今日は、calmlence(カームレンス)を紹介しますね。
前回collection 001の際にも、ご覧頂ける方々には、その洋服のレベルの高さを感じてもらえたと思います。
ブランドとして、デビューしたばかりのコレクションとは言え、例えば、若手のデザイナーがデビューシーズンとしてポッとつくる洋服とは、格段に違うcalmlenceの洋服。
熊谷さんが洋服づくりに携わった30年以上の歳月の意味をまずはご体感頂けたのではないかと思ってる。
そして、collection 002と題されたコレクションも始まりました。
納品自体は、1月にはあったから、このブログで紹介できずに、店頭だけでスタートしてたため、既に手にして頂けた方々もいるのですが、今回も少し紹介させて頂きますね。
コート、ジャケット、パンツの3つです。
calmlence
BALMACAAN COAT
material _ COTTON 62%,LINEN 20%,SILK 18%
color _ L.BEIGE
size _ 1,2
まず、これ。
バルマカーンコート。
calmlenceの洋服のムードは、男性服のクラシックなものですから、洋服の見た目としては比較的オーセンティックなコート。
ただ、calmlenceの熊谷さんがつくられてるものは、全然それだけじゃないの。確実に存在する凄み。
僕自身は、昔から存在した誰もが知る洋服を懐かしむような復刻品みたいな洋服は、もう充分かなって思ってる。
だから、そういうジャンルの洋服は、今は興味があまりない。僕はね。
スプリングコートっていうものも、昔から無数に存在はしてきたとは思うのですが、大体そういうコットンコートっていうのは、着ればどうなるか、更には、着た先には、どのようなことが待ち受けているのか。というのは、充分に想像できる。
どストレートに表現するのであれば、"想像の範囲内"である。
だって、洋服に限らず、せっかく買ったものが"想像通り"だったら、残念じゃないですか。
"まあ、こんなものか"で終わってしまう。
だから、当店としては、手にして頂ける可能性のある商品は、出来る限り皆様の"想像を超える"ものでありたいと思っているんですよ。
ということで、僕は、calmlenceのこのコートを見た時に、すごく衝撃的に思ったの。
着用時に街並みに溶け込めるが、埋もれてしまわない洋服そのものの見た目。
アダルトジェントルマンが着た時のムード。
そして、それを生み出す生地やディテールのクオリティ。
このようなことは、僕は、これまでに出会ったことがなかったコートに仕上がっていることを感じたんですよ。
このcalmlenceのコートにしかない要素。
だから、とても良いものだな。って思ってる。
日本では、2月に突入したこともあり、これからの季節は春と夏ですからね。目先は。
でも、これを所有してると、そんな目前のことだけじゃなくて、もっとこの領域の洋服が持つ力と役割を感じ続けてもらえるだろうなって想像しています。
生地を形成する経糸の素材が全てコットンで、その上、糸の密度がかなりのものということもあり、ステッチワークやディテールが非常に目に留まる。
衿の寸法、開きのバランス、ラグランスリーブのラグラン線、角度、見事だと思いますよ。
これは、着た時にしっかりと感じてもらえると思う。
そして、このコートを形づくる生地。
先述の通り、経糸はコットンです。
コットンは、"双糸引き揃え"という糸づかい。
双糸 = 単糸(1本)の糸を撚って合わせたもの。(1本と1本を綱引きの綱みたいにねじって組み合わせた感じ)
その双糸を"引き揃え"。
つまり、2本の双糸を、本来1本の糸が配置される箇所に、並べて配置しているということ。
だから、通常は、1本の糸が入る箇所に、合計4本のコットンが使われてるイメージです。
対して、緯糸。
緯糸には、シルクとリネン。
シルクは、絹紡糸(双糸)。
リネンは、単糸。
その絹紡糸双糸とリネン単糸の2本の糸を、本来は、1本の糸が入る箇所に、バチバチ密度にくっつけて緯糸として挿入してる。
その経糸と緯糸が織りなす、calmlenceのオリジナル生地。
平織り組織の目がむちゃくちゃはっきりと立った、斜子織り(ななこおり)。
この"斜子織り"という組織は、当店では、以前に山内とのフェレイラ・モヘアという生地を葛利毛織さんでつくってもらいましたが、それと組織としては同じです。
非常に目がくっきりと浮かび、生地に奥行きと陰影が生まれ、表層的でペラッペラではない、明らかな見た目の強さが生まれてる生地。
そして、分かりますかね??
