先日は、calmlenceを紹介しましたが、今日は、別のものを。
BIEK VERSTAPPEN。
オランダのアトリエで、"生地を織ること"以外の全てを自分たちで行なうブランドです。
工場生産ではなく、BIEK VERSTAPPENの洋服は、全てアトリエで。
洋服のデザイン、染色、パターン設計、縫製、フィニッシュ。
上記のような洋服づくりに欠かすことのできない工程を"自分たちの手"で行なうの。
ご存知の方は、"染色のアルチザンブランド"みたいな感じで認知をしている方もいると思いますが、それもそうなんだけど、洋服トータルで見たときに、かなりのものが出来上がってる。
ブランドでは、ヨーロッパのクオリティの高い天然原料を使い、その素材の個性をとにかく溢れんばかりに活かすのですが、特に春夏の季節に適したものになると、ベルギー産ヘンプやイギリスのアイルランド産リネン。
原料を活かした生地のテクスチャー、染色はもちろんだけど、どこからどう見ても質実剛健な洋服の構築、その上、タイトフィッティングだけども、完全にブランドで狙い済ました"アウトライン"を描く。
この洋服クオリティは、BIEK VERSTAPPENならではのものだと思う。
あと、当店、CASANOVA&COでは、最もタイトフィットなブランドです。
世の中のルーズなサイジングとは逆行。
でもね、世の中の主流からのカウンター的な考えで、反対側を行ってるんじゃなくて、ブランドでは、それが"ただ好き"だから、そうしてるだけっていう感じ。
でも、全然ピッタピタとかじゃないから安心して。
特にトップス類は、写真をご覧頂けたらご理解頂けると思いますが、ルーズなサイジングじゃないということです。
しかしながら、これだけの洋服が持つ、特有のオーラがあり、それでいて、そのフィッティング。
これは、お好きな方は、他では遭遇できない世界が待ってるのよ。
少し紹介しますね。
BIEK VERSTAPPEN
bomber
material _ BELGIAN LINEN 100%
size _ S
まずこれ。
ブランドの超代名詞的存在、ギッチギチ高密度リネン平織りの生地を使ったジャケット。
見てこれ。
もうね、見るからにむっちゃイケてないですか?この生地。
途轍もなく組織の目が立ってる。
ベルギー産リネン原料を双糸使いし、超太い糸をつくり上げ、それをギッチギチに織り上げたもの。
ただ、そこですぐさま原料の良さが現れる。
これだけ太い糸を、これだけ詰め詰めで織り上げると、通常なら、ガッチガチのカチンコチンの硬さになるのが通例。
でも、BIEK VERSTAPPENではそうじゃない。
このような生地だから、強靭さとコシがあり、洋服のフォルムがしっかりと出てくれるのですが、そのウェットで濡れたような生地のタッチとしなやかな柔らかさ。
加えて、新品時からのその先の変貌は、とても期待できる。
そして、普通なら重くなるはずだけど、そうじゃない。
驚き。
あとは、生地を見てると、ところどころに黒っぽい箇所が出現する。
多分、アトリエでの生地染めだと思うのですが、平坦ではなく、黒い箇所が現れ、ムラが出るように狙って染めてるものだと思う。
糸の撚糸の締まり具合によって、黒く残し、はっきりと立った生地組織の目とブラックのコントラストが効くように設計してる生地ですね。
あたかも、レザージャケットかのような見た目。
ボタンは、透明度の高い水牛ボタン。
バックには、裾に左右それぞれタックが2本ずつ入る。
対して、フロントは、裾にダーツが左右2本ずつ。
この前後のダーツとタックが、着用時のフォルムに大きく影響を与えてくれるの。
これは、小柄な方が着たら大きな恩恵を感じてもらえると思いますよ。
そもそも、BIEK VERSTAPPENの洋服は、メンズ・ウィメンズのどちらもをつくってるブランド。
ビークさん本人が女性ですからね。めちゃくちゃ綺麗な。
今回のこのbomberは、実はコレクションでは、ウィメンズモデルとして登場してた。
