細部の美が宿ってこそ美しいものができる。
タイトルの通りSARTOの第二弾となります。
昨年のレザージャケットの際にも同様なことをお話をしたのですが、改めて痛感したことが冒頭の一文。
今回でご紹介する洋服はSARTOのシグネイチャーと言える2着。
だからこそなのか、ブランドの根幹的な部分を改めて感じました。
今回はCASANOVA&COの中山がお届けいたします。
ぜひ拝読頂けましたら幸いです。
それでは早速。
1着目はプルオーバー。
SARTO
EMBROIDERY PULL OVER
material _ cotton 75%,linen 25%
color _ WASHED INDIGO
size _ M,L
今年に入ってからちょこちょことSNSでも見かけることが増えたように感じる刺繍入りのシャツ。
SARTOのシャツを見てから刺繍に敏感になって、そう感じているだけかもしれませんが。
ただ、その中でも一際クオリティが高いなと感じるSARTOの刺繍。
柄のセンスの良さは去ることながら、刺繍糸の色味から刺繍の立体感、刺繍糸の太さを駆使して美しく施された刺繍。
まるで彫刻作品かのよう。
エスニックさを感じる柄の中にぷくっとした膨らみのある部分やぎゅっと縫い上げられ硬さを感じる部分。
ここだけでもをじーっと見つめていても面白い。見応えがすごい。
袖にも入っちゃう。
この刺繍に対して、シャツの形がウエスタンや開襟シャツのようなリゾート感のある洋服の形じゃないのがSARTOのセンス。
ファーマースモックを彷彿とさせるたっぷりとした袖の丸みと身頃のゆとり。
肩にはあめふらし。
袖口にはタックが入り生地が収まる。
袖つくりの話になるととんでもなく長くなってしまうのですが、洋服の本場のバチバチな濃厚パターン設計になってます。
SARTOのとんでもない洋服つくりが袖からだけでもかなり集まっています。
もはや言葉では言い表せない組み合わせの超化学反応。
SARTOやばい。
先のブログからもずっとお伝えしている、随所のガチガチな洋服つくりがあってこそじゃないと成立させることすら難しいのではないかと感じる。
随所のガチガチな部分に気がつくとSARTOチームの膨大な積み重ねてきたものをとても感じるんです。
だって、見たことがない仕様なのに美しく感じてしまうんだもん。
そのようなものをつくられる方々は必ず途方もない研鑽を積まれている。
そうでなければそのような美しいものはできない。
グラフィカルな部分のブランドセンスと、とんでもないクオリティの洋服つくりと引き出しがふんだんに現れているのがEMBROIDERY PULL OVERなんです。
まさにシグネイチャーです。
後身頃は首元にタックを入れ、たっぷりと確保された生地分量が集約。
襟の部分をよく見て頂くと中央付近にステッチが入っています。
そう、月腰です。
襟の剣先の裏にはカラーステイを入れるポケットもついているんですよ。
スキッパー仕様の特性上で襟の自立感を保つために台衿をつけるのは相性が悪いからこその打開策のような仕様。
最適な仕様を自分たちで考える。
でも、SARTOの洋服は着てみると緊張感は感じない。
休日オシャレ感。
そうなんです、オシャレなんです。
オシャレで、適確な洋服つくりで、日常的。
兼ね備えすぎなんですSARTOというブランドは。
これはすごすぎて中山は悶絶しています。
2着目というのが、先ほどの写真で着用しているデニム。
こちらのパンツもブランドのシグネイチャーと言えるデニム。
デニムではありますがジーンズではないです。
SARTO
PANTS TYPE 013
color _ INDIGO
size _ S,M,L
※サイズSは完売致しました。
デニムであってジーンズではない。
厳密にはデニムは生地の名称で、ジーンズは洋服の名称になります。
SARTOのこのパンツは全くジーンズのつくりではないから、ジーンズではないんです。
つくりで言えばトラウザー。
デニム生地のトラウザーということではあるのですが、随所にブランドのセンスと適確な仕様がこちらも満載。
サイドビューの写真からもわかる、刺繍。
菱形が連なった連続性のある柄で、ステッチの色と合わせた刺繍です。
菱形の角に当たる部分もなだらかにカーブさせていますね。
これ、結構印象変わりますよ。
角がカクカクってなっていると奇抜さが強くなると思いますし、適確だなと感じます。
バックポケットにも施されているのでタックインの際は見せつけてしまうことをお勧めします。
ポケットついでに、カンドメの入れ方もシャレているんですよ。
ジーンズのバックポケットにはポケット口の左右にカンドメが付くところをポケットの角に当たる部分にもつけてる。
そもそも、トラウザーのつくりでパッチポケットっていうところもなんですが。
トラウザーのつくりなのでポケットの上にダーツが入ってます。
パッチポケットとダーツの不思議な光景。
ただ、そのつくりは抜群の造形を生み出してますよ。
細々したところですが、ベルトループもジーンズ仕様。
そして、気づきましたでしょうか。
身頃を繋ぐ縫製は”トリプルステッチ”。
ここにきてワーク仕様。
ミリタリーデニムの文脈ということなのかとも思いました。
僕としては、この組み合わせがSARTOがつくる、カジュアルでありながら日常的なドレッシーさの現れなのではないかと感じたんですよ。
トラウザーのつくりによる造形と、各所の仕様や縫製の匙加減。
気張らないドレッシー感が故の履きやすさとブランドの血が通った刺繍。
履いて頂ける方にはドメスティックな高揚感がありますよ。
このお尻周りの造形がほんとに美しい。
スッと内側に消えていく股ぐり。
左右のパッチポケットも水平に。
洒落たデニムがお好きな方にはこのバランス感はしみじみと感じて頂けるものがあると思います。
SARTOのシグネイチャーと言える刺繍スキッパーとデニムトラウザー。
ブランドのセンスや経験、積み重ねられてきた洋服つくりが満載に溢れていると感じます。
中山的にはもっともっとお話ししたいことが満載ですので気になられる方はぜひとも語らいましょう。
CASANOVA&CO
中山 雅晴