ付くのも現代の洋服でもよく見られますが、当時は労働者の安全を担保するためにはマストだったのでしょう。
袖がダボついているせいで機械に巻き込まれたりしたら大惨事ですからね。
当時ほど合理的にワークウェアを作っていた時代に、意味のないボタンを2つも追加するなんて有り得ません。
そこには、確実に意味があるのです。



着たときのムードも、古臭いようでとても新しい。
ほぼ原型の型紙に対して、型紙の微細な編集、生地のニュアンス、縫製のバチバチ加減で他との圧倒的な違いを生むのは、さすがのFUKUBORI。
かなりハイレベルなものづくりだというのは、実物を見たら感じてもらえると思います。

FUKUBORI
Painter
color _ 生成り
size _ 1,2,3
こちらはLEEのペインターパンツをリファレンスとする1本。
先ほどのカバーオールと同生地なのですが、実はこの生地はFUKUBORIとして初のオリジナル生地。

(カバーオールで撮った写真だけど気にしないでください。)
生地を裏から見るとよく分かるのですが、今回FUKUBORIでは経糸の生成りに対し、緯にベージュ2本→生成り1本のリズムで打ち込みました。
これは、当時のLEEが採用していたジェルトデニムの配色から着想を得た、FUKUBORI流のジェルトデニム。
LEEのジェルトデニムは、強撚の糸を高密度に打ち込むことで軽さと耐久性を両立しようとした生地のことなのですが、実は配色にも秘密が隠されています。
実はLEEのジェルトデニムの緯糸は晒しではなく薄いグレーの綿糸が打ち込まれており、これはデニム特有の褪色や汚れを誤魔化すためのものだったと言われているのですが、この工夫をFUKUBORIの哲学に落とし込んだ河原さん。
先述の通り、緯にベージュ2本→生成り1本のリズムで打ち込むFUKUBORI流のジェルトは、汚れを誤魔化すものではなく、”生成り縛り”のFUKUBORIの中でも他の生成りと異なるニュアンスを実現するため。
まぁ逆に生成りしか作らない河原さんじゃないとこんなマニアック設計やらないと思うけど。笑
でも、かなり良いです、この生地。
しっかりと表情がある生成りだし、FUKUBORIらしさもめちゃくちゃ感じる。
オリジナルでつくる意味のあるオリジナル生地だと思います。

言い忘れてましたが、生地は10オンスです。
なのでこれからの季節に完璧な厚み。
ガシガシ洗えるし、洗った時に強いパッカリングが走りすぎないように巻き縫いの下糸のテンションを抑えめにしています。
これだけ良いシルエットなので、形を崩すことになる過度なニュアンスは避けましょう、という判断です。
パッカリングがギュンギュンに走ってる感じも嫌いじゃないけど、FUKUBORIはこれが良いです。

右脇のツールポケットと、そこに少しだけ被さるバックポケット。
ここは最大のFUKUBORIポイントなので、昨日のカバーオールの写真同様にここでは何がポイントか書かないようにしておきます。
裏から見るとその答えがはっきりと見えるので、ぜひ店頭にお越しいただける皆様は裏側を見てみてください。



やっぱ当時のワークウェアって型がめちゃくちゃかっこいいというか、男前。
ワークだから無骨なのか、無骨だからワークなのか分かんないけど、これにTシャツ1枚でめちゃくちゃ男らしい強さが出ると思うの。

ラフに2ロールして、ほんのりベージュが覗いてブルーの格子が入る裏側をチラ見せすれば、はい完成。
こういう男っぽいパンツはLEVERがよく合う。

僕は、生成りに出せない色気がこういうところにあると思う。
この感じは黒には出せないですからね。
カバーオールとペインター、2共に4月4日土曜日から販売開始いたしますね。
気にしていただける方は、ぜひご覧ください。
明後日くらいに、”日本のワークウェア”をご紹介します。