今日は、今までずっと取り扱いをしようかどうしようか迷ってたけど、どうにも我慢できなくて、自分の中で、遂に取り扱いというか、つくってもらったシューズを紹介させてください。
PETROSOLAUM。
ブランドの中でも、僕は、コードヴァンバットというレザーと、もう一つ、とても好きなレザーがあるの。
それでつくってもらいました。
“透ける牛革”。
そう。
透けるシューズ。
PETROSOLAUM
whole cut
02 LAST
material _ Transparent cow
process _ Mckay
color _ Natural
size _ 39.5,40
これ。
僕は、このレザーが好き過ぎて、過去にはこの革を使ったビーサンや、ベルトをつくってもらったことがあったのですが、遂にシューズで登場。
ブランドでは、コレクションでも展開してるんですけどね、少しだけアートピース的な見え方がするものでもあるので、”いつか、いつか”と考えてたんですよ。
別注というわけでは全然ないんですけど、もともとコレクションで存在してるものに、少しだけ要素を足して、つくってもらった。
39.5と40というサイズの2サイズのみ、各一足ずつで。
海外の店舗でも取り扱われてるブランドでもあるから、結果的には、”ワールドリミテッド2ピース”というシューズになりました。これ。
これまで何度かアッパーの”透ける牛革”については、ブログで書いてきたのですが、改めて少し紹介させてもらいますね。
そもそもこの革。
透けてるけど、厳密に言えば、半透明。
物理的にあり得るのか?と思う程、他に例を見ない、超絶的マテリアル。
そもそもレザーには、漢字表記で、「皮」と「革」という2種類があると思います。
レザーは、もとの原材料は、原皮(げんぴ)と言うので、「皮」と表記します。
ただ、「皮」の状態ではそのまま置いておくと腐敗してしまうから、それを防ぎ、使い続けられるようにするために「鞣し(なめし)」という工程を行います。
「皮」から、「革」へ。
鞣しを経ることで変化します。
だから、レザーには表記上、2種類の漢字が存在する。
レザーも最初は、皮膚だから、鞣す前は、「皮」。
その鞣し工程を経ると、「革」と変化します。
なぜ、そのように表記方法が変化するのか、、、
そもそも”革”という漢字は、日本語でどのようなものに使われるかというと、
・改革
・革命
・革新
など。
これら全てに共通することは、
「ある特定のことが起こったり、ある特定のことを経て、それ以前とは別のものに変化すること」
を表す言葉。
だから、世の中で”革命”が起これば、それにより新たな社会の流れになるので、その革命以前とは違う社会となる。
つまりは、レザーも「鞣し」という工程を経て、それ以前の「皮」とは異なる「革」へと変化するということです。
だから、通常、お店で目にするレザー製品は、全てが「革」なのですよ。
今日、紹介する、このシューズを除いては。
この「透ける革」は、”鞣していない”。
世界中のどこでも生産可能なシロモノではないのですが、荻野さんがいうにはオランダのタンナーさんのもので、企業秘密のレシピで仕上げてるものだそうです。
だから、ブランドサイドにも革の詳細は伝えられないそう。
絶対社外秘ということ。
以前には、海外の名の知れた大きな企業ブランドがコレクションで使ってたことがあったそうですが、このオランダのタンナーさんがかなり変わってるみたいで、世界でも極々限られた、僅かなブランドにしかこの革を提供しないそうです。
情報が不詳なこのレザー。
明確に分かってることは、以下の通り。
・100%エコレザー(完全なるノーケミカル)
・透けてる
・牛革
・生産ロット毎に少し白っぽさが変わる
ということ。
摩訶不思議レザー。
ただ、僕は、PETOROSOLAUMがこのレザーを使ってることにとても惹かれて、魅了され続けてる。
だから、これまで展開をしたことのなかった”シューズ”というもので、皆様に紹介をしたいと思ったんです。
白でもない。
ベージュでもない。
とても神秘的にも感じる、ここにしか存在しない見た目。
レザーの特性上、気温の高い夏場には、柔らかく、冬には少し硬くなってしまう傾向にあるので、適している時期は、まさにこれから。
PETROSOLAUMの荻野さんも過去に製作したこのシューズを夏場に履いてるみたいで、アトリエで奥の方から荻野さんの私物を見させてもらったときに、僕のハートはトキメキが止まらなかった。
もともとブランドで存在したシューズと何が違うのか。
それは、踵の内部です。
踵を見てもらったときに、内部に茶色いものが見えるでしょ?
