Araki Yuuの服


遂に満を持して登場、Araki Yuu。


一応、春夏時期のコレクションとなるのですが、今シーズンでは当店は、スカーフだけしか未だに展開がありませんでした。


そして、遂に登場。


今回のAraki Yuuの洋服もとても期待してもらっても問題ない。


どれだけ高いハードルを用意しても、それを楽勝で凌駕できるようなレベルの服をつくってくれてる。


ブランドの性質上、新作というか、新しい洋服というのはあまりないのですが、その分、サンプル通りだけではなくて、こちらで指定したものでつくってもらってる。いつも。


でね、今回Araki Yuuがつくった激ヤバ生地があったんですよ。


それを見た瞬間に心を鷲掴みにされた。


で、その時から僕の本能は、ずっとそれを心の奥底中の奥底から心待ちにしてたの。


その生地のことは、もうサンプル生地を見てから今まで一度も忘れたことがないくらい。


いろんなブランドの洋服は見てるし、コレクションも何度も見てるけど、これは忘れられないものだった。


だから、凄まじいほど、期待して。



今回は、ジャケットが1種類とパンツが2種類。



その3種類を紹介しますね。










Araki Yuu

MOTORCYCLE JACKET

material _ COTTON 52%,LINEN 48%

color _ GEOMETRIC GREY

button _ BRASS

size _ 1,2

※完売致しました


まずは、これ。

JERKIN JACKETっていうジャケットがブランドの象徴的な位置付けで存在するんですが、それに並んで当店では”顔”とも思ってる。


“MOTORCYCLE JACKET”








スタンドタイプのネック形状に、ダブルの深い前合わせ。

まあ、シングルにもできるけど。


裏地の付かない一重仕様で、Araki Yuuの惜しげもないテクニックがふんだんに注ぎ込まれたジャケット。








昔のね、古いモーターサイクル系のジャケットをベースにしてるものだから、その分、着丈が短く、それでいていろんなところが曲線的にできてるジャケットです。

フロントの裾もセンターに向かって緩やかにラウンドしてる。







対して、バックはスクエア型というかラウンドせず、ストレートカッティングの裾ですね。


あと、腕の前への振りはかなり強めです。

前方向に曲がってるってことです。














そして、さっきも言ったけど、衿はスタンド形状。

これに関しては、折り返すことなく、立てたままで何も気にせずあしらってもらえたらオーケーです。







過剰ではないけど、ウエストで少しシェイプの効いたジャケットです。

身頃の切り替えを利用して、少しだけシェイプをかけてる。

そして、その切り替えを利用したサイドポケットが配置される。







このサイドポケットもよくできてる。

ポケット口には、表地と同じ生地で見返しが施されて、頑丈にできてるの。

ポケットに走る三角形のステッチがその見返しのステッチです。

そして、ポケット口の両脇には、手縫いのカンドメ。


Araki Yuuは、ミシン特有の丈夫さを利用したミシンソーイングも行うけど、ところどころに手縫いも入ってる。


それは、ミシンだけだと硬くなりすぎてしまったり、過剰になり過ぎてしまうことがあるから、よりAraki Yuuが理想とする姿を目指すために、細かく仕上げることができる”手の縫製”が加えられる。


ミシンでのカンドメが必要な場所や、着心地を大きく左右するような箇所、ミシンよりも精緻に行うべき細部には手縫いが入るかな。


あとは、シャツ以外の洋服のボタンホールも。


全部手縫い。シルクの糸で。









そして、この生地。

これがハンパないの。

ヤバいから。


この生地を目にした瞬間から、このブログを書くまでずっと頭に残ってた。


“GEOMETRIC GREY”


