こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
本日まで開催のWR/ESSEのイベントでは、多くの方にご来店いただきました。
本当にありがとうございます。
WR/ESSEが切り拓こうとするスタイルを感じていただけたんじゃないかなと思っております。
今後も楽しみにしていてください。
今日は最近納品されたアイテムの中から、その中でもとびっきり楽しみにしていたものをご紹介させてください。
バイヤーという立場上、「僕だったらこうやって着るかな」というイメージを展示会の場で全ての洋服において考えるのですが、この1着に関してはそのイメージが固まりきらないままでオーダー。
絶大な信頼をしている人がつくるものだし、「まぁ届いた時の気温とフィーリングで!」って思ってたんだけど、この1着をご紹介する上では無限大の可能性を感じてもらえるタイミングなんじゃないでしょうか。

YE OLDE AND NEW MAN
RANDONNEUR04 MOCK POLO SHIRT
color _ DARK OLIVE
size _ 2,3
OLDE HOMESTEADERをはじめ、FAUVESやMEDIUM SPORTS WEARも手がける福原さんの型破りブランドYE OLDE AND NEW MAN。
その中でもRANDONNEUR(ランドゥヌール)と名付けられたシリーズ。
素材や生地の織り/編み、加工などから生まれる表現を、機能面を追求するベクトルに向けるのではなく、もっと精神的な面に作用することを狙ったのがRANDONNEUR。
例えば撥水の加工をかけた洋服をRANDONNEURとしてつくったとして、それは
「撥水加工が効いてるから雨の日にはとりあえずこれを着てください!」
「その分、撥水機能が低下しないように化学繊維にバチバチの加工かけときました!」
ということを目指しているのではなくて、
「撥水も効いてるし、雨の日はこれを自由にスタイリングする楽しみに変えて、出かけてみませんか?」
という提案をしてくれているのがRANDONNEURというシリーズの目指すポイントなんじゃないかと考えています。
その為に、アスレチックウェアやアウトドアウェアなどからの視点を持ちつつ、天然繊維をベースに素材や生地や加工の個性を引き出す。
引き出すのは、機能やスペックではない。
個性を引き出した先にある、着る人の自由。
なので、福原さんはYE OLDE AND NEW MANにおいて、”最高の素材の味を引き出すための準備を整えた洋服”を提案している言い換えれるんじゃないかな。
着る人みんなが”料理人”として”他のどんな洋服と掛け合わせて料理するか”を委ねている。
もちろん福原さん自身にも”こうやって合わせたら良い料理になるんじゃないか”っていう目星はあると思うのだけれど、それすらも超えた自由の先にRANDONNEURにしかないポジションがそれぞれの人の中で生まれてくる。
そのために福原さんは原料も糸も織りも編みも加工も、全部を徹底的に掘り下げることで、機能やスペックではなくもっと精神世界にベクトルが向く針の穴のようなピンポイントをこじ開けて拡げてゆく。
僕なりにYE OLDE AND NEW MANやRANDONNEURを紐解くと、こんなイメージ。
では、今回のMOCK POLO SHIRTはどのような洋服なのか。
まずは生地を見ていただく必要があります。

ブランドではLight Boaと名付けられた生地。
ウール90%ナイロン10%で構成されるこの生地は、確かに”ライトなボア”のようであり、薄手のフリースのようでもある。

ただし、肌にあたる裏面は表のように毛羽が立っているのではなく、天竺らしい表情を残したまま。
表に毛羽立ちがあるぶん風をストップするので体感的にも暖かくなることは間違いないが、裏を見ればこの1着がただ暖を取ることを目的とした洋服ではないことも分かる。
アウトドアブランドなどにおいては化学繊維で表現されるボアやフリースといった素材をウールベースで表現し、さらにまさに今の時期のような季節の変わり目にも守備範囲を広げるためにカットソーらしさも残したLight Boa。
ホントに癖のある独特な立ち位置なんだけど、飼い慣らせばメチャクチャ心強いバイプレイヤー的立ち位置を獲得すると思います。
実際に店頭でご覧いただけると分かると思いますので、ぜひ見てみてください。


形も、なんだか独特。
モックネックのような首の高さで、首元に2つ、胸元にかけて3つ、合計5つのボタンが付くポロ襟。
胸にはフラップポケット。
でも裾はシャツのようにラウンド。

