IRIES H.M.

今日は、また良いものを紹介させてください。 これが紹介できるのもとても楽しみにしていたんですよ。 IRIES H.M. (アイリーズ ハット メーカー)。 これが納品されてから、毎日、毎日、気に入りすぎてエブリデイで被ってたから、来店頂くお客様方に、その帽子は何だ。って言われることがたくさんあったのですが、遂にお披露目。 このIRIES H.M.との出会いは、突然に訪れた。 まあ、もともと少しだけ前から話はもらっていたから、知ってはいたんですよ。 ただ、ブランドの性質上、コレクション形式でやってるんじゃないから、直接会って話をしたりするタイミングがなかなかなかった。 そして、ある日、突然に。 というか、いつも通り、出張に行ってたとき。 いつも出張に行く時は、ブランドとのいろんな打ち合わせもあるけど、展示会に行くことが中心的。 その日も、いつも通り、バチバチのタイムスケジュールでの出張に行ってた。 で、アポイントしていた通りに他のブランドの展示会場に到着。 そして、きちんとアポイント通りに、そのブランドのコレクションラインナップを見てた。 でね、そしたらその場所に、IRIES H.M.の入江さんがいたの。 僕は、何年も前に入江さんに会ったことがあったので、久しぶりの出会い。 入江さんは、コレクション形式で発表する帽子ブランドもやってるから、初めての出会いは、そのブランドで。 そちらのブランドの方は、当店で取り扱いをするまでにはならなかったんですが、それ以来の再会。 そして、その時の入江さんは、IRIES H.M.の構想だけはあって、実際には始動してなくて、まだ温めてた時期だったのかな。 入江さんが、当時にはスタートしていなかったIRIES H.M.の現在の存在は知っていたし、僕も心の中にはずっとあったの。 で、久しぶりの再会。 久しぶりに会ったから、いろいろと話をしていたんですけどね。 入江さんが今考えていることや、やってること、こちらの店の状況や僕の考えなど。 そういうことを次のアポイントの時間が迫る中、話してた。 ただ、その時の僕は、以前とは"違う"感覚を感じたの。 これは、"何かある"。と。 このような感覚は、すごく大事にしてる。笑 でも、差し迫る次のアポイント。 ただ、これを逃せないような気配。予感。 アポイントをとるか、 この前兆をとるか。 僕は、自分の感覚を信じた。笑 そして、次のアポイントを予定してるブランドさんには、無理矢理遅れることをすぐに連絡。 急遽、入江さんの自宅へ。その時は、目黒だったかな? 今は、引っ越したっぽいけど。 そこに二人でタクシーで、急いで直行したのだ。 話の方向がどんどん輝きを持った方向へ進んでいったのだから、仕方がない。次のアポイント。 これがね、全く何のアレも感じないような再会ならば、スルーするけど、そうとはいかなかったんだから。 常に、そのような、人やモノとの出会いを、心の底の底から求め続ける自分にとっては、とっっっても大事な気がした。 そして、入江さんの自宅に到着。 ホンットに、急遽のことだから、まずは多少自宅を片付ける入江さん。 で、自宅にいた奥さんにも許可を取る。 これにより、僕はIRIES H.M.との出会いが始まったのだ。 さっきも言ったけど、入江さんは、IRIES H.M. の他に、コレクション形式で帽子を発表するブランドもやってる。 そちらは、工場生産の量産する帽子ブランド。 あとは、生粋の帽子職人でもあるから、そのキャリアもあり、それで今も自分のブランドの他にも、結構みんな知ってるような日本の帽子ブランドの生産も頼まれてやってあげてたりするみたい。 それで、今回、皆様に紹介するIRIES H.M.は、入江さんの職人としてのキャリアが凝縮したものなんですよ。 だから、量産型の工場生産ではないの。 入江さんが培った"ハットメイキング"がもの凄く現れてる。 そのため、まずは今の入江さんが生み出せること、その技術やクリエイションの引き出しを見せてもらった。 それはそれは、なかなか今では滅多にお目にかかれないようなものの数々だったんですよ。 これはすごいな。って。 入江さんの実力をビンビンに感じた。 でもね、、、 その中の入江さんの"引き出しの中"の一つに、これまでの僕は、出会ったこともない、見たこともない、エゲツないものが存在した。 