と名付けられたカラーリングの生地。


混率は、上にも記載した通り、COTTON 52%とLINEN 48%。


経糸と緯糸でそれぞれを交織したマテリアルですね。


まあ、そのマテリアルよりも、超複雑な組織の構造。


これは、もちろんAraki Yuuのオリジナル。


どこにも他には流通してないですね。



今回、この生地は、Araki Yuuが自分自身で


「生地の設計」


つまり、、、



“組織図”を形づくった生地なの。



ブランドの性質上、工場縫製ではなく、全てAraki Yuuが自分自身で最初から最後までつくりあげるんですが、これまでは、



パターン・裁断・縫製・特殊(ボタンホール、カンドメ、ボタン付け)・仕上げ



という流れをやってた。



でも、今回は、それの更に前段階、、



“生地の設計”が加わったの。



「組織図」というのは、生地の”設計図”のことです。



僕も最近、機屋さんに行くことが増えたから、その度にいろんな組織図を見せてもらったりするんですが、これがかなり複雑なの。


まあ、設計図を書いたからってそれで簡単に生地が出来上がるんじゃなくて、更に難しい工程が生地をつくるのには出てくるんですけどね。


それでも自分自身で生地の組織図からスタートした洋服なんて、最近、見たことないですね。


特に日本のブランドでは。


海外だと、これから春夏の納品があるIsabella Stefanelliが自分で生地つくってるんですが、これはまたヤバヤバの圧巻の領域だから、置いておいて、、


日本のブランドでは皆無だと思いますよ。


今は。


当店では、Nobuyuki Matsuiの松井さんが、過去に自分で織機を駆使しながら生地を織ってたことがあったらしいけど、もう二度とやらないって言ってたから。


それくらい、生地っていうのは、超絶専門的な職人の世界なの。


僕も機屋さんに行くととても実感させられる。


これは、文字通り、その道の熟練の職人だけが携われる世界だなって。



まあ、今回のAraki Yuuのこの生地は、荒木さんが自分で織ったものではなくて、もちろん機屋さんが織ったものではあるんだけど、機屋さんに細かく色々聞きながら、自らで設計したそう。


だから、生地を生み出す前段階から、Araki Yuuの濃厚な領域がスタートしてるワケですよ。これ。



この生地の”奥行き”と”複雑さ”は、圧倒的なクオリティですよ。



度肝を抜いて。








そして、裏。

先述の通り、一重仕様。

Araki Yuuの特徴の一つでもある、自分で削り出した真鍮のボタンがダブルで並び、シングル留めにするときは、ボタンは一つ。







あと、内かけのボタンは水牛を同様に削り出したもの。







内側もバツグンの縫製テクニック。

ボタンの補強のためのレザーの裏ボタン。







Araki Yuuも山内同様にハンパない運針と縫製レベル。








ボタンホール裏。







ボタンホール表。

これも手縫いだから。

とても綺麗で丈夫に出来てる。







カーブした袖口の開き。

全体的に曲線が多用されたカッティングなのと、このレベルの縫製だから、120年前くらいのオートクチュール時代の洋服のような、古いムードがムンムンに漂ってるのは感じてもらえると思いますよ。


このMOTORCYCLE JACKETは、当店CASANOVA&COのエクスクルーシブです。









Araki Yuu

KNICKER BOCKERS

material _ COTTON 52%,LINEN 48%

color _ GEOMETRIC GREY

button _ BRASS

size _ 0,1,2

※完売致しました


そして、これ。

超絶パンツ。

ニッカーボッカーズ。


このパンツは、以前の秋冬シーズンの時に初めて登場したものなんですけどね、その時に、生地の目付けが500超えで、ウール100の平織り、しかも総裏地のものをつくってもらったんです。


