こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
2024年も早いもので残すところあと数日となりました。
今年CASANOVA&COにお越しいただけた方、お買い物いただけた方は、本当にありがとうございました。
そして当店オンラインストアやインスタグラムをご覧いただいている皆様もいつもありがとうございます。
2025年も皆様に楽しんでいただけるように努めてまいります。
ということで、今回は題名の通り新ブランドのご紹介。
昨日のインスタグラムでも簡単にご紹介しており、画像をご覧いただいてお察しの方も多いかと思いますが、洋服ではありません。
香水です。
当店で香水をご紹介するのはかなり久しぶりになりますが、「もし香水を今後取り扱うことがあるとすればこの人たちだ」と心の中で勝手にシュミレーションしていたブランド。
それが、、、
ATELIER MATERI (アトリエマテリ)
先にお伝えさせていただくと、香りの種類は9種類のオードパルファムと、3種類のエキストレドパルファムの、合計12種類。
これがブランドのフルラインナップです。
関西より西のエリアにおいては初のお取り扱いとなるらしく、ATELIER MATERIの全貌を感じていただけるようにとフルラインナップでご用意しました。
いつも当店をご利用いただいている方の中にも、香水を使う習慣がある方もいれば、そうでない方もいると思います。
僕自身は昔から香水が好きで、洋服をたくさん買い漁る合間に隙を見て香水を買っていた。
なので香水を使う習慣があった側なのですが、ATELIER MATERIの香水を1年ほど使ってみて感じるのは、とにかく”疲れない香水”だということ。
僕自身は体質的に強い香りの香水でも鼻がむずむずするとか頭が痛くなるとかそういうことは全然ないのですが、それでもやっぱり香水で疲れてしまうということはある。
イメージしてもらうとしたら、”胃もたれ”みたいな疲労感が一番近いかも。
匂いを司る鼻と脳が常にフル回転して、だんだん乳酸が溜まってくるようなイメージ。
このような疲れが、ATELIER MATERIでは起こらないのです。
これはすごいことだと思いますよ。
当店には香水が合わず香水をつけるとくしゃみが止まらないという体質のスタッフがいるのですが、彼もATELIER MATERIは大丈夫だと言っていました。
とにかく上質な天然の香料を選び抜いて使用している証だと思いますね。
なので、今まで香水を使う習慣が無かった方も安心して使っていただけると思っています。
そして香水を使い慣れている方にも、驚きを感じていただけると思います。
ここで、そもそもですが少しブランドの紹介を。
ATELIER MATERIはフランスのブランドです。
ヴェロニク・ル・ビアンさんという、フランス出身の女性が手掛けている。
それぞれの香りによって調香を務める調香師は異なります(複数種類担当している方もいます)が、ディレクターであるヴェロニク・ル・ビアンさんが香水の他にも建築などに精通しており、それにまつわる哲学がブランドの香りやボトルデザインなど全てのクリエーションの土台になってる。
直線と曲線のコンビネーションで作られたネイビーブルーのガラス瓶。
コンクリートを採用したキャップ。
そのキャップにあしらわれている手作業のゴールドの刷毛目。
そして、それぞれの香りの調香。
全てブランドの根底にある哲学に基づいてる。
、、、なんですけど、この辺りの詳しいことは店頭にてしっかりお話しさせてください。
実物に触れていただくとより感じていただけると思いますし、
今日の本題は、それぞれの香りについてイマジネーションを豊かにしていただくことですから。
でも、とてもよくデザインされたボトルだと思いますし、スプレーノズルの質もとても素晴らしいものですよ。
それでは本題。
まずはオードパルファム9種類をそれぞれブランドの用意するビジュアルイメージを交えながらそれぞれの香りについて紹介します。
脳内で香りを発生させるくらい、想像力を豊かにしてお読みください。笑
ATELIER MATERI
Narcisse Taiji (ナルシスタイジ)
