Nobuyuki Matsui “CASE”シャツ

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オンラインサイトをご利用の皆様、

はじめまして。


CASANOVA&COの仲と申します。


いつも当サイトをご利用頂き、誠にありがとうございます。




僕の読み物では、着用写真からその服の素晴らしさやカッコよさの理由について紐解いけたらなと思います。



ただ、着用写真がメインになりますので、

サイズ感の確認をするも良し、

スタイリングの参考にするも良し、

どのように利用して頂いても構いません。



とにかく、皆様にとって何かしらの一助になれば幸いです。




それでは、早速ですが本題へ参りましょう。

今回は、Nobuyuki Matsuiからイタリアンカラーシャツとヘンリーネックシャツの2型について、ご紹介させてください。




柄シャツやカラーリングに富んだ服とも違う、”洋服のつくり”から溢れ出てくる美しさが魅力的なシャツ。



シンプルだけどシンプルじゃ無いものが欲しい方の悩みを解決してくれる1着ですよ。

Nobuyuki Matsui

Framed italian collar shirts

color_WHITE

size_2,3



Nobuyuki Matsuiから、春夏のラストピースとなるシャツです。



24SSシーズンのテーマは『CASE』。

日本語だと「枠」ですね。



物理的な枠、社会的な枠、精神的な枠 etc…。

人は非常に多くの枠組みのなかで生活しています。



そんななかで、デザイナー・松井信之さんの目についたのが建築的な枠。



そして、数ある建築要素からピックアップされたのが、日本の伝統的な家屋でよく見られる“障子”だったんです。



言われてみると確かに障子ですよね。



ブランド発足当初から日本の伝統的な服作りを大切にされているNobuyuki Matsuiらしいチョイスです。


そんな障子モチーフのこのシャツ。


格子状の柄が整然と並ぶ様は壮観ですよね。



でも、見れば見るほど

「このシャツ、どうやって作ってるの?」

って、気になりませんか?



僕はこのシャツを初めて見た時、まず半袖シャツの形をした生地があって、その上から四角い生地を貼り付けているんだと思ったんです。



でも、これ、違ったんです。

驚きの構造をしていました。



ちょっと裏側を覗いてみましょう。

!!!?!???!!?????!?


!?!?お分かりいただけますか!?!?



これ、シャツを模った枠型生地に四角型生地をパッチワークして作っているんです。



そう、パッチワークです。



だから、、、


貼り付けて………ない!!!!!


ちゃんと縫ってる!!!!!!!!!


双方の生地に縫い代を設け、一辺一辺、きちんと縫い合わせているんです。


1シャツにつき、だいたい50枠あるので辺にするとその数なんと約200辺(!)その全て縫い付け……。


僕は以前、アパレルの会社で企画や生産管理をしていたこともあったので、この構造を目の当たりにした時は工場との激闘の日々(争っていたわけではなく、一緒になって同じ課題と闘っていました)を鮮明に思い出しましたね……。涙……。

こうした、シーズンテーマの表現に対する徹底した姿勢は、ロンドンで心理学を専攻していた松井さんならではだと思います。



自分の内から産まれた感情や考えを無下にしない。



テーマと真摯に向き合っていることが、服からひしひしと伝わってきますよね。



手間がかかるとかそういうレベルの話は通じないブランドなんです。



しかもこの構造、ただ「枠」がテーマだからといった見た目的な理由だけじゃないと思っています。



着用した時にもちゃんと恩恵のあるデザインになっているんですよ。



改めて、着用写真を見てみましょう。

なんか、、、

肩が落ちるルーズフィットなのに、すごくシャープな印象じゃないですか?



ルーズなのにシャープ。

一見すると相反する要素が共存しています。

その秘密は、このベージュの色味をした枠を成している生地にあります。



こちらの生地はシルク100%なのですが、

一般的なシルクとは違ってテロテロしてない。



むしろ少し硬めのテクスチャです。



この生地がシャツの身頃部分に張り巡らされることで、松井さんのテーラリング技術からなる美しいディテールを支える骨格の作用をしてくれているんです。



だから、Nobuyuki Matsuiにしてはルーズなサイジングなのに、枠型生地によってエッジが立つ分、すごくシャープに見える。




この立体感、分かりますか?



アームが脇部分に収納されることで身頃が押され、見事な立体感が生まれる。



いわゆる“抱きのゆとり”ができる設計です。




“エッジが立つ”というメタファーを超えて、

本当にエッジが浮かび上がる背中。



円柱というより、四角柱なフォルム。

そりゃシャープなわけです。


前後で長さの違う裾も横顔の美しさに一役買ってくれていますね。

 