そしたら、それがあまりにも素晴らしくて、自分でも気に入り過ぎて、ハンパない頻度で、エゲツない程穿いてたんですよ。


でも、ウールで目付け500って真冬のコートのレベルだから、冬しか穿けないなって思ってた。


だから、冬以外にもこれは絶対に必要だって思って、再び登場。


それも、Araki Yuuが組織図を設計した”GIOMETRIC GREY”で。








このニッカーボッカーズもすんごい複雑な構造なんですよ。






フロントは、ご覧の通りノータック。

トップボタンは、珍しい3つ穴ボタンの真鍮。

ウエストサイドにはスラッシュポケット。

で、この写真でも充分に察することができる、細かいピッチと狂いのないハイレベルな縫製のクオリティ。







フロント開きも全て真鍮。

フロント前立ての見返しや、ウエスト帯の見返しも素晴らしいレベル。







このボタンホールももちろん手縫い。







ベルトループも生地をきちんと折りたたんでアイロンかけて、地縫いして、コバステッチかけてつくってる。


見える箇所はもちろん、極力オーバーロック処理を使わないのもAraki Yuuの特徴の一つですかね。

その分、かなり時間はかかるけど。

でも、丈夫さが全然違うし、見た目の上でもとても綺麗に仕上がってる。







そして、このニッカーボッカーズの大きな特徴でもある裾。

5本のインタック、裾帯、オリジナルの真鍮パーツでのアジャスターベルト。






誰がどこをどう見てもフツーの裾の仕上げとは大きく違う。

ただ、これにもAraki Yuuの縫製テクニックが満載。


それぞれ均等に内折りにたたまれたタック。

それを留めつける裾の帯のコバステッチ。

でも裾帯から続いたアジャストベルトには、表から見えるステッチは存在しない。

こういうステッチワークで全然洋服の見た目って変わってくるから。

とても細かいところに手が行き届いてると思う。


これは一着縫うのにもとても時間かかるのが目に見えるね。






更に裾バックにも切り替え。

そして、ボックスプリーツ。







これが裏。

切り替えのパイピングも裏にはしっかり完備。







裾の開き止まりには、手縫いのカンドメ。

表だけではなく、裏もとても複雑でいろんな縫製仕様が入ってる設計。







バック。

ラウンド形状のポケットと長さの異なる二本のダーツ。






身頃の接ぎ合わせの割り縫いのパイピングも健在。

超丁寧なズボン。




もともとニッカボッカーズは、オランダの紳士が休日にスポーツを愉しむために生まれた紳士の洋服みたい。

日本では大工さんのパンツってイメージ強いですけどね。



まあ、前回のものをすんごい気に入り過ぎて、今回もこのジオメトリックの生地で絶対にいる。って自分で思ってたんですよ。

さっきも言ったけど。


プライスは、9万くらいするから、ハードルは高いけど、あまりにも出来の良いパンツだから、できる限りの方に手にしてもらいたいって思ってたんですよ。


だから、全部で10着オーダー。


まあ、1着は自分で着るためだから販売分は、9着なんだけど。


これホンッット感動するから。合う人には。



で、先に自分の分だけ納品前に少し早く出来たから、穿いてたの。


秋冬の時と違うコットンリネンの一重のニッカボッカーズを検証してたんです。


そしたら、やっぱりあまりにも良かったの。笑



先日までパリに出張に行ってたんですけどね、パンツは、このニッカボッカーズとパジャマしか持って行ってなかったから、エブリデイで穿いてた。


ちなみに、どうでも良いけど、シャツはCOTTLEとTukir、Tシャツは山内、OLDE HOMESTEADERのスリーブレス、靴はPETROSOLAUMというラインナップ。笑


そのどれにも、常に下半身は、ニッカボッカーズだった。








これ。

まだ1回しか洗ってないけど。

Araki Yuuは新品の段階でも、既にアトリエで洗ってあるから、そんな大きな変化はないですね。


真鍮って空港で引っ掛かるんですね。

裾の真鍮のアジャスターが空港の金属探知機で何回も反応して、行きも帰りも常に足を怪しまれた。

その時だけは、もっと普通のパンツ穿いておけば良かったって思ったけど。


















ブラックとグレーの色糸で構成されてる分、最初から少し白けたような感じはありますね。

洗ったし、既にむちゃくちゃ穿いてるし、気持ち生地に膨らみが出たかな。













元ネタが元ネタなので、レングスは短めです。

分かるか分かんないけど、身長167cmでサイズ0でこれくらい。

裾に、生地が溜まるのが好きな方には、不向きだと思うけど、短いのもオーケーな人には良いと思いますよ。


ワタリには分量がありますが、それが5本のタックと1本のボックスプリーツで裾に一気に収納される感じです。

見たら分かると思うけど。



季節的には、冬は寒い。


あとは、






ぱねぇ。




まあ、値段が値段だけど、今回のニッカーボッカーズも超絶感動してもらえると思いますよ。


超良い出来してるから。


これで晴れて僕も年中、Araki Yuuのニッカーボッカーズスタイルができるようになりました。


ちなみに、こちらも当店エクスクルーシブ。









Araki Yuu

CURVED CROPPED PANTS

material _ COTTON 100%

color _ FADE BLACK CORD STRIPE

button _ BRASS

size _ 0,1,2


最後にこれ。


こちらは初めて展開します。

立体的にカーブしたパンツです。

クロップドとありますが、ニッカーボッカーズよりも丈は短くはないですね。


生地は、刺し子のようなコットン100。







これ。

真っ直ぐにしても膝位置でカーブしたカッティング。







L字型のポケット形状に深めの股上。







フロントは同様に真鍮ボタンですが、股上が深い分、通常のパンツよりもボタンが一つ多いですね。







真鍮のシンチバック付きで、ポケットはラウンド形状。

ウエスト帯は付かない設計ですが、ウエストバンドのように特徴的な見返しが内側に付きますね。







立体的に浮かび上がった膝。

前身頃は通常は一枚の生地パーツだけど、これはセンターで接ぎ合わされ、二枚のパーツで構成されています。

刺し子のようになったストライプの糸が膝位置でバイアス状になる特徴的なカッティング。

これでより膝に生地の自然な伸縮が生まれ、理に適った構造になってる。








バックのダーツも入り方も特徴的。

時間の都合上、このパンツに関してはあまり写真が撮れなかったんですが、実物を見てもらえれば良いです。


この春夏の括りではAraki Yuuは洋服の納品は第一回目となりますが、二回目もいつになるか分かりませんがある予定です。

そのときは、ジャケットとシャツだったかな?


当店が誇る、洋服づくりの日本国内の一つのある種、最高峰のブランドですからね、お好きな方は見てみてください。

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