久しぶりにGERNOT LINDNERの眼鏡について書きますね。
というのも、納品してもらって、これまでで一番バリエーションが揃ったから。
今の時期がちょうど良いかなって思ってる。
当店で唯一取り扱いをしている眼鏡。
GERNOT LINDNER (ゲルノット リンドナー)。
お客様によっては、眼鏡のプロダクトとして"最高峰"に君臨するというようなことを言ってくれる方もいますし、そのように捉えられている方も結構いるんじゃないかと思います。
以前のブログでも書いたのですが、僕は、洋服屋としては、"眼鏡"を取り扱いすることは、近隣に位置する岡山眼鏡店の猪原さんもいるから「ないな」と思っていたので、眼鏡ブランドについて深く追求することはしてこなかった。
だから、眼鏡業界のことやマーケットのことはよく分からないのですが、"相対的"に取り扱いを選んだのではなく、"絶対的"に取り扱いをすることを判断したから、他のブランドとの比較をしたのではなくて、単純にGERNOT LINDNERに惹かれただけなの。
ただ、当店では眼鏡の調整やレンズ交換はできないので、先述の岡山眼鏡店さんと提携をさせてもらう形をとり、当店でお買い物頂いた後は、可能な方は、岡山眼鏡店さんにお持ち込み頂くことをお願いしております。
これまで、GERNOT LINDNERの眼鏡をお買い物頂いたお客様方の皆様から話を聞くと、岡山眼鏡店のスタッフの方々に大変ご丁寧に対応を頂けているみたいで、すごくありがたく思っています。
あと、そうそう。
知ってる人もいると思うのですが、岡山眼鏡店さんは、7月頃に広島市にもお店をオープンされるみたいですよね。
広島の方や、近くの方はとても楽しみなんじゃないでしょうか。
それでね、GERNOT LINDNERの眼鏡の特徴としては、やはりその素材。
"銀製"眼鏡として、全てがつくられるけど、それが"スターリングシルバー 925"であるということ。
通常の"シルバー925"は、銀の含有率が92.5%で、あとの7.5%に合金が含まれるのですが、その合金がなんなのかは"シルバー925"という名称の分類であれば、定めはない。
しかし、"スターリングシルバー 925"に関しては、92.5%の銀に対して、7.5%は"銅のみ"であるという決まりがある。
それを満たしているものだけが、"スターリングシルバー925"と呼ぶことができるそう。
そして、GERNOT LINDNERは無論、"スターリングシルバー 925"の眼鏡である。
でもまあ、僕が思うに、"シルバー925"に比較して、"スターリングシルバー925"が絶対に優れているとは思わないです。
シルバー925でも、うんこレベルのものはあると思うし、超絶神レベルのものもある。
だから、当店で唯一のジュエリー、"DAN TOMIMATSU"は、ゴールドの他に、シルバー925も存在するけど、その品質は神がかってると思うから。
一概に、スターリングシルバー925だからって飛び付いちゃダメっていうことですよ。
結局、銀の良さと、それに加えて、7.5%の合金に"何を"、"どのような配合で"入れ、それを"どのようにして形づくっているのか"ということが一番大事だと思うんですよ。
つまり、料理と一緒。
例えば、世界的な高級で美味しい素材を使って、僕みたいに滅多に料理をしないおじさんが何かつくったところで、全然美味しいものはできない。
反対に、スーパーに一般的に売ってる食材で、一流シェフが調理をしたら、とても美味しい料理ができるだろうと想像できるじゃないですか。
だから、GERNOT LINDNERは、上記の二つの良いところが組み合わされたものと思ってもらったら良いですよ。
すごく良い食材を使って、一流シェフが調理してるってイメージ。
Lunorの創業者であり、世界的な眼鏡デザイナーであり、世界的なアンティーク眼鏡のコレクターでもある、80歳を超えたゲルノットさんがそのキャリアの集大成として、ドイツにGERNOT LINDNER生産の専用工場をつくって、生み出すスターリングシルバー925の眼鏡。
