こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。

FUKUBORI new collection launch
&
服ヲ掘ル exhibition
2026.04.04 (SAT) - 2026.04.08 (WED)
今週末からとなりました。
FUKUBORI、そして服ヲ掘ルのイベント。
先日は”アメリカのワークウェア”として、PAYDAYをベースとするカバーオールと、LEEをベースとするペインターパンツをご紹介しました。
対して本日は、”日本のワークウェア”。
昨年のFUKUBORIのイベントの際にご紹介した”日本のミリタリー”である1940年代の日本空軍のフライトジャケットを見た時も思ったのですが、日本のワークウェアと言われてもあまりピンとこない。
正直全くもってノーマークの存在。
ただ実際に構造を見ていくと、当時の日本のワークウェアはその時代の西洋の理論に倣っていたことがよくわかります。
当時まだ商業的なファッションは発展していなかったであろう日本の洋服産業の中に、そのような西洋の理論を理解した変態的にマニアックな人がきっと居たのだと思う。
”和”と”洋”の対立構造だけではない、世界基準のスタンダードがあるように感じます。
それが第二次世界大戦頃からすでに存在していたのだと思うと、とても興味深い。
そんなジャケットとパンツ、それぞれご紹介させてください。

FUKUBORI
Railway Jacket
color _ 生成り
size _ 2
当時、国鉄の機関士たちの制服としてつくられた、通称”ナッパ服”と呼ばれるジャケット。
国鉄なので、FUKUBORIにおいても”Railway Jacket”と名付けられています。

先日ご紹介した1950年代のPAYDAYをリファレンスとするカバーオールと同様に、ラグランスリーブの設計。
ナッパ服に関してはデパートや百貨店で販売するようなワークウェアではないはずなので、販売戦略というよりも、動きやすさとしての機能面と肩幅が曖昧であることによる制服としての貸与しやすさがラグラン袖に込められた理由なのでしょう。

トップボタンの前合わせは、少し無理のある位置関係。
これも河原さん曰く、PAYDAYのカバーオールに共通する”労働者を守る”ディテール。


右胸のラウンドした少し小ぶりなこのポケット。
懐中時計を入れるためのポケットだったと言われています。

袖口には7本のタック。
これも見栄えのための仕様というよりも、必要な分量をどのようにして収めるか、という試行錯誤の結果だと考えるべきなのでしょう。


しかし現代の私たちからすると、このバルーンな袖はモダンだとも捉えることができる。
肩からラグランで曲線を描き、袖にかけてボリュームが広がり、袖口で急に収束する。
当時の労働者の生産性を邪魔しないための仕様であることは明らかですが、改めてそれを知った上で物に触れると、違った角度で魅力が見えてくる。

ポケットに手を突っ込んだ時の肘から下の溜まり方に、”ただそれを狙った設計”であるという場合には存在しない余白を感じる。

曲線で縫われるウォッチポケットと、直線で縫われる胸ポケット及びウエストポケット。
そして、それぞれのコバからの距離感。
この差にも明確な当時の生産現場の工夫が見受けられると河原さんは言います。
縫い目を解きながらそのような気づきを得ていく河原さんは、「洋服と話ができる」唯一の人間、だと僕は思ってる。
その気づきを聞いたら「なるほどなぁ〜」と思うことはできるけど、ゼロからそこに近づいていくことがどれほど難しいことか。
自分が設計したわけでもなく縫製したわけでもない洋服を相手に、1針1針を丁寧に解きながらその1着に憑依するかのようにして洋服に残る”声”を構造や仕様から汲み取る。
型紙の専門家として様々な洋服を設計してきたキャリアはもちろん、”服ヲ掘ル”の活動を通じて数多くの洋服の声を聞いてきたからこそできる、河原さんの特殊能力。


ワークウェアにおいて、袖口が狭いor狭くできるというのは重要な機構なのでしょう。
命に関わる事故が起こりうるでしょうから。



あ、そうそう、今回の”日本のワークウェア”に使用している生地は、”アメリカのワークウェア”に使用しているものとは異なります。
こちらは兵庫県の西脇産地の生地。
岡山や福山の空気感とは異なる、西脇の産地特有の鋭く冷たいニュアンス。
ゴリっとした男らしいワークなニュアンスの生地だと形のリファレンスも相まって想像の範囲内のバランスになってしまうけど、このナッパ服に対してこの生地チョイスは抜群です。
写真と実物ではガラッと印象の変わる素晴らしい生地だと思います。

FUKUBORI
Railway Pants
color _ 生成り
size _ 2
同じ生地の”国鉄パンツ”。
この子はかなりの曲者です。笑

フロントのウォッチポケットと、

バックのフラップポケットのみ。
2ポケ仕様のパンツ。
そのうち一つは懐中時計用なので財布もスマホも、なんならタバコすら入らない。
ほぼ1ポケじゃん。笑
まぁそりゃ不便なのは不便なんですけど、その不器用さをどう生かしてあげるかが私たちの腕の見せどころ。
生地のタッチも相まってカラッとした着心地なので、その不便さを変に補おうとせずにサラッと履きましょう。

ウエストはバカデカいので、叩き付けの紐でしばる構造。
ヒモやループの位置はウエストの上端から4cmほど下げた位置になっていて、紐がダイレクトにお腹に食い込んでくることを防いでくれます。

こんな感じで。
その分、ウエストに巾着のような生地の広がりが出るので、タックインとかで上手いことバランスを取りましょう。
その辺はサラッと乗りこなしてあげてください。


ただ、乗りこなすと、かなり化ける。
ストイックに不便な分、只者じゃないオーラがある。
不便そうなアナログな道具を好んで使ってる大工のおっちゃんが一番テクニシャンに見える、あの現象。
ただやっぱり生地のニュアンスは最高でジャリっとした中にある独特なドレープは、他ではあまり体感したことのないタッチ。
さらに余計なポケットが無いからこその潔さ。
形の良さと、”どう履くか”がダイレクトにスタイルに反映される1着だと思います。



一応ブランドとしてはサイズ展開されているのですが、正直全員サイズ2でいいんじゃないかと思っています。
ウエストは100cm以上あるので。
ハンガー状態では難しそうなパンツに見えるかもしれませんが、履いてみると案外面白さを見つけてもらえると思います。
こちらも4月4日土曜日から販売開始いたします。
お好きな方は楽しみにしていてください。