これは、もともとブランドでは、踵もつま先も、本体と同じ、透けるレザーを内部に入れてた。
それでももちろん良いんですけどね、でも、せっかくなら半透明なレザーの特徴を活かし、シューズの構造が鮮明に見えるようにしたかった。
それに加えて、内部が別革だから、少し踵のホールド感が向上しました。
透けるレザーの質感が”ブニブニ”してる分、PETROSOLAUMで展開をしてる03 LASTほどの圧倒的な歩行のスムーズさや、ホールド力ではないけど、踵もしっかりと丸みがあるし、足に添ってくれる着用感は感じてもらえると思います。
また、シューズの内側と外側で芯材として使ってる革の面積も違います。
上の写真は、外側。
こちらの写真が内側。
内側の方が、土踏まずがあるので、そのポイントまで支えられるように芯材を配置してますね。
つま先にも、本来なら芯材を入れるのですが、今回のシューズは、トゥの芯材として、アッパー同様の透けるレザーを入れてもらっています。
そうそう。
今回のモデルは、PETROSOLAUMの”02 LAST”というものです。
スクエアトゥ気味になってるのが特徴ですね。
アッパーのレザーに目がいくシューズではありますが、製作のクオリティもちゃんとしてる。
いつも通りのアッパーの縫製の細かく丁寧な運針。
全然歪みもなく、とても綺麗に縫われてる。
アッパーの縫製は、荻野さんが自分で行う丁寧な仕事です。
レザーソールのコバの処理も綺麗にしてる。
PETROSOLAUMでは、01 LASTシリーズと、02 LASTシリーズは、レザーソールのコバ(側面)の仕上げを最終塗装を施さず、革質を活かした仕上げをしています。
だから、今回のソールのレザーは、これから日差しが強くなることもあり、履いてると自然に焼けてきますね。
アウトソールも全てレザー。
ハーフラバー等の貼り付けはなし。
マッケイ製法によるアウトソールのステッチと、ブランドの特徴でもある木釘(ペイス)が健在。
アウトソールの仕上げや、ヒールレザーの積み上げも素材のムードを活かした美しいフィニッシュ。
インソール側にはマッケイのステッチが見えますね。
しっかり丸みに合うように仕上げた踵。
分かりますかね?
履き口が左右非対称なの。
手釣り込みで成形される、人間の足の形状に合わせた立体フォルム。
足の外側と内側の踝(くるぶし)の高さに合わせ、カーブを描いた履き口の設計。
どの角度から見ても、曲線を描いた綺麗なフォルムしてると思います。
まあ、どこをどう見ても、透けるレザーに意識が持っていかれるけど。笑
このシューズは、僕のイメージでは、どちらかというとサンダルに近い感覚で履いてもらえたら良いかなと思ってます。
軽快に見える夏のシューズという感じ。
実際に、履き心地も軽やかです。
アッパーの革質が独特な分、コードヴァンバットや他の革と比べると足に馴染んでくる感覚とは、少し違った性質です。
もちろん、馴染まないということはないんですけどね。
ブランドのside goreなどのシューズと比較すると、長距離の歩行にはあまり向いていないです。
ただ、夏場でも、たくさん歩く際には、サンダルって積極的に履かないじゃないですか。
長い距離を歩くことが予想される日には、手持ちの中から、最も履き慣れたシューズを履くものだと思います。
だから、日頃、サンダルを履いて出かけるようなときに、このシューズに置き換えてもらえたら、それがベストです。
あと、日頃のケアとしては、特に今は、できたてホヤホヤなので、特段神経質になる必要はないですが、冬は寒さで硬くなるから、そのことは頭に入れておいてください。
レザーのメンテナンスについては、ワックス成分入りのシューズクリームよりは、オイル分だけが入ってるものをシーズン終わりに塗っておいてあげるか、来年以降に塗ってあげるか、という程度で充分だと思います。
まあ、世の中の他には存在しない特殊なシューズですので、ご愛用頂く方法も一般的なシューズのセオリー通りではないですが、それもこの靴ならではのことと思ってもらえたら幸いです。
サイズは、39.5と40のみ。
これまでは、PETROSOLAUMのシューズをご検討頂く方には、出来る限り小さいサイズをお勧めさせて頂いていましたが、このシューズに関しては、少し違います。
PETROSOLAUMの他のシューズで、39(実寸24cm)もしくは39.5(実寸24.5cm)の方で、39.5サイズ。
39.5もしくは40(実寸25cm)の方で、40サイズをお選びください。
PETROSOLAUMのシューズで39.5がジャストの方は、どちらも選べる感じなので、お持ちのもののフィッティング等を含め、相談させてください。
履いてしまえば一気にこの世界に連れて行ってくれるシューズだから、ご検討頂ける方は見てみてください。
とても独特なオーラがあるシューズだと思いますよ。