肩の後ろにあるダーツやほんの僅かだけ曲線を描いている枠型の生地が、このシャツの立体感が偶然出来たものではないことを証明してくれています。

バックビュー。



形が微妙に違う“四角”が連なることによる、

“視覚”効果もシャープさと関係しているかもしれませんね。




そして、立体的なのは身頃だけじゃないんです。

襟もすごく立体。



中縫いと呼ばれる、ステッチが表出しない縫製がされている襟部分。



ステッチが見えないことで品の良い表情になるうえ、縫い代が芯のような働きをし、ふっくらとしたハリを出してくれるからすごく立体的。



そして一枚仕立てで前立てへ。


良いジャケットくらい返りが美しい。

この流線的な襟のフォルムはまさにビッグウェーブ。

服好きとサーファーの方には垂涎モノですね。

服好きなサーファーだったら失神確定です。



身頃はエッジが立ってシャープなのに、襟は流線的でエレガンス。



ここでも、違う要素が巧く共存しています。



さらにさらによく見てみると、このシャツ、まだまだ共存していることに気づかされます。

まずは、前立て部分。



昔はリゾート地でのカジュアルウェアとして、その地位を築いていたイタリアンカラーシャツ。



そのため、ボタンが見える前立ての仕様が一般的ですが、こちらはボタンが隠れる比翼仕立てになっているため、ドレスな印象です。



カジュアルなのにドレス。

ここでも共存。

さらに生地でも。



生地は断ち切りやシワ加工など荒々しさがある一方、シルクの仄かな煌めきと透け感から気品や色気を感じることもできます。



このように、一見すると相反する多数の要素が共存し、絡み合うこのシャツ。



見た目はめちゃくちゃ枠なのに、スタイルは全く枠に囚われてない。



さらにもっと凄いのは、一つの要素が主張し過ぎることなく、それぞれが良い作用を引き起こし、素晴らしい調和が生み出されている点です。



ここまで服をコントロール出来るのは、パターンから縫製、生地加工まで全て自身で手がけることができる、松井さんの稀有な実力があってこそ。



服としての完成度が本当に凄まじいです。







そんなこちらのシャツ、見た目も抜群ですが、着心地も抜群に良い。



すっごく軽くて、涼しいんです。

シャツの大部分を占めている四角い生地。



これはコットン53%、シルク47%の生地なのですが、、、

ご覧の通り、日光に当てるとこのくらい透ける薄さなんです。


この生地がシャツの大部分を占めることで、夏に着る服には必ず欲しい



・着用時の物理的軽さ


・見た目の軽やかさ (コレ意外と大事!!)


・涼しい風を十分に感じられる通気性



を兼ね備えているんです。

だから、立体的な空間を作る枠型生地 + 軽くて風が通り抜ける四角生地、という着心地において完璧な方程式が成り立つ。



ちゃんとそんなところも考えられた、システマチック・シャツでもあるんです。



もう着るというよりも纏う感覚に近いですよ。



それに加えて、洗濯もできる。

申し分なさすぎます。



カッコよくて、

着心地もよくて、

洗濯もできるシャツ。



夏に着る服としては完璧じゃないですか!



ただ、良い点ばかり言ってもアレなので、気になる点も言っておこうと思います。



断ち切りの仕様になっているので糸屑が多少出る。以上。



その点さえ気にならない方であれば、すごく気に入って頂けるシャツだと思いますよ。




SHIRTS : Nobuyuki Matsui

Framed italian collar shirts (3)


BOTTOMS : SEAN SUEN

folded wool trousers (XS)



それぞれ着用しているものは上記の通りです。


176cmの57kgでカッコ内が着用サイズです。

SEAN SUENの迫力のあるパンツと合わせても引けを取らない立体感。



ただ、主張しすぎることはなく、服のつくりからくる美しさが目を惹きます。

Nobuyuki Matsui

Framed henry neck shirts

color_WHITE

size_2,3



そして、こちらは襟がヘンリーネックのタイプ。



こちらもカジュアルなのにシャープな仕上がりです。

イタリアンカラーと違って襟はありませんが、鎖骨部分が少し見える程度に開きがあるため、独特の色気が感じられますね。

首周りの裏側には、ぐるりと囲うように見返しが付いているので、ネックがヘロヘロにならず、凛とした表情を保ちます。

ちなみに、Nobuyuki Matsuiの服は縫い代部分をパイピング処理しているものが多いです。



これは一般的な半袖シャツではなかなか見られない仕様ですが、ビスポークと呼ばれる注文服では必ずと言っていいほど見られる仕様。



ロンドンでテーラリング技術を磨き、今でも注文服を仕立てている松井さんならではの仕様になります。



着用者のことを第一で考えるテーラリング技術。



つまり、パイピングは“松井さんからの愛”のひとつだと僕は思っています。

そんな”松井さんからの愛”は着用時にも透けて見えるのですが、全ッ然ダサくない。



むしろ、曲線と直線のコントラストが美しく、デザインにまで昇華されています。



ここでも、松井さんの高い実力が垣間見える。

こちらもSEAN SUENのパンツと合わせてみました。



着丈はこちらの方が短めの設計です。



2型ともこういった黒系パンツとの相性が良いです。



その他にも白系のレイヤードコーデ、はたまたジャケットのインナーとしてもアクセントとなって良さそうですね。



カラーはシンプルですが、多数の要素が組み合わさっているからこそ、いろんなスタイルに合わせられますよ。







いかがだったでしょうか。



今回はNobuyuki Matsuiのシャツについて、ご紹介させて頂きました。



これを読んで、普段はサイジングでNobuyuki Matsuiを遠慮していた方が、そんな枠なんか取っ払って


「ナカが言ってたし……」


と言い訳しながら手に取っていただければ、嬉しく思います。



是非、店頭で着てみてやってください。