経糸のギュッとしまったコットンの奥から、シルクが輝いてるの。
マットで締まったコットンの奥から、確実に主張をする、強靭で上質なシルク。
この生地の魅力は、お好きな方であれば心を掴まれ、着用時にはそのオリジナリティーと、明らかな上質さをもの凄くご体感頂けると思いますよ。
僕自身は、これまでにこのような生地に出会ったことがなかったから、この生地にすごく心惹かれたし、それを最大限に活かしてるコートがイカしてると思ってる。
このコートの生地は、緯糸にシルク双糸とリネン単糸を入れてるから、特有の横ハリがあるんですよ。
こう見てもらえると、ハンガーの状態でも独特なパンッと張ったような様子を見てもらえると思います。
まあ、そこも過剰じゃないんですけどね。
熊谷さんが設計したコートのフォルムがとても発揮される生地に感じています。
そのことはアームを見てもらっても分かる。
どうですか??
見事な三角形を生み出してる、この袖。
ハンガーの状態でこの袖の形状は、マジで期待して。着たとき。
袖口の皮付き水牛ボタンも生地と見事に掛け合わされてる。
そして、このコートは、生地が生地な分、ディテールが非常に際立ってる。
洋服として必要なディテール箇所が、装飾としても美しさを発揮できてると思うんですよ。
見て。
ウエストベルトのレザーバックルとのコントラスト。
ベルトループも際立ってる。
ポケットもしっかりと立ち、ステッチとの陰影も美しさを感じるの。
何回も言うけど、ホンット、ディテールが際立ってる。
スピーディーにつくられた一般的な洋服は、このようなディテールが新品の状態から、既にペチャっと潰れて終わってますからね。
格段にレベルが違う。
先ほどの袖口。
前を開けても、前端が自立してるの。
これは、単に生地が強いからとかだけではないですよ。
ちなみに、コートのフロントは、表からは第一ボタン以外のボタンが見えない比翼仕様なのは見てもらえたら分かると思いますが、前端裏の生地の留め。
分かりますかね??
シルクの糸で、手縫いで縫いとめられてる。
まあ、calmlenceの洋服は、着用頂けていると、すごくそのクオリティを気に入って頂けると思うし、あまりこのブログでもそういう細かい箇所は、明らかにし過ぎないようにしないといけないブランドの考え方もあるのですが、もう洋服から溢れ出てるんですよ。
洋服市場では、流行的に"凝ってますよ"ということで売り出すようなブランドもあるけど、calmlenceでは、ベースとして、それが当たり前。
凝ってるのは、すごく凝りに凝ってるし、ディテールも仕様もレベルがすごい。
だけど、その点はcalmlenceの熊谷さん自身が、洋服をつくる責任として当然のマインドがあるだろうし、その細かく丁寧につくりあげることを当然として、出来上がり、完成した洋服がどれだけのムード、着心地、カッコよさをつくりあげられるかってことなんですよね。
店頭でも、ご来店頂けるお客様方と話すことがあるのですが、calmlenceの洋服は、プロ中のプロがつくってるのが明らかに感じられる。
そういうものを当店でも皆様にご紹介できるなんて、もう超絶光栄なことですよ。
そして、裏。
裏は、半裏の仕様です。
calmlenceはね、裏を見てても、もうヨダレものですよ。
裏も綺麗なのは当然で、もはや裏までむちゃくちゃムードありますからね。
ちょーカッコいい。
身頃の裏地は、コットン。
袖の裏地は、滑りのスムーズさを大事にしてキュプラ。
裏の構造が機能の側面と洋服構造の側面、耐久性、着用感を大きく支えてる。
表地をそのまま裏で処理している箇所は、全てパイピングですね。
このコートの裏側は、表地と身頃の裏地、袖の裏地、パイピングがそれぞれに入り組む箇所ですが、その切り替わるコントラストにも、美しさを感じる。
こういうコートをね、大人の男性が少し力強く、雑に着るようなニュアンスも含めて着るのがベストだと思ってます。
バッサバサ着るのが良いんじゃないかな。
そして、次。
calmlence
SACK COAT
material _ WOOL 56%,SILK 44%
color _ D.BROWN
size _ 1,2,3
calmlence
TRIPLE PLEATS WIDE TAPERED TROUSER
material _ WOOL 56%,SILK 44%
color _ D.BROWN
size _ 1,2,3
次は、これ。
ジャケット、パンツ。
どちらも同じ生地でつくられたもの。
このブログで紹介をする前に、お好きな方や、お好きそうな方にお勧めさせて頂きましたら、既にジャケットがサイズ1のみ、パンツがサイズ2のみの在庫になっちゃったんですが、それぞれを少し紹介させて頂きますね。
まず、生地。
これ。
ジャケットとパンツで使われるこの生地。
超絶ムード。
まず、混率は上記の通り、ウール56%、シルク44%。
経糸にシルク。緯糸にウールだ。
経糸のシルクは、先ほどのコート同様に"絹紡糸"の双糸。
緯糸のウールは、絹紡糸と同等の細さで、糸の表面がとても整った"梳毛"ウールの双糸。
