MOTHER HAND artisan


前回の内容でも少し触れましたが、この秋冬シーズンも展開します。

MOTHER HAND artisan(マザーハンドアルチザン)



徳島県の山奥に構えたアトリエで夫婦によって編み上げられるニットブランド。



当店では、今シーズンで4回目だったかな?の冬になるのですが、今年はまたこれまでとは違った展開を考えていました。



そもそも、このブランドのセーターを扱っているのは、世界的に広く見てもMOTHER HAND artisanにしか生み出せないから。

そして、それに心を動かされ、揺さぶられ、伝えていきたいと思ったからなのですが、つくり方が超特殊。



「手横編み機(てよこあみき)」って機械を使って編み上げられるセーターです。



まあ、機械っていうか、ボタン一つで動いたりするものじゃないから、正しく言うと手横編み機という道具を使ってつくりあげられるニットですね。



その手横編み機は、今から60年、70年前には日本の家庭で持ってるところもあったみたいなのですが、今ではほぼ現存しない編み機。



今ではなかなかないと思うけど、おばあちゃんやお母さんが孫や子供のために棒針を使ってセーターや手袋、マフラーなどを手編みするっていう心温まることってあったみたいじゃないですか。

そのような当時の流れで、家庭用編み機として普及したのが手横編み機です。



で、今はその編み機を家庭で見ることはなくなったと思うから、世界でも壊滅的に少ない。



ただね、 MOTHER HAND artisanはこの家庭用の編み機という貴重なものを使ってセーターをつくってる。

ってことがすごいんじゃないのよ。



その古くからあるものを使って、これまでも世の中に存在しない、完全なオリジナルセーターをつくってるってことがとても素晴らしいのよね。

簡単に言うと。



世の中にたくさんの洋服は存在しますが、その中で、その人しかつくることができないオリジナルのものって、とても限られてると思うから。本当。



モノを見る、買うということに於いては、それが本物(オリジナル)なのかコピー(模造)なのかはとても重要なことだと思ってます。

まあ、それだけ世の中にはコピーが蔓延してしまってますからね。



でも、このブランドなら超安心。

手横編み機を駆使し、それをかたちづくる工程や日本人ならでは、というか永井さん夫婦ならではのエゲつないくらい細かく、手の行き届いたセーターは、日本が誇る名作に相応しいと思う。



それが、これ。

MOTHER HAND artisan

GENT

material _ SUPER100s wool 75%,angora 25%

color _ YARRA,LEAD,NERO f

it _ PLUS FIT※これまでとサイジング違います

size _ 3,4,5,6

price _ ¥36,000-(+ tax)



マザーハンドアルチザンを代表するモデルGENT。

首元や袖、裾には通常セーターでは備えられる"リブ"が切り替えられず、一続きの編地で仕上げられたもの。



そして、使われる素材は、MOTHER HAND artisanが長年の試行錯誤、経験、思想をもとに、独自の方程式によって導き出された素材混率、ウール75%とアンゴラ25%。



更に、手横編み機でこの細かなゲージ。



もはや、これだけで人間の技を超えたと言える。



神だね。神。

そして、先にもう一つ分かりやすいことをお伝えすると付属するこの下げ札。

ここに記載されるのは、購入後の手入れの方法です。

見たら分かるけど、このブランド、手入れは基本家庭での洗濯です。



まあ、記載の通りの手洗いがベストですが、僕はMOTHER HAND artisanの超上級者なので余裕で洗濯機にぶち込むこともありますので、その辺りは相談していきましょう。



ただ、あんまり変なこと書いたら永井さんに怒られちゃうからあれだけど、記載通りの方法で手洗いしてもらえれば全く問題ありません。



よく店頭ではお話をさせて頂くことが多いのですが、これだけ良い素材を使ってつくられているものですからね。



たくさん使って、怯まずに洗濯をしていくことがポジティブな結果を生みますよ。



特に、このMOTHER HAND artisanのセーターは、新品の状態よりも使って、洗濯を繰り返したもののほうが、「見た目・着心地・温かさ」この3つ全てが格段に向上します。 ガチマジリアルで。



洗濯をすることにより、スーパー100とアンゴラの糸の中に空気を含む余白がより生まれ、糸がふんわりと膨らみをもってきます。 次第にそれが毛羽立ちとなり、目が詰まり、繊維がより丸くなり、そしてどんどん所有者の体により添ってくれる。