それで、そのウィメンズのサンプルを僕がちょうど良く着ることができたの。
それは、もう感動ものの洋服のアウトライン。
だから、そのコレクションサンプルが、女性用の右前だったから、それをそのまま男性も着用可能な左前にしてもらったんですよ。
普段なら、僕はウィメンズの洋服は、女性の体型に向けてつくられてるから、絶対に男性向けにとかにはしないんですよ。
でも、BIEK VERSTAPPENは別。
これまで当店でも取り扱いをしてきたBIEK VERSTAPPENの洋服は、実物をご覧頂けたことがある方にはご理解頂けると思いますが、どこにもない洋服のフォルムをしてる。
それが小柄で細い男性にはピカイチにカッコよくハマると僕は思ってる。
だから、日頃からBIEK VERSTAPPENの洋服は、ジャストサイジングのスリムフィットで洋服を着たいと考える方向けに取り扱いをしてる。
その中で、僕はBIEK VERSTAPPENの洋服は、"完成された領域のフォルム"を生み出してると思っているのですが、まさに今回のこのウィメンズ向けにつくられたジャケットも、同様なことを感じた。
これ、マジですごいから。
だから、さっきも言ったように、洋服の前合わせだけを変更してもらいました。
裏。
非常に強度の高い縫製仕様のオンパレード。
一般的にインポートブランドは、縫製のレベルが低いとか言われることもありますが、僕がそんなの選ぶワケないですから。ご安心ください。
ボタン裏も思いやりを兼ね備えてる。
着用。
身長167cm、体重52kgでS。
リネン100の洋服だけど、複雑に重なった要素からかなりの高級感が出てる。
まあ、高い洋服ですけどね。
しっかりと"肩で着る"ジャケット。
肩の頂点を起点として描かれる"抱きのゆとり"。
"抱きのゆとり"と、前後それぞれの裾ダーツ、裾タックによって、フィットするジャケットだけど、ボディラインが現れないの。
BIEK VERSTAPPENが狙った洋服の輪郭を描く。
見た目としても、際立つ裾のタック。
そして、シャープなアームホールと袖。
決して、分量のある身幅ではないけど、その身幅と比較しても細いアーム。
洋服づくりの主流は、大きいアームホールだけど、僕は、小さいアームホールには、それにしか存在しない"美しさ"があると思ってる。
ベースはカジュアルなジャケットですが、両手を挙げると、ポコっと浮かび上がる肩。
先ほど、ハンガー状態で裏の写真を掲載してるので、裏地もなく、肩パッドも入っていないのは分かると思うのですが、袖山という肩の頂点がしっかりと高くつくられてる。
ただ、これほどにまで高く袖山を設定すると、通常は、"袖高"の構造にするのがセオリーなんですよ。
でもね、BIEK VERSTAPPENでは、このジャケットはあくまでカジュアルなんでしょうね。
だから、ブランドのスタイルとして袖山は高めに設定するけど、袖高にはせず、カジュアルな身頃高。
ブランドとしての意志がすごく感じられる。
バックも見事な"抱きのゆとり"。
こういう色の服では考えられないほどの、超絶エレガンス。
こういう生地では信じられないほどの、超絶着用感。
僕でギリギリのサイズだから、着ることができる人は限られると思いますが、シンデレラフィットを募集します。
BIEK VERSTAPPEN
bou trouser
material _ BELGIAN STONEWASH HEMP 100%
size _ XS
次はこれ。
ビークさんの旦那さん、バウさんのために最初つくった"bou trouser"。
このパンツは、パンツとしてはBIEK VERSTAPPENの顔。
メンズ向けのモデルなので、サイズはXS。
当店では、これまで何度か取り扱いをしてきたパンツですが、お好きな方には、こういうジャンルのパワーピースパンツは、なかなか出会えないってことで、清水ダイブで手にしてもらえてきたもの。
自然環境にもよってヘンプの質感も変わってくるし、アトリエでの独自レシピの染色も毎回が同じではない。