note _
TOP : ペアー、ジンジャー、チュベローズ
HEART : スイセン、ヘイ、ブラン
BASE : レザー、パチョリ、ムスク
まずはこちら。
ナルシスの名の通り、スイセンを基調とした香り。
ただ、スイセンがベースでありながら、スプレーしてすぐに感じるトップの香りはチュベローズもしっかり主張しています。
どちらも花から採取される香料なのでフローラルで女性的なイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、グリーンな印象のフローラルといった爽やかな感じで男性にもとても似合う香りだと思います。
このナルシスタイジにおいてブランドが使用するナルシスの香料は、フランス南部のスイセンを使用しています。
その中でも、選んだのはなんと高山地帯で自生する”野生のスイセン”。
しかも、現地の生産者さんは1.5t以上のスイセンの花を摘み取るそうです。
お花を摘み取って1.5t以上ってどんな規模になるのか想像もつかないですが…
そうして摘み取ったスイセンの花から香料を抽出していくことになるのですが、生産できる量が想像を遥かに下回ってるんです。
1.5tのナルシスのお花から抽出できる混じり気のないナルシスの香料は、
なんと、、
たったの、、、
1kg。
1.5tあったお花から、1kgですよ。
信じられないほどに生産性が低いように思えますが、極上の天然の香料を使用するというのはこういうこと。
ありえないような手間や想像を超えるほどの時間を経て、美しい香りの原料が出来上がる。
なんでも手間暇かけたから良いというわけではないかもしれませんが、洋服に限らず、きちんと作られている香水の世界でも、このような人の手が掛けられているものが存在していて、そのようなものが人を魅了する。
そういったこともATELIER MATERIからは感じていただけると思います。
そんなナルシスの華やかなトップの立ち上がりに対して、少しずつレザーやムスクのような動物的なノートが顔を覗かせ、ナルシスの仄暗いモヤっとしたダークな部分も表現されているのが、100%天然の”野生のスイセン”だからこそでしょう。
ナルシスタイジは通年で使いやすく、今まで香水をあまり使ってこなかったという方にもチャレンジしやすい香りだと思います。
ATELIER MATERI
Poivre Pomelo (ポワーブルポメロ)
note _
TOP : ティムトペッパー、グレープフルーツ、ピンクペッパー
HEART : アンジェリカ、ピオニー、オスマンサス
BASE : シダーウッド、ヴェチバー、マテ
Poivreは”胡椒”を意味するフランス語。
Pomeloは日本語では”文旦”、イメージしやすいところで言うグレープフルーツですね。
実際にグレープフルーツを食べるときに胡椒をかけるという人はおそらく皆無だと思いますが、これが香水として表現されるとメチャクチャ心地いい。
立ち上がりは、まさしくその二つの香料がまっすぐに主張し、爽やかさとスパイシーさを併せ持つすっきりとした印象。
実際にグレープフルーツに胡椒をかけて食べるイメージをしてみて欲しいのですが、噛むたびにグレープフルーツの果実と胡椒の実がプチプチと弾けて広がるような、みずみずしくスパイシーな、そんなイメージ。
個人的にはここまでペッパーが素直に胡椒らしく香る香水は出会ったことがないのですが、グレープフルーツの酸味と甘み、そしてまるでグレープフルーツの皮を齧った時のような苦味とのコントラストが美しく、非常にフレッシュで澄んだ香りだと思います。
ペッパーはティムトペッパーとピンクペッパーの二種類をミックスしていて、いわゆる黒胡椒的なピリピリしたスパイシーさだけではなく、ピンクペッパーの胡椒の実の果実っぽいジューシーさもうまく表現されてる。
ブランドで最も爽やかな香りで、香りも強すぎないので、どんなシーンでもかなり使いやすいんじゃないでしょうか。
特に梅雨や夏場のジメジメした季節には気持ちよくキリッと香ってくれる柑橘系の1本です。
ATELIER MATERI
Santal Blond (サンタルブロンド)
note _
TOP : ベルガモット、カルダモン
