"ウォッシュド" ハコムラショートパンツ
先日から開催していた山内との本企画。
現在、ブランドサイドでは、ハコムラ絞りのTシャツがあるみたいなのですが、当店では、ハコムラ絞りのショートパンツ。
Tシャツもとても魅力に思いますね。実物見てないけど。
やはり、日本の伝統染色技法ですからね、今ではそれが市場では普通になっている"均一な見た目"ではないの。
まあ、反対に言えば、今の世の中で同じ製品のものが全て均質化されて流通してるのは、とてもすごいことだと思うんですけどね。
しかもそれが、超安価なプライスでも、どこにいても、どこに行っても、画面上で見たものと同じものが入手できるわけじゃないですか。
それってすごいことだと思う。いろんな意味で。
それが、工業製品の特徴であると思いますし、そういうものをつくる良さっていうのは絶対に存在するんですよ。
服であっても、服ではないものであっても。
でも、全てがそれだと、ちょっとね。。って思う。
やっぱり僕は、人の手が濃厚に入ってることや、その痕跡がすごく感じられるものだったり、つくった人が反映されてるものに惹かれるんですよ。
そういう"宿ってる"っていう洋服。
だから、それが結果的に均質な見た目なのか、そうじゃないのか、ということは置いておいて、やっぱり"濃厚に"感じられる洋服っていうのは、結果的には、洋服そのものに深い深い"奥行き"があるの。
僕は、山内の山内さんのアトリエに行ったときに、眠っていたハコムラ生地を見せてもらって、その"奥行き"にとても惹かれたし、それを生み出す職人の"手の痕跡"、山内さんのコレクションに辿り着くまでの"痕跡"をすごく感じたんですよ。
そういう要素が全部組み合わさって、使われることがないままの3mずつのハコムラ絞りの生地がとてもとても、輝いて見えた。
そう思い、これはお客様方に見てもらうべきだ。って思ったんです。
先週の土曜日から開催をして、県内、県外、遠方からもお越し頂けてとてもありがたいですね。
店頭にお越し頂けて、直接きちんとお話をさせて頂けた方には、お伝えしたんですが、今回はショートパンツをつくった理由は、大きく二つあるんですよ。
一つ目は、山内さんがハコムラ絞りを施すときに、3mの生地で絞り染めを行うこと。
山内の洋服は、ディテールがとにかく細かいから、ハコムラ絞りでは、一着で3mくらいの生地を必要とします。
だから、長袖系のものや、フルレングス系のものをつくってしまうと、アトリエで保管していた3mの生地が一枚で一点の洋服しかつくれない。
でも、ショートパンツであれば、ディテールは凝りに凝っていても、丈が短いから、3mでギリギリ2着分をつくることができる。
これは、全くサスティナブルとかそっち系のことは、微塵も考えてなかったけど、この生地をいかに捨てずに使い切ることができるのかということを重要視したためです。
二つ目は、夏が本格的になってくると、どうしても灼熱の暑さには勝てないじゃないですか。
もし、そこで気に入ったショートパンツを持っていたら、テキトーに出かける時でも、ちゃんと服を着て出かける時でも、それをもの凄い頻度で穿くだろうと思った。自分も含めて。
それに、長袖のシャツを着ることも多いですし。
真夏にさすがに長袖長ズボンは、ヤバいから。
ということは、そういうショートパンツがあれば、たくさん着る。
いろんな洋服の種類がある中で、"使う"ということに、とても特化した存在だと思うんですよ。
ショートパンツって。
たくさん使うということは、その回数分だけ、ハコムラ絞りのポジティブな要素を体感してもらえるし、山内のエゲツない縫製も知ってもらえる。
で、汗かいたら洗う。
それで、生地のニュアンスや縫製のレベルも、なお体験してもらえる。
体験することによって、知ってもらうことができる。
そして、世の中にこういう"技術"を持って、それに人生をかけてるその道のプロフェッショナルが存在するんだなって感じてもらえることが、そういう川上の職人が、世の中にきちんと評価されることのきっかけにもなり得るじゃないですか。
だから、大きな動きはできなくとも、お一人ずつにそういう"技術の塊"をお渡しできればなって考えてたんですよ。
本当に良い洋服っていうのは、そういう人たちがつくり出すものですから。