ブランドのシグネチャーとしての要素もあるけど、常に変化してオランダから直送されるパンツです。笑
先ほどの生地は、リネン100だったけど、こちらはヘンプ100。
より一層のハリ、コシ、重厚さが加わるパンツだけど、ストーンウォッシュをかけることで、気持ち糸が砕かれてる。気持ちね。
ヘンプの超太い糸をギチギチの高密度で織ってますからね、まだ決して柔らかいとは言えないです。笑
しかしながら、今回のbou trouserの生地は、いつもよりウェット感が強いですね。
あとは、良質な原料からなる自然な光沢。
生地の組織がくっきりと顔を見せ、アトリエでのムラ染めによるテクスチャーのハンパない深さ。
BIEK VERSTAPPENならではですよ。
フロントは、水牛ホーンのボタンフライですね。
バックヨーク付きで、パッチポケットは気持ち低めなのも特徴です。
股上が深く、例えるならサルエルパンツ型。
さっきも言ったけど、毎回のコレクションでbou trouserのディテールが変わるのですが、今回は比較的、サルエル度が控えめ。
良いのか、悪いのか。まあ、穿く人によりますかね。
ヒザ位置にはダーツ。
裏。
先ほどのジャケット同様に、とにかく堅牢で、タフ中のタフな構造。
ハードな生地に応えられるように、頑丈さを極めてる。
各所のシームだけじゃなくて、裏のポケットの袋布の取り付けも、他のブランドでは見たことない仕様してるんですよ。
写真じゃあんまり分からないかもしれないですが、ポケットの袋布の両端が、フロントの前立て端のパイピングと、アウトサイドシームのパイピングに巻き込んで縫われてる。
仮に、重たいものをポケットに入れても、全然へこたれなさそうな雰囲気をビンビンに醸し出してますよ。
もちろん裏地も付かない仕様で、良質なベルギーヘンプを多量に使った生地のタフな質感を最大に感じてもらえる。
着用。
ご覧頂ければ分かる通り、短めのレングス。
特有の丸みのあるフォルムの中にあるシャープさ、そして、ただならぬブラックヘンプのテクスチャーを遠目からでも感じられる。
サイドビュー。
ヒザ位置のダーツの作用もあり、グッとヒザが立体になったアウトライン。
どこにでも黒いパンツって存在すると思うけど、このレベルはそうそう遭遇できるものではないと思いますよ。
BIEK VERSTAPPENのつくる洋服のパワーを非常に感じられるシロモノ。
BIEK VERSTAPPEN
shirt
material _ IRISH LINEN 100%
color _ RED&BROWN STRIPE
size _ XS,S,M
BIEK VERSTAPPEN
trousers
material _ IRISH LINEN 100%
color _ RED&BROWN STRIPE
size _ XS,S,M
そして、最後は、この2つ。
イギリスのアイルランド産リネンを使った生地のシャツとパンツ。
こちらのシャツとパンツは、今すぐというよりは、完全に夏向け。
名前にもある通り、赤とブラウンの先染めリネンで織り上げられた平織りの生地。
夏向けとも言った通り、リネンの糸は細く、先ほどのジャケットとパンツとは、打って変わって、暑い季節には風が通り抜けてくれるようなウェイトですね。
生地のタッチは、心地良く、夏場には確実に涼しさを感じてもらえると思うけど、洋服のムードとしては、色合いもあり重厚さが抜け切らない。
あとは、やはりリネンのクオリティの高さ。
アイリッシュリネンは、もう古いものは手に入ることは不可能と言われてるけど、それでもやはりその産地のものが持つ品格。
先染め糸で織り上げ、更にアトリエで、生地染めを施し、より強いテクスチャーを生み出してる生地だけど、それでも、繊維そのものが光ってる。
これは、こういう原料特有のレベル。
先日紹介したcalmlenceのリネンシャツとBIEK VERSTAPPENのリネン。
好みはあると思いますが、クオリティでは、どちらも超絶レベルですよ。
シャツは、ディテールでいうと一見スタンダードに見えるけど、かなり変わってる。