眼鏡のフレームに使う素材としては、最もハードルが高いと言われる"シルバー素材"を使ったブランド。
しかも、全てが、何段階にも分けて、少しずつ少しずつプレスされた正真正銘"鍛造(たんぞう)"のフレーム。
これまで、"GL-151"と"KYOTO"というモデルのみをこのブログで紹介してきましたが、さっきも言った通り、ある程度もう少し見てもらえるバリエーションは揃ったので、順番に紹介しますね。
GERNOT LINDNER
GL-151
bridge _ MIDDLE BRIDGE
material _ STERLING SILVER 925
finish _ SN
temple size _ 140mm,150mm
ノーズパッドのないパント型のGL-151。
レンズの横が44mm、縦が37.5mm、レンズ間24mm。
眼鏡に詳しい方は、上記の数値を見て分かると思いますが、レンズの大きさが小さめで、比較的中心に寄っています。
GERNOT LINDNERの眼鏡は、全てこのように、小さめで顔の中心に寄ってるのが特徴です。
これは、ブランドがつくっているものとして、アンティーク眼鏡の存在が根底にあるためです。
ゲルノットさんはアンティーク眼鏡の世界的なコレクターでもあり、昔は、シルバー800という素材で銀製の眼鏡は存在したそうです。
それは、その当時、眼鏡が必要で、"読み書きができる"という特権階級の証だったそうで、そのために昔の眼鏡は、高価な素材でつくられていたことがあったそう。
だから、GERNOT LINDNERのも、他のブランドの眼鏡と比較するとフロントが小さめな眼鏡なの。
一般的な眼鏡にあるように、いくつかのモデルには、ノーズパッド(鼻当て)が付属しません。
これは、一山式ブリッジというのですが、このブリッジには、ブランドでいくつか高さの設定がある。
・ヨーロピアンブリッジ
・ミドルブリッジ
・アジアンブリッジ
この3つ。
当店で取り扱いをするGERNOT LINDNERの一山式ブリッジのモデルは、全てミドルブリッジで生産をしてもらっています。
その理由は、上記の3つは、全て鼻の高さが異なるのですが、ヨーロピアンブリッジは、くっきりとした陰影がメリハリがあってカッコいいけど、我々日本人には、鼻が高過ぎる。
対して、アジアンブリッジだと日本人にはかけやすいけど、眼鏡そのもののメリハリがフラットになってしまうように思ったんですよ。サンプルを見てると。
だから、ヨーロピアンブリッジと、アジアンブリッジの両者の長所と短所を補完した"ミドルブリッジ"というモデルでオーダーしてる。
僕自身も、ミドルブリッジで全く問題ないし、これまで手にして頂けた方々でも、ミドルブリッジで問題なさそうに思います。
そして、GL-151のモデルについては、通常のGOLF TEMPLEでオーダーしています。
このゴルフテンプルは、140mmの長さと150mmの長さの2種類ある。
僕の体感だと、140mmは顔の小さい方や女性。
150mmは、男性の一般的なサイズだと思います。
オーセンティックな中でも、とても整った見た目をしているGL-151。
GERNOT LINDNER
GL-253
bridge _ DOUBLE BRIDGE
material _ STERLING SILVER 925
finish _ SN
temple _ ADJUSTABLE TEMPLE
続いてこちら。
ダブルブリッジタイプのGL-253。
形状は、先ほどのGL-151とよく似ているのですが、レンズの大きさは、横幅は44mm、縦は40mm、レンズ間の幅は24mm。
GL-151と比較して、縦が2.5mm大きい。
太さの違う2本のブリッジで繋がれたGL-253。
そして、クリングスというそうですが、フレームから独立した鼻当て付き。
分かりますかね??