HEART : ジャスミン、サンダルウッド
BASE : ヒノキ、トンカビーン
これもブランドの中ではかなり使いやすい香りだと思います、サンタルブロンド。
こちらも名前の通りですが、サンダルウッドが基調となった香りですね。
サンダルウッドというと、香水やインセンスなどでも頻繁に使用される香料なので、名前を聞いたことのある人も多いかと思います。
日本語では白檀と呼ばれますが、ウッディさの中にも少しパウダリーな甘みがあるのが特徴的です。
このサンダルウッドも、天然の香料としてはとても希少で、白檀の木を伐採してから香りを放つなるようになるまでには何十年もの時間を要するそうです。
そんな希少性の非常に高い天然のサンダルウッドの香りに合わせたのが、同じく木から抽出されるヒノキの香料。
立ち上がりからヒノキの爽やかさが感じられますが、新築のお家のようなスッとした香りのヒノキの印象ではなくとてもまろやか。
サンダルウッドやトンカビーンの甘みがヒノキを包み込んでるような感覚です。
また、トップにはカルダモンの華やかなスパイシーさもきちんと感じられて、それらがバランスよく一つの香水の中で重ね合わさる、とてもそれぞれの香りの輪郭がしっかりとした1本だと思います。
ATELIER MATERI
Cacao Porcelana (カカオポルスレナ)
note _
TOP : ホワイトカカオ、ラム、エヴァーラスティング
HEART : ジャスミン、ブロンドタバコ、ダヴァナ
BASE : パチョリ、サンダルウッド、トンカビーン
率直に言うと、今までの3種と比較すると、使いやすい香りではないかもしれません。
ですが、驚きと新鮮さ、そしてそれとは裏腹の親しみある心地よさを体験させてくれる素晴らしい香水だと思います。
カカオポルスレナの名の通り、カカオの香りが軸となる1本。
オーブンでチョコクッキーを焼いているときに漂ってくるような、甘くて香ばしい香り。
香りを試していただければ感じてもらえると思うのですが、脳内にチョコレートの映像が再生され始めるくらい鮮明で大胆なカカオの香水です。
このカカオポルスレナの調香では、ホワイトカカオの持つ芳醇な香りを最大限に引き出すことが至上命題。
そこで、調香師を務めたマリー・ユジャントブレルさんは、フランスのショコラティエと協業でカカオの焙煎を研究したそうです。
カカオのことはカカオのプロであるショコラティエに頼む。
”餅は餅屋”とは言いますが、ここまで追求している姿勢も素材のポテンシャルを引き出すことに注力するATELIER MATERIらしさ。
甘いお菓子の美味しそうな匂いの香水の総称を、フランス語で「食いしん坊」を意味する”グルマン”という言葉で表すのですが、このカカオポルスレナも”グルマン系”の香水と言って良いと思います。
ですが、トップではラム酒のアルコール感を合わせて立ち上がり、徐々にウッディな印象に落ち着いていくので、いい意味で一筋縄では行かないグルマンといったところでしょうか。
びっくりするくらいカカオなのでその印象に引っ張られてしまうのですが、ミドル以降もとても面白く、ブランドを代表する香りだと思います。
ATELIER MATERI
Cuir Nilam (キュイールニラム)
note _
TOP : カルダモン、ヴァイオレットリーフ
HEART : ローズ、レザー
BASE : パチョリ、タバコ
このキュイールニラムも、使いやすいわけではありませんが、とても個性のある香りです。
イメージとしては、どちらかというと男性的。
Cuirはフランス語で”レザー”を表す言葉で、その名の通りレザー系の香水です。
レザー系の香水となると、若々しい印象というよりはどちらかというと大人の男性のジェントルマンな感じを連想させるものが多いと思います。
そして、好き嫌いがはっきりと分かれる香りであるとも。
ですがこのキュイールニラムは、どっしり重たくなりがちなレザーの中にも、程よくスモーキーでふわりと漂うような軽やかさもある。
その立役者が、”Nilam”。
ニラムはインドネシアで”パチョリ”を表す言葉で、実際にキュイールニラムでは立ち上がりからパチョリが強く主張します。