写真では全然伝わらないんですけどね。
実物は、「おぉっ」て言ってもらえるような凄みのある輝きをしてるんですよ。
ブランドでは、当店で取り扱いをするD.BROWNの他に、ブラックの生地も存在したのですが、僕は、このワインレッドのように見える色合いがcalmlenceじゃなきゃ洋服に仕上げられないだろうなって思い、D.BROWNのみの取り扱いです。
D.BROWNと言っても、多分、ワインレッドやボルドーっていう方が、イメージしてもらいやすいのではないかと思ってる。
経糸の絹紡糸のシルクがブラック。
緯糸のウールが赤みのある色をしています。
先述の通り、実物は、凄まじいほどに輝き、圧倒的な高級さが漂ってる。
通常だと、梳毛のウールも光沢はあるのですが、経糸のブラックのシルクがただならぬほどに光ってるの。
でも、それがブラックで輝いてるから、その光り方に、類い稀な重厚さが伴ってる。
そして、それに加えて、赤みのあるウールが柔らかな光沢。
ただ、どちらも細い糸で生地そのものは軽量。
その上、生地での洗い、そして、最終的に熊谷さん自身での製品洗い。
それが施されることで、重厚な輝きに更なるテクスチャーが生まれ、超人的なムードの生地が出来上がってるワケですよ。
まだ、ご覧になられていない方は、期待して。
ジャケットのラペルは、スタンドカラーにもできるcalmlence仕様のもの。
フロントは、4つボタン。
コートと同様に、皮付きという野生的な水牛ボタンが取り付けられてる。
フロント4つボタンのボタンホールは、ジャケットという特性上、一番下のボタンホールは、ホールのかがりはあっても、メスは入れられず、穴が開いていません。
ジャケットは、一番下のボタンは留めないのが基本ですからね。
その原則に伴って、最初から開いてない。
袖口も4つボタン。
calmlenceでは、袖口のボタンがそれぞれ少しずつ重なるようなスタイルですね。
全然言う必要ないと思うけど、もちろん本切羽ですので、開きます。
肩には、パッドは入れられていませんが、身頃とアームホールの生地を縫った裏の生地が袖側に流されています。
縫い代が袖側に片倒しということですね。
それにより、肩パッドが入るほどのキメキメスタイルではないのですが、きちんと袖が身頃より高くなってる。
これは、袖高と言いますね。
このようなジャケットは、肩パッドがない自然で柔らかいムードでありながらも、袖付けがきちんとしてることは、アダルトジェントルマンが着用するのには必要な条件だと思いますので、僕は、ベストバランスだと思っています。
ちなみに後ろは、センターベント。
そして、裏。
これももうね、すんごいムードですから。
オリジナルのフラワージャガードの裏地。
袖裏は、キュプラ。
その縫い付けも手まつり。
裏は、真鍮の力ボタンつき。
ジャケットの身頃裏地の付け。
着用感は、軽快に着られる仕様です。
生地や洋服そのものの見た目の重厚な雰囲気はあるのですが、とても軽く着てもらえると思います。
そして、トラウザー。
こちらは、名前の通り、フロントにTRIPLE PLEATS。
腰回りには、ウエスト帯がないため、非常にスマートなウエストディテールですが、この3本のタックにより、ワタリにはとても分量が出てくれる。
ただね、ワイドと言っても、フォルムのアウトラインと、動作時の生地の動きがかなりのもの。
裾は、非常に強いテーパーで細くなるのですが、分量のある太もも周りのワタリの生地が無造作にダラっと動くのではなく、calmlenceが設計したアウトラインが出続ける。
これ、すごい。
ジャケットとパンツのセットアップって、ジャケットの方が良くて、パンツが単なる付属品みたいな"THE 組下"感が否めないものは多いけど、calmlenceのパンツは、パンツがむちゃくちゃ強い。
もちろん、ジャケットもかなりのムードですよ。
まあ、つまり、ヤバヤバって思ってもらえたら良いです。
当店では、既にジャケットが1で、パンツが2という組み合わせしか在庫はありませんが。。。
V字にウエストが割れ、後ろが高くなったハイバック仕様。with 真鍮シンチバック。
ポケットはどちらも両玉縁仕様ですが、左のみフラップ付きですね。
calmlenceのこのパンツは、先述の通り、足回りのワタリに分量がありますが、ウエストやお尻周りはシャープな設計。
だから、大人の方がとてもスタイルよく見えると思いますよ。
ファスナーフロントで、使用されるボタンは全て皮付きの水牛ホーンボタン。
内側の綺麗に配置されたマーベルトも信頼できる仕様だと思う。
裏。
充分に軽さがある表地なのですが、薄手のキュプラの裏地も配置される。
変に暑くなることはないのですが、薄い表地を裏から支えることに繋がってますね。
以上のラインナップがcollection 002で現在当店に到着しているものです。
これから迎える季節は、春夏ですが、単に軽やかなだけじゃなく、calmlenceで考えられたスタイルと、全力で信頼できるクオリティが共存した洋服だと思いますよ。
お好きな方は見てみてください。