24SS SALE pickup "SEAN SUEN v-neck jumper"
こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
連日の投稿となっておりますが、ご覧いただけている皆様、本当にありがとうございます。
今日も昨日に続いて24SSアイテムのディスカウントセールからピックアップしたものを紹介させてください。
今回はSEAN SUENから、真夏でも着れるサマーニットのご紹介です。
SEAN SUEN
v-neck jumper
color _ black
size _ S,M
こちらです。
商品名にある”jumper”はイギリス英語ではプルオーバーのセーターという意味もあるようです。
つまり、”Vネックのプルオーバーのセーター”。
見たまんまですね。
ただ、しっかりとSEAN SUENのシグネチャー的要素のある1着です。
そもそもですが、SEAN SUEN、知らない方も多いのではないでしょうか。
ブランドとしての国籍は中国。北京を拠点にしています。
ただ、コレクションの発表の場はParis。
新進気鋭の無名ブランドというわけではなく、パリでのコレクション発表は常連だったようです。
そのような場で継続的にショーを行うことができるということは、実力の証。
この数年は韓国や中国などアジアをルーツに持つブランドの国際化が進んでいるように思いますが、SEAN SUENはそんな夜明け前から本場のパリで戦い続けてきたブランドです。
日本では広く知られているブランドではありませんが、「まだ誰も知らないアノニマスなメゾンブランド」みたいなイメージでしょうか。
そんなブランドの中でもシグネチャー的立ち位置にあるのが、このビリビリにデストロイ加工がされたニットウェア。
23AWシーズンでも当店で秋冬仕様のものを展開していた、あのシリーズです。
23AWのニットは信じられないくらいタイトで着丈の短いタートルネックとか、かなりダルっとしたオーバーサイジングなものだったので、ちょっとアヴァンギャルド過ぎかなという印象を持たれた方もいたかと思います。
しかし今回の春夏のものは、比較的ルーズなサイジングですが今までで一番着やすいバランス。カラーもブラックですし。
ということで今回はオールブラックで着てみました。
僕は暗い色の洋服を着るのは好きなのですが、あまり全身真っ黒にするということは少ないんです。
生地や素材によって”黒”という色のニュアンスって全然変わるじゃないですか。
なんかそこがバラバラするのが好きじゃないので、いっそ全然違う表情の”黒”を持ってくる方がメリハリがついていいんじゃないかと思います。
白だけじゃなくて、黒も何百色かあるんじゃないかと思ってますよ、僕は。
SEAN SUENのv-neck jumperはコットンとリネンがベースなんですが、化繊も上手に使っていて、独特な光沢や透け感によって黒なのに少しライトで重くなりすぎない黒の印象。
この季節にも見た目が重くなりすぎないので着やすいと思います。
かなり薄手の生地でシャリっとした質感なので、少し汗をかいた状態で肌に触れてもべたつくような不快感はないと思います。
タンクトップやTシャツの上から被るだけ。すごく気持ちよく着て頂けると思いますよ。
合わせているNEATのPoly Mesh Cargo Shortsはかつてのプーマのトレーニングウェアをモチーフにした生地で、ブラックのメッシュ生地の奥からグリーンのメッシュ生地が見えるというなんとも新しい表情の黒。
これも面白いですよね。
僕が大学生の頃、海外のストリートスナップ雑誌みたいなのをよく見ていたのですが、当時の僕にとても新鮮に映った写真がありました。
今その雑誌は手元にないので、記憶の中にある写真を何とか鮮明に描写するしかないのですが、
華奢な黒人の女性がバスケの練習着(バスパンっていうんですかね)みたいな派手な柄のショートパンツを履いて、なんだかよくわからない柄のカラフルなニットを着ていた。
そしてアフリカっぽさのある民族的な木製のアクセサリーを首やら腰やらにジャラジャラ付けて、満面の笑み。
その写真がどこで撮られたものであるかまではっきりとわからないですが、乾いた空気と砂埃でむせ返りそうなアフリカの街を思わせる場所だったと記憶。
当時の僕はその写真がすごくかっこいいと思ったんです。
その黒人女性の服装がかっこいいのはもちろんですが、その人がその街でどう生きているのか、そんな相関関係までがなんとなく見えた気がした。
多分バスケはしないであろうが、ナイキか、アディダスか、はたまたプーマか分からないけどバスパンを履き、
己の色彩感覚に任せてカラフルなニットを着る。
そして自分自身のルーツとなるようなアクセサリーを身につける。
今回は、そんなスタイルに日本で生まれ日本で育った僕がアンサーを返すなら、といった感じでしょうか。
...そんなに壮大は話ではないですね。
話はSEAN SUENに戻ります。
インポートブランドならではですが、袖は少し長めです。
身幅は極端に広いわけではないですが、風が抜ける余白はしっかりとあります。
各所のリブはそれほどきつくないので、程よく溜まりを生み出してくれるくらいです。
夏の洋服で袖や裾にリブが効いていて丸みを生み出してくれるものってサマーニット以外にないと思うので、夏のニットのスタイルはいつも自分に新鮮さをもたらしてくれるので、僕はとても好きです。
ビリビリに破れている部分はネック、裾、袖口のリブの箇所だけなので、ボディにはデストロイ加工はありません。
やりすぎると”本物感”が出ちゃいますからね。
律儀にリブだけに満遍なくダメージを入れることで、それがしっかりとデザインとして昇華されていると思います。
この辺りはブランドのセンスによって大きく印象が変わると思います。
その点SEAN SUENはやはりモードで、退廃的な美しさを感じさせます。
アノニマスなブランドを選ぶということは、一種の意思表示だと思うんです。
「私はこういうものに魅力を感じているんだ」という。誰に影響されたでもない己の意思と感覚。
夏を快適に過ごすということはこの季節の至上命題ではあるのですが、自分自身を信じるという意味ではSEAN SUENを着ることが何か気付きをもたらす契機になってくれるのではないかとも思います。
ぜひご覧いただけましたら嬉しいです。
CASANOVA&CO 野口