一般的にパチョリの香りを墨汁のような香りと例えることがありますが、このパチョリの存在によってレザーの重厚さだけでなく、鼻の奥に抜けるような広がりのある印象になっています。
時間が経過するにつれて仄かに甘みも出てくるので、レザー系だけど強面な感じではなく、力強さの中にも優しさがある印象。
重厚な洋服に負けないパワーのある香りだと思います。
ATELIER MATERI
Rose Ardoise (ローズアルドワーズ)
note _
TOP : ナツメグ、ピンクペッパー
HEART : ローズ、セージ
BASE : ヴェチバー、レザー、アンブロキサン
実は先ほどのキュイールニラムにもローズが含まれているのですが、こちらのローズアルドワーズは読んで字の如くローズを主題とした香水。
イメージ的にローズの香水と聞くと女性ものだという印象の方が多いと思います。
僕自身もそう感じていましたし、実際市場に流通している”ローズ”と名のつく香りのものは、女性的なパッケージデザインでターゲットが絞り込まれているものがほとんどなのではないでしょうか。
ですが、このローズアルドワーズは、わかりやすく言えば、
”かっこいいローズ”。
バラ自体が女性的なイメージですが、このローズアルドワーズでは棘のあるバラの茎から、土のついた根っこまで全体を含めたローズの解釈みたいな印象です。
なので、フローラルな印象になりすぎず、男性的な側面も持ち合わせてる。
ピンクペッパーの辛みやレザーの渋さも感じられて、ローズってこんなに付けやすかったっけ?って感じてもらえるはず。
女性にも男性にも気に入ってもらえると思いますよ、これ。
ATELIER MATERI
Bois d’Ambrette (ボワダンブレット)
note _
TOP : マンダリン、ジンジャー
HEART : アンブレット、アンジェリカ、アミリス
BASE : ムスク、サンダルウッド、アンブロキサン
フレグランスの世界では人気の高いムスク調の香りです。
お部屋の芳香剤や柔軟剤など様々なところで”ムスク”を見かけると思いますが、そもそもムスクとはジャコウジカという動物の体内にある香嚢(こうのう)と呼ばれる部分から採取される香り。
つまり動物由来の香料です。
ですが、現在天然の動物性のムスクを使用しているフレグランスは皆無だそうです。
それはなぜか。
香料の採取のためにジャコウジカを屠殺しなければならないことが問題視され、現在ではワシントン条約によって天然ムスクの輸出入が禁じられているから。
つまり世の中で使用されるムスクの香りは基本的には合成香料ということになりますが、ATELIER MATERIでは”天然の植物性ムスク”にフォーカスしました。
それが名前に付く”アンブレット”。
近年少しずつ使われるようになってきた植物性ムスクですが、アンブレットという植物の種から抽出される貴重な香料。
僕も本当の天然動物性ムスクを嗅いだことはないので明確な比較はできませんが、ムスクに似た官能的な甘みがありながら、ほんのりフローラルで後味がさっぱりしていると思います。
そんなアンブレットを贅沢に使用したボワダンブレット。
しっかりとムスクらしさはありますが、マンダリンの爽やかさも相まってムワッとした残り方はせず透明感のある印象です。
親しみやすい香りですが、きちんと個性を持った香料で構成されていてとてもバランスの取れた香水だと思います。
ATELIER MATERI
Cedre Figalia (セードルフィガリア)
note _
TOP : ベルガモット、バジル、ジャマイカペッパー
HEART : スピナッチ、マテ、フィグリーフ
BASE : シダーウッド、ミルキーフィグノート、ドライウッド
セードルフィガリアはブランドのオードパルファムの中で最も最近ラインナップに加わった香りです。
香りの軸となるのはスピナッチ(ほうれん草)、バジル、フィグ(イチジク)あたりでしょうか。
スプレーするとほうれん草とバジルの青々とした印象が爽やかに広がります。
そして、それと並行してフィグの香りも立ち上がるのですが、これがめちゃくちゃミルキー。
イメージとしては、めちゃくちゃに完熟したイチジクのような、トロッとした滑らかなフィグ。
あんまりイチジク食べたことないけど。笑
