こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
1月の後半戦はイベントが続きます。
今週末はこちら。

LEVER order exhibition
2026.01.24(SAT) - 2026.01.25(SUN)
土曜日と日曜日は、LEVERを手がける橋本さんに在店いただき、皆様のフィッティングをサポートしていただきます。
橋本さんがどのような人物なのか、そしてLEVERがどのようにして生まれたのかは昨年大晦日に更新したこちらのブログにてご紹介しております。
読んでいただけると、実際に靴を見た時の解像度が、ほんの少しだけ上がるんじゃないかと思います。
お暇な時間があれば、ご一読いただけますと、僕も報われます。笑
そして本日は、そのLEVERのラインナップについて。
実はすでに店頭でご覧いただいた方もいるのですが、週末にご来店をご予定いただいている方の予習用としてもこちらのブログで簡単にご紹介させていただきます。
簡単に、というか、実物からしか感じることのできない”オーラ”があるものなので写真じゃ限度があるし、やっぱり気にしていただける方には実物を見て履いてみてほしい。
”LEVERを肉眼で見る前”と”見た後”、
”見た後”と”足を入れた後”、
”足を入れた後”と”所有した後”、
その度に感覚を塗り替えられていく実感がありました。
きっと皆様にもそれを体感していただけると思います。
1型ずつご紹介しますね。

LEVER
model _ PATH (Black)
last _ TH103
size _ UK5 - UK9
LEVERをご存知の方の多くが思い浮かべる”LEVERの代名詞”といえばこちらのモデルでしょう。
通称”パドックブーツ”と呼ばれるPATH。
橋本さんによると、師匠であるJason Amesbury氏の元で修行をし始めた頃、メイキングの練習用に渡されたアッパーを使用した橋本さん自身のブーツがこのPATHのルーツ。
橋本岳幸という一人のシューメイカーとしても、LEVERというプロジェクトとしても、今日に導いた1足と言っても良いと思います。


バルモラルなのに、外羽根。
一見すると内羽根とも外羽根とも定義しづらい仕様に感じます。

シャフトはシボ革。
さらに、外羽根が八の字に開いたような”Vフロント”のスタイル。
唯一無二で、品のある無骨さ。
LEVERが英国ビスポーク、つまりクラシックの世界に重きを置きながらも自らのスタイルをそこに縛りつけない”自由さ”を象徴したようなモデルだと思います。
あと、僕はこのPATHを見た時に、スクエアウエストにしているところに心を惹かれました。
クラシックの世界の中でエレガンスを表現するための意匠として、べヴェルドウエストとかフィドルバックとか、僕もよく知らない技法とかもあると思います。
が、それらが都合よく記号化されて、「なんでもそうしておけば、それっぽく見える」的な文脈で消費されているように感じることもある昨今。
そんな中で橋本さんは「このデザインにはこの仕様でしょ」っていう自身のキャリアの中で身につけた”方程式”があるというのが、血が通っていてカッコいい。
そしてそれが英国ビスポークの世界の底付けを極めようとしている橋本さんが導き出したものなのだから、僕はもうそれには文句のつけようがないと思っている。
これからご紹介するモデルたちも、そのように橋本さんの方程式の中で生み出されたスタイルのものたちなので、そういう視点で見てみるのも面白いかもしれません。

LEVER
model _ S MOLTON ’99 (Black,Dark Brown,English grain Black,English grain Dark Brown)
last _ TH103
size _ UK5 - UK9
内くるぶし側にエクセラジップが付く、サイドジップブーツ。
現在のLEVERのラインナップの中で、このS MOLTON ’99だけが唯一クラシックの文脈から離れたものとなっており、逆説的に言えば橋本さんのルーツやフィルターを色濃く反映したものになっている。
1999年、渡英して間もない頃、橋本さんがコードウェイナーズ(現ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション)に入学する前、靴づくりへの興味を抱いたブーツに出会った「サウスモールトンストリート」。
そして同時期にVHSで見た「Buffalo ‘66」。
初めて見た時には英語が全く聞き取れなかったと言いますが、半年ほど経った時にはほぼ完璧に聞き取れるようになっていたそう。
その「Buffalo ‘66」主演のヴィンセント・ギャロが劇中で履いていた真っ赤なブーツ。
”サウスモールトンストリート”で出会ったブーツも、ヴィンセント・ギャロが履いていたあのブーツも、センターに切り返しのあるデザインが共通していたことから、橋本さんのフィルターを通して生み出したのが、「S MOLTON ’99”」