それを見た瞬間。 ドクドクと全身に熱い血が流れ、駆け巡り、 自分の心の底からの湧き出るようなエナジーは、今でも鮮明に覚えてる。 これだ。と。 もともと僕は、海外の、いわゆるアルチザンみたいなハットが好きだったから、20代前半の頃には、そういう帽子を好きで頻繁に被ってたんですよ。 燃やしたり、穴が空いてたり、手縫いしてあったり、デストロイしてたり、マッチ付いてたり。 でも、その頃には、日本に空前のハットブームが訪れて、街を歩けば、右も左もハット、ハット。 前を歩く男の人も、後ろを歩く女の人も、みーーんなハット被ってるような流行がきてた。 ファストファッションもデザイナーズブランドもこぞってハットをつくってた。 10年くらい前かな?そこまでいかないかな? だから、さすがに世の中がそういう状況だったから、自分がめちゃくちゃ頑張って買ったそういういくつかのハットを、欲しがってた幼馴染に全部あげた。 まあ、どうでも良いけど。 まあ、何が言いたいのかというと、僕は20代前半の時からそういう海外のアルチザンに分類されるような帽子が好きだった。 だから、そういうものは知ってるつもり。 入江さんがIRIES H.M.で生み出してる帽子の数々も、もしそのようなものと"同じ"だったら、今の僕は求めていない。 それは、単なる"二番煎じ"、"三番煎じ"みたいに感じてしまうから。 僕は、洋服屋として、単純な"見た目だけのファッション"というものは追究していないつもりだし、やはり"オリジナル"というものを求め続けたいと思ってる。 そういう"オリジナル"というものは、出来上がったもの、完成したものを見れば、すぐに分かるし、僕の心のアンテナは震えることはない。 ただ、入江さんのつくるもの、"職人"として、生み出せるものを見た時に、僕は震え上がったの。 絶対に、 当店で取り扱って、 皆様に紹介したい。と。 そして、自分自身の喉から、思いっ切り手が飛び出しまくってた。 そうして、入江さんに今回、つくってもらったものがこれ。 IRIES H.M. ※名前はありません 笑 material _ RABBIT color _ ONE size _ S(56.5cm) , M(58cm) , L(59.5cm) これ。 コレクションブランドという感じでもなく、こちらが指定したものをつくってもらうスタンスなので、名前はありません。笑 素材は、ラビットファーフェルト。 ご覧のように、色は、ムラがありますね。 藍染めです。 ラビットファーの藍染めハットです。 特徴的なこの色ムラ。 今回は、3サイズでいくつかの個数をつくってもらったのですが、全て見た目が違います。 大体のニュアンスは同じだけど。 そもそもラビットファーは、獣毛です。 獣毛に、100%天然染色の藍染めは、かなり困難だそう。 世の中に、獣毛の藍染めが全く存在しないことはないけど、すごくハードルが高いそうですよ。 今回、入江さんにつくってもらったこのハット、もともとの原材料は、フェルトハットの産地でもあるポルトガル製のもの。 ラビット100%のグレーブラウンのような色合いの、無染色のもの。 そのベースとなる帽体は、通常はある程度加工をして流通しているものがほとんどだそうですが、今回のは未加工のもの。 それを神奈川県のLITMUS(リトマス)さんに藍染めを依頼。 LITMUSさんと言うと知ってる人もいるかもしれませんが、藍染めでは日本では名の知れた方々だと思う。 その帽体を一個ずつLITMUSさんに手染めしてもらった藍染めです。 ベースのラビットのカラーリングと藍染めのコントラストがはっきりしてる箇所もあれば、その色が馴染んでるような場所もある。 藍染めで日本でも指折りの技術を持つLITMUSさんで、ラビットファーフェルトそのものの風合いが残るようにムラ染め。 だから、一点ずつ見た目や藍染めの濃度も違うけど、それもその個体ならではのものとして、ポジティブに捉えてもらえたら嬉しいです。 さっきも言ったけど、今回の藍染めムラムラハットは、その染まり方も一つずつ違うのですが、そういう技術ある方が生み出す、完全にコントロール仕切れないものの尊さをすごく見てもらいたかったんですよ。 それに加えて、ラビットそのものの質感も。 かなり目が詰まって、きめ細かい表面なんですが、表の過剰な加工感によるフラット過ぎるように感じてしまうようなものは嫌だった。 