衿の処理は、第一ボタンを開けてテキトーにオープンカラー風にするのがベスト。
ボタンは、生地に対して異常に見える4mm厚の水牛ボタン。
前から見ると、一枚衿のように見えるのですが、月腰形状の台衿が備わる仕様です。
それにより、横から見た際や、特にバックスタイルはジャケットの衿の立ち方に近い。
ただね、バックスタイルがすごく変わってる。
パッと見るとバックヨークの面積が大きいのが分かるじゃないですか。
まあ、それくらいなら見ることはある。
でも、先ほど触れた台衿(月腰)。
この台衿が、バックヨークの後身頃をかなり深い位置までえぐってるの。
つまり、台衿がかなり下から付いてる。それも強くカーブして。
通常だと、台衿と後身頃は、もっと真っ直ぐな接ぎ合わせのラインになるけど、これは位置と形状がめちゃくちゃ変わってるの。
それが着てみると違いが確実に感じる。
横から見た時や、後ろ姿の衿が立体的に立ってるんですよ。
これは裏の肩の写真。
ここも結構重要なポイント。
裏の縫い代が"袖側"に倒されてるの。
通常のシャツは、縫い代が割ってあるか、身頃側に倒されてるもの。
ただ、このシャツは、ジャケットと同じ袖側への肩倒し。
つまりは、"袖高"の構造。
横や後ろ姿で、衿が浮き上がるように立ち上がり、そして、肩は袖が高くなるように設計されてる。
一番最初に紹介したブラウンカラーのジャケットは、身頃高。
このシャツは、カジュアルではなく、ドレス要素を加えて、袖高。
この肩構造の設計も、BIEK VERSTAPPENのスタイルの重要なエッセンス。
こういうディテールが着ると見た目を大きく、大きく左右してくるから。
スクエアカットの裾と、カフス。
袖口のボタンも身頃と同様に4mm厚水牛ですが、ボタン留めは、ボタンホールではなく、ループで留める仕様です。
ちなみに、写真を撮ってないけど、このシャツはフロントにウエストポケットがパッチポケット仕様で付く。
表からは、地の目を変えて、ボーダーにしてるのですが、裏にも表地を当てて二重仕様のポケットにしてるんですよ。
リネンだから、実際にポケットにものを入れると、繊維の特性上キックバックが弱く、ダレてしまうことがあるから、そうならないように、ポケットを使ってもだらしなく見えることがないようにしてる。
めちゃくちゃ優しい思いやり仕様。
裏。
表にシームが露出しない袋縫いが中心ですが、やはりパイピング処理も健在。
同じアイリッシュリネンストライプ生地のパンツ。
ウエストにはベルトが付属するのですが、これはガッチリとしたヘンプ100のベルト。長めで垂らす感じかな。
ヘンプベルトの先端には、真鍮を配置。
この真鍮の様子もなかなか良い感じ。
バックは、右側のみの片ポケ。
このポケットも裏側にも表地を縫い付けてる二重仕様です。
ヘンプベルトを通すベルトループ。
真鍮のリベットを打ち、力技で補強。
生地とのコントラストが抜群。
に、加えて、、、
すんごい見にくいんですが、指先見てください。
このベルトループは、フツーじゃなくて、生地を二重にしてるの。
その留めを手のカンドメで補強してる。
ほとんど見えない箇所だけど、力技と細やかさを組み合わせた洋服づくり。
どちらもXSを着用してる。
上半身は、肩周りや衿の構造のディテールでドレスエッセンスを入れてるフォルム。
対して、パンツは、短く太く落ちるバランス。
これがBIEK VERSTAPPENのスタイルの特徴。
このシャツも気持ち細めのアームとアームホール。
全然今のファッショントレンド感は、壊滅的にないと思いますが、なかなか悪くないと思ってる。僕は。
あとね、こんなカバンもあったんですが、これはこのブログに掲載する前に売り切れました。
めちゃくちゃ可愛いカバンでしょ。
BIEK VERSTAPPENは、プライスはプライスですけどね、手にしてもらえたら確実にその恩恵は体得してもらえると思いますよ。
なかなか代替が効かない洋服ですからね。
お好きな方は、見てみてください。