山内


チラッと以前に触れたのですが、山内もこの時期になってようやく揃ってきた。



全部じゃないけど。 今日はシャツ2種類とパンツを紹介させてください。

山内

有松塩縮加工リネンシャツ

face material _ cotton 50%,linen 50%

lining material _ cotton 50%,cupro 50%

color _ gray khaki

size _ 2,3,4,5



最も山内らしい洋服で、同じのは他の誰もがつくれないと思います。

このシャツは。



表地には個性のある皺が入り、総裏地。

しかも二枚袖の袖裏パイピング。



名古屋のアトリエですからね。

名古屋にある有松地区というところの伝統工芸染色技法を用いて、というか、それを応用した塩縮加工を一着分ずつ施したシャツです。

手作業で。

具体的には、手作業の浸染による塩縮加工です。



洋服がお好きな方でいろいろなものをリサーチしてる方であれば、ときどき、ナイロンだったりコットンだったり、そういう生地に塩縮加工を施しているものを見ることがあるかもしれません。



塩縮を行うことで生地の表面が強まり、ハリと硬さのあるタッチになるのですが、それらは生地が完成した後に、スプレーのようなもので表面に塩縮液を吹き付けているのが一般的です。

だから、表面に塩縮液が乗ってるだけの状態って考えてもらえたら良いです。



山内のこのシャツは、他のものよりも大きく差別化ができてるってワケですよ。

吹き付けの塩縮よりも、山内の塩縮の方が明らかなメリットがある。

浸染だから、生地の内部、糸、繊維そのものにダイレクトに作用してるんです。



それにより、長年の着用を続けてもそれがとれてしまうことがなく、永続的に陰影のある生地の表情が続くんですよ。



あとは、縮み具合とカラーリングの違いかな。

一着分ずつの塩縮加工により大きく生地の縮みが出る。

もとの生地分量から考えると一般的なシャツの2.5着分を表地だけで使ってる。

表地だけでね。



このシャツは総裏地だから裏地も換算すると、単純に考えて、有松塩縮加工リネンシャツは通常のシャツの約3.5着分の生地を使ってる。



まあ、それだけたくさんの生地使ってるから、すごいでしょってことではなくて、それもこのシャツが完成するワンプロセスに過ぎないですね。



ただ、しっかりと縮みが出てるからその生地の深みや、着続けて、洗濯を繰り返すことによってそこから更に加わる所有者オンリーの皺も刻んであげて。



あと、塩縮加工の特徴はまだあるんですが、先ほども言ったカラーリング。



だいたい、コットンやリネンなどの植物繊維で深みのある色合いってそうそう存在していないはずです。



どうしてもウールや獣毛系、シルクなどの動物繊維のほうが深い色が出るんですよ。

その理由は、原料の主成分の問題で、動物繊維は人間と同じでたんぱく質のアミノ酸で構成されてるから色が深く出やすい。



で、綿織物やリネンなどの植物繊維はそこまで色合いに深みを持たせることが難しく、生地のクオリティを追求し続ける機屋さんや山内さんは長年の課題だったそうですよ。



でも、この塩縮加工を施してから景色が変わった。

塩縮を施すことによって、それ以前に比べ色合いにグッと深みが出たそうです。

そこから、塩縮加工のみでしか生み出すことのできない色合いを出すことを山内さんは求め続けてる。



ということで今シーズンは、他の植物繊維ではあまり見たことのない独特なカラー、gray khakiです。

ボタンは全て本黒蝶貝の3mmを手付け。

まあ、縫製についてはこれまでも何年も以前のブログやこのブログでも書き続けてきたので省きますが、今回もばっちり安心してください。

シャツを超えたシャツ。

超絶山内クオリティ健在。

山内

圧縮ウール・ニットシャツ

material _ nomulesing wool SP140s 100%

color _ beige,black

size _ 2,3,4,5



こちらは今シーズンに初めて登場したものです。

これもとてもよくできてますよ。



あと、先ほどの有松塩縮加工リネンシャツとは違った方向からシャツの概念を覆すような出来です。

そもそも名前にある通り、これニットです。

つまりは編地。



生地には2種類がありますね。


・布帛(ふはく)である織物。

・ニットという編物。



織ってるor編んでる この2種類の生地が大きく存在するわけで、一般的にTシャツ、カットソー、セーター、ボクサーパンツ、靴下などは編物(ニット)です。



対して、シャツやパンツ、コート、トランクスなどは織物(布帛)ですね。



で、先ほどの有松塩縮加工リネンシャツは織物なのに対し、これは編物。



で、編んだ後に、生地の状態を見ながら、段階的に縮絨を繰り返していく。



で、縮絨し切った後に、山内得意で特異の布帛仕立ての縫製を施します。



この生地で言えば、余程生地に対してマニアックな方でなければ、ニットであるとは分からないと思いますよ。

目が詰まり過ぎて、編地が見えないから。



でも、少し着丈が長めで、ゆとりのある身幅分量である分、布帛では生み出すことの不可能なアメージングなドレープが出てくれる。



これはニットならではですよ。

生地の厚みでいうとその特性上しっかりと厚みがありますね。

裏無しだけど、裏地がなくても充分に成り立つシャツ。



着用時期は秋冬シーズンに限定されてしまうとは思うのですが、それでも着用可能期間にはあり得ない程着てもらえると思います。



特に車で移動することが多い方や、室内で過ごすことが中心の人には向いてますね。

多少ゆとりがあり、カバーオールのようなハーフコートのような見た目にも設計されてる分、ハイゲージセーターとかINしてもらえたら冬は充分だと思う。(室内では)