ムラのある藍染めに加えて、原料本来のポテンシャル。 そこをかなり重要視してたんですけど、僕が理想としてた、見事なものを生み出してくれたと思ってる。 ラビットファーを確かに感じる、繊維のポテンシャルとクオリティ。 このレベルは今はそうそうお目にかかれるようなゾーンのものじゃないと思いますよ。 エッジは、入江さんが自分でカッティングを施す、断ち切り仕様。 この形状そのものは、昔ながらのクラシカルなハットには存在するものだそう。 IRIES H.M.の帽子については、コレクション的につくるものではないので、入江さんが自分で、原料の調達から、フィニッシュまでを行う。 今回の藍染めハットだと、原料の調達、藍染め(LITMUSさん)、糊で内側を固定、型入れ、エッジの裁断、汗止めテープの縫製、蒸気にあてて形を整える。 という藍染め以外の工程を入江さんが全て行ってくれています。 そして、通常では、最後の最後の工程では、表面を更に整えるような加工がハットメイキングでは存在するみたいですが、今回は、入江さんの目指す姿を実現するため、素材そのものを活かすために、そういう仕上げは行っていません。 あとは、裏面だけではなく、表側にも糊を施して、仕上げるみたいですが、そうするとフラットな見た目になるから、それもやってない。 入江さんのキャリアの中で、素材に対して、ベストな工程を経て完成されてるハットです。 そして、バックには、USA製のヴィンテージグログランテープを配置してもらいました。 このグログランテープは、昔は生産されてたらしいですが、今ではもう途絶えてしまったものだそう。 それを同素材のループに通してる設計です。 これ、便利なの。 こないだの台風の時に、風が強かったんですけどね。 その時に夜歩いてたら、突風で吹っ飛ばされそうになったけど、このテープで顎にグルグルに巻き付けてたから、モーマンタイだった。 猛烈な風に対応するためのテープ。笑 内側の汗止めテープには、IRIES H.M.のスタンプ。 裏。 クラシックな仕様なので、裏地は付きません。 汗止めテープは、先述のように配置。 写真は、新品のものだからタグと下げ札が付くのですが、これは、仮止めの状態だから、手にしてもらった方はとって下さい。 ヴィンテージグログランテープ。 そして、これ。 僕がエブリデイで使ってるもの。 こういうの待ってたんですよ。ずっと。 なかなか出会えないなって思ってたし、国内では不可能だと思ってた。こういうの。 ただ、自分が出会っていないだけだったんですよ。これまでは。 入江さんもコレクションブランドとしての活動もしてるし、そっちの方では全国的に取り扱いのあるブランドでもある。 IRIES H.M.になると、量産畑ではできないハットメイキングをしてる超スモールな活動範囲だから。 自分が感じた前兆を信じて、イレギュラーな行動をしてみるもんですね。 写真を見てもらうと分かってもらえると思いますが、僕はセンターを潰して、中折れハットのように被ってる。 最初からの丸いままの形状でも、潰してもどっちでもオーケーです。 最近は、納品してもらってから一ヶ月近く延々と被ってるから、ラビットファーフェルトの毛が気持ちだけ立ってきた。 まだ気持ちだけだけど。 これ狙いどころ。 僕が使ってるのも、比較的ムラが強めなんですが、それぞれにやはり個体差はありますね。 ムラが強いものや少し馴染みのあるもの。 色が濃いものや気持ち薄いもの。 まあ、大体似てるような感じですが、これの特徴として考えて下さい。 ブリム(つば)の長さは、約7cm、高さは大体13cm?14cm、まあ、13.5cmくらいかな。 これも手作業の性質上、僅かに個体差があります。 でも、良いバランスしてると思いますよ。 僕でMサイズ(58cm)です。 Sは女性用、もしくはかなり頭の小さい男性、MとLは男性用という感じです。 こういう雰囲気のあるものですからね、本当は全員に手にしてもらいたいけど、全員が被れるようなものじゃないし、まあ、そもそも量産型じゃないからアレなんだけど、お好きな方にはきっと感じてもらえることがあると思いますよ。 見てみてください。
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