橋本さんは、ビスポークシューズで最も大切なことは、フィッティングだと言います。
ビスポークはその個人の足の形に合わせて木型からつくることになるので、それが足にフィットしていないのであれば、意味がない。
つまり、ビスポークの世界では、履き心地の快適さはもちろんのこと、余白のないフィッティングが求められる。
対して既製靴の世界は、ある意味においては真逆なのだそう。
多くの人にとって快適に履けるように木型を開発せねばならず、必然的に”攻めた”フィッティングができなくなる。
またセールスとして”痛みがない”ことが重要視されるため、余計にゆとりを持たせた木型の設計になるのだそう。
このそれぞれの考え方に対して、どちらが優れているかを決める必要はないかもしれないが、LEVERが前者の考え方に基づいていることは言うまでもないと思うし、だからこそここまでの美しさを感じる靴になっている。
ただしこれは着用時の痛みを肯定するものでは決して無く、日本人の足を計算し尽くすことで、多くの人にとって快適さと余白のないフィッティングを目指したのがLEVER。
それだけ完成度の高い木型であるということです。
ただ、このS MOLTON ’99に関しては1点だけ注意点。
シャフトの細さやジップの落とし位置も相まって、初めて足を入れるときは信じられないくらい足が入りません。笑
コツを掴んで靴に慣れてくればある程度スムーズに着脱できるのですが、僕は初日は20分くらいかけて両足履きました。
靴がぶっ壊れるかとも思いました。笑
それくらいS MOLTON ’99は、美しさを求めて攻めたフォルムにしていますが、その分良いサイズで着用した時にはかなりバッキバキになります。
僕の私物のS MOLTON ’99はもちろん、期間中は橋本さんの私物のS MOLTON ’99も展示しておりますので是非見てみてください。
橋本さんのS MOLTON ’99は特に仕上がってます。
あれはずるい。

こんな感じで新品の状態の佇まいが息を呑むほどに美しいので、バッキバキの私物からもイメージを膨らませていただけると良いのじゃないかと思います。

LEVER
model _ APRIL (Black)
last _ TH103
size _ UK5 - UK9
ブーツの最後、APRIL。
PATHと同じく9アイレットのレースアップブーツですが、こちらは王道に内羽根のバルモラルスタイル。

ただしこのAPRIL、めちゃくちゃ分かりにくいのですが、ヴァンプとシャフトで異なるレザーを使用したコンビネーション仕様。
普通は色味を変えるとかスエードを使うとか、PATHみたいにシボ革を使うとか、わかりやすいコンビネーションになるはずなのですが、LEVERはそういうところで主張するスタイルではない。
ということで、ヴァンプ部分には黒のボックスカーフ、シャフト部分には黒のベビーカーフを使用するという、コンビネーションだってことがバレたくないのかってほどに分かりにくいコンビネーションスタイルなのがAPRIL。
でも実はそれぞれのレザーの特性上とても合理的な使い分けであって、見た目もソリッドに見えて違和感がある。
LEVERのレースアップブーツとしてはPATHが先行しがちだけど、このAPRIL、僕はかなり良いと思います。

LEVER
model _ TIDE (Black,Dark Brown)
last _ TH103
size _ UK5 - UK9
橋本さん曰く、「一番嘘のつけないスタイル」である、キャップトゥのオックスフォード。
英国クラシックのスタイル、橋本さん自身の経歴と美学に真正面から向き合ったド直球。
モデルが完成した順番的にも、PATHやS MOLTON ’99においてクラシックをベースにしながらも亜流なモデルたちが続いたこともあり、このTIDEが完成したのだそう。

写真じゃ全然見えないけど、やっぱりこのスタイルにはべヴェルドウエスト。
キャップトゥのステッチを2本で入れているのは、あえて既製靴らしさを残した仕様なのだそうです。
こういうクラシック原点回帰なモデルであっても、LEVERらしい顔つきになっていることにはとても驚かされます。
経歴や文脈を考えると最も橋本さんらしいスタイルであり、最もLEVERらしくないスタイルをLEVERらしく引き上げたモデルなのかなと思っています。

LEVER
model _ VESTIGE (Black)
last _ TH103
size _ UK5 - UK9
シューレース付近にU字の切り返しがある、アデレードスタイル。
橋本さんがアデレードに最も似合うと考えるセミブローグを採用したモデル。
メダリオンのバランスもやり過ぎずスタイリッシュな印象で、やはりフルブローグスタイルよりもLEVERらしいのはセミブローグなのだろうと思います。

橋本さんはこのVESTIGEに対して、「芋臭いバランスを目指した」と言っていましたが、根本的にハイレベルすぎて僕には芋臭さを感じることができませんでした。笑
ただ、ブローグシューズ特有の土っぽさとか田舎っぽさとかを殺さないライン取り、ということなのだと思います。
僕もまだまだ勉強不足なので、勉強します。