これ驚き。

こんなニットないから。

で、その着用と洗濯を繰り返し、当店で初めて取り扱いをスタートした時に展開をしていた私物。

もう、めちゃくちゃ使ってる。

着て、洗ってを繰り返して。

糸が毛羽立ち、目が詰まり、芯がとれ、柔らかくなり、もうサイコー。



これは今とタグが違うのですが、取り扱いをした最初のシーズンはブランドの拠点がまだベルギーにあったから。

その頃のものです。これ。



そうそう、よくセーターで気にされる方がいる、毛玉問題。



毛玉に関しては、僕の考え方だとあまり取らない方が良いと思います。

同じように考える人も多くいると思いますが、毛玉を取ることによってどんどんニットが痩せていってしまいますからね。



あと、市販の毛玉取り機とかもう最悪。

やる度に、うっす薄になっていきますよ。



だから、気になる方は、ブラッシングで毛並みをときどき整えてあげること。

こうすることで毛玉は防げます。



まあ、しかしながら、厳密に言えば、毛玉は全ての洋服で実は起こっているもので、シャツなどにも発生しています。

目に見えないだけで。



それが地面に落ちてるのが埃ですね。



そこから更に言うと、こういう使っている素材が上質なものは比較的毛玉は生まれにくいです。



厳密には糸のつくり方にもよるのですが。

さっきの写真の私物を見てもらえれば納得して頂けると思います。

さて、 本題に入ります。



MOTHER HAND artisanのセーター、つくり方が超特殊ってさっき言ったじゃないですか。



今は手横編み機というもの自体が残っていることが超々稀なのですが、それを駆使できる人は、広く世界を見渡しても超絶的に極僅か。

何なら、その手横編み機で、これほどまでのセーターをつくっているブランドは完全にMOTHER HAND artisanのみ。

とっても特別なセーター。



キーワードはこちら。


・増し目

・減らし目


まあ、このセーターを通して言えるのが、着用者にとってすごく気配りがされてるってことなんですが、 増し目と減らし目ということ、これがすごく重要になってきます。



「目」というのは、編地の組織の一つを「目」と考えます。

このニットをよく見ていくと箇所によって目が増えたり、減ったりしてるんですよ。

分かりやすいのがアーム部分とか、袖ですね。

袖は、アームホールと袖口とで幅が違うじゃないですか。



この袖の写真も編み目が斜めになっていって、少しずつ左右の編み目が合致していってるのが分かると思う。

よ〜く、よ〜く見て。



それを通常は、生地を裁断して、縫ってつなぎ合わせていく(CUT&SEWN=カットソーの要領)のですが、MOTHER HAND artisanは「編み目」を"増やしたり"、"減らしたり"してカタチをつくっています。



その目を増やす・減らすという工程が誰もができるというものではなく、緻密な手仕事が必要になってくる。



「一つのパーツを一体でつくる」というのがMOTHER HAND artisanの掲げていることなので、それがとてもよく表れている部分です。



だから、着たときにとても肌当たりが滑らかなんですよね。



肌に干渉するシームがないから。

本来なら存在するはずのシームがない、袖の内側。

こういうところって着たときに大きく違ってくるんですよ。

上質な素材ですからね、それを100%存分に体験できますね。



着て、驚いて。

あと、ネック部分も編地の特性を利用したカーリング仕様なのですが、ここにも永井さんの着用者に対する配慮が。



まあ、指先のほうなのですが、見て分かる人はいないと思うけど、ネックの左右の両端だけ触ると少し硬さを感じる三角形があるんですよ。



これは、負荷のかかる部分のみ糸を太くして補強してる。



通常では、洋服に補強を組み込む際は、製品が完成した後に別パーツやステッチなどで行うことが普通です。

例えるなら、パンツのポケット口のリベットとか、カンドメとか。



でも、MOTHER HAND artisanが目指すのは"見た目の引き算"。

編み進んでいるときに、その箇所だけ糸を変えて組み込んだりしないといけないですし、そういった細かいことが一着の中で満載だからものすごく複雑なつくりをしてるんですけどね。

このブランドは。



でも、見た目が削ぎ落されてる分、着ていった先に存在する、上質な素材の良さや、行き届いた細かな手仕事をビンビンに感じられると思いますよ。

手横編み機の性質上、太い糸を使ったローゲージが当時は中心だったそうですが、ここまで細い糸でミドルゲージで仕上げるのは、とても珍しいですね。



新品でもチクチクするとか、肌への不快感は全くありませんが、ここからより肌当たりが向上するから楽しみにして着てください。



シームが極限まで少ないですし、編地も細かいし、洗濯できるし。

伸び代だらけのセーターです。

MOTHER HAND artisan

IEPER

material _ SUPER100s wool 75%,angora 25%

color _ LEAD

fit _ PLUS FIT

size _ 3,4,5,6

price _ ¥36,000-(+ tax)



先ほどのGENTはクルーネックでしたが、こちらは首が高いモデルです。



タートルネックではなく、チューブネックというセーター。

こちらは当店でも初めての展開。

首上まで接ぎ目がなく、身頃から続き仕様のチューブネック。

生地端は、先ほど同様カーリングしていますね。



チューブネックだから、ネックを折っても良いですが、そのままストレート状態で溜めてもらったら良いかな。

独特なバランスを楽しんでください。

首を覆う部分も通常のニットである裏のシームは存在しませんね。

クルーネックタイプのGENTは3色での展開。

チューブネックタイプのIEPERは1色のみです。



NEROのブラックは文句なしでしょ。

そもそもMOTHER HAND artisanには、サンプルがアイボリーっぽい色のセーターしか存在しないので、膨大なバリエーションからこちらで選択した色合いのものをつくってもらうのですが、 YARRAもLEADもオーソドックスな色合いとは違って悪くないチョイスしたと思いますね。我ながら。



YARRAは、ベージュっぽく見えるけど、違うのよ。

カーキにグレーが入ったような色。

日本的ではないこのニュアンス◎。



LEADは、オーセンティックなグレーのセーターをMOTHER HAND artisanの手仕事を加えながら、 温もりを消したかった。

だから、生命を感じさせない無機質なグレーでつくってもらいました。



徳島県の山奥で一着ずつ手横編み機で編み上げられるセーター。

かなりマニアックだけど、超絶ニット。

僕は5着持って、超絶高頻度で着てるから、そのクオリティは保証します。



そうそう、言い忘れてましたけど、サイズ感は今シーズンはPLUS FITというもので展開しています。

初めて。



これまでのシーズンは、4,5,6での取り扱いでしたが、 PLUS FITは身幅が2サイズアップしているので、今シーズンは3,4,5,6です。



オーバーサイジングとかでは決してないけど、これまではサイジングがタイトに感じる方も多かったようです。



気持ちゆとりが出るようにブランドで初めてPLUS FITというフィットが出たので、それのみでのシーズンです。



お好きな方は見てみてください。

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