肩傾斜はいつものスタイル。
袖口は切り替えずに共地で。
文字に起こしていくと統一感のないような印象かもしれませんが、この曖昧さの中でこれだけ鋭いバランスに着地させるのは福原マジック。


長袖カットソーくらいの感覚で、上からベストを重ねる。
Olde H & Daughterのリネンドライバーズベストは色こそダークトーンですが、リネンの質感で一気に春らしさが出る。


こういうバランスの時は胸元のボタン3つだけを留めてポロっぽく着てあげると良い感じ。
別に僕が指示したわけじゃないから、自画自賛ではないです。

裾がシャツのようにラウンドしているのも良いです。
ただカットソーにニットベストを羽織っているという感じに見えないので。

こういう感じで着る時とか、1枚で着る時は、裏に起毛がないからこそインナーはタンクトップとか半袖TシャツでOK。
裏面は10%のナイロンが顔を出すように設計されているので、地肌でもイケる。
汗をかいても洗えるようにウールには防縮加工をかけているので、洗濯もOK。
ただまぁこれもガシガシ洗えるようにしました!というものではないので、洗濯の頻度は抑えめで、手洗い推奨です。


反面こういうジャケット然としたものと合わせると、モックネックのハイゲージニットみたいになる。
朝晩では5度を切るような気温なので、まだまだこういう着方はリアルだと思います。
ウールやカシミヤのニットは真冬に散々着たし、流石に3月だから少し重苦しくなっちゃうよねって時に、Light Boa。
表面の起毛感も相まって冬っぽく感じられるかもしれませんが、個人的には”ウールで出来た乾いたベロア”みたいな生地だなと思ったくらいなので、中途半端な季節にこそ輝きます。

首元は全部ボタンを留めても締め付けられる感覚はありません。
生地自体にナチュラルな伸縮性があるので、首も袖口もかなりコンフォート。

SARTOのコットンシルクタイプライターのハンティングジャケットを羽織っているのですが、こういうバランスが取れる1着ってなかなかないんですよ。
こういう軽い素材の羽織の中に普通にロンTだけだとまだ寒いし、冬にしこたま着たウールやカシミヤのニットを着るのはなんだかその場凌ぎな感じがしてしまう。
僕はそうして結局こういう時期には裏毛のパーカー1枚で過ごしてしまうのですが、こういうスタイリングが出来るとなると春のライトアウターを気持ちよく着れる時期も長くなりそうです。

オーダーする時にイメージが固まり切ってなかった原因はきっとこれだったんだと気が付きました。
今から約10年前、当時大学生だった僕は古着ばかり着ていて、某P社のフリース素材のスナッププルオーバーを気に入って着ていた時期がある。
別にアウトドアスタイルが好きとかではないから、そういう時にはブルックスのシャツを合わせるみたいなマイルールのもとでよく着ていた。
まさにそのイメージ。
だけど、生地も形もそのコテコテのアウトドアスタイルに振り切れるのではなく、どこかちょっと良い意味でズレている。

西海岸ノリ全開のERLのリネンシャツがブルックスに見えてくる。
僕だけかもしれませんが。
でも、
”シャツにニットを合わせているかのような上品さと、それでは出ない抜け感”
言い換えれば、
”シャツにフリース生地のスナッププルオーバーを合わせているかのような抜け感と、それでは出せない上品さ”
がきちんと両立している。

肩傾斜がなくアームの太さもこれくらいあるので、よっぽどオーバーサイズとか分厚い生地のシャツじゃない限りは重ねることはできると思います。


3日前くらいに納品されて、このLight Boaの生地、このMOCK NECK SHIRTの形がこのスタイルでハマるということが分かった時、やっと僕の中でイメージが固まりました。
僕の生活の中で、このLight BoaのMOCK NECK SHIRTにしか与えてあげることができない役割。
タイトルでは”役割を与えてあげなければいけない洋服”としましたが、きっとみなさんの生活とクローゼットの中で自然と役割を形成することができるように、福原さんがここまでつくり込んでくれました。
皆様からこのLight BoaのMOCK NECK SHIRTに役割をいただければ幸いです。
ぜひ店頭でご体感ください。