立ち上がりはほうれん草とバジルの青々とした感じと、フィグのミルキーさが行ったり来たりするような不思議な感覚。
そして時間が経つと、だんだんグリーンぽさが落ち着いて、シダーの存在感が増します。
この感じ、お好きな人はハマると思います。
僕はハマりました。
ATELIER MATERI
Iris Ebene (イリスエベーヌ)
note _
TOP : レッドマンダリン、プチグレンマンダリン、ジャマイカペッパー
HEART : ピンクペッパー、イリス、スエード
BASE : ペルーバルサム、サンダルウッド、レザームスク
ラスト9種類目は、イリスエベーヌ。
この4ヶ月ほど全9種類をさまざまな気温や湿度、行動条件下で使い続けて自分なりに落とし込みを行なっていたのですが、最も美しいと感じたのがこのイリスエベーヌでした。
1番のお気に入り。
ちなみに2番目に好きなのがセードルフィガリアかな。
完全に僕の主観の話で、香りは人ぞれぞれ感じ方が異なるのでどうでもいい話なのですが。。。
ただ、ディレクターのヴェロニク・ル・ビアンさんもこのイリスエベーヌが一番のお気に入りだそう。
彼女のイメージでは、寒い季節にカシミアのセーターを着て、この香りを身に纏うのがイメージとのこと。
なので僕もHERILLのカシミアケーブルニットを着る時にはこの香りを身につけていましたね。
香りのメインはイリス(アヤメ)とスエードレザー。
香料としてのイリスは、化粧品のようなパウダリーな香りの印象があるかと思いますが、イリスエベーヌでは土っぽさも感じられるバランスの良い仕上がり。
そこに合わせられるスエードレザーは、とてもしなやかで毛足の整ったスエードのような印象。
レザー系の香りが含まれているのですが、ギラっとした男性像とは異なる、とても柔らかく品のある香り。
このイリスエベーヌやカカオポルスレナ、キュイールニラムあたりはブランドの中でも比較的重めな香りですが、ATELIER MATERIの全体の印象としてとても透明感のある香り方をするので、夏場につけていても不快感はないと思います。
でも、個人的にはおすすめはどちらかと言われると秋冬シーズンですかね。
秋冬と春夏のシーズンに合わせて纏う香りを変えるのも良いと思います。
ということでここまでがオードパルファム。
ここまでですでにかなり長くなっちゃいましたね。すみません。
でも、まだあります。
ここからがエキストレドパルファムです。
あ、、、
当たり前のようにオードパルファムとエキストレドパルファムという耳馴染みのないワードを連呼しちゃってますが、
これらは香水の香りの濃度によってジャンル分けされていると思っていただければそれで大丈夫です。
賦香率(香料の割合)が低い順に、
・オーデコロン
・オードトワレ
・オードパルファム
・パルファム
というジャンル分けがされています。
googleで調べていただければ出てくると思いますし、細かくそれぞれが何%のものなのかまではここでは記載しませんが、
濃度が最も高い”パルファム”のカテゴリで、15〜30%ほどの賦香率と言われています。
ここからご紹介するエキストレドパルファムに関しては、それと同等もしくはそれ以上の賦香率を誇ります。
つまり、香水のジャンル分けにおいて、”最も濃厚に作られた香り”となるのがエキストレドパルファムということ。
そのため、一般的には持続時間が長く、香りが強いものが多いです。
あくまで、一般的には、ですが。
ただここで誤解がないようにお伝えしておくと、先ほどご紹介した9種類のオードパルファムも香りの持続時間は長いと思います。
個人的な体感では、朝ワンプッシュしたら夜までまろやかになりながら香りは持続していきます。
エキストレドパルファムでは、それがさらに濃厚でダイナミックな香りの変化を辿りながら強く持続するイメージです。
そして、香りの濃度が高いからこそ、濃密なクリエーションが感じられるのもエキストレドパルファムの魅力。
かなり玄人好みな香りではあると思いますが、3種類紹介しますね。
ATELIER MATERI
Burgundy Oud (バーガンディウード)
note _
TOP : ブラックカラントバッドアブソリュート、カルダモンエッセンス、ベルガモットエッセンス