サスティナブルと言われる洋服とか、ただ単に"ファッション的"に言われてるだけだと思ってるし、本当に分かってんのかなって疑問に思う。
僕は、サスティナブルを本当に目指すなら、服をつくるのを今すぐ辞めたほうが良いと思うから。
それよりもゴミを分別したり、コンビニで無駄に車のエンジンかけるのやめたり、ご飯は残さず食べるということとかの方が大事だと思う。
まあ、そんなことは置いておいて。
現在、ハコムラショートパンツは、今、6月20日の夜時点で、Aのカラーが3点、Eのカラーが1点、いずれもサイズは小さいSMサイズだけなんですが、合計4点をストックしてる状況です。
山内さんのアトリエにあったハコムラ絞りの生地で、ショートパンツに適してるものは全部ショートパンツにしてもらったから、むっちゃ多くはないけど、バリエーションとともに全部で30点ほどあったんですけどね。
まあ、全部が見た目が違うけど。
で、僕は販売前から少し穿いてたのと梅雨に入ってもスーパーユースしてたので、2回くらい洗ったの。
だから、それを今日は見てください。
これ。
2回洗ったもの。
1回目は、自らの目で、水中で揺らめくハコムラの生地を見たくて、手洗い。
2回目は、洗濯機にダイビング。
カラーでいうと、Aに分類。
以前のブログで紹介したのは、Aの一つ目って書いてたものかな。
今はAは、3点どれも二つ目に分類されるものだけのストックです。
一つ目は、気持ちピンクが強くて、二つ目は、赤みというか、茶色みが強い感じですかね。
もともと絞り染めが施してあるから、洗濯してもほとんど変わらない生地なんですけどね。
でも、全体に膨らみが出た。
あと、生地と縫製糸がとても一体化したように思います。
それに伴い、縫い代の箇所に少しだけパッカリングが走りましたね。
肌当たりは、もともとかなり悪くないものですが、それが更に向上したように感じます。
この生地に対しては、30番手の太めの縫製糸で、3cm間に19針で縫われる、途轍もないシームから繰り出されるパッカリング。
この縫製は、ホントヤバい。
ショートパンツ界では、まさに頂点に君臨する運針ですよ。
バックポケット。
その両玉縁ポケットの内側まで。
3cm間で19針というピッチ。
股の部分も同様です。
そして少しだけパッカリングが出てきた。
まあ、写真じゃあんまり分からないけど。
裏側は、先日お知らせしたようにオーバーロックがかかってるんですけどね、生地の密度が高いからか、洗っても全く糸が吹き出してくる様子がないの。
縫い代が重なり、最も複雑な股の部分。
改めて見ると、箇所によって当然のように縫製糸の色も変えてるし、すごくよくできてる。
というか、良いようにつくってもらえた。と言うほうが正しいけど。
裾の内側の箇所は、いろんな縫製仕様が入ってますね。
それぞれが別の役割を果たしてるんだけど、その全てが、洗ったことによって生地にグッと入り、生地と縫い糸の一体感がすごいの。
生地に対して、無理がないし、もちろん浮いてしまってもない。
この生地と縫製糸の親和性の高さも、洋服には重要なことだと僕は思ってる。
それで、これ。
左が今ストックのあるAのもの。
右が穿いてるの。
同じAのハコムラ絞りでも、全然違うでしょ。笑
色合いも柄の入り方も。
これは、生地の特性もだし、今回のコンセプト上は、どうしても仕方ないと思ってるので、出会いとして捉えてもらえたらありがたいです。
ちなみに、サイズも全く同じSMサイズです。
穿いてるものの方が気持ちだけ小さく見えるのは、穿いてるから、ある程度僕の下半身の形になってるためです。
縮みはほぼない。
こちらは、一点だけあるEの柄と(左)。
こう並べて見ると、パッカリングの様子と生地のニュアンスが何となく分かってもらえると思います。
やはり新品は、ペタッとしてるので、穿いて洗ってる方がイキイキとしてる。
これは、ベースの生地の色も違うからアレだけど、同じハコムラ絞りでも、全然印象は違うから、全く均質がとれてないですが、それぞれにここにしかない力が宿ってるショートパンツができたと思ってる。
これから灼熱ですからね、コンビニに行くにも、ちゃんと洋服着て出かけるときにも、とにかく使ってもらえたらそれがベスト。
ストックしてるものがだいぶ限られてるけど、見てもらえたら嬉しいです。