LEVER
model _ NIL (English grain Black,English grain Dark Brown,Black)
last _ TH103
size _ UK5 - UK9
短靴の最後は、オーセンティックな外羽根。
ファッション的な目線からすれば外羽根のレザーシューズは普遍的な印象ですが、LEVERのような出自のブランドからすると少しカジュアルなワークっぽいスタイル。
しかし、つくりの全てがそのような一般的なダービーシューズの感覚とは異なるため、”LEVERの外羽根”というどちらとも取れない独特な立ち位置をつくり出しているのがNILだと思います。

LEVERらしく低く抑えられた甲の美しさに対して、外羽根&スクエアウエストの男らしいディテール。
そこに乗っかる最高のグレインレザー。
ブラックのボックスカーフも勿論抜群ですが、このスタイルのグレインレザーのハマり方はちょっと異常レベル。
LEVERが使用するレザーに関して、そのクオリティとかはもう言及したところで表現できないレベルなので、こればっかりは店頭で確認してください。
使用するレザーの選定や、そこへの型入れ(どのパーツをどこから取ってくるか決める作業)のリアルを見ていただけるように店頭にて1枚の大きなレザーを展示する予定です。
なのでレザーに関しては、それをご覧いただければと思います。
このNILは一家に一足あってもいいんじゃないかってくらい人を選ばない優秀な一足です。

LEVER
model _ SCALE (Black,Dark Brown)
last _ THC101
size _ UK5 - UK9
ここから3型はローファーです。
まずはタッセル。

当たり前の話ですが、ローファーは足を固定するためのシューレースやジップ、ゴムなどが付属しない靴です。
そのため、サイズ選びを間違えると歩く度に踵が抜けてしまい、履いていられない、なんてことが比較的頻繁に発生すると思います。
そこで多くの人は”なるべくタイトなサイズを選んで、そこから履いて馴染ませる”という選択を取りがちなのですが、これは間違い。
痛くて履かなくなるだけですから、これじゃ。
LEVERのローファーは履いて頂くとわかるのですが、かなりアグレシッブに足を捕まえにくる。
具体的には、甲の部分の余白を最大限削り、踵部分に丸みを取ることで踵が抜けないように”ラストで調整”している。
つまり、”サイズで攻める”のではなく、”ラストで調整”されている、ということ。
だからこそ、靴下やインソールで適切に調整してあげると、驚くほどのフィッティングになります。
実際にLEVERのフィッティングでは、中敷きのようにして使用するレザーで調整を行いながらフィッティングを確認します。
フロントのみ、ヒールのみ、もしくは全面にレザーを入れることによって、それぞれの足の形に合わせてフィッティングを行うことができます。
つまり、甲が高くても薄くても、幅が広くても狭くても、基本的にはほとんどの日本人の方なら対応できる仕組みと木型になっている。
だから、心置きなくローファーも選んでいただけると思いますよ。

このウエストのライン、最高でしょ。
タッセルローファーって今の自分にはまだアダルト過ぎると思ってチャレンジしようと思ったこともなかったけど、LEVERのSCALEを見てると「これが似合う大人の男になりてぇ」と心から思う。
S MOLTON ‘99がやっといい感じになってきたところなのに既に次を悩もうとしているのが恐ろしい。。。

LEVER
model _ YOKE (Black,Dark Brown)
last _ THC101
size _ UK5 - UK9

LEVER
model _ CUDDLE (Black,Dark Brown)
last _ THC101
size _ UK5 - UK9
最後はローファー2型まとめて。
ハーフサドルのYOKEとフルサドルのCUDDLE。

どちらかと言われればカジュアル寄りな印象のハーフサドルは、スクエアウエスト。

よりスタイリッシュな側面を強めるフルサドルは、べヴェル。
やっぱりこれもどっちがいいとか悪いとかではなく、その方のスタイルで選んで欲しいですね。
僕は今の好み的には、フルサドルでSARTOとかT.Tとかのワーク系パンツを雑に合わせたいですね。
で、トップスはTシャツ1枚みたいな。
寒いけど。

LEVERは見た目がかなり艶っぽく見えるかもしれないけど、ガシガシに着用した時に輝くレザーシューズだと思っている。
それはやはり橋本さん自身がそうやって着用していることもそうだし、橋本さんの私物のLEVERたちの佇まいが物語ってる。
明日、僕の私物と橋本さんの私物を交えて、新品状態のモデルシューズからは感じにくいLEVERの表情をご紹介できたらと思っています。
楽しみにしていてください。