HEART : ゼラニウムエッセンス、マグノリアエッセンス、ダヴァナエッセンス
BASE : ウード、アミリスエッセンス、レザー
僕個人の体感としては、3種類のエキストレドパルファムの中では最も受け入れていただきやすい香り付だと思います。
と思ってブランドのディストリビューターの方に聞いてみたら、世の中的にもこれが一番受け入れられているみたいですね。
バーガンディウードは、突き抜けるような鮮烈なカシスの香りで華々しく立ち上がります。
ワインで有名なフランスのブルゴーニュ産のカシスを使用しており、ATELIER MATERIらしい果実っぽさをしっかりと残した瑞々しく濃厚な香り。
そして、その香りの底の方にこの香水で軸となるウードのスモーキーさがしっかりと存在しているのですが、時間の経過とともに次第にカシスの角が取れてきて丸みを帯び、反対にウードのモヤモヤとした影のある印象が表に現れてカシスを包み込みながら肌に溶け込んでいくような変化をしていきます。
華やかさはあるのですが、その反面、神秘的でミステリアスな香りだと思います。
ATELIER MATERI
Ambre Papier (アンブルパピエ)
note _
TOP : ブラックペッパー、ピメント、レッドマンダリン
HEART : ジャスミン、ミルラエッセンス、マテアブソリュート、サフランエクストラクト
BASE : シャムベンゾインレジノイド、ヴェチバーエッセンス、トンカビーンアブソリュート
アンブルパピエはとてもスパイシーで多層的な香水だと思いました。
最初はサフランの香りとペッパーが印象的で、徐々に樹液のようなトロっとした甘みが主張し始めます。
アンブルパピエはアルメニアペーパーと呼ばれる、樹脂を染み込ませた伝統的な紙のお香をインスピレーションとして生まれました。
そのアルメニアペーパーなどにも使用される、ベンゾインという樹液から抽出される香料を使用しているのですが、この香料も職人が手作業で木に切れ込みを入れて少しずつ採取しているというもの。
さらには、明るい色の樹液のものだけを厳選しているそうで、とにかく最高の素材を使うということに妥協がない。
そうして取れるベンゾインは、バニラにも似た上品な甘い香りで、トンカビーンと共にこの香りの甘みを支えています。
ムエットなどで嗅ぐとサフランの印象的な香りに戸惑ってしまうかもしれませんが、肌に乗せるといい意味で人懐っこい香りだと思います。
ATELIER MATERI
Neroli Hasbaya (ネロリハスバヤ)
note _
TOP : ネロリエッセンス、ビターアーモンドエクストラクト、ピスタチオ
HEART : オレンジブロッサムアブソリュート、ダマスクローズアブソリュート
BASE : ペルーバルサム、サンダルウッド、イリス
レバノンやシリアなど中東の国で親しまれている伝統的なデザート、”ムハラビーヤ”。
僕はレバノンもシリアも当然行ったことがないので初めて聞いたのですが、調べてみるとどうやらミルクプリンのような食べ物だそうです。
そのムハラビーヤにインスピレーションを受けてつくられたのが、このネロリハスバヤ。
正直、エキストレドパルファムの3種類の中で一番ワクワクして、最も言語化することに苦戦しました。
本当にとりあえず試してみてほしいとしか言えないのですが、イメージとしては、
ネロリのオレンジを感じさせるようなフルーティーさと、
アーモンドやピスタチオを砕いてハチミツで和えたような香ばしくて甘い香り、
さらにサンダルウッドやイリスの少しパウダリーな甘み
が、なぜか違和感なく香ります。
マジで独特な、めちゃくちゃ面白い香りです。
バーガンディウードとアンブルパピエも含め、エキストレドパルファムのコレクションは香水がお好きな方にはぜひ試してほしい。
以上で全12種類となります。
正直言葉では香りのイメージはしにくいと思うし、味覚と同じように嗅覚も人ぞれぞれ異なるもの。
それでも、少しでも想像が膨らんだ状態で見ていただきたくてこのように紹介させていただきました。
1月2日から店頭でご覧いただけますので、気にしていただける方はお試しいただけましたら幸いです。