925の刻印。
こちらのクリングスノーズパッドもスターリングシルバー925。
GERNOT LINDNERの中でも、少しレンズフレームの大きいモデルですが、結構良いムードあると思いますよ。
レンズ交換の際に、色付きのレンズにしてサングラスにしても適してるモデルなんだろうね。きっと。
先ほどのGL-151は、ゴルフテンプルでしたが、こちらはGERNOT LINDNERの大きな特徴でもある"アジャスタブルテンプル"でオーダーしてる。
アンティーク眼鏡が持つ仕様の一つだったアジャスト仕様。
耳に引っ掛けるゴルフテンプルタイプとは異なり、頭を抱えるようにしてつけるアジャスタブルテンプル。
そんなに他の眼鏡では見る仕様ではないと思うので、僕はこのアジャスタブルテンプルタイプがGERNOT LINDNERの特徴としてすごく気に入ってる。
インポート眼鏡なので、日本人なら全員が必ずフィッティングの調整が必要になるから、きちんとフィッティングを行えば、心地よく付けることができますね。
しかも、アジャスト仕様だと、時によってご自身で着用時にテンプルの長さを調整して、フィット感を調整できるから。
そして、見てこれ。
この箇所もGERNOT LINDNERの全ての眼鏡に共通。
フレーム角にある智(ヨロイ)とテンプルの接合部分。
この箇所も、バッチバチに合ってるの。
通常だと、この接合部分は、多少ズレていたり、凹凸が出てるものもあるみたいですが、ゲルノットさんは、この箇所が完全にピッタリとフラットになるようにつくりあげることを大事にしてるみたいです。
実物は、凄いから。この精緻さ。
GERNOT LINDNER
KYOTO I
bridge _ MIDDLE BRIDGE
material _ STERLING SILVER 925
finish _ SN
temple _ ADJUSTABLE TEMPLE
次は、これ。
KYOTOというモデル。
このKYOTOには、"KYOTO I"と"KYOTO II"とフロントのフレームの大きさが大小で異なる二つのモデルが存在します。
上にあるのが、KYOTO IIで大きいほう。
下のがKYOTO Iで小さいの。
斜め上から撮影しちゃったから、、、この写真ではあんまり分からないかもしれませんが、
上のKYOTO IIで、フロントレンズ横幅が42mm、縦が39mmです。
下のKYOTO Iで、フロントレンズ横幅が39.5mm、縦が37mmです。
レンズ同士の幅は、どちらも共通で24mmの幅。
僕は、身長167cmで小柄な分、KYOTO Iをかけてるんですが、初めてサンプルを見た時には、確かにGERNOT LINDNERはフロントレンズサイズが小さいなと思ったんですよ。
だから、ついついこの体格でKYOTO IIを手にしそうになった。
でもね、やっぱり眼鏡界の生きるレジェンドが設計、開発してるだけありますね。
小柄な体型の僕には、やっぱり小さい方のKYOTO Iが適してる。
毎日かけて、使ってるとGERNOT LINDNERの良さ、設計の意味合いを常々感じますね。
クラウンパント型で、真っ直ぐで角のある上部。厳密には、僅かに曲線なんだけど。
それに組み合わさる下部のラウンド。
こういう造形の組み合わせが僕は好きなんですが、スタンダードに日常的にかけることができるし、その上、ちょっとだけ、ほんの少しだけ変わってるように見えるじゃないですか。
しかも、それがスターリングシルバー925のフレームで形成されてる。
美しい。これは、とてつもなく美しいものですよ。
見てほら。
くっきりと刻み、浮かび上がるようなミドルブリッジ。
僕は、GERNOT LINDNERの素材が伴った、この造形美に心惹かれてる。
着用時に人から見られる外側だけじゃなくて、どこを見ても、アメージングな美しさしてるから。
オブジェとしても優秀かも。笑
そして、これ。
まだ一年も経ってないけど、8ヶ月くらいかな?毎日使ってるKYOTO I。
全体的に輝きが鈍く、重たい光沢になってきてるんですよ。
あと、特有の酸化の黒ずみも出てきてる。
僕は、こういう質の高い素材の自然な変化が好きだから、時折眼鏡拭きで拭いてることはあるけど、使うことに伴って発生するものは、そのままにしてる主義。
ただ、このような変化だけではなく、輝いてる状態が好みの場合には、磨けば新品に近い感じが続きますね。
一山式ブリッジの接合箇所には、銅に反応してるのかな??
一部、緑青が出てきてる。反対側はこのようになってないんですけどね。
でも、これも今はそのまま。
アンティークに近付いてきてる。笑
今回はね、このようなものもあります。
"Clip-on (クリップオン)"。
スターリングシルバーのブリッジにアセテートフレームのClip-on。
少し装着にコツがいるのですが、慣れれば楽勝。店頭で、お話しますね。
現在は、KYOTO IとKYOTO II、今日最後に紹介する丸メガネタイプのGL-153とGL-157のみClip-onがある状況です。
KYOTO Iに装着時。
もともと備わる一山式ブリッジと、クリップオンが加わることで、ダブルブリッジのサングラスに大変身。
超絶男前じゃないですか。
ダブルブリッジサングラス。