こちらは2色展開です。

ボタンも洋服の雰囲気に合わせて、色合いが違います。

素材は厚みと気持ち重厚感のあるホーンボタン。

でも、山内さんはボタンの主張が強すぎることを嫌うので、服に馴染む見た目のボタンです。

あとは、繊維で言うとノーミュールシングウールです。

カシミヤタッチの。

スーパー140。



原料の繊維で言うと、細くて長いのですが、それを糸にするときに太い糸にしてる。



通常これくらいの原料レベルになるともう少しペラっとした生地になってることが中心ですが、これはしっかりとした重厚さも含んだ厚みを感じてもらえると思います。

まあ、加えて圧縮してるのもありますし。



しっとりした肌当たりと、編地ならではの自然に体に馴染む伸縮性に長けてますね。



あとは、さっきも言ったけど、編地ならではの大きく、柔らかなドレープがすんごいの。

そういったことを含めて、着たときの見た目や着用感を鑑みるとSUPER 140'Sをニットにしてる賜物をビンビンに感じてもらえるんじゃないかな。

表。

裾裏。

袖口裏。

縫製に関しては、先ほども触れたように布帛仕立てです。



山内の洋服は、気持ち太い糸で縫製をされています。

その太い糸で、点にも見えるような細かなピッチでダブルステッチ。



尚且つ、割り縫いからの、アイロン、生地端の叩きでダブルステッチ。

超イケてる。し、イッてる。



このシャツでいうダブルステッチの叩きの箇所とかは、だいたい一般的な洋服ならば、オーバーロックで処理することが通例ですからね。



瞬時に生地端の処理が完了するオーバーロックと比べたら、面倒かつ、大変な処理ではあるのですが、着心地、見た目の仕上がり、全然別物ですよ。



そのような縫製のレベルをブランドとして追究している山内ですが、その縫製の仕上げも洋服の種類によって大きく変えてる。



このニットシャツはダブルステッチを多用し、生地の滑らかで美しい光沢と力強いステッチがクロスオーバーしてる。



対して、 先ほどの塩縮加工リネンシャツはもともとの生地の雰囲気が強いため、表からはほとんどステッチが見えないようにつくってる。



その生地と縫製の組み合わせもそれぞれの種類ごとで楽しんで。

山内

ノーミュールシングウール イージーパンツ

material _ nomulesing wool SUPER120S

color _ black

size _ 2,3,4



こちらはノーミュールシングウールのSUPER120'sです。

トップスに比べてより負荷のかかるパンツだからかな。

120なのは。



あと、こちらのパンツは布帛のフランネル。



こちらも同様カシミヤタッチに引き上げられたウールではあるのですが、その光沢と滑らかさは誰が見ても上質なパンツだと思ってもらえると思います。

それで、イージーパンツ。



当店ではあまりイージーパンツというものを多くは取り扱いをしていないですし、あまり心惹かれるものがないのですが、これは別モノ。



穿いたときにイージーパンツとは思えないということもですが、何よりウエストのゴムの入れ方が国宝級。

まあ、イージーパンツでタックインする方はそうそういないかもしれないけど、これならシャツインしちゃっても良いですよ。

裾はまつりでステッチが露出しません。

アウトサイドシームのない仕様のこのパンツ。

これだけ美しい生地ですからね。



サイドシームがないことによって横から絶景のドレープが眺望できるんですよ。



通常は、前身頃と後身頃の接ぎがあると思いますが、どうしても縫い代で硬くなってしまうので、それを排除してる。



で、あるのにも関わらず、一枚仕様で裾に向かって曲線状にテーパーしていくそのアウトライン。

試してみて。

バックは片玉。

こちらのパンツは半裏仕様というか、脛くらいまでの長さの裏地がつきます。



本来であれば裏地は必要がなく、その肌当たりを直接体感できるのは裏無しなのですが、これからの冷える時期に活用できるように裏付きです。



でも、通常の裏付きのパンツは、多くが膝下位置くらいまでの裏地の配置ですが、山内はそれを更に下に伸ばして多くの分量の裏地を使用してる。



これは山内さんの配慮なのですが、やはり上半身に比べてアクティブに動く下半身に対応するために、動いていても裏地が肌に干渉しづらく、引っかかりがない長さに設定しています。



着用者のことを思った、思いやりのあるパンツ。



イージーパンツでありながら、気怠さは微塵も感じられないから、いろいろと使ってもらえるんじゃないでしょうか。



あとは、山内でいえば3way ミリタリーコートっていう超大物も店頭で展開しているのですが、それはまた後日紹介しますね。



そして、ここで朗報です。

今回、非常に優秀なことに、このブログを挙げてからこれまでは店頭販売ばかりでしたが、今回はほぼ同時にシャツ2種類とパンツを当店のオンラインストアにも掲載をしています。



ですので、皆様この機会に是非奮ってご注文下さい。笑

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