こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
先日お知らせした、daisuke tanabe "syvash"。
今週金曜日、14日から3日間の開催となります。
今回のこのdaisuke tanaabeとのイベントは、ある特定のアイテムに対して、受注生産をお承りする方式。
その特定のアイテムというものは、また後ほどご紹介致しますが、先月の展示会にて発表されたばかりの25AWシーズンからのアイテムです。
そして、今回イベントタイトルとして引用させていただいている”syvash”という単語が、daisuke tanabeの25AWシーズンのテーマとなっています。
"syvash" = 腐海
この衛生写真が、daisuke tanabeのシーズンビジュアル。
実際にGoogle Mapで検索してみると、非常に不思議な色をした湖を見ることができます。
場所は、ウクライナ南部とクリミア半島の間。
この腐海は、海と接続していない内陸部にある湖であり、夏には気温が高くなるため湖の水の蒸発が激しく、腐ったような悪臭を放つため、現地の言葉からsyvashと呼ばれている。
シーズンビジュアルで湖の色がピンクに見えるのは加工されているからではなく、高い塩分濃度も影響して特有の生態系を持ち、その影響でこのような色になっているのだそう。
現在は戦争によりロシアの実効支配下となっているクリミア半島の腐海ですが、実は現実の世界だけではなく創作の世界にもこの腐海の生態系をモチーフにした場所が存在する。
スタジオ・ジブリの宮崎駿氏が手がけた、”風の谷のナウシカ”だ。
風の谷のナウシカでは、かつての大きな戦争の後に有毒なガスを発する森(=これが風の谷のナウシカでの”腐海”)が拡がった世界で、その腐海と共生してこうとするナウシカをはじめとする現代人の姿が描かれている。
、、、というのが、映画版の風の谷のナウシカの簡単なあらすじ。
ただ、どうやらそれは映画版の話ということらしい。
僕はジブリ作品に詳しくないので知らなかったのですが、原作の漫画版の風の谷のナウシカには異なる結末が待っているそう。
原作版では、腐海はかつての人類によって人工的につくられた生態系であり、ナウシカをはじめとする現代の人類が汚した世界を浄化する役割があるとされているそうです。
つまり、有毒なガスを吐き出す腐海は、ほんとうは自然環境を浄化しようとしている人工の存在であるということ。
、、、だいぶdaisuke tanabeから話が逸れてきてしまっているように感じますが、安心してください。
全て繋がっています。
少しdaisuke tanabeに話を戻しましょう。
daisuke tanabeは今回のイベントでご紹介する2025AWシーズンが3回目となるコレクション。
つまり、デビューは2024年の秋冬シーズン。
その24AW、そして25SSの2シーズンにおいて、daisuke tanabeは世紀末的な光景や精神世界と現実世界の曖昧な相関関係に基づいたコレクションを発表してきた。
それぞれのコレクションの深い話は、15日or16日にお越しいただける方には田邉さんから直接聞けると思うのですが、そのような世界観は洋服のデザインや色彩にも影響を与えていて、今までのdaisuke tanabeのほとんどの洋服は白や黒やグレーなどの無彩色や土や砂を思い起こさせるようなベージュばかりだった。
近未来的な印象のカッティングやディテールからも、荒廃した世界で生き抜こうとする未来の人類の姿を感じさせるものがありました。
そんな中、来たる今回の25AWシーズン。
コレクションを象徴していたのが、グリーン。
今までの2シーズンのポストアポカリプス的世界観から、生命が始まりdaisuke tanabeという生態系が動き出したことを印象付けるグリーンが多用されたコレクションでした。
なので今回の25AWコレクションでは、争いの果てに荒廃した土地や人工的な建造物と、動植物などの自然のものの鬩ぎ合いが表現されています。
25AWのルックに差し込まれているこれらの写真たちも、退廃的な雰囲気でありながら、自然との共生を感じさせるものになっています。
そんなコレクションの着想源としてあったのが、今なお争いが続くクリミア半島に独自の生態系を持つ現実世界の”腐海”であり、争いの果てに人工物と自然物の間に生み出された創作世界の”腐海”なのである。
これが、今シーズンのdaisuke tanabeのテーマとしての"syvash"の意味。
だから、25AWシーズンのコレクションは、田邉さん自身の今までのコレクションと連続しているのはもちろん、現在の社会情勢や国際問題へのメッセージを孕んでいて、さらには社会に影響を与えた作品や文化からのサンプリング的な手法も取り入れられている。
決して後付けのテーマ設定ではなく、先に決めたお題に対して田辺さん自身の経験や思想のエッセンスを加えて、生地の開発や職人さんとのコミュニケーションを経てアウトプットされている。
やばすぎるでしょ。
脳みそひとつじゃ足りないし、そのバランス感覚はホントにすごい。
20代にして自身の中にこれだけたくさんの引き出しを持っているというのは、やはり田邉さんの人生がもたらしたものなのだと思う。
でもでも、やっぱりここが一番重要だと思うのですが、洋服のクオリティ。
難しいことやってるかどうかとか、高い生地使ってるかどうかみたいなことではなく、ここまで考え抜かれたdaisuke tanabeの脳内を、どのように洋服として物質化しているのか。
そのような観点において、daisuke tanabeは超ハイレベルなことをやってると思います。
もちろん生地開発とか素材の選定も素晴らしいんだけど、daisuke tanabeは本当に田邉さんにしかつくれない服になってる。
それを2025AWシーズンのコレクションで僕が最も感じたのが、
ムートン。
とんでもないものが現れた。
これを皆様に見て欲しくて、ブランドにはむちゃくちゃ無理言ってしまいました。
でも、本当に見る価値はあると思う。
”規格外のムートン”。
明日、それぞれの洋服について、きちんとご紹介いたします。
今回は全然洋服の話にならなかったので、次はしっかり書きます。笑
daisuke tanabe "syvash"
2025.03.14 - 2025.03.16
続く...