営業前のCASANOVA&COが反射して写ってるけど、気にしないで。
僕は、普段サングラスをかけるタイプじゃないんですけど、GERNOT LINDNERでは必要だなって思ったのと、コンプリートしたかったので、最近車の運転で使ってみてる。
そしたらね、視界の見やすさが全然違いますね。
晴れで日差し強い時には、格段に外が見やすくなる。
で、まあ、やっぱりめちゃカッコいいの。これもお気に入り。
既にGERNOT LINDNERの適用モデルをお持ちの方はご検討ください。
そして、まだある。
GERNOT LINDNER
GL-250
bridge _ DOUBLE BRIDGE
material _ STERLING SILVER 925
finish _ SN
temple _ ADJUSTABLE TEMPLE
こちら。
KYOTOと同じくクラウンパント型のダブルブリッジモデル、GL-250。
フロントの大きさは、横が43mm、縦が39mm、レンズ間は24mm。
KYOTO IIよりも横幅が1mm大きい設計になってる。
加えて、ダブルブリッジのブリッジそのものも、先に紹介したGL-253のダブルブリッジと太さが僅かに異なる。
それぞれのモデルの形状に合わせて、全てを変えてる。
単なるデザイン違いじゃないの。
また、ダブルブリッジタイプだけではなく、それぞれの眼鏡のフレームそのものの太さや幅も僅かに違うんですよ。
ブランドのコレクションの中で、全てのものが"GERNOT LINDNERとしての特徴は貫かれてる"。
だけど、それぞれがスターリングシルバー925を超絶細かく緻密に、"最適に"設計してる眼鏡。
だから、全てが違う。
これは、やはりドイツのGERNOT LINDER専用設備での生産なだけありますよ。
ホント、スゲーから。この眼鏡。
こちらもスターリングシルバー925のノーズパッド付き。
アジャスタブルテンプルです。
GERNOT LINDNER
GL-153(大きい方) / GL-157(小さい方)
bridge _ MIDDLE BRIDGE
material _ STERLING SILVER 925
finish _ SN
temple _ ADJUSTABLE TEMPLE
今日の最後が これ。
丸メガネタイプのGL-153とGL-157。
どちらもこれまで同様に一山式ミドルブリッジに、アジャスタブルテンプルです。
フロントの丸の大きい方が、GL-153。
GL-153は、横幅が42mm、縦が41mmで、フレーム同士の間は、こちらも24mm。
GL-157は、横幅が39mm、縦が38mmで、24mm。
丸メガネではありますが、真ん丸ではなくて、横に1mm大きい設計です。
こうすることで、とてもバランスがとられているように感じますね。
こちらの丸メガネタイプのGL-153とGL-157は、当店で取り扱いをするGL-151とKYOTOと比べて、明らかにフロントフレームの幅と厚みが大きいように感じる。
最もクラシックなタイプだからかな。
でも、先述のように、同じ素材をモデル毎に、ただ別の形状にしてるのではなく、そのモデルに対し、フレームそのものの太さも、ゲルノットさんが考えるベストな設計にしてる。
ノーズパッドがなく、非常にシンプルな眼鏡ですが、その分、一つの眼鏡の中で、スターリングシルバー925の"線の強弱によるコントラスト"をふんだんに感じてもらえる。
単にアンティークの眼鏡の真似をしてるんじゃないですから。
それこそが、GERNOT LINDNERのヤバさだと思ってる。
こちらのモデルもアジャスタブルテンプル。
当店で取り扱いをするGERNOT LINDNERの眼鏡は、全て"SN"仕上げという、"Silver Natural"というものです。
そもそも、GERNOT LINDNERは、他の眼鏡ブランドとは異なり、一切ブランドで在庫をつくっていることがありません。
全部、取り扱い店舗がオーダーをして、その注文内容に従って生産に入るブランド。
だから、モデルはもちろん、ブリッジやテンプル、仕上げなど色々カスタマイズしてオーダーできるんですよ。
でも、一応ね、一応、GERNOT LINDNERのブランドの最大の魅力と、眼鏡そのものの良さを何十周も頭の中で考えてオーダーしてますからね。
仕上げ方法も、シルバーのマットや、ピンクゴールドメッキやゴールドメッキなどあるんですが、僕はスターリングシルバー925を最高潮に活かせる"SN"仕上げという、最もナチュラルなものがベストだと思ってる。
僕もまだまだ8ヶ月しか使ってないけど、新品時だけではなく、"その先"に大いなる期待をできる眼鏡だと実感しています。
あとは、まあ、ブランドでやってることが並じゃないですから。
そのことは、洋服がお好きな方なら手にしてもらった瞬間に"圧倒的な違い"を感じて頂けると思います。
全く眼鏡を取り扱いする気がなかった僕が、唯一「これなら」って思ったブランド。
というか、僕がGERNOT LINDNERの眼鏡のパワーに惹き込まれて、絶対に取り扱いをしたいって眼鏡で初めて思ったんですよ。
こういうものを、日々の道具として使うおじさんでありたいと思う。
美しい道具は、心が磨かれる。
まじで。
GERNOT LINDNERも見てみて。